本記事は、YouTube動画『9月の米国株見通しとインフレ時代の投資戦略』の内容を基に構成しています。
米国株市場では、8月にNASDAQ100やテクノロジー株を中心として相場が持ち直しました。しかし、動画では「8月が強かったからといって、そのまま安心できる状況ではない」と指摘されています。
特に注目されているのが、9月特有の株式市場の季節性、長期金利の上昇、インフレ再加速の可能性、円キャリートレードの巻き戻し、そして歴史的に見て割安と考えられるコモディティです。
動画では、これからの投資では株式だけを見るのではなく、金利、為替、原油、ゴールドなどを含めた幅広い視点から資産配分を考える必要があると解説されています。
8月の米国株は予想以上に強かった
まず動画では、8月の米国株市場について振り返っています。
一般的に8月は、それほど株価が強くなりやすい月ではありません。しかし今回の8月については比較的良好な相場となり、とりわけNASDAQ100などのグロース株が持ち直しました。
セクター別ではテクノロジー株の回復が大きかった一方、動画では大型株全体として見ると上昇率はそれほど大きくなく、まだ完全に安心できる状況ではないとしています。
また、7月については本来強くなりやすい季節でありながら弱い動きとなったため、その反動が8月に表れた可能性もあると指摘されています。
こうした点から、単純に「8月が上がったから9月も上がる」と考えるのではなく、過去の季節性や市場のパターンを理解したうえで相場を見ることが重要だという考え方です。
9月は株価が不安定になりやすい季節
動画では、9月の相場を見るうえで「シーズナリティ」が重要だと説明されています。
シーズナリティとは、過去の市場データから確認できる季節的な傾向のことです。
もちろん過去とまったく同じ値動きになるわけではありません。しかし、過去にどのような傾向があったのかを理解せず、目先の値動きだけを見るのは適切ではないというのが動画内の考え方です。
特にVIX指数については、9月から10月にかけて上昇しやすい傾向があるとされています。
VIXは「恐怖指数」とも呼ばれ、市場参加者が将来の株価変動をどの程度警戒しているのかを示す代表的な指標です。
VIXが上昇する局面では株価が下落しやすくなるため、9月以降については株価調整の可能性を頭に入れておく必要があるとしています。
長期金利の上昇は一時的な現象ではないとの見方
今回の動画で特に重視されているのが、長期金利です。
動画では、1980年代以降およそ40年間続いた金利低下の時代が2020年頃に終了し、2021年以降は金利上昇とインフレの時代へ移行したという見方が示されています。
さらに、この流れについて短期間で終わるものではなく、最低でも20年、長ければ40年程度続く可能性があるという長期的な見通しが語られています。
もちろん、これは動画出演者による市場見通しであり、将来の金利を確定的に予測できるものではありません。
ただし、投資において金利が非常に重要なのは確かです。
金利が上昇すると企業の資金調達コストが増え、株式のバリュエーションにも影響します。また、債券価格や為替、不動産、コモディティなど、ほぼすべての資産価格に波及します。
そのため動画では、「金利の見方を間違えると投資判断全体を間違える可能性がある」と強調しています。
エネルギー株が強い理由
8月のセクター動向では、エネルギー株の強さにも注目しています。
動画では、原油価格が上昇すると米国のエネルギー企業にとって利益が増加しやすい構造になっていると説明されています。
特に石油権益などを保有する企業の場合、採掘コストに対して販売価格が高くなれば、その差額が利益拡大につながります。
これは原油を海外から購入し、精製して販売する日本の石油会社とはビジネス構造が異なります。
そのため、原油価格が上昇する局面では、米国のエネルギー企業が強くなりやすいという見方です。
エネルギー株とテクノロジー株を組み合わせる考え方
動画では、エネルギー株とテクノロジー株をセットで考える投資方法も紹介されています。
原油などのエネルギー価格が上昇すると、企業の原材料費や輸送費などが上がり、インフレ圧力が強くなります。
インフレが強くなると金利が上昇しやすくなります。
金利上昇は、将来の利益を高く評価されているテクノロジー株やグロース株にとって逆風になりやすい傾向があります。
つまり、
エネルギー価格上昇
→ インフレ圧力上昇
→ 金利上昇
→ テクノロジー株に逆風
という関係が考えられます。
一方、原油価格上昇そのものはエネルギー企業にとって追い風です。
そのため動画では、エネルギー株とテクノロジー株を両方保有することで、一定のヘッジ効果が期待できるという考え方を紹介しています。
債券は現在の投資対象として魅力が低いとの見方
動画では、債券投資についてかなり慎重な姿勢が示されています。
ただし、「債券そのものが悪い」という意味ではありません。
重要なのは投資するタイミングです。
動画では金利が今後も上昇するという前提に立っているため、金利上昇によって価格が下落しやすい債券を現在積極的に購入する必要はないという考え方です。
実際、動画内では2020年8月頃から債券投資のリターンが長期間低迷し、73カ月にわたる下落局面になっているデータが紹介されています。
債券価格と金利は基本的に逆方向へ動きます。
市場金利が上昇すると、新たに発行される債券の利回りが高くなるため、低い利回りで発行された既存債券の魅力が低下し、価格が下がりやすくなります。
そのため、金利上昇局面では債券投資が難しくなる場合があります。
円キャリートレードの巻き戻しが株価下落につながる可能性
動画では、日本円と世界の金融市場との関係についても詳しく説明されています。
日本は長期間、世界でも非常に低い金利環境が続いてきました。
そこで世界の投資家は、低金利の円で資金を借り、その円を売ってドルなどの高金利通貨を購入し、株式や債券などで運用する「円キャリートレード」を行ってきました。
しかし、日本の金利が上昇したり、急激な円高が進んだりすると状況が変わります。
円を借りて投資していた投資家は、保有しているドル資産などを売却し、円を買い戻して借金を返済する必要があります。
その結果、大量の株式やその他のリスク資産が売却される可能性があります。
動画では、この円キャリートレードの巻き戻しが、将来的に世界的な株価調整を引き起こすきっかけの1つになる可能性もあるとしています。
米国の物価はまだ十分に下がっていない
今後の相場を考えるうえでは、米国のインフレ動向も重要です。
動画ではISMのデータを取り上げ、製造業の景況感そのものだけではなく、「新規受注」と「価格指数」を重要視しています。
特に価格指数については横ばいで推移しており、商品の価格が明確に下落しているわけではないと指摘しています。
ほかの物価関連指標でも価格低下が十分に確認できないため、今後CPIが再び上昇する場合には、金融政策に影響を与える可能性があります。
インフレが再び強くなれば、中央銀行が金利を高く維持する期間が長期化したり、状況によっては追加利上げが意識されたりする可能性があります。
そうなれば株式市場、とりわけ金利の影響を受けやすいグロース株にとっては注意が必要です。
ドルは長期的な下落サイクルに入っているとの見方
動画ではドルについても、長期的には弱気な見方が示されています。
出演者は、金利上昇によって債券価格が下がっている一方で、ドルそのものについては長期サイクルの観点から下落方向に向かっていると考えています。
さらに長いケースでは、2036年から2040年頃までドル安傾向が続く可能性があるという見方も紹介されています。
ここで重要なのは、単純なドル円の予想ではありません。
ドル円は日本円と米ドルの相対的な強さで決まります。
一方で動画が問題視しているのは、インフレによって「ドルそのものの購買力が低下する可能性」です。
そのため、通貨価値の低下に備える資産としてゴールドなどが注目されるという考え方につながります。
米国株は割高ではなくなってきている
一方で、動画は米国株そのものには比較的強気です。
S&P500については、長期的に見て極端な割安水準とまでは言えないものの、直近数年間の比較ではバリュエーションが低下していると指摘しています。
動画内では、S&P500の1年先予想PERが20倍を下回る水準まで低下しているとして、以前より投資魅力が高まっているという見方が示されています。
特にテクノロジー株については、株価下落によって割安感が大きくなっているとの評価です。
短期的な株価下落だけを見て売却するのではなく、企業価値やバリュエーションを見ながら投資判断を行うことが重要だとしています。
原油価格上昇はインフレ再加速の大きなリスク
動画後半では、原油価格の見通しについても取り上げています。
紹介されたファンドマネージャーの予想では、年末の原油価格について70ドルから80ドルを予想する人が42%、80ドルから90ドルを予想する人が33%、60ドルから70ドルを予想する人が14%となっています。
つまり、70ドル以上になると考えている人が75%を占めていました。
一方で動画収録時点では、すでに原油価格が90ドル付近まで上昇しており、市場参加者の想定以上に原油高が進む可能性を警戒しています。
原油価格は経済全体に大きな影響を与えます。
ガソリン価格だけではなく、物流費、航空運賃、化学製品、製造コストなど幅広い分野に波及するためです。
そのため原油高が続けば、インフレが再び加速する可能性があります。
ゴールドは長期的に高いリターンを残してきた
動画では、長期資産としてゴールドも高く評価されています。
紹介された長期データでは、ゴールドのリターンが賃金の伸びや住宅価格の上昇を上回ってきたという説明があります。
米国では住宅価格上昇による資産効果がよく注目されます。
住宅価格が上昇すると家計の資産が増えたように感じられるため、消費が増加し、それが景気を支えるという考え方です。
しかし動画では、それ以上にゴールドや株式を長期保有していた場合の資産成長が大きかったという点を強調しています。
株式に対してコモディティは歴史的に割安との指摘
今回の動画で最も重要なテーマの1つが、コモディティです。
コモディティとは、原油、天然ガス、金、銀、銅、小麦などの商品を指します。
動画では、株式とコモディティの長期的な相対価格を比較すると、現在のコモディティは非常に低い水準にあるとしています。
過去にはインフレや経済環境が大きく変化した局面で、コモディティ価格が株式に対して大きく上昇したケースがありました。
しかし今回は、まだそのような大規模な資金流入が起きていないという見方です。
そのため動画では、「コモディティは非常に割安であり、ここから上昇するリスクの方が高い」と考えています。
ここで「上昇するリスク」という表現が使われているのは、コモディティ価格上昇が投資家には利益機会になる一方、経済全体にとってはインフレ加速につながる可能性があるためです。
インフレ時代は株式だけでは十分ではない可能性
動画が最後に強調しているのは、資産配分です。
これまでのように株式だけを保有していれば十分なのか、それともインフレに備えて別の資産も組み合わせるべきなのかを考える必要があるとしています。
特に動画では、ゴールドやコモディティを資産配分に組み込む考え方が示されています。
インフレによって現金の購買力が低下する場合でも、資源価格や貴金属価格が上昇すれば、資産全体の価値を守る役割を果たす可能性があります。
つまり、投資では単に「増やす」だけではなく「守る」ことも重要です。
守るために保有した資産が上昇すれば、その結果として資産を増やすことにもつながります。
動画では、今後数年間は特にインフレへの備えが重要になる可能性があるとして、資産構成を見直す必要性を強調しています。
まとめ
今回の動画では、8月の米国株市場を振り返りながら、9月以降の投資環境について幅広く解説されています。
8月はNASDAQ100やテクノロジー株を中心に比較的強い相場となりましたが、9月から10月はVIXが上昇しやすく、株価が不安定になりやすい季節でもあります。
さらに長期金利の上昇、原油価格の高止まり、インフレ再加速、円キャリートレードの巻き戻しなど、複数のリスク要因があります。
一方、株価下落によってS&P500やテクノロジー株のバリュエーションは以前より低下しており、長期投資家にとっては投資機会になり得るという見方も示されています。
そして動画が特に注目しているのが、ゴールドやコモディティです。
株式に対してコモディティが歴史的に低い評価水準にあると考えるのであれば、インフレへの備えとして株式以外の資産を組み合わせるという考え方もあります。
重要なのは、「株が上がるか下がるか」だけで投資を判断しないことです。
金利、為替、インフレ、原油、ゴールド、コモディティなどを総合的に見ながら、自分の資産をどのように増やし、同時にどのように守るのかを考えることが、これからの投資環境ではますます重要になりそうです。


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