本記事は、YouTube動画『レゾナックは大化けするのか?AI半導体材料のリーダー企業を徹底解説』の内容を基に構成しています。
AI半導体市場で注目を集めるレゾナック
生成AIの普及を背景に、AI向け半導体の需要が拡大しています。
半導体関連企業と聞くと、NVIDIAやTSMC、東京エレクトロン、アドバンテストなどを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、半導体の性能向上を支えているのは、半導体そのものを設計・製造する企業だけではありません。
半導体を組み立てる際に使用する基板材料、複数のチップを接続する接着材料、電気を通さないための絶縁材料、発生する熱を逃がす放熱材料なども重要です。
こうした半導体材料の分野で注目されているのが、レゾナック・ホールディングスです。
レゾナックは、かつて昭和電工という名称で知られていた総合化学メーカーです。現在では、AI半導体の進化に欠かせない製品を数多く持ち、日本の半導体材料業界をけん引する企業の1つとなっています。
動画では、レゾナックの強みとして次の3点が挙げられています。
- 製品力
- 経営変革力
- 共創リーダーシップ
優れた製品だけでなく、企業統合後の経営改革や、他社と共同で技術開発を進める仕組みも注目されています。
レゾナックはどのように誕生したのか
レゾナックの前身は昭和電工です。
昭和電工は2020年に日立化成を買収し、その後、両社の事業を統合しました。2023年から現在のレゾナックという名称で事業を展開しています。
この買収は、当時「小が大を飲む買収」として注目されました。
買収当時、昭和電工の時価総額は約4500億円だったのに対し、日立化成は約8500億円でした。時価総額では、買収される日立化成の方が大きかったのです。
一方、売上高や営業利益では昭和電工が上回っていました。両社は規模だけでなく、得意とする事業領域も異なっていました。
昭和電工は、原油や石油化学に近い基礎素材を作る川上分野を得意としていました。これに対し、日立化成は素材を組み合わせ、顧客が求める性能を持った機能性材料を作る川下分野に強みを持っていました。
昭和電工が素材の原料を作る技術に優れていたのに対し、日立化成は有機材料と無機材料を組み合わせ、特定の機能を持つ製品に仕上げる技術に優れていたのです。
両社が統合したことで、材料の基礎部分から最終的な機能性製品までを幅広く手掛けられる企業が誕生しました。
日立化成買収の背景
昭和電工は、石油化学製品をはじめとする汎用品を数多く扱っていました。
汎用品は市場規模が大きい一方で、他社との差別化が難しく、価格競争になりやすいという特徴があります。原材料価格や景気の影響も受けやすく、高い利益率を安定して維持することは簡単ではありません。
昭和電工は、汎用品中心の事業構造のままでは中長期的な成長が難しいと判断しました。
そこで、半導体や電子部品向けの高機能材料に強い日立化成を買収し、より付加価値の高い事業へ軸足を移そうとしたのです。
この買収には巨額の資金が必要でしたが、現在のAI半導体市場の成長を見ると、レゾナックの将来を決定づける転換点だったと考えられます。
レゾナックの強み1:世界トップクラスの製品力
レゾナックの最大の強みは、AI半導体の技術進化を支える製品を幅広く持っていることです。
動画によると、レゾナックには世界シェア1位または2位の製品が約10種類あります。
特定の製品だけに強いのではなく、半導体の後工程で必要となる複数の材料をまとめて提供できる点が特徴です。
銅張積層板
代表的な製品の1つが、銅張積層板です。
銅張積層板は、半導体パッケージの基板などに使用される材料です。半導体チップと外部の電子回路を接続する土台として重要な役割を果たします。
AI半導体は高性能化に伴い、パッケージの大型化が進んでいます。搭載するチップや機能が増えれば、それらを支える基板も大きくなります。
基板が大型化すれば、銅張積層板の使用量も増えるため、AI半導体市場の成長が需要拡大につながる可能性があります。
放熱シート
AI半導体では、膨大な計算処理を行うため大量の熱が発生します。
温度が上がりすぎると、処理性能の低下や故障の原因になるため、熱を効率よく外部へ逃がす技術が欠かせません。
レゾナックは、半導体から発生する熱を逃がすカーボン系放熱シートなどを手掛けています。
AI半導体の性能が高くなるほど消費電力や発熱量も増えやすくなるため、放熱材料にはこれまで以上に高い性能が求められます。
半導体用絶縁フィルム
AI半導体では、複数の半導体チップやメモリーを組み合わせる技術が重要になっています。
特に注目されているのが、HBMと呼ばれる高帯域幅メモリーです。
HBMは、複数のメモリーチップを縦方向に積み上げ、高速なデータ転送を実現するメモリーです。AIの学習や推論では大量のデータを高速で処理する必要があるため、重要性が高まっています。
ただし、メモリーチップを単純に積み重ねるだけでは機能しません。各層の間には、電気を通さない絶縁材料が必要です。
レゾナックは、この積層構造に使用される絶縁フィルムでも高い競争力を持っています。
HBMの積層数が増えれば、使用される絶縁材料も増加します。そのため、AI半導体の高性能化が進むほど、需要が拡大する可能性があります。
統合によって高まった製品開発力
レゾナックの製品力は、昭和電工または日立化成がもともと持っていた技術だけで生まれたものではありません。
両社の統合後、互いの技術を組み合わせて新たに開発された製品も数多くあります。
昭和電工は化学製品の原料に近い素材を作る技術を持ち、日立化成は複数の素材を組み合わせて顧客が求める機能を実現する技術を持っていました。
この2つの強みを融合したことで、顧客の課題に合わせて材料を一から設計できる体制が整いました。
半導体材料には、非常に高い純度と精密な性能が求められます。わずかな不純物や材料のばらつきでも、半導体の性能や歩留まりに影響するためです。
レゾナックは、昭和電工の素材技術と日立化成の応用技術を組み合わせ、AI半導体に求められる高度な材料開発に対応してきました。
両社が統合した時点では、現在ほどAI半導体市場が急拡大するとは想定していなかった可能性があります。
しかし、化学メーカーは10年、20年先を見据えて研究開発を行います。長年積み重ねてきた技術が、生成AIの普及によって想定より早く巨大な市場と結びついたと考えられます。
幅広い製品群が提案力につながる
半導体材料の分野では、製品ごとに競合企業が存在します。
銅張積層板、放熱材料、絶縁フィルムなど、個別に見ればレゾナック以外にも高い技術力を持つ企業があります。
しかし、レゾナックは半導体の後工程で必要になる材料を幅広くそろえています。
競合企業の多くが1種類または2種類の強い製品を持つ中で、レゾナックは世界トップクラスの製品を約10種類持っているとされています。
この幅広い製品群は、顧客への提案力につながります。
例えば、半導体で熱による変形が問題になった場合、放熱材料を変えるだけでは解決できないことがあります。基板材料、接着材料、絶縁材料、パッケージ構造などを同時に見直す必要があるかもしれません。
レゾナックは複数の材料を扱っているため、1つの製品を販売するだけでなく、材料の組み合わせによる総合的な解決策を提案できます。
この提案力は、NVIDIAやTSMCだけでなく、MicrosoftやGoogleなど、独自のAI半導体を開発する企業に対しても強みになる可能性があります。
半導体の後工程が重要になっている理由
レゾナックの成長性を理解するには、半導体の前工程と後工程の違いを知る必要があります。
前工程とは
前工程とは、シリコンウエハー上に半導体回路を形成する工程です。
これまで半導体は、回路線幅を細くし、1つのチップに多くのトランジスタを搭載することで性能を高めてきました。
しかし、微細化には高度な製造装置と莫大な研究開発費が必要です。微細化が進むほど製造難易度も高まり、物理的な限界にも近づいています。
そのため、微細化だけで性能を高め続けることが難しくなっています。
後工程とは
後工程は、製造された半導体チップを切り出し、接続し、パッケージとして完成させる工程です。
現在は、複数のチップを組み合わせて性能を高める先端パッケージ技術が重要になっています。
1つのチップだけを高性能化するのではなく、演算用チップ、メモリー、通信機能などを組み合わせ、全体として高い性能を実現する考え方です。
動画では、これをレゴブロックを組み合わせるようなものと説明しています。
この構造では、チップを接着する材料、電気的に絶縁する材料、熱を逃がす材料、基板の反りを防ぐ材料などが必要になります。
これらは、まさにレゾナックが得意とする領域です。
AI半導体の大型化と立体化が追い風に
AI半導体は、高性能化に伴ってパッケージが大型化しています。
搭載するチップやメモリーが増えるため、配置する基板の面積も大きくなります。基板が大型化すれば、銅張積層板などの使用量も増加します。
また、基板が大きくなるほど、熱や材料の膨張率の違いによって反りが発生しやすくなります。反りは接続不良や破損につながるため、材料の組み合わせや熱膨張の制御が重要です。
さらに、チップを平面上に並べるだけでは通信距離が長くなり、速度や消費電力の面で不利になります。
そこで、チップやメモリーを縦方向に積み上げる2.5次元実装や3次元実装が進んでいます。
立体的に積み上げるとチップ間の距離は短くなりますが、接着、絶縁、放熱などの新たな課題が発生します。
高性能化によって構造が複雑になるほど、レゾナックが提供する高機能材料の重要性は高まります。
業績が伸びていないように見える理由
レゾナックは世界トップクラスの製品を持っていますが、会社全体の売上高を見ると、急成長しているようには見えない場合があります。
その理由の1つが、不採算事業や非中核事業の売却です。
レゾナックは、昭和電工と日立化成の統合後、事業構成の見直しを進めています。
収益性の低い汎用化学品事業や、将来の成長が見込みにくい事業を売却・分離しているため、その分だけ売上高が減少します。
成長事業の売上高が増えても、他の事業を売却すれば、会社全体の売上高は横ばいに見えます。
事業再編に伴う費用や特別損失も発生するため、企業全体の最終利益だけでは半導体材料事業の成長が見えにくくなっています。
半導体・電子材料事業の利益は拡大
動画では、半導体・電子材料事業の利益が大きく伸びていることが紹介されています。
2022年12月期に約440億円だった事業利益が、その後は約1080億円まで拡大したと説明されています。
一方で、ケミカル事業などには赤字や低収益部門が残っています。
つまり、成長している半導体材料事業と、不振が続く従来型事業が会社全体で混在している状態です。
レゾナックは、収益性の低い石油化学系事業などを切り離し、半導体・電子材料を中心とする企業へ変わろうとしています。
事業再編が完了し、特別損失や再編費用が減少すれば、半導体材料事業の収益力が会社全体の利益に反映されやすくなる可能性があります。
高い利益率を持つ半導体材料事業
動画によると、レゾナックの半導体・電子材料事業は、EBITDAマージンで約30%、事業利益率で約20%とされています。
EBITDAは、利払い、税金、減価償却費などの影響を除き、本業の利益創出力を見る指標です。
EBITDAマージンが約30%、事業利益率が約20%という水準は、高い収益力を持つことを示しています。
汎用品中心の化学事業と比べると、高機能な半導体材料は高い付加価値を持ちます。
顧客の製品性能に直接影響し、簡単に他社製品へ置き換えられない材料であれば、価格競争にも巻き込まれにくくなります。
AI半導体市場の拡大で売上高が増えれば、売上高以上に利益が伸びる可能性があります。
レゾナックの強み2:経営変革力
優れた製品を持っていても、企業統合が失敗すれば相乗効果は生まれません。
特にレゾナックは、昭和電工が自社より時価総額の大きかった日立化成を買収しています。
企業文化、評価制度、意思決定の方法、働き方が異なる2社を統合することは、非常に難しい作業です。
それでも動画では、レゾナックが企業統合と経営改革を比較的うまく進めていると評価されています。
昭和型の企業文化からの脱却
昭和電工は、かつて典型的な日本の大企業らしい組織文化を持っていたとされています。
決裁に何人もの承認が必要だったり、社員同士を役職名で呼んだりするなど、階層構造の強い会社だったと説明されています。
このような組織では、変化の激しいAI半導体市場に素早く対応することが難しくなります。
レゾナックは、評価制度や働き方、服装、社内コミュニケーションを見直し、社員が意見を出しやすい組織への転換を進めました。
経営陣が改革を一方的に押し付けるのではなく、社員の意見を尊重しながら企業文化を融合させようとしている点が特徴です。
社員の評価も高い
動画では、転職口コミサイトにおけるレゾナックの評価も紹介されています。
掲載企業の中で上位2%に入る高い評価を得ており、特に現在働いている社員からの評価が高いと説明されています。
企業統合や事業再編では、制度変更や配置転換によって社員の不満が高まることも珍しくありません。
それにもかかわらず評価が高いのであれば、経営改革が一定の理解を得ながら進んでいる可能性があります。
ただし、口コミサイトの評価には偏りもあるため、参考情報の1つとして見る必要があります。
不採算事業を整理するスピード経営
レゾナックは、収益性の低い事業の売却や分離を進めています。
動画では、高橋秀仁社長のもとで、すでに約17事業の売却を進めてきたと説明されています。
社員の意見を尊重しながら企業文化を融合させる一方、事業ポートフォリオの見直しについては、経営トップが迅速に意思決定しています。
すべてをトップダウンで進めれば現場の反発を招きますが、すべてを現場の合意に任せれば改革は遅くなります。
レゾナックは、人や文化に関する改革では対話を重視しながら、不採算事業の整理では明確な方向性を示しています。
収益性の低い汎用化学品事業を減らし、半導体・電子材料などの成長分野に研究開発費や経営資源を集中させる戦略です。
レゾナックの強み3:共創リーダーシップ
3つ目の強みは、他社を巻き込む力です。
AI半導体の技術課題は、1社の材料だけで解決できるほど単純ではありません。
接着材料、絶縁材料、放熱材料、基板、製造装置、検査装置など、複数の技術を組み合わせる必要があります。
レゾナックは、自社だけですべてを解決しようとするのではなく、異なる技術を持つ企業を集め、共同で開発する仕組みを構築しています。
その代表例が、半導体後工程のコンソーシアムです。
コンソーシアムとは何か
コンソーシアムとは、複数の企業や研究機関が共通の目的に向けて協力する企業連合です。
各企業が技術や設備、知識を持ち寄り、業界全体の課題を解決します。
レゾナックは、先端半導体パッケージの技術開発を目的とする「JOINT」シリーズで中心的な役割を担っています。
参加企業には、材料メーカーだけでなく、製造装置や検査装置などに強みを持つ企業も含まれます。
顧客企業から新しい半導体に関する相談があった場合、レゾナック単独で解決できない課題でも、参加企業の技術を組み合わせて対応できます。
レゾナックは、単なる材料供給会社ではなく、半導体メーカーやIT企業と、日本の材料・装置メーカーをつなぐ存在を目指していると考えられます。
JOINT2が取り組む立体実装
JOINT2では、2.5次元実装や3次元実装など、次世代の半導体パッケージ技術の開発が進められています。
複数のチップを平面上に並べると、チップ間の距離が長くなり、通信速度や消費電力の面で不利になります。
そこで、チップを縦方向にも積み上げ、より短い距離で接続しようというのが2.5次元実装や3次元実装です。
ただし、立体的に積み上げると熱が内部にこもりやすくなります。異なる材料を重ねることで、熱膨張率の違いによる変形も発生します。
さらに、薄いチップ同士を正確に接着し、絶縁しながら高速で信号を伝える必要があります。
こうした課題を、材料メーカーや装置メーカーが共同で解決するのがJOINT2の役割です。
JOINT3が目指す生産効率の向上
JOINT3では、半導体パッケージの製造効率を高める技術開発が進められています。
半導体製造に使用されるウエハーは一般的に円形ですが、最終的な半導体チップやパッケージは四角形です。
円形のウエハーから四角形のチップを切り出すと、外周部分に無駄が生じます。
そこで、四角形の大型パネル上で半導体パッケージを製造し、材料の利用効率や生産効率を高めようという考え方があります。
ただし、四角形の大型パネルでは、材料の反り、厚みのばらつき、位置精度などの課題が発生します。
JOINT3では、こうした問題を複数の企業が協力して解決しようとしています。
米国にも共同開発拠点を構築
レゾナックは、日本国内だけでなく、米国でも先端パッケージの共同開発基盤を構築しています。
動画では、米国の実証拠点として「US-JOINT」が紹介されています。
米国には、NVIDIA、AMD、Intelに加え、Microsoft、Google、Amazon、Metaなど、独自のAI半導体を開発する企業が集まっています。
こうした企業がAI半導体を開発する際には、設計だけでなく、どの材料を使い、どのようにパッケージングするかが重要です。
レゾナックが米国に共同開発拠点を持つことで、顧客の近くで技術相談を受け、試作品の開発や検証を進めやすくなります。
開発初期から顧客と関わることができれば、自社製品が採用される可能性も高まります。
技術を共有することは不利にならないのか
コンソーシアムでは、複数の企業が協力するため、自社だけで技術を独占する場合に比べて利益を分け合うことになります。
しかし、AI半導体の後工程には多くの技術が必要です。
レゾナックが約10種類の強い製品を持っていても、製造装置、検査装置、ガラス材料、精密加工など、すべてを自社だけで持つことはできません。
自社で解決できない課題を放置すれば、そもそも新しい半導体を完成させられない可能性があります。
そのため、互いに補完関係にある企業を集め、共同で市場を成長させた方が、結果として各社の利益につながります。
レゾナックは、半導体後工程の技術基盤全体を成長させ、その中心に自社を位置づけようとしていると考えられます。
レゾナックの材料需要が増える理由
動画では、レゾナックの売上高や利益が具体的にどこまで増えるかについて、正確な予測は難しいとしています。
一方、技術構造から考えると、材料の使用量が増える可能性は高いと説明されています。
AI半導体のパッケージが大型化すれば、基板材料の使用面積が増えます。
演算能力が高まれば発熱量も増え、より高性能な放熱材料が必要になります。
HBMの積層数が増えれば、各層の間に使用する絶縁材料も増えます。
さらに、2.5次元実装や3次元実装が普及すれば、接着材料、封止材料、絶縁材料、放熱材料などの需要が同時に拡大します。
AI半導体の出荷個数が増えるだけでなく、半導体1個当たりに使われる高機能材料の量や種類も増える可能性があるのです。
成長を判断する際の注意点
レゾナックが有望な事業を持っていることと、株価が必ず上昇することは同じではありません。
半導体材料市場には多くの競合企業が存在します。
どの企業の材料が採用されるかは、性能、価格、供給能力、品質の安定性、顧客との関係などで決まります。
TSMCなどの大手半導体メーカーが、各世代の製品でどの材料を採用するかも重要です。
コンソーシアムに参加している企業が有利になる場合もあれば、特定技術に特化した企業が単独で高い競争力を発揮する場合もあります。
また、AI半導体への期待が大きくなりすぎると、業績が伸びる前に株価だけが上昇することがあります。
投資を判断する際には、技術の将来性だけでなく、実際の受注、売上高、利益率、設備投資、キャッシュフローなども確認する必要があります。
株価が急上昇した背景
動画では、レゾナックの株価が前年の安値から約6倍、一時的な高値では約10倍近くまで上昇したと説明されています。
背景には、半導体の後工程でレゾナックが重要な企業だという認識が市場に広がったことがあると考えられます。
生成AI向け半導体では、先端パッケージ技術が性能向上の中心になりつつあります。
レゾナックは、先端パッケージに必要な材料を幅広く持ち、コンソーシアムでも中心的な役割を担っています。
さらに、MicrosoftやGoogleなどのハイパースケーラーが独自のAI半導体を開発する動きも追い風です。
AI半導体の種類が増えれば、それぞれの用途に合わせた材料やパッケージの開発が必要になります。
顧客ごとに異なる課題を解決できる提案力を持つ企業として、レゾナックへの期待が高まった可能性があります。
一方で、会社全体の業績が株価と同じ勢いで伸びているわけではありません。
株価には将来の成長期待が先行して織り込まれている面もあるため、半導体材料事業の成長や不採算事業の整理、コンソーシアムからの成果を継続して確認する必要があります。
レゾナックは大化けする手前なのか
レゾナックは、完成された高収益企業というより、事業構造を大きく変えている途中の企業です。
半導体・電子材料事業では高い利益率を確保し、世界トップクラスの製品も複数持っています。
一方、ケミカル事業などの低収益部門が残り、事業再編に伴う費用も発生しています。
今後、不採算事業の売却や分離が進み、半導体・電子材料の比率が高まれば、企業全体の収益性が大きく改善する可能性があります。
動画では、この状態を「化ける手前」と表現しています。
ただし、事業構造の変革には時間がかかります。
AI半導体市場が成長しても、競争激化や顧客の採用判断によって、業績が期待通りに伸びない可能性もあります。
そのため、四半期ごとの半導体・電子材料事業の利益、利益率、設備投資、研究開発費、受注状況を確認することが重要です。
まとめ
レゾナックは、昭和電工が日立化成を買収したことで誕生した総合化学メーカーです。
昭和電工の基礎素材技術と、日立化成の機能性材料開発力を融合し、AI半導体に欠かせない製品を数多く生み出してきました。
主な強みは、世界トップクラスの製品力、企業統合後の経営変革力、他社を巻き込んで技術開発を進める共創リーダーシップです。
特に、銅張積層板、放熱材料、絶縁フィルムなど、先端パッケージで必要となる材料を幅広く扱っている点が競争力となっています。
AI半導体では、微細化だけでなく、複数のチップを組み合わせる2.5次元実装や3次元実装が重要になっています。
構造が複雑になるほど、接着、絶縁、放熱、反りの制御といった課題が増えます。これらはレゾナックが得意とする分野です。
また、JOINT2、JOINT3、US-JOINTなどを通じて、材料メーカーや装置メーカーを結びつけ、半導体業界全体の課題を解決しようとしています。
ただし、レゾナックは現在も事業再編の途中です。
半導体・電子材料事業は高い利益率を持つ一方、低収益事業や再編費用が会社全体の業績を押し下げています。
不採算事業の整理が完了し、AI半導体材料の成長が会社全体の利益に表れるようになれば、企業価値がさらに高まる可能性があります。
一方、株価にはすでに大きな成長期待が織り込まれている可能性があります。
レゾナックを評価する際には、AI半導体市場の成長性だけでなく、実際の売上高や利益率、顧客による材料採用、事業再編の進捗を冷静に確認することが重要です。


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