本記事は、YouTube動画『明日の「日経暴落」が来たら今買いたい大化け候補5選』の内容を基に構成しています。
日経平均が大きく上昇した直後に先物が下落すると、「明日は暴落するのではないか」と不安になる投資家も少なくありません。
しかし、重要なのは暴落を正確に予想することではありません。相場全体が売られたときに、企業そのものの業績が悪化して売られている銘柄なのか、それとも指数につられて一時的に売られているだけなのかを見極めることが重要です。
動画では、この考え方をもとに、相場急落時に注目したい5銘柄として、フジクラ、JX金属、イビデン、キオクシアホールディングス、三菱重工業を取り上げています。
今回は、それぞれの企業がなぜ注目されるのか、そして暴落時に何を確認すべきなのかを詳しく整理します。
日経225先物の下落をどう見るべきか
動画ではまず、日経平均と先物市場の動きを整理しています。
8月10日の日経平均は6万6970円まで上昇し、前日比1363円、率にして約2.08%上昇しました。
一方、8月11日は山の日で東京株式市場の現物市場は休場ですが、大阪取引所では祝日取引が行われており、日経225先物は6万6320円付近まで下落しました。
前日の現物終値から見ると、およそ650円、率にして約1%の下落です。
数字だけを見ると大きな下落に感じますが、動画では、現在のように値動きが大きい相場環境では、この程度の下落だけで「暴落」と判断するのは早いとしています。
むしろ注目すべきなのは、現物市場が休場している間、海外投資家が日本株のリスクを調整するために先物市場を利用しやすくなる点です。
つまり、休日中の日経225先物は翌日の株価を決定するものではなく、海外市場で起きた出来事を先に織り込む「温度計」のような役割を果たしていると考えられます。
円高とAI株の利益確定が重なるリスク
日経平均を見るうえでは、為替市場も重要です。
動画では、ドル円が159円近辺まで円安方向へ動く場面がある一方、日米当局による為替介入への警戒も残っていると指摘しています。
一般的に円安は、自動車や機械など輸出企業の利益を押し上げる要因になります。
しかし、急激に円高へ反転すれば、それまで円安を前提として買われていた大型株では、利益予想と株価評価の両方が低下する可能性があります。
特に警戒されるのが、
- 日経225先物の下落
- 急激な円高
- AI・半導体関連株の利益確定売り
が同時に発生するケースです。
これらが重なると、企業業績そのものに問題がなくても、短期間で株価が大きく下落する可能性があります。
米CPIの影響は8月13日の日本株に出る可能性
もう1つ重要なのが、米国の消費者物価指数(CPI)の発表タイミングです。
動画では、米国7月CPIが日本時間8月12日21時30分に発表予定である点に注目しています。
つまり、8月12日の東京市場が取引されている時間帯には、まだCPIは発表されていません。
そのため、12日の日本株が下落したとしても、それはCPIの結果を受けたものではなく、発表を前にした投資家のポジション調整である可能性があります。
CPI発表を受けて米国金利やドル円、米ハイテク株が大きく動けば、その影響が本格的に日本株へ現れるのは8月13日になる可能性があります。
この時間差を理解しておかないと、株価下落の原因を誤って判断してしまう可能性があります。
暴落時に狙うべきは「安くなった株」ではない
動画で最も重要な考え方の1つが、暴落時に見るべきなのは「株価が何%下がったか」ではないという点です。
注目するべきなのは、企業の利益成長が維持されているかどうかです。
具体的には、
- 業績の上方修正が続いているか
- 設備投資や受注など需要の裏付けがあるか
- 株価だけが先行して上昇しすぎていないか
- 信用買い残が膨らみすぎていないか
といった点を見る必要があります。
相場が急落すると、ETFの解約や先物売りなどによって、企業の良し悪しに関係なく大型株が機械的に売られることがあります。
そのため、同じ5%の下落でも意味は大きく異なります。
企業業績が悪化して5%下落した銘柄と、業績は好調なのに指数につられて5%下落した銘柄では、投資判断はまったく変わってきます。
第1候補 フジクラ
最初に紹介されているのがフジクラです。
フジクラは、AIデータセンター投資の拡大を業績へ結びつけている代表的な企業の1つとして取り上げられています。
動画によると、第1四半期では売上高4020億円、営業利益1048億円となり、前年同期比で売上高は約50%増、営業利益は約155%増という非常に高い成長を記録しました。
さらに会社側は通期営業利益予想を4320億円まで引き上げています。
AI時代に光通信需要が増える理由
フジクラの強みは、単純に「AI関連銘柄だから」という理由だけではありません。
生成AIの計算能力が高まるほど、GPU同士、サーバーラック同士、さらにはデータセンター同士で大量のデータを高速にやり取りする必要があります。
いくらGPUの性能が高くても、通信速度が遅ければシステム全体の性能が制限されてしまいます。
そのため、光ファイバーや高密度配線はAIインフラにとって重要な設備になりつつあります。
動画では、NVIDIAがCPOと呼ばれる技術を進めている点にも触れています。
通信速度が上がるほど銅線では電力消費や信号損失の問題が大きくなるため、今後さらに光通信の利用比率が高まる可能性があります。
つまりフジクラにとっては、AIサーバーの台数が増えるだけではなく、1台あたり、あるいは1ラックあたりで必要となる光通信の量が増える可能性があります。
フジクラの注意点
一方、株価にはすでに高い成長期待が織り込まれています。
そのため、業績が悪化しなくても、市場予想を上回れないだけで株価が売られる可能性があります。
暴落時には、
通期営業利益4320億円の会社計画が維持されているか、情報通信事業の受注や利益率が悪化していないか、信用買い残の整理が進んでいるかを見る必要があります。
これらが崩れていないにもかかわらず指数要因だけで株価が下落するのであれば、将来利益と株価の乖離が広がる可能性があります。
第2候補 JX金属
2社目はJX金属です。
JX金属は一般的には資源や非鉄金属の企業というイメージがありますが、現在は半導体材料や情報通信材料の存在感が高まっています。
動画によると、第1四半期は売上高2606億円、営業利益814億円となり、営業利益は前年同期比で約2.8倍となりました。
AIの「材料側」に位置する企業
JX金属の特徴は、AIデータセンター投資の恩恵を、GPUそのものではなく、その周辺材料から受けられる点です。
動画では特に、InP(インジウムリン)基板の需要拡大に注目しています。
InPは高速光通信に利用される重要な半導体材料です。
AIクラスタが巨大になるほどサーバー間でやり取りされるデータ量が増え、高速光通信設備への投資も拡大する可能性があります。
会社はデータセンター向け光通信需要を見込み、InP基板の生産能力を増強するため、4年間で最大1200億円を投じる方針を示しています。
巨大テックの設備投資は材料メーカーの売上になる
市場では、GoogleやMicrosoft、Metaなどの巨大テクノロジー企業によるAI設備投資が増えると、フリーキャッシュフローの悪化を懸念して株価が売られることがあります。
しかし、設備投資として使われた資金は、半導体や通信機器、材料メーカーにとっては売上になります。
そのため、米国巨大テック企業の株価下落と、日本のAI関連材料メーカーの業績悪化が必ずしも同時に起きるわけではありません。
ここに一括売りによる株価の歪みが生まれる可能性があります。
ただしJX金属も、半導体市場や材料価格、AI設備投資計画の影響を受けるため、暴落時にはInP増産計画や半導体材料事業の業績見通しが維持されているかを確認する必要があります。
第3候補 イビデン
3社目はイビデンです。
イビデンはGPUやCPUそのものを製造する企業ではありません。
主力となっているのは、高性能半導体を製品として利用できる形にするための「ICパッケージ基板」です。
AI半導体の性能が高まるほどチップは大型化し、配線密度も高くなるため、半導体パッケージの技術的な難易度も上がります。
その結果、先端パッケージ基板そのものが供給制約になる可能性があります。
動画によると、2026年3月期の売上高は4162億円、営業利益は620億円規模まで伸び、電子事業が成長を牽引しました。
さらに2027年3月期には売上高5000億円、営業利益900億円を計画しています。
AI向け高性能ICパッケージ基板を増産するため、電子事業では総額1000億円規模の大型設備投資も進めています。
設備投資が将来の成長力になる
設備投資が増えると、短期的にはキャッシュフローが悪化します。
しかし、顧客需要を前提とした増産投資であれば、将来の売上高の上限を引き上げることにつながります。
特に現在のAI半導体市場では、「需要があるか」だけではなく、「需要に対してどれだけ生産できるか」が企業価値を左右します。
そのため、イビデンを見る場合には、
電子事業の売上成長率、営業利益率、新設備の稼働時期
を確認する必要があります。
増産設備が予定通り立ち上がり、AI向け基板需要も継続するのであれば、指数要因による株価下落は企業価値との乖離を広げる可能性があります。
一方、設備投資だけが先行し、稼働率が上がらない兆候が出た場合には注意が必要です。
第4候補 キオクシアホールディングス
4社目はキオクシアホールディングスです。
今回取り上げられた5銘柄の中でも、特に値動きが大きくなりやすい銘柄として紹介されています。
キオクシアの主力製品であるNAND型フラッシュメモリーは、AI時代にも重要な役割を果たします。
AIというとGPUに注目が集まりやすいですが、AIサービスではモデル学習だけでなく、推論データ、ログ、ベクトルデータベース、チェックポイントなど膨大なデータを保存する必要があります。
AI利用者が増えるほどデータ量も増加するため、データセンター向けSSDなどの需要拡大が期待されます。
キオクシア最大のリスクは信用需給
一方、動画では業績以上に信用取引の需給を注意点として挙げています。
7月24日時点では信用買い残が1138万株を超え、信用倍率は約21倍となっていました。前週には約37倍まで膨らんでいたとされています。
信用買いが多い銘柄では、株価が急落すると投資家が損失に耐えられなくなり、追証や強制決済によって売りが売りを呼ぶことがあります。
しかし、こうした信用取引による強制売りと、NAND需要の悪化は別の問題です。
そのため暴落時には、
NAND価格、データセンターSSD需要、会社の利益率、信用買い残
を確認する必要があります。
信用買い残が減少している一方で業績見通しが維持されているのであれば、需給要因による売られすぎの可能性があります。
逆にNAND価格の下落と在庫増加が同時に発生する場合には、企業業績そのものに問題が生じている可能性があります。
第5候補 三菱重工業
最後に紹介されているのが三菱重工業です。
ここまで紹介された銘柄はAIや半導体関連が中心でしたが、三菱重工業はエネルギー、防衛、航空宇宙など異なる成長テーマを持っています。
動画によると、2026年3月期は受注高7兆6536億円、売上高4兆9741億円、事業利益4322億円まで成長しました。
さらに2027年3月期には売上高5兆4000億円、事業利益5400億円を計画しています。
AI株とは異なる成長軸を持つ
三菱重工業が候補に入っている理由は、仮にAI関連株のポジション解消によって日本株全体が下落しても、三菱重工業の利益まで同じ理由で悪化するとは限らないためです。
AIデータセンターの増加は大量の電力を必要とするため、ガスタービンなど発電設備への需要につながります。
また、各国の防衛費拡大は、防衛関連事業の長期受注につながる可能性があります。
さらに航空宇宙分野も持っているため、成長テーマが1つに集中していません。
ただし三菱重工業も株価上昇によって期待値は高まっています。
そのため、数%下落しただけで「割安」と判断するのではなく、受注残や会社の事業利益5400億円計画が維持されているかを確認することが重要です。
5銘柄を比較すると特徴が見えてくる
今回紹介された5銘柄は、同じ成長株でも役割が異なります。
フジクラは、AIデータセンターをつなぐ光通信インフラ。
JX金属は、その高速通信を支える半導体・通信材料。
イビデンは、高性能半導体を実装するICパッケージ基板。
キオクシアホールディングスは、AI時代の膨大なデータを保存するNAND・SSD。
三菱重工業は、AI以外にも電力、防衛、航空宇宙という長期成長テーマを持っています。
重要なのは、単純に「どの銘柄が一番下がったか」で判断しないことです。
例えばキオクシアが10%下落し、三菱重工業が5%下落したとしても、前者が信用取引の投げ売りで、後者が業績下方修正による下落であれば、数字の大きさだけで投資判断することはできません。
値幅ではなく、下落した原因を見る。
これが暴落時の個別株投資では非常に重要になります。
反発初日だけで判断してはいけない
暴落直後には、株価が急反発することがあります。
しかし、それが必ずしも長期資金の流入を意味するわけではありません。
空売りしていた投資家が利益確定のために買い戻す「ショートカバー」によって、一時的に株価が上昇することもあるためです。
そのため、反発初日だけではなく、その後2~3日の値動きを確認することが重要です。
出来高が増えているか、安値を切り上げているか、業績予想が維持されているか、信用買い残が減っているかなどを見ることで、本格的な資金流入なのか一時的な買い戻しなのかを判断しやすくなります。
5銘柄共通の強みと弱み
今回紹介された5銘柄に共通しているのは、単なるテーマ株ではなく、利益成長を説明できる実際の事業が存在していることです。
フジクラにはAIデータセンターの光通信需要、JX金属には半導体材料とInP、イビデンには先端ICパッケージ基板、キオクシアにはデータセンターSSD、三菱重工業にはエネルギーと防衛があります。
一方、共通する弱点は「期待値が高い」ことです。
すでに株価が大きく上昇している銘柄も多く、好決算を発表するだけでは株価が上昇しないケースがあります。
特に成長期待が高い企業では、業績が悪化していなくても、市場予想を少し下回るだけで株価が急落する可能性があります。
暴落時に考えられる3つのシナリオ
動画では、今後の相場について3つのシナリオを想定しています。
シナリオ1 軽い調整で終わる
日経225先物の下落を寄り付きである程度織り込み、その後円高が進まず、AI関連株にも押し目買いが入るケースです。
この場合、前日の急騰分を一部吐き出す程度で調整が終了する可能性があります。
無理に大幅安を待つより、各候補銘柄の出来高や決算後の高値・安値を観察する局面になります。
シナリオ2 本格的なリスクオフになる
円高、米国株安、先物売りなどが重なり、日経平均が大きく下落するケースです。
この場合、フジクラ、イビデン、キオクシアのような値動きの大きい成長株は、指数以上に売られる可能性があります。
ただし、企業業績の下方修正を伴わないのであれば、信用需給などが落ち着いた後に大きく反発する可能性もあります。
シナリオ3 8月12日は耐えても13日に荒れる
米CPI発表が日本時間8月12日21時30分であるため、12日の東京市場では大きな混乱が起きなくても、その夜に米金利やドル円、米ハイテク株が大きく動けば、13日の日本株が本格的なストレステストになる可能性があります。
そのため、1日だけの値動きを見て「調整は終わった」と判断するのは早いとしています。
暴落時は「強気シナリオが崩れる条件」を決めておく
長期投資で重要なのは、暴落を正確に予想することではありません。
事前に、それぞれの企業について「何を確認するのか」を決めておくことです。
フジクラなら通期営業利益4320億円と情報通信事業の伸び、JX金属なら半導体材料と設備投資、イビデンなら電子事業の成長と増産設備、キオクシアならNAND価格と信用需給、三菱重工業なら受注と事業利益5400億円計画が重要な確認ポイントになります。
同時に、強気の見方を撤回する条件も決めておく必要があります。
企業が業績予想を下方修正する、需要指標が複数四半期にわたって悪化する、増産設備の稼働が遅れる、在庫が積み上がる、受注が減少するといった変化が起きれば、株価が下落したこととは別に企業価値そのものを見直す必要があります。
まとめ
今回の動画では、日経平均が急落した場合に注目したい銘柄として、フジクラ、JX金属、イビデン、キオクシアホールディングス、三菱重工業の5社が紹介されました。
共通しているのは、単なる人気テーマだけではなく、将来の利益につながる事業構造を数字で確認できる企業だという点です。
ただし、「株価が大きく下がったから買う」という考え方ではありません。
重要なのは、企業の利益見通しや需要、受注、設備投資といった事業の前提が維持されているにもかかわらず、相場全体の恐怖によって株価だけが大きく下落しているのかを確認することです。
相場が急落すると、株価画面が一斉に赤くなり、すべての企業が悪化したように見えることがあります。しかし実際には、先物売り、円高、米国株安、信用取引の強制決済など、企業とは直接関係のない理由で売られている場合もあります。
暴落時こそ、「何%下がったか」ではなく「なぜ下がったのか」を分解することが重要です。
そのうえで企業業績の前提が崩れていない銘柄を見つけることができれば、市場全体の混乱によって生じた株価と企業価値の乖離を捉えられる可能性があります。
なお、今回取り上げた銘柄はいずれも値動きが大きくなる可能性があります。動画でも述べられているように、特定銘柄への投資を推奨するものではなく、投資判断を行う際には企業業績や市場環境を十分に確認することが重要です。


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