本記事は、YouTube動画『2026年秋相場とAIバブル崩壊リスクを解説した動画』の内容を基に構成しています。
これまでの夏相場では、「閑散に売りなし」といわれるように株式市場は比較的底堅く推移してきました。しかし、9月に入ると市場を取り巻く環境には徐々に変化が見え始めています。
動画では、2026年秋相場について、AnthropicのIPO、ハイパースケーラーによる増資や社債発行、長期金利の上昇、中東情勢の緊迫化など、複数のリスク要因が重なっていると指摘しています。
さらに重要なのが、2022年11月のChatGPT無料公開を起点としたAI相場が、過去のバブル相場と比較して「終盤に差しかかっている可能性がある」という見方です。
今回は、動画で解説された2026年秋相場のリスクとAIバブル崩壊の可能性について、初心者にも分かりやすく整理していきます。
2026年秋相場は波乱の展開になる可能性
動画では、2026年の秋相場について、これまでの夏相場とは雰囲気が変わる可能性があると指摘しています。
特に注目されているのが、AnthropicのIPOやハイパースケーラーによる資金調達です。
大規模なIPOが実施される場合、機関投資家は新規上場株を購入するための資金を事前に確保する必要があります。そのため、すでに保有している株式を売却して現金を準備する動きが広がる可能性があります。
とりわけ、AnthropicのIPOが早ければ9月中にも行われる可能性があるとすれば、それまでに機関投資家によるポートフォリオ調整が進むことになります。
その結果、これまで大きく上昇してきたハイテク株やAI関連株を中心に売り圧力が強まる可能性があるというわけです。
また、米国ではレイバーデー明けから市場参加者が本格的に戻ってきます。
夏休みを終えたウォール街の機関投資家がポートフォリオの見直しを始めるため、例年この時期は株式市場の需給に変化が起こりやすくなります。
動画では、こうした事情から秋相場が本格的に動き始めるタイミングとして、レイバーデー明けが重要になるとしています。
世界的な長期金利上昇が株式市場の重荷に
秋相場を考えるうえでもう1つ重要なのが、世界的な長期金利の上昇です。
動画では、米国だけでなく、日本、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアなど、世界各国で長期国債利回りが歴史的な高水準に上昇していると説明しています。
米国10年国債利回りについては、4.8%や4.75%付近のレジスタンスを上抜け、2025年1月以来の高水準を記録したとしています。
さらに上昇が続けば、2023年10月につけた5.02%付近が次のターゲットになる可能性もあるという見方です。
長期金利の上昇は、特にハイテク株にとって大きな逆風になります。
ハイテク企業やAI企業は将来の高い成長率を前提として株価が評価されているケースが多いため、金利が上昇すると将来利益の現在価値が低下します。
その結果、高PERの成長株ほど売られやすくなる傾向があります。
なぜ世界中で国債が売られているのか
動画では、世界的に長期国債が売られ、金利が上昇している理由として、複数の要因を挙げています。
1つが、ハイパースケーラーによる巨額の社債発行です。
ハイパースケーラーとは、Amazon、Microsoft、Googleなどに代表される、大規模なクラウドサービスやデータセンターを運営する企業を指します。
AI需要の拡大に対応するには、AI向け半導体だけでなく、巨大なデータセンター、電力設備、通信インフラなどへの莫大な投資が必要です。
その資金を調達する方法の1つとして利用されているのが社債です。
ハイパースケーラーの社債は信用格付けが高いうえ、国債よりも高い利回りを得られることから、年金基金や保険会社、債券ファンドなどの機関投資家にとって魅力的な投資先になります。
つまり、本来なら米国債などに流れていた資金の一部が、ハイパースケーラーの社債に向かうことになります。
これによって国債の需給が悪化し、国債価格が下落すると、反対に国債利回りは上昇します。
世界的な財政不安や原油高によるインフレ・利上げ懸念も重なり、長期金利が上昇しやすい環境が生まれているというのが動画の見方です。
長期金利上昇がAI投資を止める可能性
長期金利の上昇は、単に株価のバリュエーションを押し下げるだけではありません。
AI企業の設備投資そのものにも影響する可能性があります。
金利が高くなれば、新たに社債を発行するときに企業はより高い利回りを投資家に提示しなければなりません。
当然、企業が負担する利払い費用も増えます。
社債は満期になると元本を投資家に返済する必要があるため、企業にとって実質的には借金です。
AIへの巨額投資が十分な利益を生み出せるのであれば問題ありませんが、動画ではAIモデルのコモディティ化もリスクとして指摘しています。
AIサービスそのものの価格競争が激しくなり、投じた巨額の資金に見合うだけの利益を上げられなくなる可能性があるためです。
その状態でさらに金利が上昇すれば、ハイパースケーラーが予定していた社債発行を延期したり、規模を縮小したりする可能性があります。
すると、その資金を前提としていたAIデータセンターの建設計画まで延期・縮小される可能性があります。
AIデータセンター投資の減速は半導体株を直撃する
AIデータセンターへの設備投資が減速した場合、最も大きな影響を受ける可能性があるのがAI半導体企業です。
現在のAI半導体企業の業績には、大規模なAIデータセンター建設が今後も続くという期待が大きく織り込まれています。
しかし、資金調達コストの上昇によってデータセンター建設が延期された場合、それまで見込まれていた半導体需要も減少する可能性があります。
そうなればAI半導体企業の業績見通しが急速に悪化し、株価が大きく下落するリスクがあります。
動画では、半導体ETFのチャートにも弱気の兆候が出ていると指摘しています。
VanEck Semiconductor ETF(SMH)については、50日移動平均線がレジスタンスに転換し、上値を切り下げる形になっているとしています。
また、メモリー関連ETFについても、50日移動平均線がレジスタンスとなり、短期的な移動平均線を下回るなど弱気のシグナルが見られるとしています。
こうした状況から、動画ではAI半導体株が以前のような上昇モメンタムを失いつつあると分析しています。
ハイテク株が下落するとS&P500にも影響する
AI関連株だけが下落するのであれば、株式市場全体への影響は限定的かもしれません。
しかし現在のS&P500では、ハイテク株やAI関連企業の存在感が非常に大きくなっています。
そのため、長期金利上昇によって大型ハイテク株が買われにくくなると、指数全体も上昇しにくくなります。
動画では、現在の市場環境について「積極的に強気になる場面ではなく、慎重になるべき局面」と評価しています。
中東情勢の緊迫化で原油価格も上昇
株式市場にとってもう1つの大きなリスクが原油価格です。
動画では、米国とイランを巡る中東情勢が再び緊迫していることを取り上げています。
特に原油市場が警戒しているのが、ホルムズ海峡の状況です。
ホルムズ海峡は中東の原油を世界へ輸送するための重要な航路であり、通常時には世界の石油供給の約2割が通過するとされています。
その通航が大幅に制限されれば、世界の原油供給に大きな影響が出ます。
動画によると、9月1日のWTI原油先物は5.2%上昇し、1バレル90.22ドルまで上昇しました。
チャート上でも50日移動平均線や200日移動平均線をサポートとして反発しており、上昇トレンドが続いていると分析しています。
原油価格は85~100ドルの高値圏で推移する可能性
動画では、IEAの見通しにも触れています。
世界の石油市場では供給不足が予想される一方、中国を中心として需要が弱いことや、OPECプラスによる増産が原油価格の上値を抑える要因になると説明しています。
ただし、仮に産油国が増産したとしても、ホルムズ海峡を通って原油を世界市場へ輸送できなければ、価格を押し下げる効果は限定的です。
そのため動画では、当面の原油価格について1バレル85~100ドル程度の高値圏で乱高下する可能性を想定しています。
中東情勢がさらに悪化すれば100ドルを突破する可能性がある一方、米国とイランが停戦に向かい、ホルムズ海峡が正常化すれば80ドル程度まで下落する可能性もあるとしています。
つまり、現在の原油相場は通常の需要と供給だけではなく、地政学リスクによって大きく左右される状況にあるということです。
原油高が続けば金融政策にも影響する
原油価格が高止まりすることは、株式市場にとってさらに別の問題を生みます。
原油価格が上昇すると、ガソリン価格や物流費、製造コストなどが上昇し、インフレ圧力につながります。
景気が悪化して中央銀行が利下げをしたい状況になっても、原油高によるインフレが続けば、簡単には利下げできなくなる可能性があります。
反対にホルムズ海峡が正常化し、原油価格が急落すればインフレ圧力は弱まります。
そうなれば利上げ観測が後退したり、金融緩和への期待が高まったりするため、株式市場には追い風になります。
したがって、今後の株式市場を見るうえでは、長期金利だけでなく原油価格とホルムズ海峡の動向も重要になります。
過去のバブル相場はどのように始まったのか
動画後半では、今回のAI相場を過去のバブル相場と比較しています。
そこで取り上げられたのが、1970年代のニフティ・フィフティ、日本のバブル経済、1990年代のドットコムバブル、2000年代のBRICsブームです。
1970年代のニフティ・フィフティ
ニフティ・フィフティとは、1970年代前半の米国で人気を集めた大型優良株の総称です。
IBM、コカ・コーラ、マクドナルドなど、「永久に保有できる優良企業」と考えられた銘柄に資金が集中しました。
動画では、このブームは1970年5月頃から始まり、およそ31ヶ月続いたとしています。
日本の1980年代バブル
次に紹介されたのが日本のバブル経済です。
動画では1985年9月のプラザ合意を大きな起点として捉えています。
その後、低金利や過剰流動性、土地価格は下がらないという「土地神話」などを背景として株式と不動産価格が急上昇しました。
株式市場のバブルは1989年末まで続き、期間は約51ヶ月だったとしています。
その後バブルは崩壊し、日経平均株価は高値から大幅に下落しました。
1990年代のドットコムバブル
1990年代後半にはインターネット関連企業への投資ブームが発生しました。
動画では、1995年8月のネットスケープ上場をドットコムバブルの大きな起点としています。
「インターネットが世界を変える」という期待から、利益を出していない企業にも大量の資金が流れ込みました。
このバブル相場は約55ヶ月続いたとしています。
しかしその後、金利上昇や設備投資の失速、IPO増加などを背景に崩壊し、NASDAQ総合指数は高値から大幅に下落しました。
2000年代のBRICsブーム
さらに2000年代には、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs諸国への投資がブームとなりました。
ゴールドマン・サックスのエコノミストだったジム・オニール氏が、BRICs諸国が将来の世界経済で重要な役割を果たすという長期シナリオを示したことで注目が高まりました。
資源株や金融株などを中心に新興国株が急騰しましたが、米国のサブプライムローン問題をきっかけに資金が本国へ戻るリパトリエーションが起こり、新興国株も大幅に下落しました。
動画では、このバブル相場は約48ヶ月続いたとしています。
過去のバブルは約4年前後でピークを迎えている
これらの事例を振り返ると、動画ではバブル相場が概ね4年~4年半程度続くケースが多いとしています。
もちろん、すべてのバブルが同じ期間で終わるわけではありません。
しかし今回のAI相場について、2022年11月のChatGPT無料公開を起点と考えた場合、すでにかなりの期間が経過しています。
そのため動画では、AIバブルがいつ終了しても不思議ではない段階に近づいていると考えています。
AIバブルは鉄道バブルやドットコムバブルに似ている
今回のAIバブルについて、動画では1870年代の鉄道バブルや1990年代後半のドットコムバブルとの類似点を指摘しています。
鉄道バブルの時代には、「鉄道が世界を変える」という期待から鉄道網への過剰投資が発生しました。
ドットコムバブルでは、「インターネットが世界を変える」という期待から通信インフラや光ファイバー、IT企業への巨額投資が行われました。
そして現在は、「AIが世界を変える」という期待からAIデータセンターへの巨額投資が進んでいます。
重要なのは、鉄道もインターネットも実際に世界を大きく変えたことです。
つまり、技術そのものが本物であることと、その技術に関連した株式の価格がバブル化していることは別問題です。
鉄道は世界を変えましたが、鉄道バブルは崩壊しました。
インターネットも世界を変えましたが、ドットコムバブルは崩壊しました。
動画では同じように、AIが将来的に社会を変える技術だったとしても、AI関連株のバブルが永遠に続くわけではないと考えています。
AIバブルが崩壊すればソフトウェア株も下落する
動画では、「AIバブルが崩壊した場合、ソフトウェア株はどうなるのか」という質問にも回答しています。
結論としては、AIバブルが本格的に崩壊すればソフトウェア株も大きく売られる可能性が高いとしています。
バブル崩壊局面では、AI関連株だけが売られるとは限りません。
生活必需品やヘルスケアなど比較的景気に左右されにくいディフェンシブセクターまで売られる場合があります。
さらに株式だけでなく、金や暗号資産などを含め、幅広い資産が換金売りに巻き込まれる可能性があります。
したがって、「半導体株からソフトウェア株へ資金が移動する」というシナリオも、あくまでAI相場そのものが続いていることが前提になります。
AIバブル自体が崩壊すれば、ソフトウェア株も例外ではないという考え方です。
米国中間選挙もAIデータセンター投資のリスクになる可能性
動画では米国中間選挙についても触れています。
仮に議会で民主党の影響力が強まった場合、AIデータセンター建設に対する規制や地域住民からの反対が強まる可能性があります。
AIデータセンターは非常に多くの電力や水を使用するため、建設地域によっては住民との対立が問題になることがあります。
こうした政治的リスクについて、動画では現時点の株式市場が十分に織り込んでいない可能性があると指摘しています。
2026年秋がAIバブル崩壊の起点になる可能性
動画の最後では、今後の相場見通しについてまとめています。
2026年秋にはAnthropicのIPO、ハイパースケーラーによる増資や社債発行などが予定され、株式市場と債券市場の両方で需給が悪化する可能性があります。
それによって秋相場が波乱となり、その動きがAIバブル崩壊の起点になる可能性があるという見方です。
背景には、過去のバブル相場がおおむね4年~4年半程度でピークを迎えてきたことがあります。
2022年11月のChatGPT無料公開からAIバブルが始まったと考えれば、現在はバブル相場の「賞味期限」を意識すべき時期に入っているというわけです。
さらに動画では、投資家の信用取引残高が6月にピークアウトした可能性も懸念材料として挙げています。
過去30年を見ると、信用取引残高がピークアウトした後、3ヶ月以内にS&P500も天井をつけ、その後弱気相場へ移行する傾向が見られたとしています。
AIバブル崩壊は一気に進むとは限らない
ただし、動画では「ここからすぐに一直線で暴落する」と予想しているわけではありません。
むしろ、大きく下落した後に大きく反発し、再び下落するという値動きを何度も繰り返しながら、徐々に上値を切り下げていく展開を想定しています。
これはバブル相場の終盤でよく見られる動きでもあります。
企業業績や経済指標が比較的底堅ければ、市場参加者もすぐには悲観的になりません。
株価が下落するたびに「絶好の買い場だ」と考える投資家が現れ、反発する可能性があります。
そのため、本格的に投資家が恐怖を感じるような弱気相場が訪れるのは、さらに先になる可能性があるという見方です。
S&P500は最大50%下落する可能性も
動画では、仮にAIバブルが本格的に崩壊した場合のシナリオについても大胆な予測を示しています。
S&P500については高値から最大50%程度、円建てでは為替の影響も加わって最大60%程度下落する可能性を想定しています。
さらに、天井をつけてから底打ちするまで1年~1年半程度かかる可能性があるとしています。
欧州株や新興国株、金、ビットコインなども同時に下落すると予想しているものの、欧州株や新興国株については米国株より下落率が小さくなる可能性があるとしています。
もちろん、これらは動画内で示された相場シナリオであり、将来の値動きを保証するものではありません。
重要なのは、こうした大幅下落シナリオも含めて事前にリスク管理を考えておくことでしょう。
次の10年は「国際分散投資」の時代になるのか
動画が最終的に提示しているのが、「次の10年は国際分散投資の時代になる」という見方です。
これまでの米国株市場では、大型ハイテク企業やAI関連企業が指数全体を大きく押し上げてきました。
しかしAIバブルが崩壊した後の次の景気拡大局面では、S&P500の年間リターンが1桁台前半程度に低下する一方、欧州株や新興国株では2桁のリターンが期待できる可能性があると動画では予想しています。
つまり、過去10年以上のように「米国株だけを保有しておけばいい」という環境から、米国、欧州、新興国などへ幅広く投資することの重要性が高まる可能性があるということです。
まとめ
2026年秋相場について、動画ではかなり慎重な見方が示されています。
最大のポイントは、単独の悪材料ではなく、複数のリスクが同時に重なっていることです。
AnthropicのIPOやハイパースケーラーによる巨額の資金調達によって株式・債券市場の需給が悪化する可能性がある一方、世界的な長期金利上昇によってAI設備投資の資金調達コストも高まっています。
さらに中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇すれば、インフレ圧力が再び強まり、中央銀行が金融緩和に動きにくくなる可能性があります。
こうした環境の中で、AI半導体株にはモメンタム低下の兆候も見え始めているというのが動画の分析です。
また、過去のニフティ・フィフティ、日本株バブル、ドットコムバブル、BRICsブームなどを振り返ると、バブル相場がおよそ4年前後で大きな転換点を迎えてきた例が紹介されています。
2022年11月のChatGPT無料公開を今回のAIバブルの起点と考えるのであれば、AI相場がすでに終盤へ近づいている可能性についても警戒する必要があるでしょう。
ただし、バブル崩壊が始まったとしても、株価が一直線に下落するとは限りません。大幅下落と急反発を繰り返しながら時間をかけて相場の天井が形成される可能性もあります。
投資家にとって重要なのは、「AIは今後も成長するから株価も上がり続ける」と単純に考えるのではなく、長期金利、企業の資金調達、AI設備投資、原油価格、中東情勢、市場の需給などを総合的に確認することです。
そして動画が最後に示しているように、仮に米国株主導のAI相場が大きな転換点を迎えるのであれば、その後は米国株だけに集中するのではなく、欧州株や新興国株も含めた「国際分散投資」がこれまで以上に重要になる可能性があります。


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