本記事は、YouTube動画『爆下げ株をアクティビストが大量保有』の内容を基に構成しています。
決算シーズンでは、業績そのものが大きく悪化していなくても、株価が急落するケースがあります。市場予想に届かなかった場合や、すでに好業績が株価に織り込まれていた場合には、決算発表をきっかけに大きな売りが出ることも珍しくありません。
今回の動画では、M3、サイバーエージェント、SUMCO、鹿島建設、五洋建設、富士フイルム、KDDIなど、決算発表後に株価が下落した銘柄が取り上げられています。
なかでも注目されているのが、長期低迷が続くM3にアクティビストとして知られるオアシス・マネジメントが参入したことです。単なる決算後の値動きだけではなく、株主からの働きかけによって企業価値が変化する可能性も含めて、市場の注目を集めています。
M3にアクティビストのオアシスが参戦
最初に取り上げられたのがM3です。
M3はかつて高い成長期待を背景に株価が大きく上昇し、代表的なグロース株の1つとして人気を集めていました。しかし、ここ数年は株価の下落傾向が続いており、かつての勢いは失われています。
そのような状況のなか、オアシス・マネジメントがM3株を大量保有していることが明らかになりました。
大量保有報告書によると、オアシスの保有比率は5.03%です。
オアシスの保有目的とは
オアシスは保有目的について、経営陣と経営方針について意見交換を行い、提案事項の実行などを通じてM3の中長期的な企業価値向上やコーポレートガバナンスの改善を目指すとしています。
こうした投資家は一般的に「アクティビスト」と呼ばれます。
アクティビスト:企業の株式を一定量保有し、経営陣に対して経営改善、資本政策、株主還元などを積極的に提案する投資家のことです。
単純に株価上昇を待つ投資家とは異なり、経営そのものに働きかける点が特徴です。
そのため、オアシスがM3に参入したことで、今後は資本効率の改善や株主還元、事業ポートフォリオの見直しなど、企業価値向上を目的とした提案が行われる可能性があります。
短期的な株価材料というより、中長期で企業そのものが変化していくストーリーとして注目されます。
M3は業績不振なのか
M3の直近決算では、売上高が前年同期比4.5%増となった一方、営業利益は8.6%減、最終利益は23%減となりました。
利益面では減益となっており、かつての高成長企業というイメージと比較すると物足りなさがあります。
特にM3では以前、海外事業が成長ドライバーとして業績を押し上げていました。しかし近年は海外事業の伸びが以前ほど強くなく、事業別に見ても「ここが圧倒的に成長している」と評価できる分野が目立ちにくくなっています。
期待されている海外事業についても売上高は約10%伸びているものの、積極的な先行投資によって利益は約5%減少しています。
かつては連続増収増益を続け、それが高い株価評価につながっていましたが、その成長局面はいったん途切れています。
一方で、一過性要因を除けば利益水準そのものが極端に悪いわけではなく、実力ベースでは過去最高に近い利益水準にあるとの見方も紹介されています。
つまり、M3は業績が崩壊している企業というより、「かつての高成長期待に現在の成長率が追いついていない企業」と見ることもできます。
そこにオアシスによる経営改善への働きかけが加わるため、今後の変化が注目されることになります。
サイバーエージェントは好業績でも16%超下落
続いて取り上げられたのがサイバーエージェントです。
株価は1日で16.68%下落しました。
日中も強い売りが続き、ほぼ安値圏で取引を終える展開となっています。株価は1200円近辺が重要な水準として意識されており、ここを明確に割り込むと年初来安値を更新する可能性も意識されます。
業績そのものは決して悪くない
第3四半期の実績では、売上高が前年同期比9.4%増となりました。
営業利益は23%減となった一方、最終利益は5.6%増です。
さらに会社側は業績予想を上方修正しています。営業利益は従来予想から40%増、最終利益は49%増となる見通しが示されました。
過去最高クラスの純利益に到達する可能性もある内容です。
それにもかかわらず、株価は大きく売られました。
好決算でも株価が下がる「コンセンサス」の問題
サイバーエージェントが売られた大きな理由として挙げられているのが、市場コンセンサスです。
市場コンセンサス:証券会社のアナリストなどによる業績予想を集計した市場の平均的な予想値です。
株式市場では、企業が増益を発表したかどうかだけではなく、「市場が事前にどれほど期待していたか」が重要になります。
今回のサイバーエージェントの場合、上方修正そのものは好材料でした。しかし市場が期待していた水準には届かず、「予想より保守的」と受け止められたことが失望売りにつながったと考えられます。
いわゆる「材料出尽くし」や「織り込み済み」と呼ばれる動きです。
業績が良くても、事前にさらに良い数字が期待されていれば株価は下落します。決算投資の難しさを示す典型的な例といえます。
ゲーム事業の利益も懸念材料
もう1つ指摘されているのがゲーム事業です。
直近の四半期利益を見ると、過去の複数四半期と比較して弱い水準となっており、前年同期比でも減益となっています。
サイバーエージェントにとってゲーム事業は重要な収益源の1つです。
全社業績が好調でも、主要事業の利益成長が鈍化していると、市場は将来の成長性に慎重になります。今回の株価急落には、こうした事業構造への懸念も影響しているとみられます。
SUMCOは決算後に13%超急落
次に紹介されたのがSUMCOです。
決算発表を受け、株価は13.55%下落しました。
一時は19%近く下落する場面もあり、ストップ安が意識されるほど強く売り込まれました。ただし、その後は買い戻しも入り、下ヒゲを形成しています。
売上高は19.3%増、営業利益は84%増
第1四半期の実績では、売上高が前年同期比19.3%増、営業利益は84%増となり、最終利益も黒字で着地しました。
さらに会社側は最終利益予想を6.7%上方修正しています。
数字だけを見ると、13%を超える下落につながるほど悪い内容には見えません。
しかし市場では、営業利益について約1100億円程度が期待されていたとされ、実際の会社予想が市場予想を下回ったことから失望売りにつながったと説明されています。
ここでもサイバーエージェントと同様、「決算が良いか悪いか」ではなく「市場予想との比較」が重要になっています。
AI関連需要は好調でも金属事業が重し
SUMCOの決算で市場が注目していたのは、AIサーバーやDRAMなどに関連する需要です。
AI向け分野については好調が続いており、動画では市場シェアが非常に高いことにも触れられています。
AI関連需要そのものはしっかり伸びていると評価できます。
一方で、金属事業では前年に利益が大きく伸びた反動が出ており、これが全体の営業利益を押し下げています。
機能材料などAI関連の分野が成長していても、他の事業の減益がそれを打ち消してしまえば、会社全体の利益成長は弱くなります。
そのため、AI関連という強いテーマだけを見て判断するのではなく、企業全体の利益構成を見る必要があります。
株式分割も発表
同社は10月1日から株式分割を実施する予定です。
動画では、分割によって従来約270万円必要だった投資金額が約27万円になる例が紹介されています。
一般的に株式分割は最低投資金額を引き下げ、個人投資家が買いやすくなるため、ポジティブ材料として受け止められることがあります。
ただし最近の市場では、株式分割が発表されたからといって必ずしも株価が上昇するわけではありません。新たな投資家が増える一方で株式の流動性も高まるため、需給への影響を慎重に見る必要があります。
鹿島建設は年初来安値を更新
鹿島建設も決算発表を受けて下落しました。
株価は約3%下落し、5000円を割り込み、年初来安値を更新しています。
8月5日に発表された第1四半期決算では、売上高が前年同期比1.5%減となった一方、営業利益は7.8%増でした。
売上高は減少していますが、利益は増加しており、極端に悪い決算ではありません。
それでも株価は下落しています。
建設株はそれまで比較的強い上昇が続いていたため、業績への期待が高まっていた可能性があります。決算をきっかけに利益確定売りが出たことも考えられます。
五洋建設も年初来安値
五洋建設も年初来安値を割り込みました。
この日の株価下落率は約6.6%です。
動画では配当利回りが3.71%程度であることにも触れられています。
鹿島建設だけでなく五洋建設も年初来安値を更新していることから、個別企業の決算だけではなく、建設セクター全体に売り圧力が強まっている可能性にも注意が必要です。
業績だけを見るのではなく、同業他社の株価動向を比較することで、企業固有の問題なのかセクター全体の問題なのかを判断しやすくなります。
富士フイルムは上昇トレンドから急落
富士フイルムも決算発表後に株価が大きく下落しました。
動画公開時点ではさらに2.29%下落しており、それまで形成していたきれいな上昇トレンドから一転して急落しています。
第1四半期決算では、売上高が前年同期比10.3%増となった一方、営業利益は32%減となりました。
売上高は伸びていますが、利益面では大幅な減益です。
動画では、費用が先行している面もあるとしつつ、株価の反応が非常に大きいことから、市場が決算内容をかなりネガティブに評価している可能性が指摘されています。
急落後の逆張りには需給にも注意
株価が急落すると、「下がりすぎた」と判断した逆張りの買いが入りやすくなります。
その買いによって短期的に反発する可能性はあります。
一方で、下落が長引いた場合には信用買い残が積み上がる可能性があります。
株価が戻るたびに含み損を抱えた投資家の売りが出やすくなり、需給が悪化することがあります。そのため、急落したからという理由だけで買うのではなく、その後の値動きや売買状況を確認することも重要です。
KDDIは5%下落も決算は堅調
KDDIは約5%下落しましたが、日中には買い戻しが入り、陽線で終える動きとなりました。
中長期のチャートでは、それまで比較的きれいな上昇トレンドを形成しています。
第1四半期決算では、売上高が前年同期比5.1%増、営業利益が21%増、最終利益が22.1%増となりました。
通期業績予想も変更されておらず、最高益を見込む状況です。
業績そのものは堅調と評価できる内容です。
それでも株価が一時大きく下落したことから、好業績がある程度株価に織り込まれていた可能性も考えられます。
好決算でも「上方修正なし」で売られるケース
動画の後半では、決算発表後のPTSで大きく売られている銘柄についても紹介されています。
その企業は第1四半期で売上高が約20%増、営業利益が約11%増と好調でした。
しかし、過去に何度も業績予想の上方修正を行ってきたため、市場では今回も上方修正があるのではないかという期待が高まっていました。
ところが今回は上方修正がありませんでした。
その結果、PTSでは約11%下落する展開となっています。
これは決算投資で非常に重要なポイントです。
投資家が期待しているのは単純な増収増益だけではありません。
「市場が何を期待していたのか」と比較して考える必要があります。
過去に上方修正を繰り返していた企業であれば、「今回も上方修正するだろう」という期待そのものが株価に織り込まれます。
そのため、好決算でも上方修正がなければ失望売りにつながることがあります。
決算シーズン終盤で売買代金は減少
動画では日本株市場全体の売買状況についても触れられています。
売買代金は約9兆1905億円でした。
一方で、プライム市場など主要市場の売買代金を見ると、夏枯れを感じさせるほど取引が減少している場面もあると指摘されています。
夏枯れ相場:夏休みなどで市場参加者が減り、売買高や値動きが小さくなりやすい時期の相場を指します。
決算シーズンがピークを越えたことで、市場参加者の注目が一部の銘柄に集中しやすくなっています。
動画では藤倉など一部の人気銘柄に資金が集まっている可能性も指摘されています。
今後は米国CPIなどの重要イベントに注目
日本企業の決算発表は山場を越えつつあります。
今後も1日に100社前後の決算が発表される日がありますが、最も集中する時期はいったん終了したとの見方が示されています。
今後の日本市場では、大手金融関連企業や人気半導体関連企業などの決算が注目されます。
海外では米国のCPIなど、金融市場全体を動かす可能性がある重要な経済指標も予定されています。
CPI:Consumer Price Indexの略で、日本語では消費者物価指数と呼ばれます。物価上昇率を測る代表的な指標で、米国ではFRBの金融政策を予想するうえでも重要視されています。
決算シーズン終了後は個別企業の業績だけではなく、米国の金融政策や金利動向、為替市場などの影響が再び大きくなっていく可能性があります。
決算発表後の株価は「業績の良し悪し」だけでは決まらない
今回紹介された銘柄を見ると、決算発表後の株価が単純に増益か減益かだけで動いているわけではないことが分かります。
サイバーエージェントやSUMCOでは、業績そのものにはポジティブな部分がありながら、市場コンセンサスに届かなかったことが大幅下落につながりました。
KDDIも堅調な決算ながら一時大きく売られています。
一方、M3の場合は現在の業績に加え、オアシスというアクティビストの参入によって、中長期的な企業改革への期待という新しい材料が加わりました。
決算を見る際には、単純な売上高や利益だけではなく、市場予想、株価に織り込まれている期待、事業ごとの成長率、需給、株主還元などを総合的に見ることが重要になります。
まとめ
今回の動画では、決算後に大きく下落した銘柄を中心に、市場がそれぞれの企業をどのように評価しているのかが解説されています。
特に注目されるのがM3です。
かつて高成長株として人気を集めたM3は、ここ数年株価低迷が続いていますが、オアシス・マネジメントが5.03%を保有したことで状況が変わる可能性があります。
オアシスは経営陣との対話や提案を通じて企業価値向上を目指すとしており、中長期的な経営改革への期待が生まれています。
一方、サイバーエージェントやSUMCOでは、決算数字そのものが極端に悪くなくても、市場予想を下回ったことで株価が急落しました。
株式市場では「良い決算だったか」よりも、「市場が期待していた数字と比べてどうだったか」が重要になる場面があります。
決算後に株価が急落した銘柄を見る際には、単純に「下がったから割安」と考えるのではなく、なぜ売られたのか、その理由を確認することが重要です。
特に市場コンセンサス、成長事業の動向、会社側の業績予想、需給、アクティビストなど大株主の動きを確認することで、株価下落の背景をより正確に理解しやすくなるでしょう。


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