日経平均は反発も上値は重い?6万6700円の攻防と海外投資家・半導体株・ETF換金売りを徹底解説

本記事は、YouTube動画『日経平均500円高でも安心できない?今週のゆるっと相場解説』の内容を基に構成しています。

日経平均株価は前日比で約500円上昇し、一見すると日本株市場に買い戻しの動きが広がったように見えました。

しかし、指数が上昇したからといって、直ちに本格的な上昇トレンドへ戻ったと判断できるわけではありません。日経平均は重要な下値支持線付近で反発しているものの、上方には移動平均線やトレンドラインといった複数の抵抗帯が控えています。

また、海外投資家の売買動向、半導体関連株から出遅れ株への資金移動、日本の長期金利、米国の消費者物価指数、ETFの分配金捻出に伴う換金売りなど、今後の相場を左右する材料も少なくありません。

今回の記事では、日経平均のテクニカル分析を中心に、業種別の資金移動、個別銘柄のチャート、PERから見た日経平均の水準、海外投資家の売買動向、7月特有のアノマリーまで詳しく解説します。

目次

日経平均は約500円高でも売買代金の盛り上がりは限定的

この日の日経平均は約500円高となりました。株価指数だけを見ると、投資家の買い意欲が大きく回復したようにも見えます。

一方、東証プライム市場の売買代金は約10.7兆円でした。一般的な水準と比較すればかなり大きな売買代金ですが、動画では、当日の値動きの大きさを考えると、想像していたほどの盛り上がりではなかったと指摘されています。

相場は前場に大きく下落した後、後場にかけて回復しました。そのため、後場から相当強い買いが入ったようにも見えましたが、売買代金を見る限りでは、市場参加者全体が一斉に強気へ転じたとまでは言いにくい状況です。

売買代金とは、株式市場で実際に売買された金額の合計です。株価が上昇していても売買代金が少なければ、一部の銘柄や限られた投資家によって指数が押し上げられている可能性があります。

反対に、株価上昇とともに売買代金も大きく増加していれば、多くの投資家が参加した信頼度の高い上昇と判断しやすくなります。

今回の日経平均の反発は一定の評価ができるものの、出来高や売買代金の面では、まだ本格的な買い相場に転じたと断定できるほどの強さではなかったと考えられます。

日経平均は6万6700円から6万6800円付近が重要な支持線

日経平均のチャートをテクニカル面から見ると、6万6700円から6万6800円付近に重要な支持線が形成されている可能性があります。

当初は、それ以前につけた高値付近が下値支持線として意識されていました。しかし、直近ではもう1段下の価格帯まで下落し、6万6700円前後で買い支えられる動きが見られています。

この価格帯は、単に過去の高値や安値が集中しているだけではありません。フィボナッチ・リトレースメントの観点からも、重要な水準に該当します。

フィボナッチ61.8%付近が下値支持線として機能

今回意識されている6万6700円から6万6800円付近は、直近の安値から高値までの上昇幅に対して、約61.8%押しに相当する水準です。

フィボナッチ・リトレースメントは、相場が上昇または下落した後に、どの程度まで押し戻される可能性があるのかを測るために使われる代表的なテクニカル分析です。

特に意識されやすい比率には、次のようなものがあります。

  • 23.6%
  • 38.2%
  • 50.0%
  • 61.8%

61.8%まで下落する動きは、一般的に比較的深い押しと考えられます。日本の相場解説では「3分の2押し」に近い水準として扱われることもあります。

上昇相場が継続するのであれば、61.8%付近で下げ止まり、再び高値を目指す展開が期待されます。一方、この水準を明確に割り込む場合は、それまでの上昇トレンド自体が崩れ始めている可能性があります。

現在の日経平均は、上昇相場の押し目として踏みとどまれるか、それとも下落トレンドへ移行するのかを見極める重要な位置にあるといえます。

ダブルボトムを形成できるかが次の焦点

6万6700円前後の支持線を維持して反発できれば、日経平均のチャートにはダブルボトムに近い形が形成される可能性があります。

ダブルボトムとは、株価が似た価格帯で2回下げ止まり、アルファベットの「W」のような形を作るチャートパターンです。

一般的には、下落トレンドの終了や上昇転換を示唆する形とされています。

ただし、同じ価格帯で2回反発しただけでは、ダブルボトムが完成したとはいえません。2つの安値の間にある戻り高値、いわゆるネックラインを上抜ける必要があります。

今回の日経平均でも、6万6700円前後で下げ止まるだけでは不十分です。反発後に上方へ降りてくる中期移動平均線を突破できるかどうかが重要になります。

中期移動平均線が上値抵抗になる可能性

相場が下落トレンドへ移行する場面では、株価が中期移動平均線を下回った後、いったん反発しても、その移動平均線に上値を抑えられるケースがよく見られます。

典型的な流れは次のようなものです。

株価が上昇している間は、中期移動平均線が下値支持線として機能します。しかし、株価が移動平均線を割り込むと、それまで支持線だった移動平均線が上値抵抗線へと変化します。

その後、株価が反発して移動平均線付近まで戻っても、そこで売りが増え、再び下落することがあります。

いわゆる「戻り売り」が入りやすい局面です。

日経平均も、現在の支持線から反発した場合、次に中期移動平均線を上抜けられるかが重要になります。

中期移動平均線を明確に上抜き、その上で推移できれば、今回の下落が一時的な調整だった可能性が高まります。

一方、移動平均線付近で上値を抑えられて再び下落すれば、戻り高値を形成し、本格的な下落トレンドへ移行する可能性があります。

一度割り込んだトレンドラインも重要な抵抗帯

日経平均は、それまで相場を支えていた上昇トレンドラインを一度割り込んでいます。

トレンドラインとは、上昇相場では複数の安値を結び、下落相場では複数の高値を結んで引く線です。

上昇トレンドラインが機能している間は、その線に接近したところで買いが入りやすくなります。しかし、一度明確に割り込むと、今度は反発局面で上値抵抗線として機能することがあります。

今回も、割り込んだトレンドライン付近まで株価が戻った際に、再び上値を抑えられる可能性があります。

そのため、今後の日経平均が上昇トレンドへ復帰するためには、中期移動平均線だけでなく、割り込んだトレンドラインも上抜く必要があります。

複数の抵抗帯が重なる価格帯では、利益確定売りや戻り売りが増えやすくなります。そこを突破できるかどうかが、上昇相場と下落相場の境目になると考えられます。

長期移動平均線まで下がらないのは買い支えの存在を示す

日経平均は複数の支持線や移動平均線を割り込んだものの、さらに下方に位置する長期移動平均線までは下落していません。

通常、売り圧力が非常に強い場合、株価は中期移動平均線を割り込んだ後、長期移動平均線付近まで一気に下落することがあります。

しかし、今回は長期移動平均線が視野に入る状態でありながら、そこまで下落せずに反発しています。

このことから、現在の相場には一定の買い支えが存在している可能性があります。

投資家が積極的に上値を買い上げるほど強気ではないものの、株価が大きく下がった場面では押し目買いを入れたい投資家がいるという状態です。

そのため、日経平均がすぐに急落するというよりも、現在の水準から小幅に安値を切り下げながら、方向感の乏しい相場が続く可能性もあります。

動画では、夏場は上下を繰り返す展開となり、秋頃から再び上昇するシナリオも考えられるとされています。

決算の上方修正がなければ高値更新の材料に乏しい

日経平均が再び高値を更新するためには、チャート上の抵抗帯を突破するだけでなく、企業業績の裏付けも必要です。

現在の株価には、ある程度良好な企業業績や将来の成長期待が織り込まれています。

そのため、企業決算で市場予想を上回る利益が発表されたり、通期業績予想が上方修正されたりしなければ、さらに株価を押し上げる材料が不足する可能性があります。

特に日経平均が歴史的な高値圏で推移している場合、単に「業績が悪くなかった」という程度では買い材料にならないことがあります。

市場参加者が期待している以上の売上高や利益、今後の成長見通しが示されて初めて、高い株価評価が正当化されます。

今後の決算発表では、足元の実績だけでなく、企業が示す将来見通しや上方修正の有無が重要になります。

ホルムズ海峡問題が景気敏感株への資金流入を妨げる可能性

日本株市場の上値を抑える要因として、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクも挙げられています。

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海上輸送の重要地点です。中東地域で生産された原油や液化天然ガスの多くが、この海峡を通って世界各地へ輸送されます。

そのため、ホルムズ海峡の通航に問題が生じれば、原油価格や輸送コストが大きく上昇する可能性があります。

日本はエネルギー資源の多くを輸入に依存しているため、ホルムズ海峡の混乱は企業の仕入れ価格や電力料金、物流費、消費者物価にまで影響します。

動画では、トランプ氏が通行料に関する発言をしていることにも触れられています。発言の真意や実現可能性は別としても、中東情勢が不透明な状態では、投資家が景気敏感株を積極的に買いにくくなります。

景気敏感株とは、鉄鋼、化学、機械、自動車、海運など、景気の変動によって業績が大きく左右される銘柄です。

世界経済の先行きが不透明になったり、原油価格が急上昇したりすると、これらの業種には売りが出やすくなります。

ホルムズ海峡をめぐる問題が落ち着かなければ、割安に放置されているバリュー株や景気敏感株への本格的な資金流入は起こりにくい可能性があります。

業種別では売られていたセクターに復活の兆し

市場全体に明確な方向感が乏しいなか、業種別の値動きには変化が見られます。

これまで大きく売られていた一部のセクターに、底打ちや反発の兆しが出始めています。

鉄鋼やパルプ・紙には底打ち感

鉄鋼関連株は長期間にわたり調整していましたが、足元では安値圏から上向き始めている銘柄が見られます。

鉄鋼株は中国経済、世界の製造業、原材料価格、為替、国内外の設備投資などの影響を受けやすい業種です。

景気後退への懸念が強まると売られやすい一方、景気回復への期待が高まると、出遅れ株として資金が入りやすくなります。

パルプ・紙関連にも、わずかながら上向きの兆しが見られます。

これらは市場の中心銘柄ではないものの、これまで売られていた業種へ資金が戻り始める動きは、相場全体の物色対象が広がっている可能性を示しています。

非鉄金属や金属関連は比較的強い

非鉄金属を含む金属関連株は、引き続き上向きの傾向が見られます。

銅やアルミニウムなどの非鉄金属は、世界景気やインフラ投資、電気自動車、再生可能エネルギー、データセンター需要などと関係が深い商品です。

AI関連投資の拡大によって電力設備やデータセンター建設が増えれば、銅などの需要増加につながる可能性があります。

そのため、半導体株が調整する一方で、AI投資の周辺需要を取り込む金属関連株に資金が移ることも考えられます。

自動車や電気機器、機械は弱い動き

一方、自動車関連株はまだ下向きの傾向が残っています。

自動車株は為替の影響を強く受けるほか、米国の関税政策、世界景気、中国市場の販売動向、電気自動車への移行など、複数の不透明要因を抱えています。

また、電気機器や半導体関連には、これまで流入していた資金が抜けている様子が見られます。

機械関連株も全体としては強くなく、重工業関連を含めて上値の重い銘柄が出ています。

ガラス・土石製品も直近では弱い動きです。

このように、これまで相場をけん引してきた成長株や半導体株から、一部の出遅れ業種へ資金が移動し始めている可能性があります。

ゴム製品や海運には上向きの兆し

ゴム製品には、下落基調から上向きへ変化しつつある動きが見られます。

海運株についても、安値圏から反発する可能性が意識されています。

海運株は運賃市況、世界の貿易量、原油価格、地政学リスクなどの影響を強く受けます。

中東情勢によって航路の変更や輸送距離の長期化が発生すると、船舶需給が引き締まり、運賃が上昇することがあります。ただし、燃料費の増加や世界貿易の減速はマイナス要因です。

海運株は材料によって値動きが大きくなりやすいため、チャートだけでなく運賃指数や世界経済の動向も確認する必要があります。

銀行株は引き続き強い

現在、業種別で特に強さが目立つのが銀行株です。

銀行は、預金などで低い金利で資金を調達し、それを企業や個人へ貸し出したり、債券で運用したりすることで利益を得ます。

金利が上昇すると、貸出金利と調達金利の差である利ざやが拡大するとの期待が高まり、銀行株が買われやすくなります。

日本では長期間にわたって超低金利政策が続いてきましたが、金融政策の正常化や長期金利の上昇が意識されるようになり、銀行の収益改善期待が高まっています。

ただし、金利が急激に上昇すると、保有債券の評価損が増えたり、企業の借入負担が増加したりする可能性があります。

銀行株にとって重要なのは、金利が単純に高くなることではなく、景気を壊さない範囲で緩やかに上昇することです。

情報・通信にも資金が戻り始める

情報・通信業にも、直近では上向きの動きが見られます。

半導体関連株が調整する一方、ソフトウェアやクラウド、ITサービスなどの銘柄に資金が移動している可能性があります。

市場の資金が特定の半導体株だけに集中する状態から、他の成長分野へ広がれば、日本株全体の相場には一定の安定感が生まれます。

半導体株は調整後の押し目になるのか

半導体関連株からは足元で資金が抜けています。

ただし、半導体株の上昇トレンドが完全に終了したとは限りません。高値圏からの調整が、次の上昇に向けた押し目になる可能性もあります。

アドバンテストは底固めの局面

アドバンテストは、直近の安値圏で底固めをしているように見えます。

高値と安値の関係を見ると、下値は以前よりも切り上がっています。

上昇トレンドは一般的に、高値と安値をそれぞれ切り上げながら進みます。高値圏から下落しても、前回安値を割り込まずに反発すれば、上昇トレンド中の押し目と判断されることがあります。

ただし、底固めを確認するためには、安値を切り上げるだけでなく、直近の戻り高値を上抜く必要があります。

アドバンテストが今後上昇を再開できるかは、現在の支持線を維持しながら戻り高値を突破できるかにかかっています。

キオクシアは長期移動平均線で反発できるか

キオクシアは高値をつけた後に調整し、長期移動平均線付近まで下落しています。

当日のローソク足では、長期移動平均線付近から反発する動きが確認されています。

今後は、この長期移動平均線を維持できるかが重要です。ここで下げ止まれば、中長期的な上昇トレンドを保ったまま調整を終える可能性があります。

一方、長期移動平均線を明確に割り込めば、調整がさらに長引く可能性があります。

動画では、キオクシアが高値をつけた局面で売買高が極端に膨らんでいない点にも注目しています。

高値圏で大量の売買が行われた場合、多くの投資家が高値で買い、その後の下落によって含み損を抱えている可能性があります。

すると、株価が再び高値付近まで戻った際に、損失を回避したい投資家の売りが増え、上値が重くなります。

しかし、高値圏での売買がそれほど膨らんでいなければ、高値で取り残されている投資家が比較的少ない可能性があります。

その場合、将来的に上昇した際の戻り売り圧力も限定的になることがあります。

急騰銘柄に機関投資家がすぐ乗れない理由

動画では、キオクシアのような急騰銘柄と機関投資家の関係についても解説されています。

個人投資家は、材料が出た直後に少額で素早く売買できます。しかし、大規模な資金を運用する機関投資家は、同じようにすぐ売買できるとは限りません。

機関投資家が大きな金額を一度に買えば、それだけで株価を押し上げてしまいます。また、購入後に株価が下落した場合も、簡単には売却できません。

さらに、運用方針、投資委員会、リスク管理、銘柄分析など、実際に投資するまでに多くの手続きが必要になる場合があります。

そのため、株価が材料によって短期間で急騰している場面では、機関投資家が高値を追いかけて買うことは難しくなります。

むしろ、個人投資家の利益確定によって株価が下がり、話題性が薄れた後に、企業の中長期的な成長性を評価して少しずつ買い集めることがあります。

市場でその銘柄の話題が落ち着き、投資家の関心が薄れた頃に、機関投資家が次の上昇局面に向けて仕込むという流れです。

キオクシアが今後も業績を伸ばせるのであれば、急騰後の調整局面は、機関投資家が投資を検討しやすい期間になる可能性があります。

日本製鉄は長期移動平均線を突破

鉄鋼関連では、日本製鉄のチャートにも変化が見られます。

株価は長期間下落した後、安値圏で底固めを行い、足元では長期移動平均線を上抜けています。

さらに、中期移動平均線と長期移動平均線によるゴールデンクロスが近づいているとされています。

ゴールデンクロスとは、短期または中期の移動平均線が、長期移動平均線を下から上へ抜く現象です。

一般的には上昇転換のサインとして知られています。

ただし、ゴールデンクロスは過去の株価をもとに計算されるため、実際の株価上昇より遅れて発生します。ゴールデンクロスが出た時点ですでに株価が大きく上昇している場合もあるため、それだけで買い判断をするのは危険です。

日本製鉄の場合は、安値圏での底固め、長期移動平均線の突破、移動平均線の上向き化が重なるかどうかが注目されます。

長期間売られてきた銘柄が本格的に復活する局面では、単なる短期反発ではなく、移動平均線の傾きや高値・安値の切り上げが確認できることが重要です。

情報・通信株にも底値圏からの回復が見られる

情報・通信関連では、複数の銘柄が底値圏から回復し始めています。

一部の大型IT関連銘柄は値動きが煮詰まり、下向きだった長期移動平均線も株価に接近しています。

株価が長期移動平均線を上抜き、移動平均線自体も上向きへ変化すれば、中長期的なトレンド転換が意識されます。

オービックも安値をつけた後、直近では上昇しています。すでに長期移動平均線を上抜き、移動平均線も上向きになりつつあります。

下落トレンドから上昇トレンドへ転換する際には、次のような変化が見られることがあります。

  • 株価が安値を更新しなくなる
  • 安値と高値が切り上がる
  • 長期移動平均線を上抜く
  • 移動平均線の傾きが下向きから横ばい、上向きへ変わる

情報・通信株の一部では、こうした変化が確認され始めている可能性があります。

AIによって売られたクラウド銘柄が回復

生成AIの普及によって、従来型のソフトウェア企業やクラウド企業の事業が脅かされるとの懸念が広がった時期がありました。

AIが人間の作業を代替し、既存のソフトウェアサービスを不要にするのではないかという見方から、クラウド関連銘柄が大きく売られた場面もありました。

しかし、その後、一部の銘柄は下落分を取り戻しています。

AIの登場によって株価が大きく下落したものの、現在ではその下落がほぼなかったことになる水準まで戻った銘柄もあります。

これは、AIがすべての既存ソフトウェア企業を破壊するわけではないと市場が判断し始めた可能性を示しています。

実際には、AIを自社サービスへ組み込むことで利便性を高めたり、顧客企業の業務効率化を支援したりする企業もあります。

AIは既存サービスの競争相手になるだけでなく、成長を加速させる道具にもなり得ます。

一時的に過度な悲観によって売られた銘柄のなかから、業績を維持できる企業やAIを活用できる企業が見直されている可能性があります。

「骨太ショック」で上昇した日本の長期金利は一服

先週から今週にかけて、日本の長期金利が急上昇する場面がありました。

動画では、この動きが「骨太ショック」と呼ばれていたことに触れています。

政府の骨太の方針を受けて、今後の財政支出が増え、国債の発行額も増加するのではないかとの懸念が広がりました。

国債の供給が増えると考える投資家が国債を売れば、国債価格は下落し、利回りは上昇します。

債券価格と金利は反対方向に動きます。例えば、一定額の利息を受け取れる国債の価格が下がれば、購入価格に対する利回りは高くなります。

骨太の方針をきっかけに日本国債が売られ、長期金利が急上昇しましたが、その後は金利が低下し、ひとまず落ち着きを取り戻しています。

急上昇が長続きしなかったため、動画では「結局何だったのか」という印象も示されています。

ただし、日本の財政政策や国債発行額に対する市場の警戒が消えたわけではありません。

今後も政府の経済対策、国債発行計画、日本銀行の国債買い入れ方針などによって、長期金利が大きく動く可能性があります。

日経平均のPERから見た適正レンジ

日経平均の現在地を考えるうえでは、チャートだけでなく、企業利益との関係を見ることも重要です。

動画では、日経平均のPERを基準にした指数水準が紹介されています。

PERとは、株価収益率のことで、株価が企業利益の何倍まで買われているかを示す指標です。

計算式は次のとおりです。

PER=株価÷1株当たり利益

PERが高いほど、投資家が将来の成長に大きな期待を寄せていることを示します。一方、期待が高すぎる場合、少しでも業績が悪化すると株価が大きく下落する可能性があります。

動画で示された日経平均のEPSを前提にすると、PER別の水準はおおむね次のようになります。

  • PER26倍:約7万2000円
  • PER24倍:約6万6900円
  • PER23倍:約6万4000円

日経平均は、上限として意識されていたPER26倍付近から下落し、現在はPER24倍に相当する6万6900円前後が意識されている可能性があります。

実際に、テクニカル分析で支持線と考えられる6万6700円から6万6800円付近と、PER24倍の6万6900円付近は近い水準です。

つまり、チャート上の支持線と企業利益から計算した評価水準が重なっていることになります。

こうした価格帯は、多くの投資家が意識しやすいため、下げ止まりや反発が発生する可能性があります。

一方、PER24倍の水準を明確に割り込めば、次はPER23倍に相当する6万4000円前後が意識される可能性があります。

日経平均の想定レンジとしては、6万4000円から7万2000円程度が1つの目安になります。

ただし、EPSは企業業績によって変化します。企業の利益予想が上方修正されれば、同じPERでも日経平均の適正水準は上昇します。

反対に、業績予想が下方修正されれば、適正水準も下がります。

海外投資家は買い越しでも6月末の大幅売り越しに注意

日本株の方向性を考えるうえで、海外投資家の売買動向は非常に重要です。

東京証券取引所が公表する投資部門別売買状況を見ると、海外投資家は日本株市場で大きな存在感を持っています。

海外投資家が継続的に買い越す局面では、日経平均やTOPIXが上昇しやすくなります。

一方、大幅な売り越しへ転じると、市場全体に下落圧力がかかります。

足元では海外投資家が買い越しているものの、6月末には大きく売り越していました。

これまで続いてきた海外投資家の買いトレンドが終わるのではないかという警戒が必要な状況です。

6月末の売りは配当回避のテクニカル要因だったのか

海外投資家が6月末に大きく売り越した理由については、配当に関係するテクニカルな売買だった可能性も考えられました。

先物や現物株、配当、税務上の処理などの関係で、特定の時期に海外投資家と証券会社の自己勘定との間でポジションが移動することがあります。

単なるポジションの入れ替えであれば、海外投資家が大きく売り越した反対側で、証券会社の自己勘定が大きく買い越すことがあります。

そして翌週には、海外投資家が買い戻し、証券会社の自己勘定が売り越すという反対売買が発生します。

実質的には市場全体から資金が流出したのではなく、投資主体の区分が一時的に入れ替わっただけという状態です。

3月末などの配当権利付き最終日付近では、このような動きが見られることがあります。

しかし、今回の6月末の売買では、海外投資家の大幅な売り越しに対応するような証券会社の自己勘定の大幅買い越しが確認できませんでした。

そのため、単純なテクニカル要因ではなく、海外投資家が実際に日本株を減らした可能性があります。

今後、日本株が上昇トレンドを維持できるかを判断するためには、海外投資家が再び継続的な買い越しへ戻るかを確認する必要があります。

米国CPIが相場の重要材料に

今後の経済指標では、米国の消費者物価指数、CPIが重要な材料になります。

CPIは、消費者が購入する商品やサービスの価格変化を示す代表的なインフレ指標です。

米国のインフレ率が市場予想を上回れば、米連邦準備制度理事会が高金利政策を長期間維持するとの見方が強まります。

すると、米国債金利が上昇し、株式市場では高PERの成長株や半導体株が売られる可能性があります。

一方、CPIが市場予想を下回れば、利下げ期待が高まり、株式市場には追い風となることがあります。

ただし、物価上昇率が急低下した場合には、景気悪化への警戒が強まることもあります。

株式市場にとって理想的なのは、景気を大きく悪化させることなく、インフレが緩やかに低下する状態です。

日本株も米国株や米国金利、ドル円相場の影響を受けるため、米国CPIの結果には注意が必要です。

7月は「七夕天井・天神底」が意識される時期

7月の株式市場では、「七夕天井・天神底」と呼ばれるアノマリーがあります。

これは、7月7日の七夕頃に株価が高値をつけ、その後下落し、7月24日から25日頃に行われる天神祭の時期に安値をつけるという経験則です。

もちろん、毎年必ずそのとおりに動くわけではありません。

しかし、長年市場で語られてきたアノマリーには、季節特有の需給要因が背景にある場合があります。

7月前半の日本株市場では、ETFの分配金支払いに伴う換金売りが発生します。

この換金売りが、「七夕天井・天神底」と呼ばれる値動きの一因になっている可能性があります。

ETFの分配金捻出売りとは何か

ETFは、保有している株式から受け取った配当金などを、投資家へ分配金として支払うことがあります。

分配金を支払うためには、ETFの運用会社が現金を準備しなければなりません。

しかし、ETFは資産の多くを株式で保有しているため、分配金の支払いに必要な現金を作るために、先物や現物株を売却することがあります。

これが、ETFの分配金捻出売りや換金売りと呼ばれるものです。

動画によると、この年は7月8日と7月10日を中心に大きな売りが出るとされ、その規模は合計で約1.7兆円と見積もられていました。

1.7兆円と聞くと非常に大きな金額に感じられます。

ただし、現在の日本株市場では、1日の売買代金が10兆円前後になることもあります。そのため、1.7兆円の売りが複数日に分散して出るのであれば、市場全体で吸収できる可能性があります。

以前のように1日の売買代金が3兆円から5兆円程度だった時代には、1.7兆円規模の売りは非常に大きな影響を与えました。

しかし、市場の売買規模が拡大した現在では、実際の需給面での影響は以前より小さくなっている可能性があります。

アノマリーは投資家が意識することで現実になる

アノマリーは、科学的に必ず再現される法則ではありません。

それでも市場に影響を与えることがあるのは、多くの投資家がそのアノマリーを意識して行動するためです。

例えば、「7月前半はETFの換金売りがあるため株価が下がりやすい」と多くの投資家が考えたとします。

すると、投資家は次のような行動を取りやすくなります。

積極的な買いを控える、保有株を先に売却する、短期的な下落を予想して空売りする、換金売りが終わるまで様子を見るといった行動です。

本来はETFの売りを市場が十分に吸収できる状況でも、投資家が警戒して買いを控えれば、株価は下落しやすくなります。

つまり、アノマリーが知られていること自体が、投資家の行動を変え、結果としてアノマリーに近い値動きを生み出す可能性があります。

これは「自己実現的予言」に近い現象です。

水星逆行のように、経済的な因果関係が明確ではないアノマリーであっても、多くの市場参加者が意識すれば、売買行動に一定の影響を与えることがあります。

重要なのは、アノマリーを絶対的な売買サインとして使うのではなく、市場参加者の心理や需給を考える補助材料として扱うことです。

現在の日経平均は上昇再開と下落転換の分岐点

現在の日経平均は、6万6700円から6万6900円付近で重要な攻防を続けています。

この価格帯には、フィボナッチ61.8%、PER24倍の水準、直近の下値支持線など、複数の要素が重なっています。

この水準を維持して反発できれば、ダブルボトムを形成し、中期移動平均線やトレンドラインの突破を試す展開が考えられます。

一方、中期移動平均線やトレンドラインで上値を抑えられれば、戻り高値を形成し、再び下落する可能性があります。

さらに6万6700円付近を明確に割り込めば、PER23倍に相当する6万4000円前後が次の下値目安になる可能性があります。

ただし、長期移動平均線まで下落せずに買い支えられている点からは、現在の売り圧力が極端に強いわけではないことも分かります。

急落と急騰を繰り返すより、夏場は一定のレンジ内で方向感の乏しい相場が続き、企業業績の上方修正や地政学リスクの後退を待つ展開も考えられます。

まとめ

日経平均は約500円上昇しましたが、売買代金の状況を見る限り、市場全体が一斉に強気へ転じたとまでは判断できません。

テクニカル面では、6万6700円から6万6800円付近が重要な下値支持線になっています。この価格帯はフィボナッチ61.8%付近に該当し、PER24倍に相当する6万6900円前後とも重なります。

現在の水準で反発し、ダブルボトムを形成できれば、次は中期移動平均線と一度割り込んだトレンドラインを突破できるかが焦点になります。

反対に、反発しても中期移動平均線に上値を抑えられれば、戻り高値を形成して再び下落する可能性があります。

業種別では、半導体や電気機器から資金が抜ける一方、鉄鋼、銀行、情報・通信、ゴム製品、海運など、これまで出遅れていた分野に資金が向かい始めている可能性があります。

アドバンテストやキオクシアなどの半導体関連株は調整局面にありますが、現在の下落が上昇トレンド中の押し目になるのか、それともトレンド転換につながるのかを見極める必要があります。

日本製鉄や一部の情報・通信関連株には、長期移動平均線の突破や底値圏からの回復が見られます。物色対象が半導体株以外へ広がれば、日本株市場全体の下支えになる可能性があります。

一方で、海外投資家が6月末に大幅な売り越しへ転じた点には注意が必要です。単純な配当回避によるポジション調整ではなく、実際に日本株を減らした可能性もあるため、今後の海外投資家の売買動向を継続的に確認する必要があります。

さらに、米国CPI、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスク、日本の長期金利、企業決算の上方修正、ETFの分配金捻出売りなども相場を左右します。

7月の「七夕天井・天神底」といったアノマリーは絶対的な法則ではありません。しかし、多くの投資家が意識することで買い控えや空売りが増え、実際の値動きに影響を与えることがあります。

現在の日経平均は、本格的な上昇再開と下落トレンドへの転換を分ける重要な局面にあります。指数の上げ下げだけを見るのではなく、移動平均線、出来高、PER、業種別の資金移動、海外投資家の売買動向を総合的に確認することが重要です。

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