分散投資の本当の意味とは?期待値が変わらなくても資産を守れる数学的理由

本記事は、YouTube動画『分散投資って数学的に何なんですか』の内容を基に構成しています。

「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉は、投資の世界で最も有名な教えの1つです。株式や債券、通貨、不動産など、複数の資産にお金を分けることでリスクを抑えられるという考え方は、多くの投資家に知られています。

しかし、「なぜ分散するとリスクが下がるのか」と聞かれたとき、数字を使って正確に説明できる人はそれほど多くありません。

一般的には「1つの資産が下がっても、ほかの資産が支えてくれるから」と説明されます。もちろん、この説明は間違いではありません。ただし、分散投資の本当の意味を理解するには、期待値、資産価格のブレ、複利、相関といった要素を分けて考える必要があります。

動画では、分散投資が期待リターンを引き上げる方法ではなく、資産が全滅する確率や長期的な成長を損なうブレを抑える方法であることが、数学的な例を使って解説されています。

目次

分散投資をしても期待値は変わらない

まず、分散投資について考えるために、非常に単純化した例が紹介されています。

100円を持っている人が、ある国に全額を預けるとします。その国は50%の確率で滅び、滅びた場合には預けたお金がすべて失われるという設定です。

国が無事であれば100円が残り、国が滅びれば0円になります。この場合の期待値は、次のようになります。

100円 × 50% = 50円

では、この100円を2つの国に50円ずつ分けたらどうなるでしょうか。

それぞれの国が50%の確率で滅びるとすると、1つの国に預けた50円の期待値は25円です。それが2つあるため、合計の期待値は50円になります。

さらに、10カ国に10円ずつ分けても、100カ国に1円ずつ分けても、期待値は変わりません。

つまり、分散投資をしても期待値そのものは上がらないのです。

期待値には線形性がある

期待値には「線形性」と呼ばれる性質があります。

複数の資産の期待値を計算する場合、それぞれの期待値を足し合わせた結果は、全体の期待値と一致します。資産同士に相関があるかどうかにかかわらず、期待値を合計するという点では同じです。

そのため、投資先を増やしても、もともとの資産が持っている期待リターンが同じであれば、ポートフォリオ全体の期待値は基本的に変わりません。

この点だけを見ると、「期待値が同じなら、分散する意味はないのではないか」と感じるかもしれません。

しかし、分散投資によって変わるのは期待値ではなく、結果の分布です。

分散投資が変えるのは平均ではなく結果の分布

動画では、100人の投資家を使った例が紹介されています。

100人がそれぞれ異なる国に住んでおり、各国が50%の確率で滅びるとします。全員が自分の国に100円を預けた場合、おおむね50人が100円を維持し、残りの50人が0円になります。

100人の平均資産は50円です。

次に、全員が100円を2つの国に50円ずつ分けたとします。

この場合、結果は次の3通りです。

  • 2つの国が両方とも無事で100円残る
  • どちらか一方だけが滅びて50円残る
  • 2つの国が両方とも滅びて0円になる

それぞれの国が独立して50%の確率で滅びると仮定すると、100人のうち約25人が100円、約50人が50円、約25人が0円になります。

平均資産は、やはり50円です。

しかし、全財産を失った人は50人から25人に減っています。

さらに10カ国へ分散すれば、すべての国が同時に滅びる確率は大幅に低下します。期待値は50円のままですが、0円になる人の割合は小さくなり、多くの人が平均値に近い結果を得られるようになります。

つまり、分散投資は平均を動かすのではなく、極端な結果を減らし、結果を中央付近に集める働きを持っているのです。

投資家が実際に体験するのは集団の平均ではない

期待値を理解するときに重要なのは、期待値が誰の経験を表しているのかという点です。

100人の投資家を横に並べ、その結果を合計して100で割った数字は「集団の平均」です。

しかし、現実の投資家は、その100人全員の人生を同時に経験できるわけではありません。自分が経験できるのは、100人のうちの1人分の結果だけです。

期待値が50円であっても、自分の結果が0円になる可能性もあれば、100円が残る可能性もあります。期待値は、複数の可能性を横に並べたときの平均であり、個人が必ず体験できる数字ではありません。

ここで重要になるのが、「集団の平均」と「時間の平均」の違いです。

集団の平均と時間の平均

集団の平均とは、同時に存在する多くの投資家の結果を集計したものです。

一方、時間の平均とは、1人の投資家が同じ投資を長期間繰り返したときに、資産がどのように変化していくかを表したものです。

投資は通常、1回で終わりません。今年の運用結果が来年の元本となり、その元本に翌年のリターンがかかります。

つまり、投資の世界では足し算ではなく、掛け算が繰り返されます。

この掛け算の世界では、単純な期待値だけでは実際の資産成長を正確に捉えられません。

資産運用は掛け算で進む

投資では、前年の資産に今年のリターンを掛け、その結果に翌年のリターンを掛けていきます。

たとえば、100万円が10%増えると110万円になります。翌年も10%増えれば、110万円に10%が加わり121万円になります。

このように、投資成果は毎年のリターンを掛け合わせる形で積み上がります。

ところが、リターンのブレが大きい場合、期待値がプラスでも、実際の資産が長期的に減っていくことがあります。

表なら1.5倍、裏なら0.6倍になるコイン投げ

動画では、物理学者のオーレ・ピーターズ氏が使うコイン投げの例が紹介されています。

コインを投げ、表が出たら資産が1.5倍、裏が出たら資産が0.6倍になるとします。

1回当たりの期待倍率は、次のように計算できます。

1.5 × 50% + 0.6 × 50% = 1.05

期待値だけを見ると、1回につき平均5%ずつ資産が増えるゲームです。

しかし、表と裏が1回ずつ出た場合、資産の変化は次のようになります。

1.5 × 0.6 = 0.9

表と裏が同じ回数出るたびに、資産は10%減少します。

順番を入れ替えても、掛け算の結果は変わりません。表が先でも裏が先でも、最終的な倍率は0.9倍です。

期待値では資産が増えるはずなのに、長く繰り返すほど、多くの人の資産は減少していきます。

これが、集団の期待値と、個人が時間の中で経験する結果の違いです。

モンテカルロ法で見る期待値と現実の差

動画では、このコイン投げをコンピューター上で再現しています。

仮想の投資家を1万人用意し、それぞれにコインを100回ずつ投げさせるシミュレーションです。このように、乱数を使って多数の未来を再現する方法は「モンテカルロ法」と呼ばれます。

モンテカルロ法は、金融商品のリスク分析だけでなく、天気予報や工学、科学研究など、さまざまな分野で利用されています。

シミュレーションの結果、1万人を資産額の多い順に並べた中央付近の人は、元本の99%以上を失っていました。

また、100回のコイン投げを終えた時点で、元本より資産が増えていた人は約1300人でした。反対に見ると、約8700人が元本割れしています。

期待値がプラスのゲームであるにもかかわらず、8人に7人ほどが損失を出したことになります。

平均資産は一部の大勝者に左右される

興味深いのは、1万人全体の平均資産です。

多くの人が損失を出しているにもかかわらず、一部の投資家が非常に大きな資産を持つため、全体の平均は大きく上昇します。

シミュレーションによっては、最も運が良かった1人の資産が元本の数万倍となり、その1人だけで全体の富の大きな割合を占めることがあります。

さらに上位100人ほどが、1万人全体の資産の大半を保有する状態になることもあります。

一方、理論上の期待値に近い結果を実際に得られた人は、ごくわずかです。

つまり、期待値とは、多数の損失と一部の極端な大当たりをすべて合計して割った数字です。平均値が大きくても、典型的な投資家がその数字を体験できるとは限りません。

長く続けるほど期待値と個人の結果は離れていく

コイン投げを100回ではなく、さらに長く続けるとどうなるでしょうか。

期待値の考え方では、1回当たり5%の成長を何度も繰り返すため、理論上の平均資産は極端に大きくなります。

しかし、個人の資産は、表と裏を繰り返す中で徐々に減少していきます。

表が出たときの1.5倍と、裏が出たときの0.6倍を掛けると0.9倍になるためです。

長期間続ければ続けるほど、典型的な投資家の資産は0に近づいていきます。期待値は膨大な数字になる一方で、実際に多くの人が経験する資産額は減少するという、大きな隔たりが生まれます。

この違いを理解するために重要なのが、幾何平均です。

実際の資産成長を左右する幾何平均

投資の長期的な成長率を考える場合、単純な平均よりも幾何平均が重要です。

幾何平均とは、複数期間のリターンを掛け合わせたうえで算出する平均成長率です。

数式を使わずに説明すると、幾何平均は、期待リターンから値動きのブレによる損失を差し引いたような数値になります。

期待リターンが同じであっても、値動きが大きい資産ほど、長期的な複利成長率は低くなりやすいのです。

下落後の回復にはより大きな上昇が必要

100万円の資産が50%下落すると、資産は50万円になります。

そこから50%上昇しても、資産は75万円にしか戻りません。

50万円を元の100万円に戻すには、100%の上昇、つまり2倍になる必要があります。

  • 10%下落した場合、元に戻るには約11.1%の上昇が必要
  • 20%下落した場合、元に戻るには25%の上昇が必要
  • 50%下落した場合、元に戻るには100%の上昇が必要
  • 80%下落した場合、元に戻るには400%の上昇が必要

このように、下落率と回復に必要な上昇率は対称ではありません。

資産のブレが大きいほど、大幅な下落を経験する可能性が高まり、複利による成長が損なわれます。

分散投資が長期的な成長率を高める仕組み

ここで、分散投資の本当の役割が見えてきます。

期待リターンが同程度で、異なる値動きをする資産を組み合わせるとします。

一方の資産が下落したときに、もう一方が上昇したり、下落幅が小さかったりすれば、ポートフォリオ全体の値動きは安定します。

期待リターンを大きく下げずに値動きのブレを抑えられれば、幾何平均で見た長期的な成長率は高くなります。

つまり、分散投資は期待リターンそのものを引き上げる方法ではありません。

ブレによって失われる成長率を抑え、結果として投資家が実際に得られる複利成長率を高める方法です。

「分散は唯一のフリーランチ」の意味

現代ポートフォリオ理論を提唱した経済学者ハリー・マーコウィッツ氏は、分散投資について「投資における唯一のフリーランチ」と表現したことで知られています。

この言葉は、何の条件もなく利益が増えるという意味ではありません。

同程度の期待リターンを持ちながら、異なる動きをする資産を組み合わせることで、期待リターンを大きく犠牲にせず、リスクだけを下げられる可能性があるという意味です。

ただし、リターンが極端に低い資産を加えれば、ポートフォリオ全体の期待リターンも下がります。

分散の効果を得るには、一定の収益力を持ちながら、値動きや損失が発生する原因の異なる資産を組み合わせる必要があります。

分散投資が効かなくなる条件

分散投資には重要な条件があります。

複数の資産がすべて同じ原因で、同時に下落する場合、分散効果は弱くなります。

たとえば、2つの国に資産を分けても、その2つの国が必ず同時に滅びるのであれば、全財産を失う確率は変わりません。

2つの国が両方とも無事である確率が50%、両方とも滅びる確率が50%であれば、1つの国に全額を預けた場合と結果は同じです。

分散先の数を増やしても、値動きが完全に同じなら、分散した意味はほとんどありません。

この資産同士の連動性を表すのが「相関」です。

相関が高いほど分散効果は小さくなる

相関が高い資産は、同じ方向に動きやすい性質を持っています。

反対に、相関が低い資産は、それぞれ異なる動きをする傾向があります。

分散効果は、資産の数を増やすだけでは得られません。重要なのは、異なる原因で価格が動く資産を保有することです。

たとえば、日本株を30銘柄保有していれば、個別企業の不祥事や業績悪化によるリスクは分散できます。

1社が倒産しても、残りの29社が無事であれば、資産全体への影響を限定できるからです。

しかし、日本経済の悪化、円の急変、日本の金融政策や税制変更といった共通要因は、30銘柄すべてに影響する可能性があります。

銘柄数を増やしても、日本という国に依存するリスクは残ったままです。

見かけ上の分散に注意する

分散投資では、投資先の名前や国が異なっていても、根本的なリスクが同じである場合があります。

動画では、ある物資を韓国とシンガポールの2カ国から調達しているため、供給先を分散できていると考える例が紹介されています。

しかし、供給網をさかのぼると、両方とも中東の同じ供給源につながっていた場合、根本的なリスクは分散されていません。

表面的には2つの国から調達していても、供給元が同じであれば、その供給元が止まったときに両方のルートが同時に機能しなくなります。

投資でも同様です。

異なる投資信託やETFを複数保有していても、中身が米国の大型ハイテク株に集中していれば、実質的には同じリスクを重ねて保有している可能性があります。

分散を考えるときは、商品の名称や保有数だけでなく、何が原因で値下がりするのかを確認する必要があります。

危機のときには相関が高まりやすい

相関は常に一定ではありません。

平常時には異なる動きをしていた資産でも、金融危機や市場の混乱時には、同じ方向へ一斉に下落することがあります。

2008年の世界金融危機では、世界各国の株式や信用リスクを伴う資産が同時に売られました。

投資家が損失を避けるために現金化を急ぐと、保有している資産の種類にかかわらず売却が広がります。

その結果、通常時には相関の低かった資産同士でも、危機時には相関が急上昇します。

分散が最も必要とされる局面で、分散効果が弱くなることがあるのです。

そのため、実務上の資産分散では、単に株式の銘柄数を増やすだけでは不十分です。

資産クラス、通貨、国、法制度、金融機関、保管場所など、複数の観点からリスクを分けることが重要になります。

分散とは「壊れ方」を分けること

動画では、分散投資の本質について、「数を増やすことではなく、壊れ方が違うものを持つこと」と説明しています。

投資先を分析するときには、次のような視点が重要です。

  • この資産が大きく下落するとしたら、原因は何か
  • その原因は、別の資産が下落する原因と同じか
  • 同じ国、通貨、業界、制度に依存していないか
  • 金融危機の際に同時に売られる可能性はないか
  • 1つの金融機関や保管先に集中していないか

たとえば、株式と債券を組み合わせていても、インフレや金利上昇の局面では両方が下落することがあります。

国内株と外国株を持っていても、どちらも同じ世界的な景気後退の影響を強く受ける可能性があります。

複数の資産を持っているという事実だけで安心せず、それぞれの資産がどのような状況で損失を出すのかを考えることが必要です。

分散投資の目的は損失をゼロにすることではない

分散投資をしても、保有資産の一部が値下がりしたり、損失を出したりすることはあります。

むしろ、分散先を増やせば、どこかの資産が不調になる可能性は高まります。

動画では、魚を複数のイケスに分ける例が使われています。

魚を10個のイケスに分ければ、どこかのイケスで魚が全滅する可能性があります。しかし、すべての魚を1つの大きなイケスに入れていた場合、そのイケスの水が汚染されれば、すべての魚を一度に失います。

分散とは、1匹の魚も死なせない方法ではありません。

すべてを一度に失う未来を、一部に損失が出ても全体は生き残る未来に変える方法です。

投資に置き換えると、すべての資産を常に上昇させるのではなく、一部の資産が下落しても、ポートフォリオ全体が市場から退場しないようにする技術だといえます。

資産が0になることは特別な意味を持つ

掛け算で資産が増減する世界では、0は特別な数字です。

一度資産が0になれば、その後にどれほど大きな上昇相場が来ても、資産は増えません。

0に何を掛けても0だからです。

投資資金をすべて失った場合、次の投資機会に参加することもできなくなります。

期待値の計算では、全財産を失った人と、極端な利益を得た人を合計して平均を出すことができます。しかし、全財産を失った本人は、その後のゲームに参加できません。

この違いが、期待値だけで投資判断をする危険性です。

分散投資の最大の目的は、最高のリターンを得ることではなく、投資を続けられる状態を維持することにあります。

複利は生き残った投資家にしか働かない

複利は、長期間にわたって資産を運用し続けることで大きな効果を発揮します。

しかし、途中で資産をすべて失えば、複利の効果を受けることはできません。

どれほど高い期待リターンを持つ投資戦略でも、途中で破綻する可能性が高ければ、長期的な資産形成には向いていない場合があります。

反対に、期待リターンが多少低くても、大きな損失を避けながら市場に残り続けられる戦略は、長期間では大きな資産を築く可能性があります。

分散によってブレと全滅の可能性を抑えることは、複利が働く時間を確保することでもあるのです。

富裕層の運用が地味に見える理由

動画では、富裕層の資産運用は外から見ると退屈に見えると説明されています。

資産を複数の地域、通貨、商品、金融機関などに分け、頻繁な売買をせずに保有し続けるためです。

大きな利益を狙う集中投資と比べると、派手さはありません。

しかし、すでに大きな資産を持っている人にとっては、さらに大きなリスクを取る必要性が低くなります。

資産を急激に増やすことよりも、一度の失敗ですべてを失わないことの方が重要になるからです。

資産規模が大きくなると、運用の目的は「増やすこと」から「守りながら増やすこと」へ変化します。

数十年、あるいは世代を超えて資産を残すには、大きな損失を避ける仕組みが欠かせません。

資産を作る段階と守る段階は異なる

すべての投資家が、同じように分散すればよいとは限りません。

元本が小さく、仮に損失を出しても労働収入から再び投資資金を作れる人は、一定のリスクを取る余地があります。

若く、収入を得られる期間が長い人であれば、失敗後に投資資金を再構築できる可能性もあります。

一方、退職後の生活資金や、すでに築いた大きな資産を運用している人は、失敗した後に取り戻す時間や収入が限られています。

そのため、より分散を重視し、資産を守る必要があります。

集中投資で成功した人だけを見ない

大きな財産を築いた人の中には、特定の企業や事業、株式に集中投資して成功した人もいます。

しかし、同じように集中投資をして資産を失った人は、成功者ほど注目されません。

目に見える成功者だけを基準にして、「集中投資こそ正しい」と判断するのは危険です。

これは、生き残った成功例だけが観察されやすい「生存者バイアス」と呼ばれる問題です。

集中投資によって大きな資産を作れる可能性がある一方で、途中で市場から退場する人も多数存在します。

自分が資産を作る段階にいるのか、すでに作った資産を守る段階にいるのかを考え、リスクの取り方を調整する必要があります。

分散投資は資産を作る技術ではなく守る技術

動画の結論は、分散投資は資産を一気に増やす技術ではなく、資産を守る技術だという点です。

分散しても、期待値は変わりません。

しかし、結果のブレを小さくし、全財産を失う確率を下げることができます。

ブレが小さくなれば、大幅な下落によって失われる複利効果を抑えられます。その結果、投資家が長期的に実際に得られる成長率が改善する可能性があります。

重要なのは、単に保有銘柄数を増やすことではありません。

異なる原因で値動きする資産を組み合わせ、1つの出来事ですべてが同時に損なわれない構造を作ることです。

まとめ

分散投資をしても、資産全体の期待値が自動的に上がるわけではありません。

100円を1つの投資先に置いても、複数の投資先に分けても、各投資先の期待リターンが同じであれば、全体の期待値は変わりません。

分散によって変わるのは、結果の分布です。

全財産を失うような極端な結果が減り、多くの投資家が平均に近い結果を得やすくなります。

また、投資は毎年のリターンを掛け合わせる複利の世界です。値動きのブレが大きいほど、下落からの回復が難しくなり、長期的な成長率は低下します。

期待リターンが同程度で、異なる値動きをする資産を組み合わせれば、期待リターンを大きく下げずにブレを抑えられる可能性があります。これが、分散投資によって長期的な複利成長率が改善する仕組みです。

ただし、同じ原因で一斉に下落する資産をいくつ保有しても、十分な分散にはなりません。

分散投資で大切なのは、投資先の数ではなく、損失が発生する原因を分けることです。

「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉は、すべての損失を避けるための教えではありません。

一部の資産に損失が出ても、資産全体を残し、次の投資機会にも参加できる状態を維持するための教えです。

分散投資の本当の価値は、期待値を高めることではなく、投資家が長く市場に残り、複利の効果を受け続けられる可能性を高めることにあります。

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