本記事は、YouTube動画『日経平均が1637円高、AI・半導体株が最高値更新 今週の日本株相場を解説』の内容を基に構成しています。
日経平均株価が1637円の大幅上昇となり、日本株市場では再び上昇への期待が高まっています。
一方、東証の売買代金は7.7兆円にとどまり、株価の上昇幅と比べると市場全体の売買が極端に盛り上がっているわけではありません。
今回の動画では、米国の雇用統計をきっかけとした米国株上昇、日本の日経平均のテクニカル分析、AI・半導体株の動き、海外投資家の売買、先物、裁定取引、信用買い残、PER、そして今後の重要イベントなどから現在の日本株相場を分析しています。
日経平均は1637円高、売買代金は7.7兆円
この日の日経平均は1637円上昇しました。
かなり大きな上昇ですが、東証の売買代金は7.7兆円でした。
最近の売買代金はおおむね8兆円前後が1つの水準になっているため、極端に少ないわけではありません。しかし、日経平均の上昇幅を考えると、売買代金についてはやや落ち着いていた印象です。
株価が大きく上昇するときには、多くの投資家が株を買い、売買代金も急増するケースがあります。
今回は株価ほどには売買代金が膨らんでいないため、この上昇の中身について確認しておく必要があります。
米雇用統計悪化が株高につながった理由
今回の日本株上昇の背景にあるのが、前週金曜日の米国市場です。
米国では雇用統計が市場予想より弱い内容となりました。
普通に考えれば、経済指標の悪化は株式市場にとって悪材料に見えます。しかし、米国株市場では逆にダウ平均、S&P500、NASDAQが上昇し、NASDAQについては高値を更新しました。
いわゆる「Bad News is Good News」の状況です。
景気減速で金融引き締め懸念が後退
なぜ悪い経済指標で株価が上昇するのでしょうか。
背景にあるのが金融政策です。
景気が強く、インフレ圧力が高まれば、中央銀行は金融引き締めを強める必要があります。反対に、雇用や景気が弱くなれば、強い金融引き締めを続ける必要性は低下します。
今回の雇用統計によって、
「米国の雇用はそれほど強くないのではないか」
「経済は想定ほど過熱していないのではないか」
という見方が広がり、金融引き締めへの警戒感が後退しました。
その結果、株式市場では好材料として受け止められたというわけです。
半導体株で構成されるSOX指数も金曜日に約2.4%上昇しました。
一方で、米国10年国債利回りを見ると少し複雑です。
雇用統計発表直後には大きく低下したものの、その後は戻し、最終的には上昇しています。
そのため、金利市場まで完全に金融引き締め後退を織り込んだとは言い切れず、やや判断しにくい動きとなっています。
日経平均はテクニカル面でも上昇トレンドに近づく
米国市場の上昇を受け、日本市場も半導体株を中心に高く始まりました。
日経平均をチャートで見ると、ここ最近はかなり急激な上昇となっています。
直近では、それまで上値を抑えていた高値も突破しました。
先週の時点では、株価が上昇したあと長期移動平均線付近で上値を抑えられ、上ヒゲを形成していました。
その後は中期移動平均線付近で支えられ、下ヒゲを伴う陰線となっていました。
このとき動画では、
「ここから切り返せば、逆三尊のような形になり、底打ちからのトレンド転換が見えてくる」
という見方が示されていました。
実際、その後は切り返し、高値を次々と更新する展開となっています。
安値を切り上げながら高値も更新しているため、チャート形状としては強い状態です。
ゴールデンクロス発生の可能性
移動平均線を見ると、短期線はすでに上向いています。
さらに長期線と中期線も接近しており、今後ゴールデンクロスが発生する可能性があります。
ゴールデンクロスとは、短期または中期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ抜ける現象です。
一般的には上昇トレンドを示すシグナルの1つとして利用されます。
動画では、このクロスまで実現すれば、テクニカル的には「上昇トレンドの完成」に近い状態になるとの見方が示されています。
その場合、次の株価の目標として意識されるのが7万2000円台にある過去の高値です。
株価上昇に対して売買代金が増えていない点には注意
ただし、今回の上昇には気になる点もあります。
それが売買代金です。
最近の売買代金は8兆円前後で推移しており、6月に高値をつけた局面と比べると売買はやや少なくなっています。
つまり、市場参加者全体が積極的に株を売買している中で上昇しているというより、比較的少ない売買の中で指数が上昇しているようにも見えます。
一方、単純な過去比較だけでは判断しにくい事情もあります。
以前、売買代金が10兆円規模に膨らんでいた時期には、普段の売買代金自体が3兆円から4兆円程度だった時代もありました。
現在の通常時の売買代金が以前より増えていることを考えれば、今の8兆円前後でも、過去の10兆円に近い意味を持っている可能性があります。
このため、売買代金だけで今回の上昇を弱いと判断するのは難しいところです。
TOPIXより日経平均が強い背景にAI・半導体株
現在の日本市場では、TOPIXも上昇しています。
ただし、日経平均ほど派手な上昇ではありません。
日経平均がTOPIXより強いということは、日経平均への寄与度が高い一部の大型株が相場全体を押し上げている可能性があります。
その中心になっているのがAI・半導体関連株です。
代表例として動画で取り上げられているのがアドバンテストです。
アドバンテスト株は過去最高値を更新しました。
AI・半導体株については、一時期「相場が終わるのではないか」という警戒もありましたが、現在は再び高値を更新する銘柄が出ています。
少なくとも足元では、AI・半導体関連株が日経平均を押し上げる中心的な存在になっています。
海外投資家は9月に現物株を売り越し
次に海外投資家の売買動向です。
9月の海外投資家は、日本株の現物を売り越しています。
もっとも、8月から9月にかけて海外投資家が売り越しになりやすい傾向自体は、過去にも確認されています。
さらに9月最終週には、証券会社間で株式の付け替えが発生することがあります。
動画では、この影響によって海外投資家部門が1兆円規模の売り越しとなる一方、証券会社の自己売買部門が1兆円程度の買い越しになることがあると説明されています。
10月に入ると、この動きが反対方向に戻る場合があります。
そのため、9月最終週に発生する大きな海外投資家の売り越しについては、必ずしも海外投資家が日本株に弱気になった結果とは限りません。
3月末や9月末などに発生する、テクニカルな要因による売買として見る必要があります。
現物売りの一方で先物は買われている
一方で注目したいのが先物です。
海外投資家は9月に現物株を売っている一方、先物についてはかなり買い越しています。
しかも、直近では先物の買い越しが継続しています。
ここから考えられるのは、今回の上昇相場の一部が先物主導で発生している可能性です。
先物は現物株と比べて短期的な売買にも使われやすいため、先物主導の上昇が続いた場合、その反動で短期的な売りが出ることも考えられます。
ただし動画では、現在の先物ポジションについて「市場全体を崩すほど大量の建玉が積み上がっているわけではない」とも説明しています。
そのため、直ちに大幅下落につながる状況というわけではありません。
10月3日から始まった「金星逆行」をどう見るか
動画では、相場のアノマリーとして「金星逆行」についても取り上げています。
今回の金星逆行は10月3日から始まっています。
金星逆行とは天文学上、地球から見た金星が通常とは逆方向に移動しているように見える現象です。
金融市場との関係について科学的な因果関係が確認されているわけではありませんが、市場アノマリーの1つとして注目する投資家もいます。
動画では過去のデータを確認したところ、金星逆行期間中は株価が大きく動くケースが比較的多かったとしています。
ただし重要なのは、下落だけが多いわけではないという点です。
過去データでは上昇と下落がおおむね半々だったとされています。
つまり、
「金星逆行だから株価が下がる」
という単純な話ではありません。
むしろ今回については、10月初旬から株価が上昇し始めているため、金星逆行開始が上昇相場の起点になる可能性もある、という期待が示されています。
過去にも金星逆行付近から、その後の上昇相場が始まったケースがあったとしています。
もちろん、これはあくまでアノマリーに基づく見方であり、今後の上昇を保証するものではありません。
裁定買い残の増加は9月配当取りの影響か
裁定取引のデータを見ると、裁定買い残が急増しています。
動画では、この増加について9月の配当取りに関連する取引の影響ではないかと分析しています。
9月のSQ通過後、先物は12月限へ切り替わります。
先物価格には現物株の配当相当分が反映されるため、現物株と先物の価格差を利用した裁定取引が発生します。
今回、9月SQ後から裁定買い残が急増しているため、季節的な配当関連取引が影響している可能性があります。
その意味では、裁定買い残の増加そのものを直ちに弱材料と判断する必要はないという見方です。
信用買い残は6兆円規模まで増加
一方、動画でより警戒しているのが信用買い残です。
信用買い残はかなり高い水準まで積み上がっており、約6兆円規模となっています。
信用買いは、一定期間内に反対売買による決済が必要になります。
株価が下落すると、含み損を抱えた信用買い投資家による損切りが発生し、それがさらに株価を押し下げる可能性があります。
そのため、信用買い残が大きい状態では、相場が崩れ始めた際に売り圧力が強くなる可能性があります。
現在すぐに下落するという意味ではありませんが、将来的な売り圧力になり得る数字として注意しておく必要があります。
日経平均EPSは横ばい、PERにはまだ上昇余地も
日経平均の企業価値を考えるうえで重要なのがEPSです。
EPSは1株あたり利益を意味し、企業の利益水準を示します。
現在の日経平均EPSについては、大きな変化はありません。
つまり、最近の日経平均上昇は企業利益の急増というより、PERの上昇によって説明される部分が大きいことになります。
PERは「株価÷EPS」で計算される指標で、企業利益に対して株価が何倍まで買われているかを示します。
直近では日経平均のPERが一時、過去のレンジを大きく下回りましたが、その後の株価上昇によって、ようやく以前のレンジ下限付近まで戻ってきました。
日経平均が7万円近辺まで上昇しているとしても、過去に見られたPER26倍台と比較すると、まだPERには余地があるという見方です。
PER26倍なら日経平均7万8000円も計算上は可能
現在のEPSを前提に、日経平均PERが過去に経験した26倍程度まで上昇した場合、日経平均は約7万8000円になります。
もちろん、
「過去にPER26倍になったことがあるから、今回も必ず26倍になる」
という意味ではありません。
ただ、過去のバリュエーション実績から計算すると、7万8000円という株価水準自体が理論上あり得ない数字というわけではありません。
今回の上昇がさらに続き、PERが過去の上限方向へ拡大していけば、7万8000円という水準が意識される可能性もあります。
一方で、企業業績が悪化してEPSが低下すれば、この計算は変わります。
そのため、株価だけでなく今後の企業決算も重要になります。
今週以降の重要イベント
最後に、今後の相場スケジュールです。
10月3日から金星逆行が始まりました。
今週にはメジャーではないもののSQがあり、その翌週には米国CPIの発表が予定されています。
中央銀行関連の大きな金融政策イベントについては10月末まで間が空くため、しばらくは経済指標や企業決算が相場材料になりやすい状況です。
さらに今後は、水星逆行と金星逆行の期間が重なるタイミングもあります。
ただし、こうした天体現象と相場との因果関係が科学的に確認されているわけではないため、あくまで市場参加者の間で語られるアノマリーの1つとして見る必要があります。
また、10月はファンドの決算などに伴って株式が売られやすくなる場合があります。
日本企業の決算発表も10月中旬ごろから本格化します。
ここで上方修正を発表する企業が多ければ、日本株全体の業績期待が高まり、株価上昇を支える材料になる可能性があります。
反対に、業績見通しが弱ければ、現在の高い株価水準を正当化しにくくなる可能性があります。
まとめ
今回の日経平均は1637円という大幅上昇となりました。
背景には、米国の雇用統計が弱かったことで金融引き締めへの警戒感が後退し、米国株や半導体株が上昇したことがあります。
テクニカル面でも日経平均は直近高値を突破し、安値切り上げ・高値更新の形になっています。移動平均線についてもゴールデンクロスが視野に入り、上昇トレンドが強まる可能性があります。
特にAI・半導体関連株は強く、アドバンテストは過去最高値を更新しています。
一方で、確認しておきたい材料もあります。
株価の上昇に対して売買代金はそれほど増えておらず、海外投資家は現物株を売り越す一方で先物を買っています。
さらに信用買い残は約6兆円まで積み上がっており、将来的に相場が崩れた場合には売り圧力となる可能性があります。
企業利益を示すEPSは現時点で大きく変わっていません。
それでも過去のPER水準から計算すれば、日経平均7万8000円という水準も過去のバリュエーションから完全に外れた数字ではありません。
ただし、今後の株価を左右するのはPERだけではありません。
米国CPI、日本企業の決算、海外投資家の売買、先物ポジション、信用取引の動向などを確認しながら、現在の上昇が本格的な上昇トレンドへ発展するのか、それとも短期的な先物主導の上昇にとどまるのかを見極めていく必要があります。


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