SpaceX株が最高値から約4割下落した理由とは?IPO後の熱狂と今後の注目点を解説

本記事は、YouTube動画『SpaceX、最高値から約4割下落。何が起きた?』の内容を基に構成しています。

2026年6月、米宇宙開発大手SpaceXが米ナスダック市場へ上場しました。世界的な知名度を持つ企業の大型IPOということもあり、上場直後の株価は急騰しましたが、その後は一転して下落しています。

SpaceX株は公開価格の135ドルから一時225ドル台まで上昇したものの、2026年7月15日には一時132ドル台まで下落しました。最高値からの下落率は約4割に達し、上場時に株式を購入した投資家の間にも不安が広がっています。

ただし、株価が大幅に下落したからといって、SpaceXの事業そのものが短期間で悪化したとは限りません。むしろ今回の値動きには、上場直後の過熱、売買可能な株式の少なさ、指数採用への期待、高いバリュエーションなど、新規上場株に特有の事情が関係しています。

この記事では、SpaceXの上場後に起きた出来事を整理したうえで、好材料が相次いだにもかかわらず株価が下落した理由と、投資家が今後確認すべきポイントを詳しく解説します。

目次

SpaceX株は最高値から約4割下落

SpaceXは2026年6月12日、ティッカーシンボル「SPCX」としてナスダック市場に上場しました。

公開価格は1株135ドルです。上場によって調達した金額は約857億ドルに達し、企業価値の大きさだけでなく、資金調達額の面でも歴史的な規模のIPOとなりました。SpaceXはIPOで約6億3,889万株を発行したと発表しています。

上場直後には投資家の買いが集中し、株価は6月16日に一時225.64ドルまで上昇しました。公開価格から計算すると、わずか数営業日で約67%上昇したことになります。

しかし、その後は利益確定売りなどに押され、株価は徐々に下落しました。7月15日には一時132.15ドル前後まで値下がりし、初めて公開価格を下回りました。最高値の225.64ドルから132.15ドルまでの下落率は、約41%です。

終値では135ドル台まで戻したものの、上場直後の上昇分はほぼ失われた格好です。Reutersも、SpaceX株が公開価格を下回り、上場後の最高値から3割以上下落したと報じています。

最高値付近でSpaceX株を購入した投資家にとっては、わずか1カ月ほどで資産価値が大きく減少したことになります。

一方で、公開価格付近で購入した投資家にとっては、株価が上場時の水準へ戻ったにすぎないとも考えられます。この違いが、現在のSpaceX株に対する投資家の見方を複雑にしています。

上場から約1カ月でSpaceXに起きた主な出来事

SpaceXは、上場してから株価が公開価格付近まで戻るまでの約1カ月間に、複数の大きな出来事を経験しました。

単純に株価チャートだけを見ると、上場直後の熱狂が終わり、投資家から見放されたようにも見えます。しかし、実際の企業活動を見ると、SpaceXは上場後も積極的な資金調達や事業拡大を続けています。

2026年6月12日にナスダックへ上場

最初の大きな出来事は、SpaceXの株式上場です。

SpaceXは、ロケットの打ち上げ、衛星通信サービス「Starlink」、大型宇宙船「Starship」の開発などを手がける企業です。さらに、AI関連事業やデータセンター事業への投資も拡大しており、上場時には単なる宇宙企業ではなく、宇宙、通信、AI、データインフラを組み合わせた巨大テクノロジー企業として評価されました。

SpaceXのIPO価格は135ドルで、上場時の評価額は約1兆7,500億ドル規模とされました。これは上場直後から米国を代表する巨大企業の1社になるほどの企業価値です。

通常、新規上場企業は上場後に少しずつ知名度を高め、時価総額を拡大していきます。しかし、SpaceXは上場した時点ですでに世界最大級の企業価値を持っていました。

そのため、株式市場では「歴史的な大型IPO」として大きな注目を集めました。

売買できる株式が少なく上場直後に株価が急騰

SpaceXは巨大企業ですが、上場時に市場へ放出された株式は、発行済み株式全体の一部に限られていました。

一般の投資家が実際に市場で売買できる株式を「浮動株」と呼びます。企業の時価総額が大きくても浮動株が少なければ、わずかな買い注文でも株価が大きく上昇することがあります。

SpaceXの場合、上場時に市場へ流通した株式は全体の5%未満になるとの見方もありました。

たとえるなら、100個しか用意されていない商品を1万人が購入しようとしたような状態です。

SpaceXの将来性に期待する個人投資家や機関投資家が一斉に株式を購入しようとした一方、売りに出される株式は限られていました。この需給の偏りが、株価を135ドルから225ドル台まで押し上げた大きな要因と考えられます。

つまり、上場直後の株価上昇が、SpaceXの企業価値の変化だけによって起きたとは限りません。

SpaceXの事業価値が数日間で約67%増加したというよりも、株式の希少性によって一時的な上乗せ価格が発生していた可能性があります。

MSCIの株価指数に早期採用

SpaceXは上場後、世界の株式市場を代表する指数への組み入れ対象として注目されました。

MSCIは、世界中の機関投資家や運用会社が利用する株価指数を算出しています。代表的な指数の1つが、先進国と新興国の株式を幅広く対象とするMSCI ACWIです。

MSCIのルールでは、一定の条件を満たす大型IPOについて、通常より早く指数へ組み入れる制度があります。大型IPOは、上場後10営業日が経過し、流動性や外国人保有制限などの基準を満たした場合、早期採用の対象になる可能性があります。

SpaceXほど時価総額の大きな企業が指数に採用されれば、MSCI指数に連動するファンドはSpaceX株を購入する必要があります。

全世界株式型の投資信託やETFを保有している人も、指数への採用状況に応じて、間接的にSpaceX株へ投資することになります。

ただし、全世界株式ファンドを通じた保有比率は、個人がSpaceX株を直接購入する場合と比べて限定的です。SpaceX株が大きく上下しても、数千銘柄へ分散されたファンド全体への影響は小さく抑えられます。

Nasdaq100への異例の早期採用

SpaceXは2026年7月7日から、Nasdaq100指数の構成銘柄になりました。

Nasdaqは6月26日、SpaceXを7月7日の取引開始前からNasdaq100へ組み入れると正式に発表しています。

Nasdaq100は、ナスダック市場に上場する非金融企業のうち、時価総額の大きい約100社で構成される指数です。Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIAなど、米国を代表するテクノロジー企業が多く含まれています。

Nasdaq100に連動する代表的なETFとしては、QQQなどがあります。

指数連動型ファンドは、指数と同じ値動きを再現するため、SpaceXが構成銘柄になればSpaceX株を自動的に購入します。そのため、指数採用は株式への大きな買い需要を生み出す材料になります。

しかし、実際にはNasdaq100への採用が決まった後も、SpaceX株は下落しました。

一見すると不自然ですが、株式市場では珍しいことではありません。指数採用による買い需要が発生することは、正式な組み入れ日より前から市場参加者に予想されていたためです。

投資家が発表前後に先回りして株式を購入していれば、実際の指数組み入れ日には新たな買い材料が残っていないことがあります。

これが、いわゆる「材料出尽くし」です。

250億ドル規模の社債発行

SpaceXは上場後、約250億ドル規模の社債発行も進めました。

動画では、当初予定していた200億ドルから発行規模を250億ドルへ増額し、投資家から約890億ドルの応募が集まったと説明されています。

応募額が発行予定額を大きく上回ったことは、SpaceXが株式投資家だけでなく、債券投資家からも高い関心を集めていることを示します。

債券投資家は、株式投資家よりも元本の回収可能性や企業の財務状況を重視する傾向があります。その債券投資家から多額の応募が集まったのであれば、SpaceXの資金調達能力に対する市場の信頼は依然として高いと考えられます。

一方、社債発行は企業の借金が増えることも意味します。

重要なのは、借金の金額だけではありません。調達した資金をどの事業へ投入し、将来どれだけの利益やキャッシュフローを生み出せるかが問われます。

生活費が不足して借りるお金と、将来利益を生む工場を建設するために借りるお金では、同じ借金でも意味が異なります。

SpaceXが資金をAI向け計算設備、データセンター、電力設備、Starlink、Starshipなどへ投資し、調達コストを上回る利益を生み出せれば、社債発行は成長を加速させる手段になります。

反対に、巨額投資に見合う利益が得られなければ、利払い負担が経営を圧迫する可能性があります。

AIコーディング企業Cursorを600億ドルで買収

SpaceXは宇宙事業だけでなく、AI事業への投資も急速に拡大しています。

その象徴となるのが、AIコーディングツール「Cursor」を開発するAnysphereの買収です。

SpaceXは当初、Anysphereを600億ドルで買収できる権利を取得していました。その後、600億ドル規模の株式交換によって同社を買収する方針が報じられています。

Cursorは、プログラミングコードの作成や修正をAIが支援するサービスです。

AIコーディング市場では、OpenAI、Anthropic、Microsoft傘下のGitHubなどが競争を繰り広げています。SpaceXはCursorを取り込むことで、AI向け計算インフラを提供するだけでなく、企業や開発者が直接利用するソフトウェア分野へ進出しようとしています。

SpaceXは2025年、AIインフラと研究開発に約180億ドルを投じたとされています。Reutersによると、AnthropicやGoogleなどとの計算資源に関する契約から、年間280億ドルを超える売上が期待されている一方、契約には解除条項もあり、長期的な収入が完全に保証されているわけではありません。

このAI投資がSpaceXの新たな収益源になるのか、それとも巨額の資金を消費する事業になるのかは、今後の重要な注目点です。

好材料が多いのにSpaceX株が下落した4つの理由

SpaceXには、上場、指数採用、社債発行、AI企業の買収など、多くの好材料がありました。

それにもかかわらず、株価は最高値から約4割下落しています。

なぜ好材料が株価上昇につながらなかったのでしょうか。

動画では、主に4つの理由に分けて説明しています。

理由1:上場直後は株式が少なすぎた

1つ目の理由は、上場直後に市場で売買できる株式が少なかったことです。

SpaceXは巨大企業ですが、上場によって市場へ流通した株式は発行済み株式全体の一部に限られていました。

そのため、上場直後は需要に対して供給が極端に少ない状態になり、株価が急騰しました。

しかし、時間の経過とともに上場直後の熱狂は落ち着きます。利益を確定したい投資家が株式を売り始めれば、需給は少しずつ正常化します。

さらに、今後は従業員や創業初期の株主が保有する株式の売却制限が解除される可能性があります。

IPOでは、経営者や従業員、ベンチャーキャピタルなどが上場直後に株式を大量売却しないよう、一定期間の売却を禁止する「ロックアップ」が設定されるのが一般的です。

ロックアップが解除されると、市場で売却できる株式が増加します。買い需要が変わらないまま株式供給だけが増えれば、株価には下落圧力がかかります。

したがって、現在の下落はSpaceXの企業価値が崩壊しているというより、上場直後の株不足によって生じた異常な価格上昇が修正されている可能性があります。

理由2:指数採用への期待が先に株価へ織り込まれた

2つ目の理由は、Nasdaq100やMSCI指数への採用期待が、実際の組み入れ前に株価へ織り込まれていたことです。

株式市場は、現在起きている出来事だけでなく、将来起きると予想される出来事を先回りして価格へ反映します。

たとえば、新しい鉄道駅が建設される地域では、駅が完成した日に突然土地価格が上昇するわけではありません。建設計画が発表された段階から、将来の利便性を見込んだ買いが入り、土地価格は徐々に上昇します。

株式市場でも同じです。

SpaceXがNasdaq100に採用されれば、指数連動型ファンドがSpaceX株を購入することは事前に予想できます。正式採用を待たずに株式を購入する投資家が増えれば、その期待は先に株価へ反映されます。

そして、実際に指数へ採用された時点では、期待していた材料が現実になっただけです。

新たに株価を押し上げる驚きがなければ、先回りしていた投資家が利益を確定し、株価が下落することもあります。

SpaceX株がNasdaq100への採用後も下落したのは、指数採用が悪材料だったからではありません。好材料がすでに価格へ織り込まれていた可能性が高いのです。

理由3:売上高に対して株価が高い

3つ目の理由は、SpaceXの株価が現在の売上高や利益に対して高く評価されていることです。

動画では、SpaceXのPSRが一時約95倍に達したと説明されています。

PSRとは「株価売上高倍率」のことで、企業の時価総額が年間売上高の何倍になっているかを示す指標です。

たとえば、年間売上高が100万円の店舗に9,500万円の価格がついている場合、PSRは95倍です。

PSRが高い企業は、現在の売上ではなく、将来の大幅な成長を前提に株価が形成されています。

SpaceXの2025年の売上高は約186億7,000万ドルで、前年比約33%増加したとされています。一方、最終損益は約49億4,000万ドルの赤字でした。

売上高の伸び率は高いものの、巨額のAI投資や設備投資によって利益は圧迫されています。

もちろん、SpaceXは成熟した一般企業ではありません。

Starlinkの世界展開、Starshipによる打ち上げコストの低下、月や火星への輸送、AI向けデータセンター、将来的な軌道上コンピューティングなど、巨大な成長余地を持っています。

そのため、現在の利益だけで企業価値を判断するのは適切ではないでしょう。

しかし、株価がすでに大きな成長を織り込んでいる場合、企業には極めて高い成長が求められます。

売上が増加していても、市場が期待した成長率を下回れば株価は下落します。赤字が縮小していても、黒字化までの期間が予想より長ければ売られる可能性があります。

成長株では、「業績が悪いから株価が下がる」とは限りません。

業績が良くても、市場の期待ほど良くなければ下落します。

SpaceX株を現在の価格で購入することは、同社が今後も長期間にわたり高い成長率を維持することへ賭ける行為でもあります。

理由4:巨額投資の成果を確認する時間が必要

4つ目の理由は、SpaceXが進める巨額投資の成果を確認するまでに時間がかかることです。

SpaceXは社債発行やIPOによって多額の資金を調達し、AIインフラ、データセンター、電力設備、Starlink、Starshipなどへ投資しています。

これらは、短期間で利益を生み出せる事業ばかりではありません。

特にStarshipや軌道上データセンターのような構想は、技術開発だけでなく、安全性、法規制、運用コスト、顧客需要など、多くの課題を解決する必要があります。

上場前のSpaceXは、「イーロン・マスク氏が率いるSpaceXなら実現できるだろう」という期待を中心に評価されていました。

しかし、上場企業になれば、投資家は期待だけでなく具体的な数字を求めます。

どの事業が売上を伸ばしているのか、設備投資はいくらかかっているのか、赤字はいつ縮小するのか、営業キャッシュフローは改善しているのか、調達した資金をどのように使用したのかといった情報が、四半期ごとに確認されます。

市場の評価が「期待」から「実績の確認」へ移行していることも、株価下落の背景にあると考えられます。

SpaceXの事業が4割縮小したわけではない

SpaceX株は最高値から約4割下落しました。

しかし、株価が4割下落したからといって、SpaceXのロケット技術、Starlinkの利用者、保有設備、技術者、将来計画などが同じ割合で失われたわけではありません。

変化したのは、SpaceXが描く将来像そのものではなく、その将来像に対して市場がつける価格です。

上場直後は、SpaceXへの期待が株価を急速に押し上げました。投資家は、Starlinkの成長、Starshipの実用化、AI事業の拡大、宇宙空間でのデータセンター構想など、さまざまな可能性を株価へ織り込みました。

その後、市場は冷静さを取り戻し始めています。

SpaceXが魅力的な企業かどうかという問題と、SpaceX株が現在の価格で割安かどうかという問題は別です。

優れた企業の株式であっても、投資家の期待が高すぎれば株価は下落します。反対に、一時的に業績が低迷している企業でも、株価に悲観的な見方が十分織り込まれていれば上昇することがあります。

投資判断では、企業の魅力だけでなく、その魅力に対して現在いくら支払うのかを考える必要があります。

公開価格135ドルを割ったことをどう考えるべきか

SpaceX株が一時135ドルを下回ったことで、「公開価格割れ」が注目されました。

公開価格は投資家心理に大きな影響を与えます。上場時に購入した投資家の多くが含み損になる水準だからです。

しかし、公開価格は企業価値の下限を示す数字ではありません。

公開価格は、上場時の市場環境、投資家需要、引受証券会社との協議、売り出す株式数などをもとに決められた価格です。

企業の本質的価値が135ドルを下回らないと保証するものではなく、135ドルを下回ったから自動的に割安になるわけでもありません。

公開価格で購入した人は、「135ドルを割ったから売る」「公開価格へ戻ったから安心する」という判断ではなく、現在の事業価値と将来性を改めて検討する必要があります。

225ドル付近で購入した人が考えるべきこと

上場直後の225ドル付近でSpaceX株を購入した人は、大きな含み損を抱えている可能性があります。

この場合、「購入価格の225ドルまで戻ったら売却する」と考えたくなるかもしれません。

しかし、購入価格は過去の情報です。

現在の投資判断で重要なのは、仮に今135ドルの現金を持っていたとして、SpaceX株を135ドルで購入したいと思うかどうかです。

225ドルで購入したという過去は変えられません。一方、135ドルのSpaceX株を今後も保有し続けるかどうかは、現在決められます。

これは投資で起こりやすい「アンカリング」を避けるための考え方です。

アンカリングとは、最初に見た数字や購入価格に判断が引きずられる心理的な傾向です。

株価が購入価格まで戻る保証はありません。購入価格を基準にするのではなく、SpaceXの事業、財務状況、成長率、現在の株価を基準に判断することが重要です。

これからSpaceX株を購入する人の注意点

SpaceX株が公開価格付近まで下落したことで、購入を検討する人も増えるでしょう。

ただし、「公開価格を下回ったから安い」と判断するのは早計です。

今後のSpaceX株には、複数の値動き要因があります。

まず、ロックアップ解除によって市場で売買できる株式が増える可能性があります。内部関係者や初期投資家が利益確定のために株式を売却すれば、短期的な売り圧力が強まるでしょう。

次に、上場後初めての決算発表があります。

非上場企業だった時代とは異なり、売上高、損益、設備投資、キャッシュフロー、事業別の成長率などが市場の予想と比較されます。数字が市場予想を下回れば、事業が成長していても株価が下落する可能性があります。

また、SpaceXは今後も巨額の設備投資を続けるとみられます。

Starship、Starlink、AI計算設備、データセンター、Cursorなど、成長候補となる事業が多い一方、それだけ資金需要も大きくなります。

投資成果が確認されるまでには数年単位の時間が必要になる可能性があります。

SpaceX株を購入するのであれば、短期的な下落や激しい値動きを前提に、損失を受け止められる金額に抑えることが重要です。

SpaceX株はコアではなくサテライト枠で考える

動画の発信者は、SpaceX株を「応援枠」として保有し、長期的に売却しない可能性のある銘柄として位置づけています。

そのうえで、投資資金全体に占める割合を限定し、コア・サテライト戦略を守ることが重要だと説明しています。

コア・サテライト戦略とは、資産の中心部分を広く分散された安定的な商品で運用し、一部だけを高い成長が期待できる個別株などへ振り向ける方法です。

たとえば、資産の大部分を全世界株式やS&P500などのインデックスファンドで運用し、残りの一部をSpaceXのような成長株へ投資します。

SpaceX株には大きな上昇余地が期待される一方、高いバリュエーション、巨額の設備投資、赤字、技術開発、経営者への依存、ロックアップ解除など、複数のリスクがあります。

個別株の比率が高すぎれば、株価が4割下落しただけで資産全体が大きく減少します。

一方、SpaceX株を資産全体の数%程度に抑えていれば、株価が大きく下落しても生活や長期的な資産形成への影響を限定できます。

重要なのは、自分が耐えられる損失の範囲を超えて投資しないことです。

インデックス投資家はすでにSpaceX株を保有している可能性がある

SpaceXがNasdaq100やMSCIの主要指数へ組み入れられたことで、インデックスファンドを保有する投資家も間接的にSpaceXへ投資することになります。

Nasdaq100連動型ファンドを保有している人は、ファンドを通じてSpaceX株を保有しています。

また、SpaceXがMSCI ACWIなどの対象指数へ組み入れられれば、全世界株式型ファンドの保有者も間接的な株主になります。

ただし、インデックスファンドではSpaceXだけに集中投資するわけではありません。

SpaceX株が最高値から4割下落しても、ほかの多数の銘柄が値上がりしていれば、ファンド全体への影響は限定的です。

SpaceXの将来性には期待したいものの、個別株の大幅下落には耐えられないという人にとって、インデックスファンドを通じて少額だけ保有する方法は合理的な選択肢になります。

今後は株価より決算と事業進捗が重要になる

上場直後のSpaceX株は、知名度、希少性、将来への期待によって大きく上昇しました。

しかし、上場企業となった今後は、具体的な事業成果が株価を左右する段階へ移ります。

特に注目したいのは、Starlinkの契約者数と収益性、ロケット打ち上げ事業の成長、Starshipの開発状況、AIインフラ事業の売上、Cursor買収による相乗効果、設備投資額、営業キャッシュフロー、社債の利払い負担です。

SpaceXが市場の期待を上回る成長を続ければ、現在の高い評価を正当化できる可能性があります。

反対に、事業は成長していても、そのスピードが市場の期待を下回れば株価はさらに下落する可能性があります。

今後の投資家に必要なのは、公開価格や短期チャートだけを見ることではありません。

SpaceXが調達した巨額資金をどのように使い、どの事業からどれだけの利益を生み出すのかを継続的に確認することです。

まとめ

SpaceX株は2026年6月の上場後、公開価格の135ドルから一時225ドル台まで急騰しました。しかし、その後は下落し、7月15日には一時132ドル台をつけています。最高値からの下落率は約4割です。

ただし、今回の下落をSpaceXの事業崩壊と考えるのは早いでしょう。

上場直後は市場で売買できる株式が少なく、投資家の需要が集中したことで株価が過度に上昇していた可能性があります。また、Nasdaq100などへの指数採用期待も事前に織り込まれ、正式採用後には材料出尽くしの売りが出ました。

さらに、SpaceX株には将来の高成長がすでに強く織り込まれています。今後は、Starlink、Starship、AIインフラ、Cursorなどへの巨額投資が、実際の売上や利益につながるかどうかが問われます。

株価が4割下落しても、SpaceXが描く将来構想そのものが4割縮小したわけではありません。

変わったのは、SpaceXの夢や将来性に対して、株式市場がつける値段です。

一方で、魅力的な事業を持つ企業であっても、株価が割安とは限りません。公開価格を割ったことだけを理由に購入するのではなく、現在の企業価値、成長率、財務負担、今後の株式供給を総合的に考える必要があります。

SpaceX株へ直接投資する場合は、短期的な大幅下落を前提とし、資産全体への影響を限定できる金額に抑えることが重要です。

株価に心を揺さぶられた時ほど、チャートだけを見るのではなく、なぜSpaceXへ投資したのか、同社の事業がどのように成長しているのかへ視点を戻す必要があります。

今後の焦点は、SpaceXが公開価格を維持できるかどうかではありません。

SpaceXが巨額の評価にふさわしい売上、利益、キャッシュフローを生み出す企業へ成長できるかどうかです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次