S&P500は10月以降に下落する?信用残高急減とAI・半導体株に広がる警戒感を解説

本記事は、YouTube動画『S&P500は10月から下落 信用残高が急減 ヤバい』の内容を基に構成しています。

米国株では、AI・半導体株を中心にこれまでの強い上昇相場に変化の兆しが見え始めています。

特に注目されているのが、投資家が借金をして株式を購入する際の「信用残高」です。動画では、この信用残高が2026年6月に過去最高を記録した後、7月に急減したことを取り上げています。

過去の相場では、信用残高がピークアウトした後にS&P500が天井をつけ、その後大きく下落するケースが何度もありました。

さらに、これまで米国株上昇の中心となってきたAI・半導体株についても、企業のAI支出の伸び鈍化や半導体の供給増加といった新たなリスクが浮上しています。

今回は、信用残高と株価の関係、レバレッジ投資が相場下落を加速させる仕組み、AI市場の変化、そして今後の米国株について動画の内容を詳しく整理します。

目次

米国株でハイテク株を中心に不安定な動きが続く

動画では、米国株市場でハイテク株を中心に不安定な値動きが続いていると指摘しています。

直近1週間ではNASDAQ総合指数が約2.1%下落し、50日移動平均線を試す展開となりました。

さらに、半導体ETFであるVanEck Semiconductor ETF、ティッカーシンボル「SMH」は約4.7%下落しました。

SMHについては、これまで株価を支えていた50日移動平均線を下回った後、その50日移動平均線が今度は上値を抑える「レジスタンス」として機能し始めていると説明されています。

つまり、これまで米国株上昇の中心だったAI・半導体株に、明確な勢いの鈍化が見え始めているというわけです。

動画では、その背景の1つとして「借金を使った株式購入の勢いが弱くなっていること」を挙げています。

ここで重要になるのが信用残高です。

信用残高とは何か

信用残高とは、簡単にいえば投資家が証券会社などから資金を借りて株式を購入している金額です。

現金だけで株を買うのではなく、借金を利用して投資額を増やす「レバレッジ投資」の規模を示す指標の1つと考えることができます。

強気相場が続くと、投資家は次第に株価上昇への自信を深めます。

すると、手元の現金だけで投資するのではなく、借金をしてさらに株を購入する投資家が増えていきます。

その結果、信用残高は増加します。

動画では、この信用残高のピークアウトが株式市場の転換点になる可能性を指摘しています。

過去には信用残高ピーク後にS&P500が大きく下落

動画では、過去の信用残高とS&P500の関係を振り返っています。

1990年代後半以降を見ると、信用残高は2000年3月と2007年7月に大きなピークを迎えました。

その後、S&P500は2000年3月を起点として約50.5%下落し、2007年10月を起点として約57.7%下落したとされています。

さらに2010年代以降にも、同様の動きが確認されています。

2011年4月、2015年4月、2018年5月、2021年10月に信用残高がピークアウトし、その後S&P500はそれぞれ大きな調整局面を迎えました。

動画で紹介されている下落率は次の通りです。

  • 2011年:約21.6%下落
  • 2015年:約15.2%下落
  • 2018年:約20.2%下落
  • 2022年:約27.5%下落

もちろん、信用残高が減少したから必ず株価が暴落するわけではありません。

ただし動画では、「信用残高のピークアウトが相場の過熱感が失われ始めるサインになることがある」としています。

2026年7月に信用残高が急減

今回特に警戒されているのが、2026年の信用残高の動きです。

動画によれば、信用残高は2026年6月に過去最高水準を記録しました。

ところが7月には約1兆4172億ドルとなり、6月のピークから6%弱減少したとされています。

つまり、信用残高が明確にピークアウトした可能性があるということです。

過去の傾向では、信用残高がピークアウトしてから3か月程度以内にS&P500が天井をつけるケースがみられました。

そのため動画では、2026年9月末頃までにS&P500が天井をつけ、その後10月以降に大きく下落する可能性を警戒しています。

なぜ信用残高が減ると株価が下がりやすいのか

では、なぜ信用残高のピークアウトが株式市場にとって危険なのでしょうか。

その理由を理解するためには、強気相場における投資家心理を考える必要があります。

相場上昇の初期段階では、多くの投資家はまだ上昇を信用していません。

「また下がるのではないか」

「今から買うのは危険なのではないか」

そのように考えているため、現金を多く残し、レバレッジもあまり利用しません。

ところが株価上昇が続くと、投資家の心理は変化します。

「株を持っていないことの方がリスクなのではないか」

と考えるようになり、次第に現金比率を下げて株式への投資比率を増やします。

さらに相場上昇が続けば、借金をして株を購入する投資家も増えていきます。

レバレッジが株価上昇を加速させる仕組み

例えば、自己資金100万円を持っている投資家がいるとします。

この投資家が200万円を借りれば、合計300万円分の株式を購入できます。

その状態で株価が上昇すると、保有株の評価額も増加します。

すると、その株を担保にさらに資金を借り、新たな株式を購入することができます。

株価上昇によって資産が増え、その資産を担保に借金を増やし、さらに株を買う。

こうした循環が続けば、株価上昇の勢いはさらに強くなります。

信用残高が急増する局面では、このようなレバレッジ投資が相場上昇の一部を支えている可能性があります。

強気相場の終盤では買い手が減っていく

しかし、この仕組みには大きな弱点があります。

強気相場が長く続くほど、多くの投資家がすでに株を大量に保有している状態になります。

現金をほとんど持たない「フルインベストメント」の状態になり、さらにレバレッジまで使っている投資家も増えます。

すると、市場には新たに株を買ってくれる投資家が少なくなります。

多くの投資家がすでに買ってしまっているからです。

その状態で何らかのきっかけによって株価が下落すると、状況が一変します。

株価下落が強制決済を引き起こす

動画では、7月にAI・半導体株が大きな悪材料がないにもかかわらず急落したことを例に挙げています。

現金だけで株を買っている投資家であれば、

「特に企業業績が悪化したわけではないから、そのうち戻るだろう」

と考えて株を持ち続けることもできます。

しかし、レバレッジを利用している投資家はそうはいきません。

例えば、100万円の自己資金で300万円分の株を保有している場合、株価が30%下落すると保有資産は約90万円減少します。

これは自己資金100万円のほとんどを失うことを意味します。

証券会社から追加証拠金、いわゆる「追証」を求められる可能性が出てきます。

しかし、すでに現金を使い切っている場合、追加資金を用意できません。

その結果、持っている株を売却するしかなくなります。

デレバレッジが暴落を加速させる

レバレッジを利用している投資家が株を売れば、株価はさらに下落します。

すると別のレバレッジ投資家にも追証が発生します。

その投資家も株を売却します。

さらに株価が下落し、別の投資家も売却を迫られる。

このような連鎖的なレバレッジ解消を「デレバレッジ」と呼びます。

動画では、このデレバレッジこそが信用残高ピークアウト後に株価が大きく下落する理由の1つだと説明しています。

強気相場の最終局面では、多くの投資家がすでに株を買い切っているため、大量の売りを吸収できるだけの買い余力が残っていません。

動画ではこれを「満員の映画館」に例えています。

満員の映画館で火事が起こり、全員が一斉に出口へ向かえば混乱が起きます。

同じように、市場参加者が一斉に株を売却しようとすると、売りが売りを呼ぶ展開になる可能性があるというわけです。

AI市場にも新たなリスクが浮上

信用残高だけではありません。

動画では、今後の米国株に対するもう1つの逆風として「AIのコモディティ化」を取り上げています。

AI市場そのものが縮小するという意味ではありません。

問題なのは、AIサービスの価格競争が激しくなり、企業がこれまでのように高額なAIサービスを利用しなくなる可能性です。

動画で紹介されている企業幹部約300人を対象とした調査では、およそ7割が過去1年間にAI関連予算を使いすぎたと回答したとされています。

その結果、一部企業では従業員が利用できるAIサービスの費用に上限を設ける動きも出ています。

つまり企業側が「最高性能のAIなら価格はいくらでも構わない」という姿勢ではなくなりつつあるということです。

企業は最高性能よりコストパフォーマンスを重視し始めている

動画では、AnthropicのAPI利用動向も紹介しています。

企業によるAnthropicのAPI支出額そのものは増えているものの、高価格帯の最上位モデルの伸びが鈍化し、より安価なモデルの利用が増えていると説明されています。

これは企業が常に最高性能のAIモデルを求めているわけではなく、価格と性能のバランスを重視し始めていることを示唆します。

投資家が注目すべきなのは「AI利用額が増えているかどうか」だけではありません。

重要なのは、その成長率が加速しているのか、それとも鈍化しているのかです。

動画によれば、企業のAnthropicに対するAPI支出額の成長率は、

2026年第1四半期が約125%、第2四半期が約102%、第3四半期は8月17日時点で約76%と、徐々に鈍化しています。

AI事業そのものは依然として成長しているものの、その成長スピードが落ち始めているということです。

AIの価格競争が激しくなれば利益率は低下する

企業がAIサービスのコストを重視するようになれば、AI企業同士の価格競争も激しくなる可能性があります。

そうなればAIサービスそのものがコモディティ化し、高い利益率を維持することが難しくなります。

これまでAI関連企業には、将来の巨大な利益成長を期待して非常に高い評価が与えられてきました。

しかし、AIサービスの価格が下がり、収益性が低下すれば、巨額のAI投資に見合った利益を回収できない可能性が出てきます。

そうなれば、AI関連株に対する投資家の期待も低下するでしょう。

動画では、AI相場の持続性への懸念が高まることで、米国株全体の上昇力も弱まる可能性があるとしています。

中国半導体メーカーの増産も将来のリスク

AI・半導体株に対するもう1つのリスクとして、動画では中国のメモリー半導体メーカーの大型資金調達を取り上げています。

中国の半導体メモリーメーカーYMTCは、上海市場でのIPOを通じて巨額の資金を調達し、生産ラインの高度化や研究開発、生産能力の拡大を進める計画だと説明されています。

さらに、中国では別のメモリー大手も上場後に株価が大きく上昇するなど、半導体産業への資金流入が続いています。

こうした企業がIPOによって大量の資金を獲得すれば、工場建設や生産設備の増強が進みます。

短期的には半導体不足が企業業績を押し上げますが、生産能力が増えすぎれば、数年後には反対に供給過剰になる可能性があります。

2028年以降は半導体供給過剰の可能性も

動画では、米国、中国、韓国が国策として半導体生産能力の増強を進めている点を指摘しています。

各国の新工場が本格稼働すれば、2028年以降に半導体供給量が一気に増える可能性があります。

その場合、現在の供給不足とは反対に、半導体の供給過剰が発生する可能性があります。

動画では、2027年末頃までは供給不足による半導体価格上昇によってメモリー企業の業績が好調に推移する可能性がある一方、2028年以降は価格下落によって業績と株価が悪化する可能性を警戒しています。

半導体株のPERが低いから割安とは限らない

半導体企業の中にはPERが低い銘柄も多くあります。

そのため、

「利益に対して株価が安いので割安だ」

と考える投資家もいます。

しかし、景気循環の影響を受けやすい半導体株では、単純にPERが低いから割安とは限りません。

現在の利益が供給不足によって一時的に高くなっている場合、将来半導体価格が下落すれば利益も急減します。

つまり市場が将来の利益減少を見込んでいるからこそ、現在のPERが低く見えている可能性があります。

このような銘柄は「バリュートラップ」となることもあります。

動画では、半導体企業が相次いで増産資金を調達している現在の状況を考えると、将来的な供給過剰リスクを無視するべきではないとしています。

半導体株は50日移動平均線が重要なポイント

動画後半では、半導体株のテクニカル面についても解説しています。

SMHは7月に出来高を伴って50日移動平均線を下回りました。

さらに、その後の反発局面でも50日移動平均線を上抜くことができず、同線がレジスタンスとして機能しています。

この状態では、テクニカル的にはまだ強気転換したとは判断しにくいという見方です。

一方、今後SMHが出来高を伴って50日移動平均線を明確に上抜けば、再び買いシグナルが出たと判断することもできます。

つまり、今後の半導体株を見るうえでは50日移動平均線を回復できるかどうかが重要なポイントになります。

カバードコールETFと通常ETFは使い分けが重要

動画では、カバードコールETFについても説明しています。

カバードコールETFとは、保有株式に対してコールオプションを売却し、そのオプションプレミアムを収益として受け取る運用手法を利用したETFです。

高い分配金を期待できる一方、株価が大きく上昇した場合には、その上昇利益の一部を放棄することになります。

そのため動画では、市場環境に応じて通常ETFとカバードコール型商品を使い分ける考え方を示しています。

株価が大きく上昇すると予想する場合には、SMHのような通常の半導体ETFの方が値上がり益を狙いやすくなります。

一方、株価が横ばい、あるいは緩やかに上昇すると考える場合には、オプションプレミアムを受け取れるカバードコール型の商品が選択肢になります。

そして株価下落を予想する場合には、そもそも投資を控えるという判断も必要になります。

NASDAQ100は半導体株より底堅い

半導体株が弱い一方、動画ではNASDAQ100指数については比較的底堅い動きが続いているとしています。

NASDAQ100は50日移動平均線をわずかに上回っており、半導体株ほど明確に崩れてはいません。

ただし、これまでAI相場を牽引してきた半導体株が下落する場合、NASDAQ100やS&P500も大きく上昇することは難しくなります。

そのため動画では、主要株価指数について「大幅上昇」ではなく、「横ばいから緩やかな上昇」という展開を想定しています。

2026年秋までは持ちこたえる可能性

動画の最終的な相場観では、2026年秋頃までは米国株が大きく崩れずに推移する可能性があるとしています。

一方で、それは新たな強気相場が始まるという意味ではありません。

AIバブルを牽引してきた半導体株に陰りが見え始めているため、

「秋にかけて大きく上昇する相場」

ではなく、

「秋までは何とか持ちこたえる相場」

になる可能性を想定しています。

AIバブルは2026年秋から2027年春に転換する可能性

動画ではさらに長期的な視点から、AIバブルそのものの終焉についても触れています。

歴史的なバブル相場はおおむね4年から4年半程度続くケースがあるという考え方から、2022年11月のChatGPT公開をAI相場の起点とした場合、2026年秋から2027年春頃が転換点になる可能性があるとしています。

もちろん、バブルの開始時点や終了時点を正確に判断することはできません。

それでも、AI関連企業への期待が極端に高まり、巨額の設備投資やレバレッジ投資が積み上がっている現状では、投資家がリスク管理を意識する必要があるというのが動画の主張です。

労働市場や個人消費、信用市場にも警戒材料

動画では、AI以外にも米国経済にいくつかの懸念材料があるとしています。

労働市場や個人消費の勢いに陰りが見え始めているほか、プライベートクレジット市場でも信用不安が広がっていると指摘されています。

またAIデータセンター建設についても、計画の遅延、延期、中止などが報告され始めているとしています。

もしAI需要に対する期待が低下すれば、これまで急拡大してきたデータセンターや半導体への設備投資も減速する可能性があります。

このような動きが重なれば、AI関連企業の業績だけではなく、米国株全体の投資家心理にも影響を与えることになります。

AIバブル崩壊ならS&P500は大幅下落も

動画では、AIバブルが本格的に崩壊した場合、S&P500が最大で約50%下落する可能性を想定しています。

円換算では為替変動の影響も含め、最大約60%下落するケースも想定しているとしています。

さらに、相場が底を打つまでには1年から1年半程度かかる可能性があるとの見方を示しています。

これはかなり悲観的なシナリオであり、必ず実現するというものではありません。

しかし、過去のITバブル崩壊や金融危機のように、レバレッジと過剰投資が積み上がった相場では、調整が大きくなることがあります。

そのため投資家としては、強気シナリオだけではなく、下落シナリオにも備えておくことが重要です。

次の10年は国際分散投資が重要になる可能性

動画では、AIバブル崩壊後の投資環境についても触れています。

次の景気拡大局面では、S&P500の年平均リターンが1桁台前半にとどまる一方、欧州株や新興国株が2桁程度の比較的高いパフォーマンスを示す可能性があると予想しています。

ここまでの10年以上、世界の株式市場では米国株が圧倒的な強さを見せてきました。

そのため現在では「S&P500だけを持っていれば十分」と考える投資家も少なくありません。

しかし、米国株のバリュエーションが高くなり、他地域の株式が相対的に割安になれば、今後は地域によるリターン格差が変化する可能性があります。

動画では、次の10年について「国際分散投資の時代になる可能性がある」としています。

まとめ

今回の動画では、2026年後半の米国株に対する複数の警戒材料が紹介されました。

特に重要なのが、信用残高のピークアウトです。

強気相場が続くと投資家は現金比率を下げ、さらにレバレッジを利用して株式を購入するようになります。しかし、信用残高がピークに達し、株価が下落し始めると、今度は追証や強制決済によるデレバレッジが起こり、売りが売りを呼ぶ展開になる可能性があります。

過去にも信用残高のピークアウト後にS&P500が大きく下落した例があり、2026年6月から7月にかけて信用残高が減少したことは注意すべき変化です。

さらに、AI関連投資についても状況が変化し始めています。

企業はAIサービスに対して最高性能だけではなくコストパフォーマンスを重視するようになり、AI支出の成長率にも鈍化の兆しが見えています。

半導体市場では各国が巨額の設備投資を続けているため、短期的には供給不足が続いたとしても、2028年以降には供給過剰へ転換する可能性があります。

こうした状況を踏まえると、2026年秋までは主要株価指数が比較的底堅く推移したとしても、その後の相場については慎重に見る必要があります。

重要なのは、「10月になれば必ず暴落する」と決めつけることではありません。

信用残高、半導体株の50日移動平均線、AI支出の成長率、企業の設備投資、労働市場や信用市場など、複数の指標を確認しながら相場環境の変化を判断することが重要です。

長期投資家にとっても、米国株だけに集中するのではなく、欧州株や新興国株を含めた国際分散投資を改めて検討する時期が近づいているのかもしれません。

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