NTT株が2026年8月25日、169.1円まで上昇し、2024年5月以来となる約27カ月ぶりの高値圏に入りました。
今回の上昇で注目すべきなのは、単に株価が169円台まで上昇したという事実だけではありません。信用取引の需給が短期間で大きく変化している点です。
7月10日時点で約1億8665万株あった信用買い残は、8月14日時点で約876万株まで減少しました。その一方で、信用売り残は約418万株から約2232万株へ増加しています。
つまり、株価が上昇する中で信用買いが急速に整理され、反対に空売りが積み上がるという、通常とは少し異なる動きが起きています。
では、NTT株ではすでに「踏み上げ相場」が始まっているのでしょうか。
動画では、業績、自社株買い、信用需給、過去の高値など複数の材料を組み合わせながら、現在のNTT株の状況を詳しく分析しています。
NTT株が27カ月ぶりに169.1円まで上昇
まず、今回の上昇を時系列で確認します。
NTT株の8月19日の終値は159.4円でした。その後、20日に161.4円、21日には166.1円まで上昇しています。
特に注目されたのが8月21日です。
この日は前日比で約3%上昇し、出来高も約3億7000万株まで増加しました。20日の出来高が約2億株だったことを考えると、単に取引の少ない中で株価だけが上昇したわけではありません。
さらに24日には167.4円、25日朝には169.1円まで上昇しました。
19日の159.4円から見ると、わずか数営業日で約6%の上昇です。
この上昇を「日本株全体が上がったから」と説明することも難しい状況です。
動画によると、24日の日経平均株価は約488円下落していました。また25日朝も日経平均が軟調に始まる中で、NTTは高値を更新しています。
つまり、市場全体の上昇に連動しただけではなく、NTT固有の材料や需給による買いが入っていた可能性があります。
最大のポイントは信用買い残が約1億株減ったこと
今回のNTT株上昇を考えるうえで、特に重要なのが信用取引の変化です。
7月10日時点では、NTTの信用買い残は約1億8665万株、信用売り残は約418万株でした。
信用倍率は44.60倍です。
信用倍率とは、
「信用買い残 ÷ 信用売り残」
で計算される数字です。
信用倍率が高いほど、将来的に返済売りにつながる可能性のある信用買いポジションが多いことを意味します。
44.60倍という水準は、売り残に対して買い残が圧倒的に多く、需給面ではかなり重い状態だったと考えられます。
ところが8月14日時点になると状況が大きく変わりました。
信用買い残は約876万株まで減少しました。
一方、信用売り残は約2232万株まで増加しています。
信用買い残はおよそ9900万株減少し、信用売り残は約1800万株増えています。
その結果、信用倍率は44.60倍から3.93倍まで急低下しました。
株価上昇中なのに信用買いが減る異例の動き
一般的には、株価が大きく上昇すると、
「まだ上がるかもしれない」
と考えた個人投資家の信用買いが増えやすくなります。
しかし今回のNTTでは逆の動きが起きています。
株価が147円台から160円台へ上昇していく過程で、信用買い残が大幅に減少しました。
つまり、新しい信用買いが大量に積み上がって株価を押し上げたというより、信用買いポジションの整理が進みながら株価が上昇したことになります。
これは需給面では重要な変化です。
信用買いには返済期限や追加保証金などの問題があるため、将来的な売り圧力になりやすい側面があります。
その信用買いポジションが大幅に減ったことで、将来の返済売り圧力が以前より軽くなった可能性があります。
ただし、信用買い残が減少した約1億株すべてが市場で売却されたわけではありません。
信用取引から現物株へ切り替える「現引き」が行われた可能性もあるため、単純に「1億株分の売りが消化された」と判断するのは適切ではありません。
信用売り残は約5.3倍に増加
その一方で、信用売り残は大幅に増加しています。
約418万株だった信用売り残は、約2232万株まで増えました。
およそ5.3倍です。
ここで注目されるのが「踏み上げ」です。
空売りをしている投資家は、株価が下落すれば利益になります。
しかし予想に反して株価が上昇すると含み損が拡大します。
損失に耐えられなくなった空売り投資家がポジションを閉じる場合、売っていた株を買い戻さなければなりません。
この買い戻しによって株価がさらに上昇し、その上昇によって別の空売り投資家も買い戻しを迫られる。
こうした連鎖的な上昇が「踏み上げ」です。
NTTでは売り残が増加している一方で株価が上昇しているため、売り方の含み損が拡大している可能性があります。
169円台から171円台へさらに上昇すれば、買い戻しが次の株価上昇を生む可能性もあります。
ただし「踏み上げ確定」と判断するのはまだ早い
一方で、動画では現時点で本格的な踏み上げが始まったと断定することには慎重な姿勢を示しています。
理由の1つは、信用倍率が3.93倍まで低下したとはいえ、依然として信用買い残のほうが信用売り残より多いからです。
つまり、売り残のほうが買い残より多い「売り長」状態ではありません。
また、約2232万株の信用売り残がすべて「NTT株は下がる」と考えて入った投機的な空売りとも限りません。
ヘッジ目的や短期売買など、さまざまな取引が含まれている可能性があります。
そのため、
「信用売り残が増えた=必ず踏み上げる」
と考えるのは危険です。
重要なのは、売り残の絶対数だけではなく、株価との組み合わせを見ることです。
売り残が増えながら株価が下がっているなら、売り方が優勢と考えられます。
しかしNTTのように売り残が増えているにもかかわらず株価が上昇している場合、それ以上の買い需要が存在していることになります。
NTTの第1四半期決算も株価を支える
信用需給だけでなく、業績面でも株価を支える材料があります。
動画によると、NTTが8月6日に発表した第1四半期決算では、営業収益が3兆17億円となり、前年同期比で約11%増加しました。
営業利益は4251億円で約5%増、四半期利益は2748億円で約6%増となりました。
増収増益で、営業収益は過去最高水準となっています。
数字だけを見ると、株価が再評価される理由は十分にあります。
ただし、すべてが好材料というわけではありません。
営業利益率を単純計算すると、前年同期の約12.4%から約11.8%へ低下しています。
売上は約11%伸びていますが、営業利益の伸びは約5%にとどまっています。
つまり、売上成長がそのまま利益率改善につながっているわけではありません。
携帯事業の利益回復が今後の重要ポイント
NTTの中期的な評価を考えるうえで、特に重要なのが携帯事業です。
NTTドコモのコンシューマー事業は、これまでNTT全体の評価を抑える要因の1つとなってきました。
今回の決算では利益回復を示す材料が出ている一方、携帯通信事業そのものにはまだ弱さが残っていると動画では指摘されています。
そのため、
「携帯事業が完全復活した」
と判断する段階ではありません。
市場が評価しているのは、最悪期を抜けつつある可能性だと考えられます。
野村証券は目標株価を194円へ引き上げ
株価上昇を後押しした可能性のある材料として、証券会社による評価引き上げもあります。
動画では、野村証券が8月20日に投資判断を維持しながら、NTTの目標株価を186円から194円へ引き上げたことが紹介されています。
ちょうどNTT株が161円台から166円台へ大きく上昇したタイミングと重なっています。
ただし194円という数字だけを見て、
「169円ならまだかなり割安だ」
と考えるのは注意が必要です。
動画では、市場コンセンサスは集計方法によって異なるものの、169円前後から170円台前半に位置するデータもあるとしています。
つまり194円は市場全体の平均ではなく、比較的強気な評価の1つという位置付けです。
今後さらに株価が上昇するためには、携帯事業の利益回復やNTT全体の利益率改善、業績予想の上方修正などが重要になってきます。
上限2000億円の自社株買いも需給を支える
NTT株の需給を考えるうえでもう1つ重要なのが、自社株買いです。
NTTは2026年5月8日、取得総額上限2000億円、取得株数上限14億株の自己株式取得を決議しています。
取得期間は2027年3月31日までです。
7月末までに実際に取得した株式は約2億3978万株、取得金額は約361億円でした。
金額ベースの進捗率は約18%です。
単純に上限との差額を計算すると、約1639億円分の取得余地が残っていることになります。
ただし、残りの1639億円が必ずすべて市場で買われるわけではありません。
2000億円はあくまで上限であり、NTTが毎日一定額を買う義務があるわけでもありません。
それでも、会社自身による現物株の買い需要が存在しているという点は重要です。
信用買い残が減少する一方で、自社株買いという現物需要が存在していることは、今回の需給改善と整合的だと動画では分析しています。
今回の上昇は4つの要因が重なっている
ここまでを見ると、NTT株の上昇は1つの理由だけでは説明しにくいことが分かります。
動画では、
- 業績の再評価
- 自社株買い
- 信用買い残の整理
- 信用売り残の増加
という4つの要因が同時に重なっていることを重要視しています。
1つ1つの材料だけであれば株価上昇の決定打とは言い切れません。
しかし複数の材料が同じ方向に働けば、169円台という株価の意味も変わってきます。
169.2円、170.1円、171.2円が重要な上値抵抗
短期的に最も注目されるのが、170円前後に存在する過去の高値です。
動画では、
169.2円
170.1円
171.2円
という3つの価格を重要なポイントとして挙げています。
2024年5月1日の高値は171.2円、5月9日の高値は169.2円でした。
さらに5月10日には170.1円まで上昇したものの、その日の終値は162.3円まで急落しています。
この日の出来高は約4億3700万株でした。
つまり170円前後では、過去に非常に大きな売買が行われ、その後株価が下落した経緯があります。
この価格帯で株を購入し、長期間含み損を抱えていた投資家にとって、株価がようやく同じ水準まで戻れば、
「今度こそ売っておこう」
という戻り売りが出やすくなります。
短期投資家にとっても、過去の高値は利益確定の目安になりやすいため、上値が重くなる可能性があります。
最重要ラインは171.2円
動画では3つの価格の中でも171.2円を特に重要視しています。
171.2円は2024年5月1日の高値です。
この価格を終値ベースで明確に上抜ければ、約27カ月にわたって意識されてきた戻り売りゾーンを突破したと判断しやすくなります。
その場合、次の大きな価格帯として180円台を意識する余地が出てきます。
ただし、
「171.2円を突破したら必ず180円まで上がる」
という意味ではありません。
重要なのは、171.2円を突破したときの信用需給です。
信用買い残が急増しながら突破するケースと、信用買い残が減少したまま売り残が高水準を維持して突破するケースでは、同じ171.2円突破でも意味が大きく異なります。
強気・中立・弱気の3つのシナリオ
動画ではNTT株の今後について、大きく3つのシナリオを想定しています。
強い形は、169.2円と170.1円を超え、171.2円を終値ベースで明確に突破するケースです。
さらに信用買い残が増えすぎず、信用売り残が高水準を維持していれば、売り方の買い戻しが株価上昇を後押しする可能性があります。
中立的なのは、166円から171円程度の範囲で高値持ち合いを続けるケースです。
170円前後には過去の戻り売りが存在するため、数日から数週間かけて売りを吸収する展開になっても、上昇トレンドが崩れたとは限りません。
一方で弱い形は、169円から171円の突破に失敗し、166円を明確に下回るケースです。
さらに162円から163円まで下落する場合、高値ブレイク失敗として警戒する必要が高まります。
最新の信用残高が「踏み上げ」の強さを左右する
動画が特に重要視しているのが、8月21日時点の最新信用残高です。
現在確認できている約2232万株の信用売り残は、8月14日時点の数字です。
その後8月21日にNTT株は約3%上昇し、出来高も約3億7000万株まで急増しています。
もしこの上昇局面で売り方が大量に買い戻していたのであれば、今回の上昇にはすでに踏み上げが含まれていた可能性があります。
その場合、今後利用できる「踏み上げの燃料」は減っていることになります。
逆に、株価が166円台まで上昇したにもかかわらず信用売り残がさらに増えていれば、売り方の含み損はさらに拡大します。
そこから171円台へ突入すれば、買い戻しが連鎖する余地が大きくなるという考え方です。
最新データで確認するべき3つの数字
動画では最新の信用データについて、3つの数字を同時に確認することが重要だとしています。
1つ目が信用買い残です。
約876万株からさらに減少しているのか、それとも株価上昇を見て再び増えているのかを確認します。
2つ目が信用売り残です。
約2232万株からさらに増えているのか、それとも売り方の買い戻しによって大きく減っているのかを見ます。
3つ目が信用倍率です。
3.93倍からさらに低下しているのか、それとも再び上昇しているのかを確認します。
重要なのは、信用倍率だけを見るのではなく、買い残と売り残の絶対数も合わせて見ることです。
売り残増加=機関投資家の空売りではない
信用取引を見るときに注意したい点もあります。
今回確認している信用売り残は、機関投資家による空売り全体を示す数字ではありません。
そのため、
「売り残が3倍になったから機関投資家が大量に空売りしている」
と断定することはできません。
動画が重視しているのは、誰が空売りしているかを当てることではありません。
株価が上昇しているにもかかわらず、将来の売り圧力になりやすい信用買い残が減少し、将来の買い戻し需要になり得る信用売り残が増えているという需給構造そのものです。
171.2円突破後は業績が重要になる
仮にNTT株が171.2円を突破した場合、その後も株価上昇を維持できるかどうかは、短期的な踏み上げだけでは決まりません。
中期的には業績改善が必要になります。
動画では今後確認すべきポイントとして、携帯事業の利益回復、NTT全体の営業利益率、自社株買いの進捗、市場予想の修正などを挙げています。
特に、第1四半期に約11.8%まで低下した営業利益率が今後改善するかどうかは重要です。
携帯事業の収益改善が続き、業績予想の上方修正が現実味を帯びれば、現在169円から170円台前半にある市場平均の評価そのものが引き上げられる可能性があります。
その場合、194円という強気な目標株価もより現実的な水準として意識されることになります。
一方で、株価だけが先に171円を超え、利益率や携帯事業の回復が伴わなければ、期待先行として再び売られる可能性があります。
最も強いシナリオは「買い残減少・売り残増加・171.2円突破」
動画で最も強気とされる組み合わせは、信用買い残が約876万株からさらに減少し、信用売り残が約2232万株からさらに増加するケースです。
さらに信用倍率も3.93倍から低下し、その状態で株価が171.2円を終値で明確に突破します。
この場合、信用買いの整理が続く一方で売り方の負担だけが大きくなるため、第2弾の株価上昇に買い戻しが加わる条件が整います。
動画では、このような組み合わせになれば180円台を試す可能性が高まると分析しています。
売り残が減っても株価が上がれば必ずしも弱くない
興味深いのが、信用売り残が大幅に減少した場合です。
一見すると、踏み上げの燃料が減るため弱材料に見えます。
しかし、売り方の買い戻しが一巡したにもかかわらず株価が171.2円を超えて高値を維持できるのであれば、別の見方ができます。
それは、上昇の主役が信用需給から業績再評価や現物買いへ移っている可能性です。
このケースでは「踏み上げ相場」という説明は弱くなりますが、株価そのものの強さはむしろ確認されることになります。
166円を維持できるかも重要
171円台をすぐに突破できなくても、必ずしも弱気になる必要はありません。
169円から171円付近には、2024年5月に大量の取引が行われた価格帯があります。
そのため、数日から数週間にわたって戻り売りを吸収する展開になる可能性があります。
その間に166円前後を維持し、信用買い残が大きく増えず、信用売り残も高水準を保っていれば、次の上昇に向けて需給が維持されていると考える余地があります。
反対に、171円突破に失敗したうえで166円を明確に下回り、信用買い残が再び増え、信用売り残が減少する場合は注意が必要です。
これまで株価を支えてきた需給改善が逆回転する可能性があるためです。
NTT株169.1円は上昇の終点なのか
動画では、現時点で169.1円を上昇の終点と判断する根拠はまだないとしています。
その理由として、信用買い残を約1億株整理しながら約27カ月ぶりの高値まで上昇したこと、信用売り残が約5.3倍に増えたこと、上限2000億円の自社株買いが続いていること、第1四半期決算が増収増益だったことが挙げられています。
一方で、警戒材料も残っています。
171.2円をまだ終値ベースで突破していないこと、信用倍率3.93倍でも依然として買い残のほうが多いこと、営業利益率が低下していること、市場全体が194円という評価で一致しているわけではないことです。
したがって、今後の判断では、
171.2円を終値で突破できるか。
押し目で166円を維持できるか。
信用買い残の減少と信用売り残の増加という需給構造が続くか。
この3点が特に重要になります。
まとめ
NTT株は2026年8月25日に169.1円まで上昇し、約27カ月ぶりの高値圏に入りました。
今回の上昇で特徴的なのは、単純に買いが殺到しているという状況ではありません。
株価が上昇する中で、信用買い残が約1億株減少する一方、信用売り残は約5.3倍まで増加しています。
そこに第1四半期の増収増益、自社株買い、証券会社による評価引き上げなどが重なっています。
このため、現在の上昇は「信用買いによる過熱相場」というより、業績再評価と現物需要、信用需給改善が重なった上昇と見ることができます。
ただし、本格的な踏み上げ相場が始まったと断定するにはまだ早い状況です。
短期的な最大のポイントは171.2円です。
この水準を終値で明確に突破し、同時に信用買い残の減少と信用売り残の増加が続いていれば、売り方の買い戻しを巻き込んだ第2弾の上昇につながる可能性があります。
反対に171円台の突破に失敗し、166円を割り込んだうえで信用買い残が再び増加するようであれば、これまでの強気シナリオは見直す必要があります。
そして中長期的には、短期的な1円、2円の値動きだけではなく、携帯事業の利益回復、NTT全体の利益率改善、自社株買いの進捗、業績予想の上方修正が続くかを確認することが重要です。
今回の169.1円という株価そのものよりも重要なのは、そこまで株価が上昇する過程で信用買いが大きく整理され、反対に売り方のポジションが積み上がっていることです。
NTT株は現在、約27カ月続いた過去の戻り売り圧力と、急速に改善した信用需給がぶつかる重要な局面に入っているといえそうです。


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