本記事は、YouTube動画『半導体株の急落は買い場か?S&P500の好業績とゴールド上昇の可能性』の内容を基に構成しています。
半導体株を中心に世界の株式市場が不安定化
世界の株式市場では、半導体株やハイテク株を中心に不安定な値動きが続いています。特に日本や韓国の半導体関連株は大きく下落し、投資家の間では先行きへの不安が広がっています。
ただし、今回の下落について動画では、企業業績の急激な悪化によって起きているというよりも、投資家のポジション調整が主な原因ではないかと指摘しています。
半導体株は、これまでの上昇局面で多くの投資資金が集中していました。株価上昇への期待から高値で買った投資家も多く、信用取引やレバレッジを利用したポジションも膨らんでいたと考えられます。
その後、株価が下落し始めると、損失に耐えられなくなった投資家の売りが相次ぎました。企業価値や将来の利益を冷静に判断する余裕がなくなり、資金繰りのために株を売却する動きが強まっているという見方です。
株価と企業価値の乖離が拡大している
株価が大きく下落する局面では、企業の本来の価値を示すバリュエーションと株価が連動しなくなることがあります。
バリュエーションとは、企業の利益や資産、成長性などを基準に、現在の株価が割高なのか割安なのかを判断する考え方です。
通常であれば、企業の業績が好調で将来の成長が期待できる場合、株価もそれに応じて上昇しやすくなります。しかし、市場全体が混乱しているときは、業績とは関係なく株が売られることがあります。
動画では、過去の急落局面でも同じような現象が起きたと説明しています。株価が企業価値に対して安くなりすぎると、投資家が割安さに気づき、最終的には反発へ向かうことが多いという見方です。
今回も、企業業績そのものが大幅に悪化したわけではありません。むしろ決算発表では、良好な数字が出てくる可能性が高いとされています。
そのため、短期的には売りが続いたとしても、企業業績が確認されれば市場の評価が変わる可能性があります。
市場全体ではなくテクノロジー株が売られている
現在の株式市場では、すべての業種が一斉に下落しているわけではありません。
特に売られているのは、半導体を含むテクノロジー関連株です。半導体株の比率が高いナスダック100などの指数は、半導体株の下落による影響を大きく受けています。
一方で、生活必需品、エネルギー、金融、ヘルスケア、不動産などのセクターは比較的底堅く推移しています。
つまり、現在の市場では「半導体やハイテク株を売り、それ以外の業種を買う」という資金移動が起きていると考えられます。
このような状況では、半導体株の比率が大きい株価指数は上昇しにくくなります。しかし、市場全体が完全に崩壊しているわけではありません。
半導体株の急落だけを見て、世界の株式市場すべてが危険な状態にあると判断するのは早いでしょう。
半導体株の好決算が評価されにくい理由
動画では、韓国の大手半導体企業であるSKハイニックスが非常に良い業績を発表したにもかかわらず、市場で十分に評価されていない点にも触れています。
市場参加者の中には、現在の半導体企業の好業績は一時的なものだと考えている人もいます。
半導体価格の上昇によって売上高や利益が増えているだけで、将来的には設備投資が過剰になり、供給が需要を上回るのではないかという懸念です。
半導体業界は、需要と供給の変化によって業績が大きく変動する特徴があります。需要が強い時期には各社が生産能力を増やしますが、供給が増えすぎると価格が下落し、業績が悪化する可能性があります。
こうした半導体特有のサイクルを警戒し、市場は現在の好業績をそのまま将来へ当てはめることを避けていると考えられます。
ただし、動画では、市場が将来のリスクを意識しすぎて、現在の企業業績を正しく評価できていない可能性も指摘しています。
方向性として将来の設備投資減速を警戒することは間違いではありません。しかし、その警戒が過度になれば、業績が好調な企業の株を割安な価格で売却することになります。
日本株は高値から大幅に下落
日本株についても、半導体関連銘柄を中心に厳しい下落が続いています。
動画では、日経平均株価が高値から約1万円下落し、約20%下げた水準に達していると説明しています。一般的な判断では、高値から20%以上の下落は弱気相場入りの目安とされることがあります。
ただし、テクニカル分析では、現在の水準はすでにかなり売られすぎている可能性があるとしています。
今回の下落を主導しているのは、企業の利益減少ではなく、投資家によるポジション解消です。高値で買った投資家が損失に耐えられず、保有株を投げ売りしている状態です。
こうした売りが終わらなければ、株価はすぐには安定しません。一方で、価格水準だけを見れば、すでに十分に下落しているとも考えられます。
動画の出演者は、この水準を買い場と判断して実際に購入したと述べています。
株価が高いときには強気になり、安くなると怖くなって買えなくなるのが投資家心理です。しかし、本来は割安なときほど冷静に企業価値を確認する必要があります。
年初来では株式市場は依然として上昇
短期間の値動きだけを見ると、市場が大きく崩れているように感じられます。しかし、年初来のデータを見ると、株価指数や多くのセクターは依然としてプラス圏を維持しています。
エネルギーセクターなどは年初来で8%から9%程度上昇しており、このペースを年間に換算すれば高いリターンです。
テクノロジーセクターも直近では大きく下落していますが、それでも年初来では18%以上上昇していると説明されています。
一時期は半導体株の上昇率が100%を超える銘柄もありました。現在はその上昇分が削られていますが、そもそも短期間で株価が上がりすぎていたとも考えられます。
目先の急落だけを見ると、年初から株価が下落しているように感じられます。しかし、長い期間で見れば、依然として強い相場が続いているという見方もできます。
原油価格は下がりにくい状況が続く
商品市場では、原油価格が底堅く推移しています。
世界経済の減速懸念が強まると、通常は原油価格が下落しやすくなります。しかし、現在は原油価格が下がっても一定の水準で支えられている状態です。
背景には、産油国が簡単に供給量を増やせない事情があります。
OPECなどの産油国は増産を望んでいても、生産設備や輸出能力の問題から、十分に供給を増やせない場合があります。地政学的な緊張も続いており、原油の供給環境は依然として不安定です。
このため、企業は原材料価格が高止まりすることを前提に事業を運営する必要があります。
原油価格の上昇が続けば、物価上昇につながります。インフレが強まれば金利も上昇しやすくなり、将来の利益に対する期待で買われているハイテク株には逆風となります。
ただし、現在のハイテク株下落は、原油や金利よりもポジション調整の影響が大きいと動画では分析しています。
VIX指数は市場全体の混乱を示していない
市場の不安心理を示す代表的な指標がVIX指数です。
VIX指数とは、S&P500のオプション価格から算出される指標で、投資家の不安が高まると上昇する傾向があります。「恐怖指数」と呼ばれることもあります。
ハイテク株や半導体株は大きく下落していますが、VIX指数は18前後で上昇が止まり、極端な水準には達していません。
一般的に、VIX指数が20を大きく超えて上昇すると、市場全体の警戒感が強まっていると判断されます。
現在のVIX指数を見る限り、S&P500全体に深刻な不安が広がっているわけではないと考えられます。
ただし、8月から9月は季節的に株価が不安定になりやすい時期です。今後、VIX指数が急上昇する場面が訪れる可能性には注意が必要です。
円安とドル高が株式・商品市場に与える影響
為替市場では円安とドル高が続いています。
動画では、ドル円相場が1ドル=163円台まで上昇し、約40年ぶりの円安水準に達していると説明しています。
円安が進んでも、日本の通貨当局による対応は限定的です。為替介入を実施しても効果が一時的になる可能性があり、継続的な介入には大きなコストがかかるためです。
また、世界的なリスク回避の動きが強まると、安全資産としてドルが買われやすくなります。
ドル高は、ゴールドや原油などドル建てで取引される商品の価格を抑える要因になります。ドルの価値が上昇すると、他の通貨を使用する投資家にとって商品価格が割高になるためです。
株式市場や商品市場が本格的に反発するためには、ドル高が一服することが重要な条件になる可能性があります。
大手テック企業のCDS上昇に注意
動画では、大手テクノロジー企業のCDSが上昇している点を警戒材料として挙げています。
CDS:クレジット・デフォルト・スワップとは、企業や国が債務不履行に陥った場合に備える保険のような金融商品です。
CDSの保険料が上昇するということは、市場がその企業の信用リスクが高まっていると判断していることを意味します。
2008年のリーマン・ショック前にも、金融機関や住宅ローン関連商品のCDSが大きく上昇しました。早い段階でCDSを購入していた一部の投資家は、その後の金融危機で大きな利益を得たとされています。
現在、大手テクノロジー企業のCDSが少しずつ上昇しています。市場は、AIやデータセンターに対する巨額の設備投資が、本当に利益として回収できるのかを警戒している可能性があります。
ただし、大手テクノロジー企業の財務基盤は非常に強く、米国政府より信用力が高いと評価される企業もあります。
そのため、現在のCDS上昇は実際の破綻リスクを示しているというよりも、投資家の警戒感が過度に強まっている可能性もあります。
S&P500企業の利益は約38%増加する見通し
株価が不安定な一方で、S&P500企業の業績は非常に好調になると予想されています。
動画で紹介されたファクトセットのデータによると、S&P500企業の利益は前年同期比で約37.9%増加する見通しです。
これは過去と比較しても非常に高い利益成長率です。2021年に株式市場が大きく上昇した時期と同程度の伸びだと説明されています。
業種別では、エネルギー、コミュニケーションサービス、情報技術などの利益成長が目立っています。
特にコミュニケーションサービスの利益成長率は100%を超える水準とされ、極めて高い成長が見込まれています。
企業利益が約38%増えると予想されているにもかかわらず、株価が下落しているのは異例の状態です。
この株価と業績の乖離が長期間続く可能性はありますが、最終的には企業利益が株価を支える要因になると考えられます。
大手テクノロジー企業のPERは20倍前後
大手テクノロジー企業の株価は、これまで市場平均よりも高い評価を受けてきました。しかし、現在は株価下落によってPERが大きく低下しています。
PER:株価収益率とは、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。数値が高いほど、将来の成長期待が株価に織り込まれていると考えられます。
動画によると、主要企業の予想PERはおおむね次の水準です。
- NVIDIA:約20倍
- Microsoft:20倍未満
- Amazon:約20倍
- Alphabet:20倍未満
- Meta:比較的低い水準
- Apple:他社と比べて高い水準
S&P500全体のPERは約20倍で、上位企業10社は約21.2倍、その他の企業は約19.3倍とされています。
急成長企業として評価されてきたテクノロジー企業のPERが、市場平均とほとんど変わらない水準まで低下していることになります。
これらの企業がすでに成長を終えた安定企業であれば、20倍前後のPERも妥当かもしれません。しかし、実際にはAIやクラウド、データセンターなどに大規模な投資を続けています。
設備投資が利益につながれば、現在の株価は割安だったと評価される可能性があります。
設備投資減速は半導体需要の懸念材料
大手クラウド企業やテクノロジー企業は、AI開発やデータセンター建設のために巨額の設備投資を続けています。
動画で紹介された予測では、設備投資の伸び率は今年の第3四半期がピークになる可能性があるとされています。
設備投資の増加が落ち着けば、大手テクノロジー企業の資金負担は軽くなります。一方で、設備投資の減速は、半導体やサーバーなどの需要減少につながる可能性があります。
市場が半導体株を売っている背景には、設備投資の伸びがピークを迎え、その後は半導体需要が減速するという予測があるのかもしれません。
ただし、半導体の需要先はAIデータセンターだけではありません。
ロボット、自動車、産業機械、通信機器、家電など、さまざまな分野で半導体が使用されています。AI関連の設備投資だけを見て、半導体産業全体の需要が減少すると判断するのは早いでしょう。
中間選挙後のS&P500は上昇しやすい
動画では、米国の中間選挙と株式市場の関係についても解説しています。
過去の平均では、中間選挙の年は8月から9月にかけて株価が下落しやすく、10月ごろから回復する傾向があります。
さらに、中間選挙の日にS&P500を購入し、翌年6月30日まで保有した場合、過去のデータでは株価が上昇した確率が100%だったと紹介されています。
もちろん、過去の成績が将来も続く保証はありません。今回が初めて下落するケースになる可能性もあります。
それでも、過去に繰り返されてきた傾向は、投資判断の参考材料になります。
動画では、8月から9月に株価が下落しても必要以上に恐れるべきではなく、むしろ長期投資家にとっては買い場になる可能性があるとしています。
ファンダメンタルズ、過去の市場データ、テクニカル分析を組み合わせて判断することが重要です。
ゴールドは金融資産全体の2.7%しか保有されていない
動画後半では、ゴールド市場について詳しく解説しています。
世界のマネーサプライは大きく増加しています。一般的には、市場に流通するお金が増えると通貨の価値が低下し、相対的にゴールドの価値が上昇しやすくなります。
しかし、現在はマネーサプライが増えているにもかかわらず、ゴールド価格が下落しています。これまでの関係性から見ると、珍しい状態です。
また、民間企業、金融機関、個人投資家などが保有する金融資産のうち、ゴールドが占める割合は約2.7%しかないと紹介されています。
仮にゴールドの保有比率が2.7%から5%へ上昇するだけでも、ゴールド市場には非常に大きな資金が流入する可能性があります。
インフレが続くと予想されているにもかかわらず、多くの投資家はゴールドを十分に保有していません。
一方、中国をはじめとする中央銀行はゴールドの保有量を増やしています。中央銀行が外貨準備を分散し、ドルへの依存度を下げようとしていることも、ゴールド需要を支える要因です。
ゴールドが上昇すればシルバーにも注目
ゴールド価格が上昇すれば、シルバー価格も大きく上昇する可能性があります。
ゴールドとシルバーの価格差を示す指標として、金銀比価があります。
動画では、ゴールド価格がシルバー価格の約70倍となっており、歴史的に見ても極端に割安でも割高でもない水準だと説明しています。
ただし、ゴールドが本格的に上昇し始めると、シルバーはゴールド以上に大きく動くことがあります。
シルバーは貴金属としてだけでなく、太陽光発電、電子機器、電気自動車などの産業用途でも使用されます。投資需要と産業需要の両方が増えれば、価格が大幅に上昇する可能性があります。
一方で、シルバーはゴールドよりも価格変動が大きいため、投資する場合はリスク管理が必要です。
現在の下落は長期投資の仕込み期間か
現在の市場では、半導体株やハイテク株が下落し、ゴールドも上昇していません。
企業業績は好調で、インフレによってゴールドが買われても不思議ではないにもかかわらず、株式とゴールドの両方が弱いという珍しい状態です。
動画では、この動きが将来逆回転した場合、半導体株、ハイテク株、ゴールドなどが大きく反発する可能性があると分析しています。
短期的には、投資家のポジション調整が終わるまで不安定な相場が続くかもしれません。
しかし、株価が企業価値に対して大幅に安くなり、企業利益が増加しているのであれば、長期投資家にとっては仕込みの機会になる可能性があります。
目先の株価変動に振り回されるのではなく、企業業績、バリュエーション、過去の市場データを確認しながら投資判断を行うことが重要です。
まとめ
半導体株やハイテク株の急落は、企業業績の悪化だけで説明できるものではありません。高値で積み上がった投資ポジションの解消や、AI関連設備投資の減速に対する警戒が、売りを加速させていると考えられます。
一方、S&P500企業の利益は前年同期比で約37.9%増加する見通しであり、大手テクノロジー企業のPERも20倍前後まで低下しています。
株価と企業業績の間には、大きな乖離が生じている状態です。
また、世界の金融資産に占めるゴールドの割合は約2.7%にとどまっています。インフレが続き、中央銀行によるゴールド購入が増える中で、投資資金がゴールド市場へ戻れば価格が大きく上昇する可能性があります。
現在の下落局面は、短期的には厳しい状況です。しかし、長期的な視点では、割安になった株式やゴールドを検討する仕込み期間になる可能性もあります。
投資では、株価が上昇しているときに追いかけて買い、下落したときに恐怖から売却する行動を避ける必要があります。目先の値動きだけで判断せず、企業の利益、成長性、バリュエーション、市場の歴史的な傾向を総合的に確認することが大切です。


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