本記事は、YouTube動画『古河電工・任天堂・JX金属・レーザーテックの決算分析とフジクラ決算の注目点』の内容を基に構成しています。
上場企業の決算発表が相次ぐなか、古河電気工業、任天堂、JX金属、レーザーテックの業績が発表されました。
なかでも大きな注目を集めたのが、第1四半期から上方修正に踏み切った古河電工です。データセンター向け需要の拡大を背景に業績が大きく伸び、発表直後には株価が急上昇しました。
一方、任天堂やJX金属については、表面的な利益成長だけでなく、関税、為替、資産売却などの一時的な要因を分けて考える必要があります。レーザーテックも見た目の数字には物足りなさがあるものの、受注見通しなどを確認すると、必ずしも悲観一色とはいえません。
さらに市場では、古河電工の好決算を受け、翌日に決算発表を控えるフジクラへの期待も高まっています。
古河電工は第1四半期から異例の上方修正
古河電工の第1四半期決算は、非常に強い内容となりました。
売上高は前年同期比24.3%増、営業利益は約3.1倍、最終利益は約4.4倍で着地しています。売上高だけでなく、利益が大幅に伸びている点が特徴です。
さらに会社側は、通期業績予想の上方修正も発表しました。
修正後の見通しでは、売上高が前期比17%増、営業利益が同92%増、最終利益が同44%増となる見込みです。
従来予想と比較すると、売上高は約4.8%、営業利益は約29.5%、最終利益は約28%引き上げられました。
第1四半期での上方修正が大きなサプライズに
古河電工は、過去5年の決算を見ても、第1四半期の段階から上方修正を発表するケースがほとんどありませんでした。
そのため、今回の早い段階での業績予想引き上げは、市場にとって大きなサプライズになったと考えられます。
決算が発表された直後には買い注文が集まり、株価は急上昇しました。決算発表前には3500円前後まで下落していましたが、発表後には一時4100円付近まで上昇しています。
株価収益率を示すPERは約26.2倍です。成長期待の高い企業としては、以前よりも現実的な評価水準に近づいてきたとの見方もできます。
データセンター向け事業が成長をけん引
事業別に見ると、光ソリューション事業の売上高は約45%増加しました。
情報通信関連のコンポーネント事業も約32%増となっています。これらは主にデータセンター向け需要の拡大によるものです。
生成AIの普及によってデータセンターの建設や設備投資が世界的に拡大するなか、高速・大容量通信に必要な光ファイバーや光関連部品の需要も増えています。
市場が注目していたデータセンター向け事業が実際に好調であり、それが今回の上方修正につながったと考えられます。
株価は決算前まで陰線が続き、売られる場面が目立っていましたが、直近では上昇に転じる動きも見られます。市場全体の地合いには注意が必要ですが、決算そのものは高く評価できる内容でした。
任天堂は営業利益2.5倍も一時的な要因に注意
任天堂の第1四半期決算は、売上高が前年同期比9.5%減、営業利益が約2.5倍、最終利益が約53%増となりました。
利益の数字だけを見ると非常に強い決算に見えます。しかし、内容を詳しく確認すると、関税や為替などの影響を慎重に考える必要があります。
関税還付と為替が利益を押し上げ
今回の決算では、関税の還付による影響が大きかったとされています。
金額は約3億ドルで、為替レートによって変動するものの、日本円ではおよそ400億円から500億円規模になります。
任天堂の営業利益は、前年同期の約569億円から約1425億円へ拡大しました。ただし、この増加分のうち相当な部分が関税還付によるものと考えられます。
さらに、営業利益段階で為替が約222億円のプラス要因となりました。
関税還付と為替の影響を合計すると、600億円から700億円程度の利益押し上げ要因になった可能性があります。
そのため、営業利益が約2.5倍になったからといって、本業の収益力がそのまま同じ規模で伸びたとは限りません。一時的な利益と継続的に得られる利益を分けて見る必要があります。
部材価格や関税による1000億円規模の影響を想定
会社側は今後の業績予想について、為替レートを1ドル150円として計算しています。
また、メモリを中心とした部材価格の高騰や、関税の支払いなどに伴う利益減少要因として、約1000億円を織り込んでいます。
ゲーム機や電子機器には大量の半導体メモリが使われるため、メモリ価格の上昇は製造コストの増加につながります。
任天堂はメモリ関連銘柄と株価が反対方向に動く場面があり、メモリ価格が下がると任天堂の採算改善が期待され、株価が上がりやすくなる傾向があります。
決算発表後のPTSでは、株価が約3%上昇しました。関税や為替による特殊要因を除いても本業の利益は伸びており、利益率も改善傾向にあるとみられます。
信用取引の買い残も減少しているため、需給面も以前より改善している可能性があります。
JX金属はAI需要で成長も株式売却や銅価格が利益を押し上げ
JX金属の第1四半期決算は、売上高が前年同期比36%増、営業利益が約2.8倍、最終利益も約2.8倍となりました。
会社側は通期業績予想も上方修正し、従来予想から約24%引き上げています。最高益予想をさらに上乗せする強い内容です。
ただし、決算発表後のPTSでは株価が約3%下落しました。
半導体材料と情報通信材料が好調
本業では、半導体材料セグメントの売上高が約34%増加しました。
情報通信材料セグメントも、AIサーバー向け需要を受けて売上高が約19.1%増えています。
生成AI市場の成長に伴い、高性能半導体や通信機器に使われる材料の需要が拡大しており、JX金属もその恩恵を受けています。
AIサーバーでは大量のデータを高速処理する必要があるため、高性能な半導体や通信部品、それらに使われる高品質な金属材料が必要になります。
約190億円の株式売却益を計上
基盤材料セグメントでは、MLCC関連株式の一部譲渡に伴い、約190億円の売却益を計上しました。
MLCCとは積層セラミックコンデンサのことで、スマートフォン、自動車、サーバー、家電など、幅広い電子機器に使われる重要部品です。
今回の利益には株式売却という一時的な要因が含まれているため、営業利益の伸びをそのまま本業の成長と捉えるのは注意が必要です。
また、前年同期と比べて円安が進んだことや、銅価格が大きく上昇したことも業績を押し上げました。
JX金属は海外売上高が多く、資源価格の影響も受けやすいため、円安や銅価格上昇は利益面で追い風になります。
決算の表面的な数字は非常に強いものの、株式売却益、為替、銅価格といった複数のプラス要因が重なっています。
株価は決算前まで上昇していたため、PTSでの下落は材料出尽くしによる売りだった可能性があります。
レーザーテックは成長率鈍化も受注見通しに注目
レーザーテックは本決算を発表し、次期の通期業績見通しを開示しました。
会社予想では、売上高が前期比25%増、営業利益が同18%増、最終利益が同16%増となる見込みです。
一般的な企業であれば十分に高い成長率ですが、これまで急成長を続けてきたレーザーテックとしては、やや物足りない印象を与える数字です。
決算を見た直後には、株価が下落しそうだと感じた投資家も多かったと考えられます。
第4四半期は売上高・営業利益ともに減少
第4四半期だけを見ると、売上高は前年同期比約26%減、営業利益は同約37%減となりました。
レーザーテックとしては珍しく、弱い数字が出た印象があります。
ただし、同社は期初に保守的な業績予想を発表し、その後に上方修正するケースが比較的多い企業です。
特に第2四半期の段階で業績予想を引き上げることが多いため、今回の会社予想も慎重に設定されている可能性があります。
受注見通しは3000億円から4000億円
決算説明資料では、今後の受注見通しについて3000億円から4000億円程度と示されました。
前年度の受注額は約2375億円だったため、会社側の見通しどおりに推移すれば、受注規模は大きく拡大することになります。
一方、会社が開示した売上高予想は約2900億円です。
受注した製品がすぐに売上高へ計上されるわけではなく、製造、納品、検収までに時間がかかるため、受注額と売上高には時期のずれが生じます。
そのため、受注見通しが3000億円から4000億円だからといって、その金額がすべて同じ年度の売上高になるわけではありません。
それでも、高水準の受注を見込んでいることを明示した点は、会社側が投資家に伝えたい重要なメッセージと考えられます。
会社は粗利益額を増やしながら、利益率も高めていく方針を示しています。表面的な業績予想は物足りなく見えますが、受注や収益性の改善を考えると、決算内容は極端に悪いものではありません。
決算前の株価は3万5000円付近から4万3000円付近まで反発していました。決算発表後のPTSでは4万円を割り込み、3万9900円前後で取引されています。
古河電工の好決算でフジクラへの期待が上昇
翌日の決算で最も注目されている銘柄の1つがフジクラです。
古河電工が非常に強い決算を発表したことで、同じく光ファイバーやデータセンター関連需要の恩恵を受けるフジクラにも、好決算への期待が高まっています。
5月の決算では株価が8000円から4000円へ急落
フジクラは5月に本決算を発表し、売上高5.1%増、営業利益11%増、最終利益0.7%増という業績見通しを示しました。
当時の市場では、AIやデータセンター向け需要による高成長が続くとの期待が非常に高まっていました。
そのため、会社が発表した業績予想は投資家の期待を大きく下回るものと受け止められました。
決算発表を受け、8000円付近まで上昇していた株価は、一時4000円付近まで下落しました。短期間で株価がほぼ半分になる急落です。
これまで高い成長を続けてきたため、市場では「過去最高の業績を出して当然」というほど期待値が上がっていました。その状況で控えめな見通しが出たことが、大きな失望売りにつながりました。
わずか約1カ月後に上方修正
フジクラは5月14日の決算発表から約1カ月後となる6月18日に、業績予想の上方修正を発表しました。
修正後の見通しでは、売上高が17%増、営業利益が46%増、最終利益も46%増となりました。
決算発表から短期間で大幅な上方修正を出したため、投資家からは「最初からより正確な予想を出せなかったのか」という不満も出やすい状況です。
フジクラは過去にも上方修正を繰り返す傾向があり、市場では今回の決算でも再び上方修正が発表されるかが注目されています。
すでに6月に1度上方修正を行っているため、第1四半期決算で2度目の修正に踏み切るかどうかが焦点です。
古河電工決算後に急上昇するも全戻し
古河電工の好決算が発表された直後、フジクラの株価も短時間で急上昇しました。
同業の古河電工がデータセンター向け需要によって好業績を記録したため、フジクラも同様に好調なのではないかとの思惑から買いが入りました。
しかし、上昇は長続きせず、その後は徐々に下落し、最終的には上昇分をほぼすべて失いました。
期待が極めて高い銘柄では、好決算を発表するだけでは株価が上がらず、市場予想を大幅に超える数字や上方修正が必要になる場合があります。
古河電工の好決算によってフジクラへの期待値がさらに上がったことは、決算後の株価にとってプラスにもマイナスにもなり得ます。
市場全体では売買代金が減少
当日の市場全体を見ると、売買代金は約9兆881億円となりました。
ただし、主要市場の売買代金は約1兆6990億円にとどまり、夏枯れ相場を思わせる低調な取引となっています。
少し前までは3兆円を超える売買代金が珍しくありませんでしたが、直近では2兆6000億円、2兆5900億円と3兆円を下回る日が続き、この日はさらに2兆円を割り込む水準まで減少しました。
売買が少ない相場では、少ない注文でも株価が大きく動きやすくなります。決算発表後の値動きも不安定になりやすいため、通常以上に注意が必要です。
太陽誘電は好決算でも約11%下落
売買代金上位には太陽誘電が入りましたが、株価は約10.98%下落しました。
前日の決算発表後、PTSでは大きく買われ、一時はストップ高を期待させるほど上昇していました。
しかし、翌日の通常取引では大幅な上昇で始まった後に売りが膨らみ、最終的には約11%下落しました。
業績自体は好調で、会社は上方修正を発表しています。営業利益は約2.3倍となり、市場予想も上回りました。
それでも株価が下落したのは、決算前やPTSの段階で好材料を先回りして買う動きが強まり、通常取引が始まった後に利益確定売りが出たためと考えられます。
決算内容が良いからといって、必ず株価が上昇するわけではありません。株価は業績の絶対的な良し悪しだけでなく、事前の期待値や需給によって決まります。
翌日はフジクラやリクルート、三井金属の決算に注目
翌日の決算では、フジクラが最大の注目銘柄となります。
フジクラの決算発表時刻は公式サイトで明確に示されていないものの、過去の発表時刻から14時ごろになる可能性があるとみられています。
このほか、リクルートホールディングスや三井金属などの決算発表も予定されています。
市場全体の地合いが悪化しているため、決算内容が良くても利益確定売りに押される可能性があります。
また、海外市場では半導体関連銘柄の値動きも、日本のAI・データセンター関連株に影響を与える可能性があります。
まとめ
今回の決算で最も強い内容だったのは古河電工です。
売上高が24.3%増、営業利益が約3.1倍、最終利益が約4.4倍となり、第1四半期から異例の上方修正を発表しました。データセンター向けの光ソリューション事業が成長をけん引しており、業績の中身も評価しやすい内容です。
任天堂は営業利益が約2.5倍となりましたが、関税還付や為替による利益押し上げが大きく、一時的な要因を除いて判断する必要があります。
JX金属もAIサーバー向け材料が好調でしたが、株式売却益、円安、銅価格上昇の影響が含まれています。
レーザーテックは通期予想や第4四半期の数字に物足りなさがある一方、受注見通しは3000億円から4000億円と高水準です。今後の上方修正や利益率改善が注目されます。
そして翌日の焦点はフジクラです。古河電工の好決算によって期待が一段と高まっており、単なる好決算ではなく、市場予想をどこまで上回れるかが重要になります。
決算投資では、前年同期比の数字だけを見るのではなく、一時的な利益、為替、資源価格、事前の期待値、信用取引の需給まで確認することが重要です。業績が良くても株価が下がるケースがあるため、決算内容と株価反応を分けて考える必要があります。


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