本記事は、YouTube動画『金利・債券の見方と投資戦略を解説した動画』の内容を基に構成しています。
株式投資をしている人でも、「債券」や「金利」についてはあまり詳しく見ていないという人は少なくありません。
しかし動画では、金利と債券市場はすべての金融市場の根幹にある存在であり、本来であれば株式投資をするうえでも理解しておく必要があると説明されています。株式と債券のどちらに資金を配分するべきかを考えるうえでは、それぞれの利回りや金利水準を比較することが基本になるからです。
さらに、金利は株価だけでなく、為替、ゴールド、原油など幅広い市場に影響を及ぼします。
今回は動画の内容をもとに、金利と債券の基本的な見方から、イールドカーブ、実質金利、インフレ、為替や株式市場への影響、そして現在の債券投資をどう考えるのかまで、初心者にも分かりやすく整理していきます。
金利と債券市場は金融市場の土台となる
動画ではまず、金利と債券市場について「すべての金融市場の根幹をなす市場」と説明しています。
金融市場には株式、為替、コモディティ、債券などがありますが、その中でも金利は特に重要な存在です。
その理由の1つが、金利は企業や投資家にとっての「資金調達コスト」だからです。
企業が銀行から借り入れたり、社債を発行したりする際には金利を支払う必要があります。金利が上昇すれば資金調達コストが増えるため、企業の利益や株価にも影響します。
つまり、金利の変化を見ることで、株式市場や為替市場などに今後どのような影響が出る可能性があるのかを考えられるわけです。
また、債券価格や債券利回りには、将来の景気、物価、金融政策に対する市場参加者の予想が反映されています。
そのため、債券市場を見ることは、市場が将来の経済をどのように見ているのかを知る手掛かりにもなります。
動画では、米国、日本、ユーロ圏という主要3地域の債券市場を確認しておけば、大まかな世界の金利環境を把握できるとしています。
債券投資を考えるならインフレを見る必要がある
金利を見るうえで重要になるのが、インフレです。
債券は一般的に、あらかじめ決められた利息を受け取る金融商品です。
しかしインフレが進むと、お金そのものの実質的な価値が下がります。
例えば、年間3%の利回りを受け取っていても、物価が年間5%上昇していれば、実質的な購買力は減ってしまいます。
そのため債券投資家は、将来のインフレによって資金の価値がどれくらい下がるのかを考え、その分を補う利回りを求めることになります。
インフレを確認する代表的な指標として、動画ではCPIやPCE物価指数などが挙げられています。
さらに重要なのが「ブレークイーブン・インフレ率」です。
ブレークイーブン・インフレ率とは
ブレークイーブン・インフレ率は、市場参加者が将来どの程度のインフレを予想しているのかを見るための指標です。
一般的には、
名目国債利回り − 物価連動国債の実質利回り
という形で計算されます。
動画では、FRBもこの指標を確認しているため、金融政策を考えるうえでも重要だと説明しています。
単純に現在のCPIを見るだけでなく、市場が「これからインフレがどうなると考えているのか」を確認することが重要なのです。
イールドカーブから金融市場の変化を読む
金利を見るうえでもう1つ重要なのが「イールドカーブ」です。
イールドカーブとは、期間の異なる国債の利回りを線で結んだものです。
例えば、米国国債であれば1年、2年、5年、10年、20年、30年といった国債の利回りを並べ、その形状を確認します。
一般的に短期金利は中央銀行の政策金利の影響を強く受けます。
一方、10年や20年、30年といった長期金利は、将来の短期金利の平均予想に加えて、長期間保有するリスクに対する上乗せ金利である「タームプレミアム」などによって形成されるとされています。
イールドカーブを見る際には、単純な金利水準だけでなく、短期金利と長期金利の差がどのように変化しているのかを見ることが重要です。
スティープ化とフラット化とは
長期金利と短期金利の差が広がり、イールドカーブの傾きが大きくなることを「スティープ化」といいます。
逆に、長期金利と短期金利の差が縮小していくことを「フラット化」といいます。
動画では、景気やインフレへの期待などによって長期金利が上昇するケースや、利下げ観測や景気後退懸念によって長期金利が低下するケースなどを紹介しています。
ここで初心者が混乱しやすいのが、「ブル」「ベア」という言葉です。
これは金利ではなく、債券価格を基準にした表現です。
債券価格と金利は逆方向に動くため、
債券価格上昇=金利低下
債券価格下落=金利上昇
となります。
そのため「ブル」は債券価格上昇、「ベア」は債券価格下落を意味します。
逆イールドは景気後退と関連して注目される
通常、長期間お金を貸すほどリスクが高くなるため、長期金利は短期金利より高くなる傾向があります。
ところが、短期金利が長期金利を上回ることがあります。
これが「逆イールド」です。
動画では、短期金利が高く、長期金利が相対的に低い状態が大きくなると、景気後退につながる可能性があると説明しています。
逆イールドは市場が将来の景気悪化や利下げを予想しているときに起こりやすいため、景気を見る代表的な指標の1つとして注目されています。
国債の発行量も金利を左右する
金利を考えるときには、中央銀行の政策だけを見ていればよいわけではありません。
国債市場の需給も非常に重要です。
政府の財政赤字が拡大すると、資金を調達するために国債の発行量が増えます。
国債の供給が増えれば、需要が変わらない場合には国債価格に下落圧力がかかります。
そして債券価格と金利は逆方向に動くため、国債価格が下落すると利回りは上昇します。
また、中央銀行がQT、つまり量的引き締めを行って保有資産を減らせば、市場に存在する資金量が減り、金利上昇圧力につながる可能性があります。
さらに、投資家が「今の利回りでは国債を買いたくない」と考えれば、国債価格が下落し、より高い利回りが求められることになります。
こうした長期債を保有するリスクに対する上乗せ利回りが、タームプレミアムです。
実質金利は株・為替・ゴールドを見る重要指標
動画で繰り返し重要だと説明されているのが「実質金利」です。
実質金利は、おおまかに次のように考えられます。
実質金利 = 名目金利 − 期待インフレ率
例えば名目金利が5%、期待インフレ率が2%なら、実質金利は3%となります。
実質金利を見ることで、現在の金融環境が引き締まっているのか、それとも緩和的なのかを判断する手掛かりになります。
動画では、実質金利が上昇すると株式市場には厳しい環境になりやすい一方、債券は買われやすくなる可能性があると説明しています。
実質金利は株式だけでなく、為替やゴールドにも大きな影響を与えます。
金利上昇は株価のバリュエーションを押し下げる
金利が株式市場に影響する理由の1つが、株価の理論価値を計算するときに使われる「割引率」です。
株式の価値は、企業が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価するという考え方があります。
このとき金利が上昇すると割引率も高くなりやすく、将来得られる利益の現在価値は小さくなります。
その結果、同じ利益を生み出す企業であっても、金利が高い環境では理論的な株価が低下しやすくなります。
特に、将来の利益成長を大きく織り込んでいるグロース株は、金利上昇の影響を受けやすいと考えられています。
株と債券の「利回り比較」が資金移動を生む
金利上昇が株式市場に影響するもう1つの理由が、株と債券の利回り比較です。
例えば、ほぼリスクのない国債で高い利回りを得られるようになった場合、投資家はわざわざ大きなリスクを取って株式を保有する必要があるのかを考えるようになります。
動画では、債券利回りが株式の利回りより魅力的になれば、株式から債券への資金移動が起こる可能性があると説明しています。
特に将来インフレが強まり、金利が大幅に上昇した場合には、株式を売却して債券へ資金を移す動きがどこかの時点で起きる可能性があるとしています。
つまり、「株か債券か」という判断は別々に考えるのではなく、それぞれの期待リターンを比較して判断する必要があるということです。
為替は国ごとの金利差を見る
為替市場を見る場合にも金利は重要です。
特に注目されるのが、国同士の金利差です。
一般的には、より高い金利を得られる通貨の方が投資資金を集めやすくなります。
動画では、米国と日本、ドイツ、英国、オーストラリアなどの2年国債利回りの差を毎日確認し、どの通貨が買われやすい環境なのかを判断していると説明しています。
例えば日米金利差が縮小すれば、相対的に円に有利な環境になります。
逆に日米金利差が拡大すれば、ドルに有利な環境になりやすいという考え方です。
ただし、為替は金利だけで決まるわけではありません。
市場のリスク回避姿勢や景気見通し、政治情勢など他の要因も影響するため、金利差はあくまで重要な判断材料の1つとして見る必要があります。
ゴールドは実質金利との関係が重要
ゴールドは利息を生まない資産です。
そのため実質金利が高くなると、利息を得られる債券などの魅力が相対的に高まり、ゴールドは買われにくくなる傾向があります。
逆に実質金利が低下すると、利息を生まないゴールドを保有する機会費用が小さくなるため、ゴールドに追い風となりやすくなります。
動画でも、ゴールドを見る場合には実質金利の動きを確認することが重要だとしています。
一方、原油や産業用金属については、金利だけでなく需給の影響も非常に大きいとしています。
急激な利上げによって景気後退が起これば原油や金属の需要が減少する可能性がありますが、供給不足など別の要因によって価格が上昇することもあります。
ゴールドが先にインフレを織り込み始める可能性
動画では過去のオイルショック時のCPI、米国10年国債利回り、ゴールド価格を比較しています。
当時はインフレが上昇する局面でゴールド価格が先に上昇し、その後に金利が上昇する動きが見られたと説明しています。
そして現在についても、ゴールド価格が大きく上昇する一方、市場金利の動きが相対的に鈍いことから、市場全体はまだインフレを十分に織り込んでいない一方、ゴールド市場が先にインフレを織り込み始めている可能性があるのではないか、という見方を示しています。
ただし動画内でも、この解釈については難しいとしており、断定ではなく1つの仮説として示されています。
米国・欧州・日本では金融政策の局面が異なる
動画では、主要地域の中央銀行についても、それぞれ置かれている状況が異なると説明しています。
米国、欧州、日本では、インフレ率や景気、これまでの金融政策が違うため、今後の政策金利の方向性も同じにはなりません。
特に日本については、これまで利上げが遅れていたため、景気を確認しながら今後の金利政策を考えなければならない難しい局面にあるとしています。
こうした中央銀行ごとの金融政策の違いが、国債利回りや為替市場の動きにも反映されます。
現在は債券に投資すべきタイミングではないという見方
動画後半では、実際の投資戦略について解説しています。
動画内の見解としては、「現在は債券に積極的に投資するタイミングではない」としています。
ただし、どうしても米国債へ投資するのであれば、長期債よりも短期債を重視した方がよいという考えを示しています。
米国債なら2~5年程度の短期債を重視
現在の米国債利回りについて、ある程度魅力的な水準まで上昇していると感じる人もいるかもしれません。
しかし動画では、10年を超えるような長期国債、特に20年債や30年債を保有するより、2~5年程度の比較的短い国債を選択する方がよいとしています。
長期債は金利変動による価格変動が大きくなります。
これを理解するうえで重要なのが「デュレーション」です。
一般的に残存期間が長い債券ほど、金利が変化したときの価格変動も大きくなります。
そのため、今後さらに金利が上昇する可能性を警戒するのであれば、短い期間の債券を選択することで価格変動リスクを抑えやすくなるという考え方です。
日本国債は利回りが低いという評価
日本国債については、動画では現在の金利水準では投資妙味が低いという見方を示しています。
今後金利が上昇すれば既存の国債価格は下落するため、途中売却を考える場合には価格変動リスクがあります。
一方、個人向け国債などを満期まで保有する場合には考え方が異なりますが、それでも現在の利回りで長期間資金を固定することが魅力的なのかを考える必要があるとしています。
債券単体ではなく資産全体で考える
動画では、債券だけを単独で考えるのではなく、株式などを含めた「マルチアセット」の視点を持つことも重要だとしています。
株式と債券は、景気悪化局面では逆方向に動くことがあります。
景気悪化によって株価が下落する一方、金利低下によって債券価格が上昇するケースです。
そのため、今すぐ債券を増やすのではなく、景気悪化局面に入ったと判断したときに債券比率を高めるという考え方が紹介されています。
債券を保有する場合でも、株式と組み合わせることでポートフォリオ全体の値動きを抑えるという使い方があります。
米国債投資では為替リスクにも注意
日本の投資家が米国債へ投資する場合、金利だけでなく為替も重要です。
米国債で利息を得ることができても、その間にドル安・円高が進めば、日本円換算では利益が小さくなったり、場合によっては損失になる可能性があります。
動画でも、日米金利差が縮小してドル安・円高が進む可能性を考える必要があり、単純に現在の利回りだけを見て米国債を買うことにはリスクがあるとしています。
米国債投資では、「債券価格」「利回り」「為替」という3つの要素をセットで考える必要があります。
金利上昇を利用した株式投資という考え方もある
金利が上昇するなら債券を買う、という考え方だけが投資戦略ではありません。
金利上昇によって利益を得やすい企業へ投資するという方法もあります。
動画では、日本株の場合、銀行や保険などの金融セクターが候補として挙げられています。
銀行などは金利上昇によって利ざやが改善する可能性があるため、金利上昇が追い風になるケースがあります。
また米国株については、借入金が少なく、豊富な現金を持つ企業や、金利上昇の影響を受けにくい企業を選択する考え方も紹介されています。
つまり、金利の方向性を理解しておけば、必ずしも債券そのものを買わなくても、その環境に適した投資先を探すことができるわけです。
「金利0」の時代が終わったことを前提に投資を考える
動画のまとめでは、今後の投資では金利が存在することを前提に考えなければならないと強調しています。
長い間、日本では超低金利が続いてきました。
そのため投資家にとっても企業経営者にとっても、「金利がほぼ0」という環境が当たり前になっていました。
しかし金利が高い環境では、企業の借入コスト、住宅ローン、債券利回り、株式のバリュエーションなど、さまざまなものが変わります。
動画では、この新しい金利環境を理解せずに投資を続けるのではなく、金利や債券市場を日常的に確認する必要があるとしています。
今は株式でも、将来は債券へ資金を移す局面が来る
動画で最も重要なポイントの1つは、「債券を買わない」という話ではなく、「今はそのタイミングではない」という点です。
動画内では、現時点では債券を安全資産として積極的に買うより、株式市場でリスクを取って値上がりを狙う方がよい局面だという見方を示しています。
一方で、いずれ株式から債券へ資金を移すべき局面は来るともしています。
重要なのは、その時になってから慌てて債券を勉強するのではなく、
「どのような状況になったら株式から債券へ移すのか」
という基準を今のうちから考えておくことです。
金利低下、景気悪化、株式の期待利回り低下、債券利回りの魅力上昇など、複数の条件を確認しながら資産配分を変えていくことが、本来の投資判断だという考え方です。
まとめ
金利と債券市場は、一見すると株式投資とは別の世界に見えるかもしれません。
しかし実際には、株価、為替、ゴールド、原油など、ほぼすべての金融市場に金利が影響しています。
特に重要なのは、インフレ、期待インフレ率、実質金利、イールドカーブ、国債需給、中央銀行の金融政策です。
これらを見ることで、市場が将来の景気やインフレをどのように予想しているのかを読み取ることができます。
また、投資判断では株式と債券を別々に考えるのではなく、「現在どちらの期待リターンが魅力的なのか」という比較が重要です。
動画では現時点については債券へ積極的に資金を移す局面ではないという見方が示されていますが、同時に、将来的には株式から債券へ資金を移す時期が必ず来るとしています。
だからこそ、株式市場が好調なうちから金利と債券の仕組みを理解しておくことが重要です。
「今どこに投資するか」だけではなく、「市場環境が変わったとき、次にどこへ資金を移すのか」。
その判断をするための土台になるのが、金利と債券市場を見る力だといえるでしょう。


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