本記事は、YouTube動画『【グローバルマクロ】海外マネーが日本株に流れてくる本当の理由|ドル円・米10年債・FRBから読む長期投資判断【真夏の特別企画】』の内容を基に構成しています。
近年、日本株への注目が急速に高まっています。
新NISAをきっかけに投資を始めた人の中には、S&P500や全世界株式、いわゆる「オルカン」から投資を始め、その後、日本株にも関心を持つようになった人も少なくありません。
一方、日本株の値動きを理解するのは簡単ではありません。日本企業の業績や国内景気だけを確認していればよいわけではなく、米国株、ドル円、FRBの金融政策、米国債利回り、中国経済、海外投資家の売買動向など、世界の金融市場を見る必要があります。
動画では、こうした日本株特有の構造について、「グローバルマクロ」の視点から投資判断に必要なポイントを整理しています。
日本株は日本経済だけを見ても判断できない
日本株を考えるうえで最初に理解しておきたいのが、日本株は国内景気や日本企業の業績だけで動いているわけではないという点です。
米国株の場合、世界経済の状況やFRBの金融政策などが重要な判断材料になります。
日本株の場合、それらに加えて、
米国株式市場、ドル円相場、日本銀行の金融政策、海外投資家の売買動向など、より多くの要素を確認する必要があります。
特に日本市場は、世界景気の影響を受けやすいことから「景気敏感市場」として捉えられることがあります。
日本独自の材料だけで株価が動くというよりも、世界経済や米国市場の影響を受けながら動くケースが多いという特徴があります。
日本株を見るなら最初に米国株を確認する
日本株への影響が特に大きいとされるのが米国株です。
前日の米国株が上昇すると日本株も買われやすくなり、反対に米国株が大きく下落すると、日本市場にも売りが波及する傾向があります。
長期的に見ても、日本株と米国株には一定の連動性があります。
動画では、日本株を分析する際に確認したい米国株の指数として、S&P500、NASDAQ100、SOX指数、NYダウなどが挙げられています。
日経平均は米国の半導体株の影響を受けやすい
中でも重要なのがSOX指数です。
SOX指数は、米国の主要半導体企業で構成される指数です。
日経平均には東京エレクトロン、アドバンテストなど半導体関連企業の影響が大きいため、近年では米国の半導体株と日経平均の値動きが似る場面が増えています。
AI投資やデータセンター投資、半導体設備投資が拡大すれば、日本の半導体関連企業にも恩恵が及びます。
一方、米国で半導体株が大きく売られれば、日経平均にも下落圧力がかかりやすくなります。
そのため、日本株を運用するのであれば、日経平均だけを見るのではなく、NASDAQ100やSOX指数も合わせて確認することが重要です。
日本株を大きく左右するドル円相場
日本株を考えるうえで、米国株と並んで重要なのがドル円相場です。
日経平均の構成企業には、自動車や機械、電機など海外売上比率の高い輸出企業が多く含まれています。
円安になると、海外で稼いだドルやユーロを円に換算した際の利益が増えやすくなります。
その結果、企業利益が押し上げられ、株価にもプラスに作用することがあります。
逆に急激な円高になると、海外利益の円換算額が減少するため、輸出企業の利益が悪化する可能性があります。
そのため、一般的には円安局面では日経平均が上昇しやすく、円高局面では下落しやすいという関係が見られます。
今後、日本株を考えるうえでは、ドル円が円高方向に進んだ場合でも企業利益や株価が維持できるのかが重要なポイントになります。
海外投資家から見た「ドル建て日経平均」
もう1つ興味深い指標として紹介されているのが「ドル建て日経平均」です。
通常、日本人は日経平均を円ベースで見ています。
しかし海外投資家の場合、自国通貨やドルベースで日本株の投資成果を考えます。
そのため、
「円ベースでは日経平均が上昇していても、ドルベースではどのように見えているのか」
という視点が重要になります。
日本市場では海外投資家の売買比率が非常に高いため、外国人投資家が日本株をどのように評価しているかを理解することは重要です。
円相場と株価の組み合わせによっては、海外投資家にとって日本株の投資妙味が高まる可能性があります。
海外投資家の資金が日本株を動かしている
日本株を分析するうえでは、海外投資家の売買動向も欠かせません。
動画では、日本市場の売買代金において海外投資家が大きな割合を占めていることが指摘されています。
海外投資家はまず米国など自国の市場へ投資し、その後、投資先を世界へ広げていくことがあります。
そのため、米国市場が好調で投資家のリスク許容度が高まれば、日本市場にも資金が流れ込みやすくなります。
反対に米国市場で大きな調整が発生すれば、海外投資家が日本株を売却して資金を引き揚げる可能性があります。
こうした動きを把握するためには、東証が公表している投資部門別売買動向などを確認する方法があります。
日銀の金融政策も日本株の重要材料
日本株に大きな影響を与えるのが、日本銀行の金融政策です。
過去、日本では長期間にわたって低金利政策や大規模な金融緩和が続きました。
国債の買い入れやETF購入など、世界的に見ても非常に強力な金融緩和政策が実施されてきました。
しかし現在は、長期間続いた超低金利政策からの正常化が進みつつあります。
ここで重要なのが、金利上昇が日本株にどのような影響を与えるかです。
利上げが進めば円高要因になる可能性があります。
円高になれば輸出企業の利益には逆風になるため、日経平均にはマイナス材料となる場合があります。
一方、金利上昇そのものが必ず株安を意味するわけではありません。
景気が改善し、企業の資金需要が増え、経済正常化の結果として金利が上昇するのであれば、株価上昇と金利上昇が同時に進むこともあります。
FRBの金融政策が日本株にも影響する理由
日本株であっても、米国の中央銀行であるFRBの政策は非常に重要です。
FRBが利上げするのか、それとも利下げするのかによって、米国金利が変化します。
さらに米国金利の変化はドル円にも影響します。
例えば米国金利が上昇すれば、ドルが買われて円安方向へ動く可能性があります。
円安になれば、日本の輸出企業には追い風となります。
このように、
FRBの政策
↓
米国金利
↓
ドル円
↓
日本企業の利益
↓
日本株
という経路で日本市場にも影響が及ぶ可能性があります。
日本株だけを見て投資判断するのではなく、FRBの政策まで見る必要がある理由はここにあります。
米国10年債利回りは世界の株価を左右する
もう1つ重要なのが米国10年国債利回りです。
米国10年債利回りは、世界の金融市場における重要な基準金利の1つとして見られています。
金利が上昇すると、株式のバリュエーションには一般的に下押し圧力がかかります。
特に半導体株やグロース株など、将来の利益成長に対する期待が大きい銘柄ほど金利上昇の影響を受けやすい傾向があります。
半導体株の比率が高い日経平均にとっても、米国10年債利回りの動きは重要です。
ただし、日本では長期間にわたりデフレが続いてきたため、適度な金利上昇は景気正常化のサインとして株価にプラスに作用する場合もあります。
問題は「金利が上がること」そのものではなく、「どのような理由で、どこまで金利が上がるのか」です。
日本の長期金利上昇で恩恵を受ける業種もある
日本の10年国債利回りも重要です。
国内金利が上昇すると、銀行など金融機関は利ざやを確保しやすくなるため、銀行株には追い風となる可能性があります。
一方、不動産会社やREITなど借入金の影響を受けやすい業種では、金利上昇がマイナス要因になることがあります。
つまり、金利上昇は日本株全体に一律の影響を与えるわけではありません。
銀行株にはプラス、不動産株にはマイナスといった形で、業種ごとに異なる影響が出てきます。
日本株を見るなら景気サイクルも確認する
日本株は景気の影響を受けやすいため、経済指標も重要です。
動画では国内指標として、GDP、機械受注、鉱工業生産、景気ウォッチャー調査、個人消費支出などが挙げられています。
海外では米国のISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数、中国や欧州のPMIなども参考になります。
日本企業は海外売上比率が高いため、日本国内だけでなく米国、中国、欧州の景気動向にも影響されます。
中国経済も日本株にとって重要
日本にとって、中国は非常に重要な貿易相手国です。
そのため中国経済が減速すると、日本企業の売上や利益にも影響する可能性があります。
確認したいのは、中国のGDP、PMI、不動産市場、中国政府による景気刺激策や消費刺激策などです。
特に中国向け売上が多い製造業や機械関連企業などでは、中国景気が業績に影響しやすくなります。
最重要指標はEPSとPER
さまざまな指標が紹介されていますが、動画の中で特に重要とされているのがEPSとPERです。
**EPS(1株当たり利益)**は、企業が1株あたりどれだけ利益を稼いでいるかを示す指標です。
長期的に株価が上昇するためには、基本的には企業利益が増えていく必要があります。
そのため、日経平均やTOPIXのEPSがどのように推移しているかを確認することが重要です。
一方、**PER(株価収益率)**は、株価が利益に対して何倍まで買われているかを示します。
株価は、
企業利益の増加
だけでなく、
投資家が企業や市場に対してどれだけ期待しているか
によっても変化します。
期待が高まればPERが上昇し、利益が変わらなくても株価が上昇することがあります。
逆に投資家の期待が低下すれば、PERが低下して株価も下落する可能性があります。
日経平均のPERレンジが変化している可能性
動画では、以前の日経平均ではPER17倍付近が上限として意識されることが多かったものの、近年はその水準が切り上がっている可能性があると指摘されています。
現在はPER17倍から20倍程度のレンジを1つの目安として考えられるのではないか、という見方です。
仮に企業利益が増加しながらPERも上昇すれば、
「EPS上昇×PER上昇」
という形になり、株価には非常に強い上昇圧力がかかります。
反対にEPSが減少し、PERも低下すれば、大きな株価下落につながる可能性があります。
日本株ではPBRも重要
日本株特有のポイントとしてPBRも重要です。
**PBR(株価純資産倍率)**は、企業の純資産に対して株価が何倍まで評価されているかを示す指標です。
日本市場では長年、PBR1倍を下回る企業が多数存在していました。
しかし東京証券取引所が企業に対して資本コストや株価を意識した経営を求めたことで、企業側も株主還元や資本効率改善を進めるようになりました。
自社株買いや増配、事業ポートフォリオの見直しなどが進み、PBR改善への期待が日本株上昇の1つの背景になっています。
日経平均とTOPIXは何が違うのか
日本株への指数投資では、日経平均とTOPIXの違いも理解しておく必要があります。
日経平均は一部の値がさ株の影響を大きく受けます。
また、近年では半導体関連株の影響も非常に大きくなっています。
そのため、東京エレクトロンやアドバンテストなど一部の大型株が大きく動くと、日経平均全体も大きく動くことがあります。
一方、TOPIXは時価総額加重型の指数です。
そのため、日本株市場全体の動きをより広く把握したい場合には、TOPIXの方が市場全体の実態を反映しやすいという見方があります。
NT倍率を見ると日経平均とTOPIXの強弱が分かる
日経平均とTOPIXの強弱を比較する指標として「NT倍率」があります。
NT倍率は、
日経平均 ÷ TOPIX
で計算します。
NT倍率が上昇している場合、TOPIXよりも日経平均が強いことを意味します。
逆にNT倍率が低下している場合、日経平均よりTOPIXの方が相対的に強い状態です。
近年、半導体関連株が大きく上昇するとNT倍率も上昇しやすくなります。
そのため、現在の日本市場でどのような銘柄が主導しているのかを把握するうえでも参考になります。
原油価格上昇は日本経済にとって逆風になりやすい
原油など資源価格も日本株を見るうえでは重要です。
日本はエネルギー資源の多くを海外から輸入しています。
原油価格が上昇すると、日本企業が負担する輸入コストが増加します。
その結果、企業利益が圧迫され、日本経済全体にはマイナス材料になる可能性があります。
一方、商社や海外資源開発に関わる企業など、一部の資源関連株にはプラスとなることがあります。
ここでも市場全体と個別業種で影響が異なる点には注意が必要です。
デフレ脱却と適度なインフレは日本株にプラス
日本株を考えるうえではインフレも重要です。
確認すべき指標としてはCPI、コアCPI、サービス価格、賃金などがあります。
日本では長期間デフレが続き、企業が商品価格を引き上げにくい環境がありました。
しかし適度なインフレが続けば、企業は価格を引き上げやすくなります。
売上や利益が増加すれば、株価にもプラスに作用します。
そのため、デフレからマイルドなインフレへの転換は、日本企業や株式市場にとって重要な変化と考えられています。
賃上げも日本株の重要テーマ
日本では春闘による賃上げも注目されています。
特にベースアップによって継続的に給与が増えれば、家計の可処分所得が増加します。
所得が増えれば消費が拡大し、内需関連企業の業績改善につながる可能性があります。
賃金上昇
↓
消費拡大
↓
企業売上増加
↓
利益増加
↓
株価上昇
という好循環が生まれるかどうかが、日本経済の重要なポイントになります。
政府の政策も日本株には大きな影響を与える
日本株では政府の政策も無視できません。
例えば、経済対策、補正予算、法人税政策、防衛費拡大、半導体産業への支援、新NISAなどの制度変更です。
こうした政策は特定の産業や企業に直接資金を流すこともあれば、投資家の資金を市場へ呼び込むこともあります。
短期的には政策発表が株価上昇の材料になることもあります。
ただし、中長期的には最終的に企業利益が増えるかどうかが重要です。
日本株投資で最優先するならEPSとPER
動画では、数多くの確認項目の中でも、最も重要なのはEPSとPERだとしています。
企業利益が伸びているにもかかわらず、株価が下落してPERが低下しているのであれば、割安な投資機会になる可能性があります。
反対に企業利益が伸びていないにもかかわらず、期待だけでPERが大きく上昇しているのであれば、割高になっている可能性があります。
つまり、
「株価そのものを見る」のではなく、
「企業利益に対して株価がどの程度評価されているか」
を見ることが重要です。
ただし、海外市場が急落した場合などには、こうしたバリュエーション分析だけでは説明できない大きな下落が発生することがあります。
そのため、米国株や海外投資家の動向も同時に確認する必要があります。
グローバルマクロでは因果関係を順番に考える
日本株を見る際には、個々の指標をバラバラに見るのではなく、因果関係として考えることが重要です。
例えば、
FRBが金融政策を変更する
↓
米国10年債利回りが変化する
↓
S&P500やNASDAQが動く
↓
ドル円が動く
↓
海外投資家の資金フローが変わる
↓
日本企業のEPSやPERに影響する
↓
日経平均やTOPIXが動く
という流れです。
このように世界の金融市場を1つのつながりとして捉えるのが、グローバルマクロ的な投資判断です。
個別株より日経平均やTOPIXの方が分析しやすい
動画では、こうしたマクロ分析を個別企業にまで適用するのは非常に大変だとも指摘されています。
個別株の場合、マクロ環境に加えて、
企業の決算、競争環境、新製品、経営戦略、財務状況なども分析する必要があります。
一方、日経平均やTOPIXなどの指数であれば、日本経済や世界経済全体を見ることで投資判断しやすくなります。
そのため、資産を安定的に増やすことを重視するのであれば、個別株ではなく指数へ投資する方法も選択肢になります。
日本株は過去30年のデータだけでは判断しにくい
日本株の分析を難しくしている理由の1つが、長期間にわたる株価低迷です。
日本株はバブル崩壊後、長い間低迷してきました。
そのため、過去30年間の価格データをそのまま使って将来を予測しようとすると、「日本株は長期的に下落する」という時代のデータが大量に含まれてしまいます。
現在はデフレ脱却、企業統治改革、PBR改善、賃上げ、インフレなど、日本企業を取り巻く環境が大きく変化しています。
そのため、過去の日本株だけを基準にするのではなく、米国株など成長市場のデータや考え方を参考にする方法も紹介されています。
「日本株は上がらない」という固定観念を捨てる必要がある
長年日本株を見てきた投資家の中には、「日本株は基本的に上がらない」というイメージを持っている人もいます。
一方、新NISAをきっかけに投資を始めた若い世代は、近年の株価上昇しか経験していないため、「株は長期的には上がるもの」という感覚を持っている場合があります。
今後重要なのは、どちらか一方の固定観念に縛られることではありません。
日本企業が利益を増やし、株価が上昇できる環境が整っているのであれば、日本株には上昇余地があります。
一方で、割高になっているのであれば冷静に投資量を調整する必要があります。
「日本株だから買う」「日本株だから買わない」ではなく、EPS、PER、為替、金利、海外市場などを総合的に見ながら判断することが重要です。
まとめ|日本株を見るなら世界経済から逆算する
日本株は、日本国内だけを見ていても十分に理解できません。
米国株、FRB、米国10年債利回り、ドル円、日銀、中国経済、海外投資家の資金フローなど、世界の金融市場と密接につながっています。
特に重要なのは、これらの指標を単独で見るのではなく、「どの出来事が次に何へ影響するのか」という因果関係で考えることです。
そのうえで最終的に確認すべきなのが、企業利益を示すEPSと、投資家の期待を示すPERです。
企業利益が伸び、適正なPERが維持されるのであれば、日本株には長期的な上昇余地があります。
一方、海外市場の急落、急激な円高、金利上昇、企業利益の悪化などが重なれば、日本株にも大きな調整が発生する可能性があります。
日本株へ長期投資するのであれば、日経平均だけを毎日眺めるのではなく、米国株、金利、為替、企業利益を1つの流れとして確認することが重要です。
日本株を世界経済の一部として捉えることで、市場がなぜ上昇しているのか、そしてどのような変化が起きれば下落する可能性があるのかを、より立体的に判断できるようになります。


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