個人投資家は本当に負けるのか?データから見えた「勝ちやすい投資」の特徴

本記事は、YouTube動画『個人投資家は本当に負けるのか?データでわかった「勝ち方」』の内容を基に構成しています。

株式投資の世界では、「個人投資家は機関投資家には勝てない」というイメージが根強くあります。

機関投資家には豊富な資金があり、専門のアナリストや運用担当者がいて、現在ではアルゴリズムやAIを使った高速取引も行われています。それに対して、個人投資家は限られた資金と情報で市場に参加しています。

そのため、一見すると個人投資家の方が圧倒的に不利に思えます。

しかし、動画で紹介されている書籍『日本の個人投資家研究』では、必ずしもそうとは言えない研究結果が示されているといいます。

むしろ個人投資家には、機関投資家にはない特徴があり、それが長期的な投資成果につながっている可能性があります。

今回は、個人投資家がどのような銘柄を選び、どのような場面で機関投資家とは異なる行動を取っているのか、そして投資で失敗しにくくするためには何を意識すればよいのかを詳しく見ていきます。

目次

「個人投資家は負ける」というイメージは本当なのか

動画では、神戸大学大学院の研究者による個人投資家研究が紹介されています。

株式市場の研究というと、投資信託の運用成績や株価そのものを分析した研究は多くあります。しかし、個人投資家そのものに焦点を当てた研究はそれほど多くないといいます。

そこで注目されているのが、「個人投資家は本当に市場に負けているのか」という問題です。

一般的には、個人投資家はプロの投資家に比べて不利だと考えられています。

しかし動画によると、2000年以降の個人投資家の売買動向を株価の動きに当てはめて分析すると、個人投資家のパフォーマンスはTOPIXを上回り、さらに外国人投資家を上回る結果も確認されていると紹介されています。

もちろん、これは特定の個人投資家の口座を追跡して「個人投資家全員が勝っている」と示したものではありません。

あくまで市場全体における個人投資家の売買傾向を分析した結果です。

また、動画後半でも説明されているように、そのアウトパフォームの幅は決して非常に大きなものではなく、「個人なら簡単に市場に勝てる」という意味ではありません。

それでも、「個人投資家は必ず機関投資家に負ける」という単純なイメージとは異なる結果が出ている点は興味深いところです。

個人投資家が有利になりやすい理由

では、なぜ個人投資家が市場平均や外国人投資家を上回るケースが出てくるのでしょうか。

動画で重要なポイントとして挙げられているのが、個人投資家と機関投資家では「投資できる銘柄」が違うという点です。

機関投資家は小型株を自由に買えない

大規模な機関投資家は、数百億円、数千億円という資金を運用することがあります。

その場合、売買高の少ない小型株へ大量の資金を投入することは簡単ではありません。

大量に買えば株価そのものを押し上げてしまいますし、売却するときにも十分な買い手がいなければ売れなくなる可能性があります。

また、運用会社では投資対象を決定する際に社内の承認手続きが必要になる場合もあります。

そのため、必然的に時価総額が大きく、流動性の高い企業へ投資する比率が高くなります。

一方、個人投資家の場合、数十万円や数百万円程度で株式を売買するのであれば、大型機関投資家ほど流動性を気にする必要はありません。

機関投資家では資金規模の問題から投資しにくい小型株も、個人投資家なら比較的自由に選ぶことができます。

この違いが個人投資家の強みの1つになる可能性があります。

個人投資家は「小型株」を多く保有する傾向

動画では、個人投資家と外国人投資家がどのような特徴を持つ企業へ投資しているのかについても紹介されています。

その中でも特に明確な違いとして挙げられているのが時価総額です。

個人投資家は、外国人投資家と比較すると時価総額の小さな企業を多く保有する傾向があるとされています。

一方、外国人投資家は時価総額の大きな企業を保有する傾向があります。

ここで関係してくるのが、投資の世界で知られている「サイズ効果」です。

小型株が大型株を上回る「サイズ効果」とは

サイズ効果とは、長期的な統計で見ると、小型株のリターンが大型株を上回る傾向が観測されるという考え方です。

もちろん、小型株だから必ず上昇するわけではありません。

小型企業の中には業績が悪化したり、成長できなかったりする企業もあります。大型企業と比較すると経営基盤が弱いケースも多く、リスクも高くなります。

一方で、まだ企業規模が小さいため、大きく成長できる余地もあります。

例えば、すでに売上高が数兆円ある企業がさらに10倍になることは簡単ではありません。

しかし、売上高が数十億円規模の企業であれば、新しい商品や事業が成功することで企業規模が大きく拡大する可能性があります。

そのため、多数の小型株をまとめて見たときに、一部の大きく成長した企業が全体のリターンを押し上げることがあります。

動画では、こうしたサイズ効果を個人投資家が享受しやすい点が1つの特徴として紹介されています。

個人投資家は「割安株」を好む傾向もある

もう1つ興味深い特徴が、個人投資家は比較的「割安株」を選ぶ傾向があるという点です。

動画ではBPRという指標が紹介されています。

BPRはPBRの逆数です。

PBRは「株価純資産倍率」と呼ばれ、株価が企業の純資産に対して何倍まで買われているのかを見る指標です。

その逆数であるBPRが高いということは、PBRが低いことを意味します。

研究結果では、個人投資家の保有比率が高い企業ほどBPRが高い、つまりPBRが低い傾向が示されていると動画では説明されています。

言い換えると、個人投資家は比較的割安な銘柄を選ぶ傾向があるということです。

一方、外国人投資家はPBRの高い企業を保有する傾向があるとされています。

外国人投資家は収益性の高い「優良企業」を好む

では、外国人投資家が高いPBRの企業を買っているからといって、割高な株ばかりを買っているのでしょうか。

必ずしもそういう意味ではありません。

動画によれば、ROAやROEなどを見ると、外国人投資家は収益性の高い企業を保有する傾向が確認されています。

ROEは、企業が株主から預かった資本を使ってどれだけ利益を生み出しているのかを見る指標です。

つまり外国人投資家は、

「誰が見ても事業内容が良い」

「収益力が高い」

「企業としての質が高い」

と評価されやすい企業を保有する傾向があるということです。

そのような企業は多くの投資家から評価されるため、当然ながら株価も高くなりやすく、PBRなどの株価指標も高くなります。

反対に、個人投資家はそれほど華やかではなく、市場からあまり注目されていない企業へ投資する傾向があります。

この違いが、長期的なパフォーマンスの差につながっている可能性があります。

投資には「ファクター」という考え方がある

株式投資では、特定の特徴を持つ銘柄群が長期的に高いリターンを示す傾向を「ファクター」と呼ぶことがあります。

動画では、代表的なものとして次のような要素が紹介されています。

バリュー、モメンタム、クオリティ、収益性、低投資、サイズです。

これらはそれぞれ異なる特徴を表しています。

バリューファクター

バリューとは、企業の価値と比較して株価が割安な企業へ投資する考え方です。

PBRやPERなどが代表的な判断材料になります。

動画では、割高な株より割安な株の方が長期的には有利になる「バリュー効果」が紹介されています。

割安株は、すでに低い評価を受けているため、さらに大幅に評価が下がる余地が比較的小さいケースがあります。

逆に、市場から再評価されれば、割安状態が修正されることで株価が上昇する可能性があります。

モメンタムファクター

モメンタムとは、上昇している株がその後もしばらく上昇しやすいという傾向です。

「高くなった株をさらに買う」という考え方なので、割安株投資とはかなり違います。

動画では、このモメンタム投資については機関投資家の方が得意になりやすいと説明されています。

機関投資家は短期間の運用成績を評価されることがあるため、現在上昇している業種や銘柄へ資金を移す必要があります。

その結果、上昇している銘柄へさらに資金が入り、モメンタムが強まる場合があります。

一方、仕事をしながら投資している個人投資家が、市場を常に監視して短期的な資金の流れを追い続けるのは簡単ではありません。

クオリティファクター

クオリティは、事業の質や財務体質、収益性などが優れている企業へ投資する考え方です。

ROEや利益率などが判断材料になることがあります。

ただし、質の高い企業は多くの投資家がその価値を認識しているため、株価も高くなりやすいという問題があります。

そのため、「高品質でありながら割安」という企業を見つけるのは簡単ではありません。

サイズファクター

サイズファクターは、先ほど説明した小型株効果です。

長期的には大型株よりも小型株の方が高いリターンを示す傾向があるという考え方です。

ただし、小型株には倒産や業績悪化などのリスクもあるため、「小型株を買えばいい」という単純な話ではありません。

すべてのファクターを同時に狙うのは難しい

理想を言えば、

割安で、
成長していて、
収益性が高く、
財務体質が良く、
株価にも上昇モメンタムがあり、
小型株である、

という企業を買えれば魅力的でしょう。

しかし現実には、すべての条件を満たす企業は簡単には見つかりません。

例えば、非常に収益性が高く将来性もある企業であれば、その情報は多くの投資家に知られているため、すでに高い株価が付いている可能性があります。

つまり、クオリティとバリューを同時に満たす企業を見つけること自体が難しくなります。

動画では、「自分がどのファクターを重視して投資するのかを決めること」が重要だと説明されています。

投資するたびに基準を変えるのではなく、自分が何を根拠として株を買っているのかを明確にするということです。

個人投資家は暴落時に「逆張り」する

個人投資家のもう1つの大きな特徴が、株価が大きく下落したときの行動です。

動画では、個人投資家は全体として見ると、かなり強い逆張り傾向を持っていると紹介されています。

つまり、

「上昇しているときに買う」

のではなく、

「大きく下落したときに買う」

傾向があるということです。

過去の暴落局面における個人投資家と外国人投資家の売買状況も紹介されています。

ブラックマンデー、世界的な金融危機、東日本大震災、新型コロナショックなど、大きな市場混乱が発生した局面で、個人投資家が買い越しに回っていたケースが確認されていると説明されています。

一方、外国人投資家は売り越しになるケースがあります。

これは個人投資家の大きな特徴です。

なぜ機関投資家は暴落時に売るのか

機関投資家は必ずしも「これからさらに下がる」と考えて売っているわけではありません。

運用会社にはさまざまな制約があります。

市場が暴落するとファンドの運用成績が悪化します。

投資家から解約が増えれば、その資金を返すために株式を売却しなければなりません。

また、一定以上の損失が出た場合にリスク管理上ポジションを縮小する必要がある場合もあります。

つまり、「安くなったから買いたい」と考えていても、機関投資家は売らざるを得ないことがあります。

個人投資家には、そのような制約が比較的少ないという違いがあります。

自分自身の資金で投資しているのであれば、株価が戻るまで長期間待つこともできます。

これが「時間を味方につけられる」という個人投資家の大きな特徴につながります。

「損切りできないこと」が有利になる場合もある

一般的な投資教育では、

「損切りは重要」

と教えられることが多くあります。

しかし、動画で紹介された研究には興味深い結果があります。

個人投資家は損切りが苦手で、価格が下がっても保有を続ける傾向があるとされています。

通常なら欠点のように思えます。

ところが、市場全体が暴落している場合には、その後株価が回復することもあります。

その結果、途中で売却せず保有を続けた個人投資家の方が、最終的に回復局面の恩恵を受けられる場合があります。

一方、機関投資家の場合、損失が大きくなればファンドそのものが閉鎖されたり、運用担当者が交代したりする可能性もあります。

そこで運用が終了すれば、その後市場が回復してもリターンを取り戻すことはできません。

市場全体の下落と個別企業の悪化は分けて考える

ただし、ここで注意したいのは、

「株価が下がったら何でも持ち続ければいい」

という意味ではないことです。

動画でも、この点は明確に区別されています。

市場全体が暴落しているだけで、その企業の事業そのものに大きな問題がない場合には、安値で慌てて売却することが必ずしも良いとは限りません。

一方、個別企業の業績が悪化し、事業そのものに深刻な問題が生じているのであれば話は別です。

この場合には、株価の下落が市場全体の問題ではなく、その企業固有の問題である可能性があります。

そのため、

「市場全体が下がっているのか」

「その企業だけに問題があるのか」

を分けて考える必要があります。

これは長期投資において非常に重要な視点です。

個人投資家のアウトパフォームは「わずか」である点にも注意

ここまで読むと、

「それなら個人投資家の方がプロより強いのではないか」

と思うかもしれません。

しかし動画では、この点について注意が必要だと説明されています。

個人投資家のトータルのパフォーマンスがTOPIXなどを上回ったとしても、その差は非常に大きいわけではありません。

また、突出して高い成績を残している個人投資家が多数いるという意味でもありません。

したがって、

「小型株を買う」

「割安株を買う」

「暴落したら買う」

という行動だけで簡単に利益が出るわけではありません。

あくまで、長期間のデータを見ると、そのような特徴を持った投資行動に一定の傾向が確認されるという話です。

投資で失敗する原因は「高すぎる期待」にある

動画後半では、投資成果そのものだけではなく、「投資への満足度」に関する研究も紹介されています。

特に興味深いのが、年齢が高くなるほど投資に対する期待収益率が高くなる傾向が確認されているという点です。

調査では、

「株式に100万円を投資した場合、1年後にいくらになっていてほしいか」

という趣旨の質問が行われています。

動画によると、60代以上では期待収益率が10%を超える人の割合が50%に達していたとされています。

動画内でも指摘されているように、毎年平均して10%の運用成績を長期間維持することは決して簡単ではありません。

ところが、投資への期待が高すぎると、

「もっと利益を出したい」

という心理が強くなります。

その結果、より大きなリスクを取る投資へ向かう可能性があります。

高いリターンを求めるほど失敗しやすくなる

期待収益率が高くなると、通常の株式投資では物足りなく感じるようになります。

そこで、レバレッジ型の商品へ投資したり、短期売買を繰り返したりする可能性があります。

動画では、別の研究として、取引回数が増えるほど投資リターンが低下する傾向も紹介されています。

売買回数を増やせば利益のチャンスが増えるように思えます。

しかし実際には、頻繁に売買することでタイミングの失敗が増えたり、短期的な値動きを追いかけることになったりします。

その結果、

「高いリターンを求める」

↓

「頻繁に売買する」

↓

「投資成績が悪化する」

↓

「さらに高いリターンを求める」

という悪循環に入る可能性があります。

投資知識があっても正しい行動ができるとは限らない

さらに興味深いのが、投資リテラシーと実際の投資行動の違いです。

動画で紹介された研究では、年齢が高くなるほど投資リテラシーのテスト成績は高くなる傾向があったとされています。

つまり知識だけで見れば、年齢の高い投資家ほど金融について理解している傾向があります。

ところが実際の投資では、高いリターンを求めたり、リスクの高い商品へ投資したりするケースもあります。

「知っていること」と「実際にできること」は違うということです。

投資では、知識だけではなく、それを実際の売買で守れるかどうかが重要になります。

個人投資家が長期的に意識したい3つの考え方

動画では最後に、個人投資家が長期的な投資で意識したい考え方が整理されています。

1.割安さを重視する

1つ目は、本質的な企業価値と比較して割安な価格で買うことです。

知名度の高い企業や話題の成長株だけを見るのではなく、市場からあまり注目されていない企業にも目を向けます。

特に個人投資家は、機関投資家が資金規模の問題から投資しにくい小型株にも投資できるため、この強みを生かせる可能性があります。

2.暴落時に冷静に行動する

2つ目は、市場全体が大きく下落したときです。

暴落時には恐怖から株を売りたくなります。

しかし、市場全体の問題で優良企業まで大きく売られているのであれば、長期投資家にとっては安く買える機会になる可能性があります。

一方で、企業そのものの経営に問題がある場合は別です。

暴落だから何でも買うのではなく、企業価値を確認することが重要です。

3.長期保有を意識する

3つ目は、時間を味方につけることです。

機関投資家は半年や1年単位で運用成績を評価されることがあります。

しかし個人投資家には、同じような期限はありません。

短期間で結果を出そうとせず、企業価値が株価へ反映されるまで待つことができます。

動画では、この「急ぐ必要がない」という点が、個人投資家の大きな強みとして紹介されています。

個人投資家最大の武器は「自由」である

機関投資家には、情報、人材、資金、分析環境など多くの強みがあります。

短期間のモメンタムを捉える取引や、大規模な市場分析では個人投資家より有利な面もあります。

しかし、その一方で機関投資家には多くの制約があります。

大型株中心に投資しなければならない場合があります。

暴落時でも資金流出によって売却しなければならない場合があります。

短期間で運用成績を求められる場合もあります。

個人投資家には、こうした制約がありません。

小型株を買うこともできます。

誰も注目していない割安株を探すこともできます。

暴落時に買うこともできます。

そして、何年間でも待つことができます。

この「自由さ」こそが、個人投資家がプロの投資家に対して持っている数少ない、しかし非常に大きな強みと考えることもできます。

まとめ

「個人投資家は機関投資家には勝てない」と考えられがちですが、動画で紹介された研究では、それほど単純ではないことが示されています。

2000年以降の売買動向を分析すると、個人投資家がTOPIXや外国人投資家をわずかながら上回る結果も確認されていると紹介されています。

その背景として考えられているのが、小型株や割安株への投資、そして暴落時の逆張りです。

機関投資家は資金規模や運用ルールの制約から、小型株への投資や暴落時の買いを自由に行えない場合があります。

一方、個人投資家は資金量が小さいからこそ、機関投資家が入りにくい銘柄へ投資できます。また、短期間で運用結果を求められないため、株価が企業価値を反映するまで時間をかけて待つこともできます。

ただし、小型株、割安株、逆張りを選べば必ず利益が出るという話ではありません。

特に重要なのは、「高いリターンを短期間で得ようとしすぎないこと」です。

より高い利益を求めて頻繁な売買や高リスク商品へ向かうほど、かえって投資成果を悪化させる可能性があります。

個人投資家にとって重要なのは、機関投資家と同じ土俵でスピードを競うことではないのかもしれません。

割安な企業を探し、市場が悲観しているときでも企業価値を冷静に判断し、必要であれば長期間保有する。

「急いで結果を出す必要がない」という個人投資家ならではの立場を生かすことが、長期投資を考えるうえで1つの重要な視点になります。

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