本記事は、YouTube動画『キオクシア利益28倍×自社株買い×株式分割でも来週大暴落確定か』の内容を基に構成しています。
キオクシアホールディングスが発表した決算は、単に「好決算」という言葉では説明しきれないほど強い内容でした。
売上収益は1兆7671億円、営業利益は1兆2700億円に達し、営業利益率は約72%となりました。さらに会社側は、次の四半期に営業利益率が約79%まで上昇する見通しを示しています。
一般的な製造業では考えにくいほどの高い利益率です。
それにもかかわらず、キオクシアの株価は直近高値の11万2700円から大幅に下落し、決算発表前には3万9500円まで値下がりしていました。決算発表当日はストップ高となったものの、高値から見れば依然として大きく下落した状態です。
この「業績は過去最高水準なのに、株価は高値から大幅安」というねじれが、来週以降の株価を大きく動かす可能性があります。
決算発表前のストップ高は何を意味していたのか
まず押さえておきたいのは、決算発表当日のストップ高が、決算内容を確認した後の買いではなかったという点です。
前日の終値は3万9500円で、翌日のストップ高水準は4万6500円でした。上昇率は約17.7%です。
買いが集まった背景には、米国や韓国のメモリ関連株の反発、AI向けメモリ不足への期待、そしてキオクシアの好決算を先回りする動きがありました。
しかし、決算が発表されたのは取引終了後です。
つまり、ストップ高は実績を確認したうえでの評価ではなく、「非常に強い決算が出るのではないか」という期待を先回りした買いでした。
そのため、次の取引日には、予想を上回った決算内容を評価する買いと、材料が発表されたことで利益を確定する売りが正面からぶつかる可能性があります。
高値から約65%下落した株価の重さ
キオクシアの株価は、6月22日の11万2700円から7月30日の3万9500円まで、約65%下落しました。
ストップ高となって4万6500円まで戻ったとしても、高値からは約59%下の水準です。
これほど大きく下落した銘柄では、株価が少し上昇しただけでも、含み損を抱えている投資家から売りが出やすくなります。
一方、下落局面で空売りをしていた投資家は、想定以上の決算を受けて買い戻しを迫られる可能性があります。
来週の株価を考えるうえでは、「決算が良いか悪いか」だけではなく、どの価格帯で売りたい投資家が多いのか、どの価格帯で空売りの買い戻しが発生するのかという需給の構造が重要です。
特に意識される可能性があるのは、次の価格帯です。
- 4万4500円前後
- 5万2000円前後
- 5万6000円前後
- 6万円台
これらの価格帯には直近の売買が多く積み上がっており、含み損を抱えた投資家の戻り売りが出やすいと考えられます。
売上5倍以上よりも衝撃的な利益の伸び
キオクシアの第1四半期の売上収益は1兆7671億円でした。
前年同期の3428億円から約5.2倍に増加しています。
さらに営業利益は前年同期の449億円から1兆2700億円へ急増し、親会社の所有者に帰属する四半期利益は183億円から8422億円まで拡大しました。
営業利益は前年同期比で約28倍となった計算です。
基本的1株当たり利益も大幅に増加しました。
ここまで利益が伸びた最大の理由は、生成AIを中心とするデータセンター需要です。
キオクシアは、メモリ製品の出荷量が増加しただけでなく、平均販売単価も大幅に上昇したと説明しています。
メモリ価格の上昇が利益を急拡大させる理由
半導体メモリ事業は、固定費の大きい産業です。
工場の建設や製造装置の導入には巨額の費用がかかりますが、生産量が一定水準を超えると、製品価格の上昇分が利益に反映されやすくなります。
工場から出荷するメモリの量が大きく変わらなくても、販売単価が上昇すれば、売上の増加以上に利益が伸びることがあります。
今回のキオクシアの決算は、この構造が強く表れたものです。
用途別では、SSDやストレージ関連の売上が1兆1747億円となり、前四半期から5744億円増加しました。
スマートデバイス向けの売上も5257億円となり、前四半期から1883億円増えています。
つまり、AIデータセンター向けだけではなく、スマートフォンや組み込み機器向けの需要も同時に回復しています。
営業利益率は約72%に到達
キオクシアの第1四半期の営業利益率は約71.9%です。
一時的な会計項目などを除いたNon-GAAP営業利益は1兆3262億円で、利益率は約75%となりました。
売上100円のうち、およそ75円が調整後の営業利益として残る計算です。
これは、キオクシアが突然まったく異なる会社に変わったということではありません。
メモリ市場の需給が供給不足の方向へ大きく傾き、メーカー側の価格決定力が急激に強くなった結果です。
ただし、この利益率を永続的な通常水準と考えるのは危険です。
メモリ市場では、価格が上昇する局面で利益が急増する一方、各社が増産して供給が増え、販売単価が下落すると利益も急速に縮小します。
現在の高収益は企業努力だけでなく、市況の追い風による部分も非常に大きいと考えられます。
そのため株式市場は、現在の利益額そのものよりも、この利益が何四半期続くのかを先回りして評価します。
第2四半期の会社予想が最大のサプライズ
今回の決算で最も重要なのは、過去の第1四半期の実績よりも、会社が示した第2四半期の見通しです。
7月から9月までの第2四半期について、キオクシアは次のような予想を示しました。
- 売上収益:2兆3900億円
- 営業利益:1兆8900億円
- 親会社の所有者に帰属する利益:1兆2700億円
第1四半期と比較すると、売上収益は約35.2%増、営業利益は約48.8%増、純利益は約50.8%増となる見通しです。
通常、非常に好調な四半期の後には成長率が鈍化することが多くあります。
しかし、キオクシアはすでに異常ともいえる高収益を記録した後、さらに利益が拡大する予想を発表しました。
次の四半期は営業利益率約79%を予想
第2四半期の会社予想から計算すると、営業利益率は約79.1%です。
Non-GAAPベースでも約79.5%になると見込まれます。
第1四半期の約72%から、さらに利益率が上昇する計画です。
これは単に販売数量が増えるだけでは説明しにくい数字です。
平均販売単価の上昇、利益率の高い製品の販売拡大、工場稼働率の上昇などが同時に進むことを前提としています。
会社側も、データセンター向け需要が引き続き旺盛であると説明しています。
上期だけで純利益2兆円を予想
上期全体では、売上収益4兆1571億円、営業利益3兆1600億円前後、純利益約2兆1122億円が見込まれています。
4万6500円の株価を基準にすると、キオクシアの時価総額は約25兆5000億円です。
上期だけの純利益で、時価総額の約8%を稼ぐ計算になります。
上期の1株当たり利益は約3857円です。
この利益を単純に2倍して通期の参考値とした場合、予想PERは約6倍となります。
数字だけを見れば非常に割安に見えます。
しかし、会社は通期業績予想を発表していません。
上期の勢いが下期も続けば割安と判断できますが、下期にメモリ価格が反落すれば、上期利益を単純に2倍する計算は使えません。
市場が判断しようとしているのは、現在の利益が一時的なピークなのか、それともAI需要によって生まれた新しい収益水準なのかという点です。
PERでは割安でもPBRでは高評価
利益を基準にしたPERだけでは、キオクシアの評価を正しく判断できません。
6月末時点の親会社所有者帰属持分は約2兆43億円で、1株当たり純資産は約4390円です。
株価が4万6500円の場合、PBRは約10.6倍となります。
利益を基準にするとPER約6倍で割安に見える一方、純資産を基準にするとPBR約10.6倍と高い評価です。
この2つの数字が、「キオクシアは割安だ」という見方と、「すでに高く評価されている」という見方を同時に成立させています。
メモリ企業は、好況期のピーク利益ではなく、景気循環を通じて平均的に稼げる利益を基準に評価される傾向があります。
現在の利益が将来的に半分になるのか、4分の1になるのかによって、適正株価は大きく変わります。
キャッシュフローにも大きな改善
損益計算書だけを見ると非常に強い決算ですが、長期投資家は現金の流れも確認する必要があります。
営業活動によるキャッシュフローは8663億円でした。
前年同期の61億円から大幅に増加しています。
現金および現金同等物は7910億円となり、3カ月間で3203億円増加しました。
利益だけではなく、実際の現金も増えている点は高く評価できます。
ただし、営業債権は約4910億円増加し、キャッシュフロー計算書では売掛金などの増加によって4721億円の資金流出が発生しています。
売上が急増すると、商品を販売してから代金を回収するまでの売掛金も増加します。
現時点で直ちに悪材料とはいえませんが、計上された利益のすべてが現金化されたわけではないことには注意が必要です。
今後も営業債権が売上以上のペースで増加する場合には、利益の質を慎重に確認する必要があります。
在庫の増加が小さい点は好材料
棚卸資産の増加は約255億円にとどまりました。
売上が前四半期から7643億円増加したことを考えると、在庫の増加は小さいといえます。
需要が弱いにもかかわらず工場を動かし、売れない製品を在庫として積み上げている状態ではありません。
少なくとも第1四半期時点では、売れ残りの増加よりも、実際の販売拡大によって売上が伸びていると判断できます。
借入金4332億円を返済
キオクシアは、長期借入金を4332億円返済しました。
親会社所有者帰属持分比率は、37.9%から50.8%へ改善しています。
メモリ不況で最も怖いのは、販売価格の下落によって利益が消えた後も、好況期に抱えた借金だけが残ることです。
今回、キオクシアは好調な業績によって得た現金を借入金の返済に充てました。
これにより、将来メモリ市況が悪化した場合の耐久力は明確に高まったと考えられます。
一方、訴訟損失引当金366億円と株式報酬費用194億円も計上されています。
現在の利益額と比較すれば小さく見えますが、法的リスクが完全に消えたわけではありません。
上限8000億円の自社株買いを発表
決算と同時に発表された最大の株価材料が、上限8000億円の自社株買いです。
取得上限は3000万株で、発行済み株式数の約5.5%に相当します。
取得期間は8月3日から10月30日までです。
つまり、次の取引日から会社自身が市場の買い手になる可能性があります。
8000億円という金額は、第1四半期の純利益8422億円に近い規模です。また、上期予想純利益約2兆1122億円の約38%に相当します。
上場後のキオクシアが、資本効率の向上と株主還元を明確に打ち出した点は大きな変化です。
実際に5.5%を買えるとは限らない
注意したいのは、キオクシアが必ず3000万株を取得するわけではないことです。
株価4万6500円で3000万株を取得するには、約1兆3950億円が必要です。
しかし、金額の上限は8000億円です。
同じ株価で買えるのは約1720万株で、発行済み株式数の約3.1%となります。
3000万株をすべて取得できる平均株価は、約2万6667円です。
現在の株価水準では、株数の上限よりも金額の上限が先に到達します。
見出しだけを見ると発行済み株式数の5.5%を取得するように見えますが、実際の取得割合は株価次第で3%前後になる可能性があります。
それでも8000億円という金額は大きく、株価が下落した場面で会社の買いが入るという期待は需給を改善します。
ただし、会社は市場環境などによって、一部または全部を取得しない可能性があることも明記しています。
自社株買いは絶対に割れない株価の「床」ではなく、下落を和らげる強力な材料と考えるべきです。
1株を3株にする株式分割
キオクシアは、10月1日付で1株を3株にする株式分割も発表しました。
現在の株価4万6500円を単純換算すると、分割後の株価は1万5500円です。
100株単位の最低投資金額は約155万円となります。
株式分割前よりは投資しやすくなりますが、東京証券取引所が望ましい投資単位として示している50万円未満には届きません。
会社も、投資単位をさらに引き下げる方法を引き続き検討するとしています。
株式分割そのものによって企業価値が増えるわけではありません。
しかし、1株当たりの価格が下がることで個人投資家が参加しやすくなり、値動きの大きな銘柄に新しい資金が入る可能性があります。
一方、株式分割への期待だけで株価が上昇した場合、分割の効力発生日を境に材料出尽くしの売りが出る可能性もあります。
自社株買いや株式分割があるだけで株価が上がるのではなく、利益成長が続くなかで需給改善が重なる場合に、最も大きな効果を発揮します。
AIメモリ需要は一時的なブームなのか
キオクシアの利益率はあまりにも高いため、特殊な要因による一時的な数字にも見えます。
しかし、競合する半導体企業も同じ方向を示しています。
米国のマイクロン・テクノロジーは、直近四半期に大幅な売上と利益の拡大を記録し、AI時代におけるメモリの戦略的な重要性を強調しました。
データセンター向けSSDの売上も、前四半期から2倍以上に増加しています。
サンディスクもデータセンター向け売上が大幅に増え、高い粗利益率を記録しました。
韓国のサムスン電子も高水準の売上を発表し、メモリ供給不足が長期化する可能性を示しています。
つまり、キオクシアの高い利益率は、同社だけに起きた会計上の偶然ではありません。
メモリ業界全体で需要と供給のバランスが変化し、価格決定力がメーカー側へ移った現象の一部と考えられます。
AIの普及でストレージ需要も増加
AIサーバーでは、計算を担当するGPUだけでなく、大量のデータを保存し、素早く読み出すストレージも必要です。
AIモデルが大規模になるほど、学習済みモデル、ベクトルデータベース、キャッシュ、ログなどを保存する容量が増加します。
AI関連の設備投資がGPUからストレージへ広がったことで、NAND型フラッシュメモリの需要は、従来のパソコンやスマートフォンの買い替え周期だけでは説明できなくなりました。
さらに、DRAMメーカーが収益性の高いHBMへ生産能力や設備投資を集中させると、その他のメモリ製品への投資が抑えられます。
需要が強い一方で、供給が急激には増えにくいことが、平均販売単価の上昇を長期化させています。
供給不足は永遠には続かない
ただし、供給不足が永遠に続くわけではありません。
高い利益を確認したメーカー各社が設備投資を増やし、中国メーカーが技術面で追い上げ、クラウド企業がストレージの利用効率を改善すれば、需給環境は変化します。
メモリ関連株は、需要が最も強い時期に株価が天井をつけることがあります。
利益のピークと株価のピークは、必ずしも同じ時期にはなりません。
半導体工場は、価格が上昇したからといって翌月から生産量を倍にできる事業ではありません。
製造装置の導入、歩留まりの改善、顧客による品質認証などに長い時間がかかります。
この供給増加の遅さが好況を長引かせますが、複数社の増産が同じ時期に完成すると、突然供給過剰が表面化する可能性があります。
確認すべきなのは、需要が強いというニュースの数ではありません。
各社の設備投資額、生産能力、出荷量、契約価格などを継続的に見る必要があります。
信用倍率約21倍が示す需給の重さ
キオクシアの信用売り残は約54万株、信用買い残は約1138万株で、信用倍率は約21倍です。
以前の約37倍からは改善しましたが、信用買い残が信用売り残を大幅に上回る構造は変わっていません。
この数字を見る限り、来週の株価上昇を空売りの踏み上げだけで説明するのは難しいといえます。
信用売り54万株がすべて買い戻されたとしても、信用買い残1138万株と比較すれば一部にすぎません。
株価が継続的に上昇するためには、現物を買う機関投資家や海外投資家、そして自社株買いなどの実需が必要です。
一方、海外投資家が長期的な利益予想を引き上げれば、大量の信用買い残や戻り売りを吸収できる可能性もあります。
株価だけでなく出来高を確認する
来週の値動きを判断するうえで重要なのが出来高です。
7月29日と30日には、それぞれ8000万株から9000万株を超える大きな売買がありました。
来週も同じ規模の出来高を伴って株価が上昇すれば、以前から保有していた投資家から新しい投資家への入れ替わりが進んでいると考えられます。
反対に、出来高が細いまま株価だけが上昇する場合には注意が必要です。
売り物が少ないため一時的に上昇しているだけで、大きな利益確定売りが出た瞬間に急落する可能性があります。
寄り付きで大きく売られたとしても、出来高を伴って切り返し、終値が高値圏に残る場合は、買い手の強さを示します。
来週の強気シナリオ
強気シナリオでは、次の取引日にストップ高、または大幅高で始まり、5万円台の戻り売りを大きな出来高で吸収します。
第2四半期の営業利益率約79%という会社予想と、8000億円の自社株買いが海外投資家から高く評価され、株価が6万円台を回復する展開です。
その後もメモリ価格の上昇や競合企業の強気な発言が続けば、6月高値からの下落は、業績悪化ではなく一時的な需給調整だったという見方が広がる可能性があります。
強気シナリオが実現するためには、4万6500円を終値で維持し、5万2000円前後の売りを出来高を伴って突破する必要があります。
さらに、自社株買い開始後も株価が崩れず、アナリストが通期利益予想を大幅に引き上げることが条件となります。
来週の中立シナリオ
中立シナリオでは、好決算を受けて急騰した後、4万5000円から5万6000円程度の広い範囲でもみ合います。
好決算と自社株買いが下値を支える一方、高値からの含み損を抱えた投資家の戻り売りや、大量の信用買い残が上値を抑えます。
市場は、次の四半期以降もメモリ価格が上昇するのかを確認するまで、割安さとピーク利益への警戒のどちらを重視すべきか判断できません。
この場合、株価が横ばいでも必ずしも悪い展開ではありません。
大きな出来高を伴うもみ合いの中で信用買い残が減少し、現物投資家への入れ替わりが進めば、次の上昇に向けた土台になります。
来週の弱気シナリオ
弱気シナリオでは、次の取引日に高く始まった後、材料出尽くしの売りによって急落します。
決算発表前のストップ高で好材料をある程度先取りしており、上期業績を単純に通期換算できないことが意識される展開です。
4万4500円を明確に下回ると、3万9500円や3万6000円前後の直近安値が再び意識される可能性があります。
さらに、メモリ価格の上昇が止まり、第2四半期の営業利益率が会社計画を下回る場合には、強気の前提そのものが崩れます。
営業債権や在庫が複数四半期にわたり売上以上のペースで増える場合も注意が必要です。
また、会社予想の為替前提より大幅な円高が進めば、円換算した売上や利益への追い風も弱まります。
キオクシアの強み
キオクシアの最大の強みは、AIデータセンター向け需要を取り込み、売上と利益が前四半期からさらに加速していることです。
営業利益率は第1四半期で約72%、第2四半期予想では約79%です。
営業キャッシュフローも8663億円に達し、4332億円の借入金を返済しながら現金を増やしました。
過去のメモリ不況で弱まった財務体質を、高収益によって一気に改善している点は重要です。
キオクシアの弱み
最大の弱みは、メモリ市況への依存度が非常に高いことです。
価格上昇が利益を大きく押し上げた分、価格下落時には利益が急減する可能性があります。
通期業績予想が発表されていないため、現在の利益を何倍して企業価値を計算すべきか、市場が判断しにくい状態です。
信用買い残も多く、上値には含み損を抱えた投資家の売りが待っています。
また、現時点では配当による株価の下支えが強い銘柄とはいえません。
今後の成長機会とリスク
成長機会は、AI推論の拡大によってストレージ需要が長期化することです。
自社株買い、3分割の株式分割、浮動株比率に関する見直しなども、今後の需給イベントになります。
高容量SSDの採用が進み、製品競争力が高まれば、販売単価の上昇だけに頼らず利益を維持できる可能性があります。
一方のリスクは、競合企業の増産、中国メーカーの追い上げ、クラウド各社の設備投資縮小、円高、訴訟費用の追加発生などです。
市場が現在の高い利益率を長期的に続くものとして株価に織り込んだ後、市況が少し悪化するだけでも、株価が大きく下落する可能性があります。
長期投資家が確認すべき5つの数字
長期投資家に必要なのは、次の取引日の寄り付き価格を正確に当てることではありません。
まず、企業の業績と株価を分けて考える必要があります。
キオクシアの業績は明確に強い一方、株価は1日で約17.7%上昇しており、短期的な期待も急速に膨らんでいます。
強い企業であることと、現在の株価が安全であることは同じ意味ではありません。
今後、特に確認すべき数字は次の5つです。
- データセンター向け売上
- 平均販売単価
- 出荷量
- 営業利益率
- 営業債権と在庫
売上が伸び、販売単価と出荷量が同時に上昇し、在庫の増加が抑えられている間は、強気の土台があります。
反対に、利益率が急速に低下し、営業債権や在庫が増え始めた場合には、メモリ市況の転換を疑う必要があります。
まとめ
キオクシアの今回の決算は、売上収益1兆7671億円、営業利益1兆2700億円、営業利益率約72%という非常に強い内容でした。
さらに、第2四半期には営業利益率約79%を見込み、上限8000億円の自社株買いと1株を3株にする株式分割も発表しています。
業績だけを見れば、キオクシアが従来のメモリ循環株から、AIインフラ関連企業として再評価される可能性は高まっています。
しかし、その変化を確定させるのは1回の好決算ではありません。
高い利益率を複数の四半期にわたって維持し、得られた現金を成長投資、財務改善、株主還元へ適切に配分できるかが重要です。
決算発表前のストップ高は、株価上昇の結論ではなく、本格的な評価が始まる合図といえます。
次の取引日以降は、好決算を評価する資金、自社株買いを先回りする資金、高値からの戻りを待つ売り、信用買いを解消する売りが同時に動く可能性があります。
上昇か下落かを最初から断定するのではなく、出来高、信用残、メモリ価格、営業利益率、在庫などを確認し、どの条件でシナリオが変わるのかを事前に決めておくことが重要です。
なお、本記事は動画内容を整理したものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は、最新の決算資料や市場環境を確認したうえで慎重に行う必要があります。


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