「2053年まで日本は強気相場」日経平均30万円・初任給100万円説の根拠とは?エミン・ユルマズ氏とイェスパー・コール氏が日本株を強気で見る理由

本記事は、YouTube動画『「2053年まで日本は強気相場」日経平均30万円/初任給100万円説「それでも保守的」と言う根拠とは?【エミン・ユルマズ×イェスパー・コール】Market Jam』の内容を基に構成しています。

日本株は今後どこまで上昇する可能性があるのでしょうか。

今回の動画では、エコノミストのエミン・ユルマズ氏と、日本株ストラテジストとして知られるイェスパー・コール氏が、日経平均の長期見通しや日本経済の構造変化、AI投資の行方、為替介入などについて議論しています。

特に注目を集めたのが、エミン氏による「2050年までに日経平均30万円」、イェスパー氏による「2030年に日経平均10万円」という大胆な予測です。

しかし2人は、これらについて「強気すぎる予測ではなく、むしろ保守的」と指摘しています。

その背景には、日本株が2013年から長期的な上昇サイクルに入っているという見方や、日本企業の利益成長、さらに日本がデフレからインフレ経済へ転換しているという構造変化があります。

今回は動画の内容をもとに、その根拠を詳しく見ていきます。

目次

日本株だけでなく地政学とAIが今後の相場を左右する

番組ではまず、直近の市場を動かしているテーマについて議論が行われました。

エミン氏が注目しているのは、中東情勢、とりわけイランを巡る交渉です。

イランを巡る緊張が緩和されれば、原油価格が下落する可能性があります。日本は原油の大部分を輸入に依存しているため、原油価格の下落は日本経済にとってプラスになりやすく、円安圧力の緩和にもつながる可能性があります。

反対に戦争や緊張状態が長期化すれば、原油価格上昇や円安圧力が再び強まり、場合によっては為替介入が必要になる可能性もあるとしています。

ただしエミン氏は、イランを巡る交渉については過去にも何度も「合意が近い」と報じられてきたため、実際に合意が成立するかどうかについては慎重な姿勢を示しました。

AI株が下落しても株式市場全体が崩れているわけではない

一方、イェスパー氏が注目しているのがAI関連株の動きです。

近年の米国株市場では、AI関連企業や半導体企業が相場を大きく牽引してきました。

そのため、AIバブルが崩壊すれば株式市場全体が大きく下落するのではないかという懸念があります。

しかしイェスパー氏は、実際にはAI以外の企業業績が予想以上に強いと指摘します。

エミン氏も同様に、AI関連株が売られているからといって、市場全体から資金が逃げているわけではないと説明しています。

例えば米国では、伝統的な企業を多く含むダウ工業株平均が高値を更新する場面がありました。

日本株でも、半導体やAI関連株が下落した日に、自動車など輸送用機器関連株が買われる動きが見られたといいます。

つまり現在起きているのは、株式市場全体からの資金流出ではなく、

「AI・半導体株から別の業種へ資金が移動している」

というセクターローテーションの可能性があります。

これまで値上がりが大きかったAIや半導体関連株から、自動車など相対的に割安な銘柄へ資金が移動しているという見方です。

為替の協調介入は「根本解決」ではなく時間稼ぎ

番組では、為替市場への協調介入についても議論されています。

動画では、7月30日と31日の2日間にわたり協調介入が行われ、2011年の東日本大震災後以来、15年ぶりの協調介入になったと説明されています。

エミン氏は、日本単独では円安を止めることが難しくなったため、米国の協力が必要になったという見方を示しています。

イェスパー氏は、米国側から見れば比較的低コストで日本を支援できる政策だったと評価しています。

一方で、エミン氏は協調介入によって円安の根本的な原因が解消されるわけではないとも指摘します。

あくまで円安の進行を一時的に抑え、その間に原油価格の下落や地政学リスクの後退など、円にとって有利な環境が整うのを待つ「時間稼ぎ」という位置付けです。

日本の産業政策を米国は高く評価している可能性

イェスパー氏は、日本政府が進めようとしている大規模な産業政策についても言及しています。

動画では、長期的な産業政策として約370兆円規模の政策が話題となっています。

イェスパー氏によれば、米国のトランプ政権は、日本が短期的な景気刺激ではなく、長期間にわたって産業競争力を高めようとしている点を評価している可能性があるといいます。

日本国内では、

「本当に実現できるのか」

「財源はどうするのか」

といった批判が出やすい一方、米国側から見れば、製造業や産業基盤を国内に戻そうとする政策は、米国の産業政策とも共通点があります。

そのため、日本の産業政策に対して米国側が一定の評価をしているという見方です。

AI投資は2000年前後のITバブルと同じ道をたどるのか

番組ではMicrosoftやAmazonなど、大手テクノロジー企業のAI投資についても議論されています。

近年、Microsoft、Amazon、Googleをはじめとする世界の大手IT企業は、AI向けデータセンターや半導体、クラウド設備などに巨額の資金を投入しています。

エミン氏は、現在の状況について「設備投資が過剰になっている可能性がある」と指摘します。

その例として挙げられたのが、2000年前後のITバブルです。

当時、インターネットが急速に普及するという期待から、大量の光ファイバー網が建設されました。

しかし実際の通信需要は設備投資の速度に追いつかず、ITバブル崩壊時には大量の未使用回線が残ったといわれています。

エミン氏は、現在のAI向けデータセンター投資も同じような状況になる可能性があると見ています。

AI需要を見込んで各社が一斉に計算能力を増強していますが、将来的に供給能力が需要を大きく上回れば、設備の収益性が低下する可能性があります。

AIは将来的に「公共インフラ」のようになる可能性

さらに番組では、AIそのものが今後急速にコモディティ化する可能性も指摘されています。

現在はAIが大きな成長テーマとして注目されています。

しかし数年後には、AIは電話やインターネットのような「誰でも使える当たり前のインフラ」になる可能性があります。

そうなれば、AIそのものから高い利益率を得ることは難しくなるかもしれません。

クラウドサービス会社が大量のAI計算能力を提供するようになれば、電力会社や通信会社のようなインフラ企業に近づいていくという考え方です。

インフラは社会に欠かせない一方で、競争が進めば料金が下がり、企業の利益率も低下する傾向があります。

つまりAI市場が成長し続けたとしても、

「AI企業だから高収益」

という現在の市場評価が永遠に続くわけではないということです。

AI投資のコストが利用者に転嫁されている

動画では、MicrosoftやGoogleなどが既存サービスにAI機能を追加し、料金を引き上げていることについても話題になりました。

例えばMicrosoft 365などでは、従来のOffice機能にAIサービスを組み合わせる動きが進んでいます。

しかし利用者のすべてがAI機能を必要としているわけではありません。

エミン氏は、企業が巨額のAI投資を行った結果、そのコストをサービス料金の引き上げという形でユーザーに転嫁している側面があると指摘します。

Amazon Primeなどでも広告導入が進んでおり、利用者側からすると、

「料金を支払っているにもかかわらず、さらに広告や追加料金が発生する」

という状況になっています。

AI競争による巨額投資が続けば、こうした形で消費者側の負担が増える可能性があります。

Microsoft OfficeやExcelの支配力もAIで変わる可能性

AIの普及は、既存のソフトウェア市場にも大きな変化をもたらす可能性があります。

これまでビジネスの世界では、Microsoft WordやExcelが圧倒的な存在感を持ってきました。

しかし生成AIが普及すると、ユーザーが自分でExcel関数を覚えたり、複雑な表計算を組んだりする必要性が低下する可能性があります。

自然言語でAIに指示するだけで、表計算やデータ分析ができるようになるからです。

エミン氏は、10年後には若い世代が現在ほどExcelを使わなくなっている可能性もあると指摘しています。

かつてFORTRANやCOBOLなどのプログラミング言語が主流だった時代から技術が変化したように、現在当たり前に使われているOfficeソフトもAIによって存在意義が変わる可能性があります。

エミン・ユルマズ氏「2050年までに日経平均30万円」

ここから番組の大きなテーマとなる、日本株の長期見通しに話が移ります。

エミン氏が以前から掲げている予測が、

「2050年までに日経平均30万円」

というものです。

現在の感覚では非常に大胆な数字に見えます。

しかしエミン氏は、この予測について「極めて保守的」と説明しています。

その根拠になっているのが、日本株の超長期的なサイクルです。

日本株には約40年上昇・約23年調整というサイクルがある

エミン氏によると、日本の株式市場は長期的に見ると、過去に似たようなサイクルを経験しています。

日本株市場がスタートした1878年以降、約40年間上昇し、その後約23年間の調整期間がありました。

戦後も1949年から株式市場が再スタートし、1989年まで約40年間上昇しました。

その後、日本のバブル経済が崩壊し、株式市場は長期低迷期に入ります。

1990年から2013年までを見ると、およそ23年間です。

つまり過去のパターンを整理すると、

約40年間の上昇相場

約23年間の調整相場

というサイクルが2回繰り返されているといいます。

この考え方に基づけば、2013年から新しい約40年間の上昇相場が始まった可能性があります。

その場合、長期的な強気相場は2053年頃まで続く計算になります。

過去の強気相場では日経平均が225倍になった

エミン氏は、過去の日本株の上昇率についても説明しています。

戦後の株式市場では、1949年の安値から1989年の高値まで、日経平均は約225倍になりました。

さらに戦前の上昇局面では、指数が約300倍になった時期もあったとしています。

もちろん、株価が極端に割安だった底値と、バブルで極端に割高だった高値を比較すると、数字が大きくなりすぎます。

そこでエミン氏は、より現実的な数字を出すために、極端な局面を除外しています。

過去の上昇相場の中でも、比較的落ち着いていた約20年間だけを見ると、日経平均は約20倍になったといいます。

1万5000円×20倍で日経平均30万円

エミン氏が「日経平均30万円」という数字を導き出した計算は非常にシンプルです。

2013年頃の日経平均を約1万5000円とします。

これが過去の比較的落ち着いた上昇相場と同じように約20倍になれば、

1万5000円 × 20 = 30万円

となります。

つまり、過去の極端な株価上昇を前提にしているわけではありません。

過去の長期上昇相場の中でも比較的穏やかな期間を基準にしているため、「30万円でも保守的」というわけです。

イェスパー・コール氏は「2030年に日経平均10万円」

イェスパー氏も日本株に強気です。

予想は、

「2030年に日経平均10万円」

です。

エミン氏が超長期的な株価サイクルを重視しているのに対して、イェスパー氏は日本企業の業績成長を根拠にしています。

日本企業の利益が毎年約13%成長していけば、2030年の日経平均10万円は決して非現実的ではないという考えです。

株価は短期的には需給や投資家心理によって上下します。

しかし長期的には企業利益が重要になります。

企業が利益を増やし続ければ、株価指数も長期的に上昇しやすくなります。

そのためイェスパー氏は、今後の日本株を「業績相場」と見ています。

日本はデフレ時代からインフレ時代へ転換した可能性

2人が日本株に強気なもう1つの理由が、インフレです。

エミン氏は、経済には長期的なトレンドと短期的なサイクルがあると説明しています。

日本は長年、長期的なデフレ環境にありました。

その途中で一時的なインフレが起きることはあっても、大きな流れとしては物価が上昇しにくい時代が続いていました。

しかし今後は逆に、長期的なインフレの時代に入る可能性があるとしています。

もちろん景気後退やAIバブル崩壊などが起きれば、一時的にデフレになる可能性はあります。

それでも長期的な物価上昇トレンドそのものは変わらないという考え方です。

日経平均30万円より先に「初任給100万円」になる可能性

非常に印象的なのが、

「日経平均30万円より前に、大卒初任給が100万円になる可能性がある」

という発言です。

現在、日本の大卒初任給は30万円前後まで上昇する企業も増えています。

今後長期間にわたってインフレと賃金上昇が続けば、将来的に初任給が100万円になる可能性も否定できないという考えです。

もちろん現在の100万円と、将来の100万円では価値が違います。

物価が大きく上昇すれば、お金そのものの購買力は低下します。

同じ意味で、将来の日経平均30万円も、現在の感覚で見る30万円とは意味が変わってきます。

そのためエミン氏は、インフレまで考慮すれば「日経平均30万円」という予測はむしろ控えめだと見ています。

日経平均が上昇しても生活が30倍豊かになるわけではない

ここで注意したいのは、日経平均が30万円になったからといって、日本人の生活水準が単純に現在の数倍になるわけではないことです。

インフレが進めば、企業の売上や利益、賃金、株価などは名目上大きくなります。

しかし同時に、食品、住宅、自動車、サービスなどの価格も上昇します。

そのため重要なのは、単純な株価指数の数字だけではなく、

企業利益

賃金

物価

金利

通貨価値

といった要素を総合的に見ることです。

日経平均30万円という数字も、「日本経済が現在より20倍豊かになる」という意味ではなく、長期的な企業利益成長とインフレを含めた名目株価の予測として理解する必要があります。

日本株の長期上昇を支える「スーパーサイクル」という考え方

今回の議論で重要なのが「スーパーサイクル」という考え方です。

株式市場では、数か月から数年単位の景気循環だけでなく、数十年単位の大きなトレンドが存在することがあります。

例えば1989年のバブル崩壊後、日本株は長期間低迷しました。

日経平均は1989年末に約3万9000円の高値を付けた後、大きく下落し、その水準を回復するまで非常に長い時間がかかりました。

しかしエミン氏の考え方では、その長期低迷は2013年頃に終了しています。

2013年以降は、

デフレからインフレへの転換

企業統治改革

株主還元の強化

賃金上昇

設備投資の増加

日本企業の収益力改善

といった変化が重なり、日本株は新しい長期上昇局面に入った可能性があります。

このスーパーサイクルが2053年頃まで続くのであれば、途中で暴落や景気後退があったとしても、長期トレンドそのものは上向きということになります。

AIバブルが崩壊しても日本株の長期上昇は終わらない可能性

今回の動画ではAIバブルへの警戒論もかなり強く語られています。

しかし興味深いのは、AIバブル崩壊への警戒と、日本株への長期強気見通しが両立している点です。

エミン氏は、AI関連企業への投資が過剰になっている可能性を指摘しています。

AIバブルが崩壊すれば、半導体株や大型テクノロジー株が大きく下落する可能性があります。

ただし、それはあくまで短期的、あるいは循環的な調整です。

日本経済が長期的なインフレ局面に入り、企業利益と賃金が成長していくのであれば、AI関連株の下落だけで日本株全体の長期上昇トレンドが終了するとは限りません。

むしろ現在見られているように、AI関連株から自動車や伝統的な企業へ資金が移動することで、株式市場内部の循環が続く可能性があります。

「日経平均30万円」は株価予想というより日本経済の構造変化を示す数字

日経平均30万円という数字だけを見ると、極端な強気予想に感じる人も多いでしょう。

しかし今回の議論を見ると、その背景には単純な楽観論ではなく、

日本株の長期サイクル

企業利益の成長

インフレへの転換

賃金上昇

資本市場改革

といった構造的な変化があります。

特に重要なのは、日本が約30年間続いたデフレ経済から抜け出しつつあるという点です。

デフレ時代では、企業は値上げを避け、賃金を抑え、現金を貯め込む傾向がありました。

しかしインフレ経済では、企業が価格を引き上げ、売上と利益を増やし、それが賃金上昇につながる循環が生まれる可能性があります。

こうした経済構造が定着するのであれば、日本株の評価そのものが大きく変わる可能性があります。

まとめ

今回の動画では、エミン・ユルマズ氏とイェスパー・コール氏が、AI市場、為替介入、地政学リスク、日本企業の業績、そして日本株の超長期的な見通しについて議論しました。

特に大きなテーマとなったのが、エミン氏の「2050年までに日経平均30万円」、イェスパー氏の「2030年に日経平均10万円」という予測です。

一見すると非常に強気な数字ですが、2人はむしろ保守的な予測だと考えています。

エミン氏は、日本株が2013年から新しい約40年間のスーパーサイクルに入り、2053年頃まで長期上昇相場が続く可能性があると見ています。

過去の日本株の上昇局面では株価指数が200倍以上になった時期もあり、極端な局面を除いても約20倍になった期間がありました。そのため2013年頃の日経平均約1万5000円を20倍すると、30万円という数字になります。

一方、イェスパー氏は、日本企業の利益が年率約13%で成長していけば、2030年の日経平均10万円は十分現実的だと考えています。

さらに日本がデフレからインフレ経済へ移行すれば、将来的には大卒初任給100万円という時代もあり得るといいます。

その場合、日経平均30万円という数字自体も、現在の感覚ほど大きな数字ではなくなっている可能性があります。

今後の日本株を考える際には、短期的な株価の上下だけではなく、日本が数十年単位の経済構造転換に入っているのかという視点が重要になりそうです。

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