本記事は、YouTube動画『2026年1月〜9月の金融市場を振り返り、10〜12月の投資戦略を考える』の内容を基に構成しています。
2026年も9月が終わり、残すところ10月、11月、12月の3カ月となりました。
投資家にとって気になるのは、「ここから株価は上がるのか」「金利上昇はどこまで続くのか」「原油高やドル高は相場にどのような影響を与えるのか」という点でしょう。
しかし、今後の相場を考えるうえでは、目の前の10月だけを見るのではなく、2026年1月から9月までに金融市場で何が起きてきたのかを振り返ることが重要です。
2026年の金融市場には、これまでとは少し異なる特徴があります。
株価が上昇する一方で、長期金利や原油価格も上昇してきました。一般的には金利上昇は株式市場の重荷になりやすいものの、2026年はAI関連企業を中心とした利益成長が株価を支えています。
つまり、「金利が上がれば株価が下がる」といった単純な構図では説明しにくい市場になっています。
そこで今回は、2026年1月〜9月までの株式、債券、原油、為替、ゴールド、コモディティ市場を振り返りながら、10月〜12月に注目すべきポイントについて整理します。
2026年1月〜9月の金融市場は何が特徴だったのか
2026年の金融市場を振り返ったとき、大きな特徴となっているのが「株高」と「長期金利上昇」が同時に起きていることです。
9月末時点では、米国10年国債利回りが5.2%台、30年国債利回りが5.5%台まで上昇しました。
かなり高い金利水準です。
それにもかかわらず、株式市場は比較的堅調に推移しています。
動画では、9月末近辺の数字として、S&P500が年初来で約12%、NASDAQが約15%、日経平均が約30%上昇していると紹介されています。
これだけを見ると、少なくとも2026年については「金利上昇=株安」という単純な関係にはなっていません。
背景にあるのが、AI関連企業を中心とした利益成長への期待です。
さらに、インフレ、原油価格、財政問題、中央銀行の金融政策など、さまざまなマクロ要因が複雑に絡み合いながら相場を動かしてきました。
米国株はAIと企業利益が相場を支えた
2026年の米国株を見るうえで、最も重要なテーマの1つがAIです。
S&P500だけでなく、NASDAQやRussell指数も上昇しており、高金利環境の中でも株式市場は強さを維持してきました。
通常、長期金利が上昇すると株式のPERは低下しやすくなります。
特に将来の成長を期待して高いバリュエーションが付いているグロース株にとって、金利上昇は逆風になりやすいと考えられています。
ところが2026年は、その逆風をAI関連企業の利益成長が打ち消してきました。
AI関連企業の収益が実際に増加することで、株価が上昇しても利益も増加し、結果としてバリュエーションの割高感がある程度抑えられる構図です。
AI関連の設備投資、半導体、データセンター投資などが株式市場全体を支える材料になりました。
ただし、9月頃からは少し変化も見え始めています。
「AI関連なら何でも上がる」という相場ではなくなり、本当にAI投資によって利益を生み出せる企業なのかを選別する動きが強まりつつあります。
今後はAIというテーマそのものより、実際の利益成長がより重要になっていく可能性があります。
企業の強いガイダンスと実績が株価を支える
2026年の株式市場が強かった理由として、企業側の業績見通しと実際の決算結果が大きくずれていないことも挙げられています。
企業が強いガイダンスを発表し、その後の決算でも実際に強い業績が確認される。
さらに、次の業績見通しも強く、その数字が再び実績として確認される。
こうしたサイクルが続いているため、投資家も企業の成長見通しに一定の信頼を置きやすい状態になっています。
この流れが続くのであれば、2026年第4四半期以降についても企業業績は重要な相場材料になるでしょう。
日本株は円安・半導体・企業利益が追い風に
2026年は日本株も非常に強い動きを見せました。
動画では、日経平均が年初来で約30%上昇していると紹介されています。
背景には、円安による企業利益の押し上げ、AI・半導体関連株の上昇、日本企業全体の利益成長、株主還元の強化、海外投資家による日本株への資金流入などがあります。
特に日経平均は半導体関連の大型株の影響を受けやすい指数です。
そのため、AI・半導体関連株が強い現在の市場環境では、TOPIXより日経平均の方が上昇しやすい状況になっています。
2026年は債券投資家にとって厳しい年に
一方、株式市場とは対照的に、2026年は長期債券投資家にとって厳しい環境となっています。
米国10年国債利回りは5%を超え、30年国債利回りも5.5%近辺まで上昇しています。
債券は基本的に金利が上昇すると価格が下落します。
そのため、長期国債を保有している投資家ほど価格下落の影響を受けやすくなります。
2022年にもインフレと利上げによって金利が大きく上昇しましたが、動画では2026年にはさらに複数の要因が重なっていると説明されています。
インフレだけでなく、財政赤字、国債増発、強い経済、AI関連企業による大規模投資などが同時に起きています。
AI関連企業がデータセンターなどへ巨額の投資を行うために資金を調達することも、金利上昇につながる要因の1つとして挙げられています。
長期金利を押し上げる「タームプレミアム」
長期金利を見るうえで重要なのが「タームプレミアム」です。
タームプレミアムとは、投資家が長期間にわたって資金を固定することに対して要求する追加的な利回りと考えることができます。
将来のインフレや財政に対する不安が大きくなれば、投資家は長期国債を保有するために、より高い利回りを求めるようになります。
2026年はインフレ懸念、財政不安、国債需給の悪化などを背景に、このタームプレミアムも上昇していると考えられています。
その結果、長期金利がさらに上がりやすい環境になっています。
「株式60%・債券40%」が機能しにくい相場
伝統的な資産配分として有名なのが、株式60%、債券40%という「60/40ポートフォリオ」です。
株価が下落したときに債券価格が上昇することで、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる考え方です。
しかし、2026年は金利上昇によって債券価格も下落しているため、従来型の60/40ポートフォリオが必ずしも機能しやすい環境ではありません。
動画では、現在のような環境では、株式と長期債券だけではなく、短期債、現金、ゴールド、コモディティなどを組み合わせることも検討する必要があると指摘されています。
原油高が2026年の金融市場を変えた
2026年のマーケットを振り返るうえで、原油価格も重要なテーマです。
動画では、2月28日の米国によるイラン攻撃以降、原油価格が大きく上昇し、一時WTI原油が1バレル120ドル近辺まで上昇したと説明されています。
原油価格の上昇はエネルギー株だけの問題ではありません。
原油が高騰すれば企業の輸送費や生産コストが上昇し、それが物価へ波及します。
結果としてCPIなどのインフレ指標が上昇し、中央銀行が金融引き締めを続ける可能性も高まります。
さらに金利が上昇すれば、株式のバリュエーションにも下押し圧力がかかります。
このため、
原油高
↓
インフレ上昇
↓
金利上昇
↓
株式のバリュエーション低下
という連鎖が起きる可能性があります。
利下げ期待から利上げへ変化したFRB
2026年初めの段階では、FRBが利下げに向かうとの期待もありました。
しかし、原油価格上昇によるインフレ懸念が強まり、状況は変化しました。
動画では、結果として9月のFOMCでFRBが利上げを行ったと説明されています。
つまり、2026年の金融政策を考えるうえでは、景気だけではなく原油価格が非常に重要な変数になっているということです。
米国10年国債利回りも2007年以来の高水準まで上昇しています。
ただし、重要なのは金利水準そのものだけではありません。
「なぜ金利が高いのか」を考える必要があります。
景気が強いために金利が上昇しているのであれば、企業利益も伸びやすいため、株価は比較的耐えやすい可能性があります。
一方、インフレが強いために金利が上昇しているのであれば、株式市場にはより厳しい環境になります。
動画では、現在は後者の要素が強まっている可能性に注意する必要があると指摘されています。
ドル高が続きやすい背景
為替市場ではドルの強さが目立っています。
米国金利が高止まりしていることに加え、地政学リスクも存在するため、ドルが安全資産的に買われる場面もあります。
以前のように単純にドル安へ向かうのではなく、米国の相対的な金利の高さと安全資産需要の両方からドルが支えられている状況です。
ドル円は円高になりにくい状況が続く
日本の投資家にとって特に重要なのがドル円です。
円安を抑えるための政策対応が意識される一方、円高方向への動きも長続きしていません。
動画では、ドル円は150円台後半を中心に方向感の乏しい動きになっていると説明されています。
日銀も9月に利上げを行ったものの、政策決定に反対したメンバーも存在したことから、市場は日銀が急速な利上げへ向かうわけではないと見ています。
米国の長期金利が5%台、日本が3%台であれば、依然として米国の方が高い利回りを得られます。
そのため通常の投資行動では、ドル資産の魅力が残りやすくなります。
大幅な円高になるためには、日米金利差を縮小させるような日本側の政策変更も重要になってきます。
円キャリートレードの逆回転には注意
為替市場でもう1つ注意したいのが、円キャリートレードです。
円キャリートレードとは、低金利の円で資金を調達し、それを高金利通貨や海外資産に投資する取引です。
問題になるのは、この取引が一斉に解消される場面です。
円を借りて海外資産を購入していた投資家がポジションを解消する場合、海外資産を売却し、円を買い戻す必要があります。
これが大規模に起きると、
海外資産の売却
円買い
米国金利への影響
日本の金利への影響
といった複数市場の動きが同時に発生する可能性があります。
そのため、円キャリートレードの逆回転は金融市場全体に影響を与えるリスク要因として警戒する必要があります。
ゴールドは「有事だから上がる」とは限らない
2026年のゴールド市場も大きく変動しました。
一般的には戦争や地政学リスクが高まると、安全資産であるゴールドが買われるイメージがあります。
ところが2026年は、戦争によって必ずしもゴールドが上昇するわけではありませんでした。
その理由の1つが金利です。
戦争や地政学リスクによって原油価格が上昇すると、インフレ懸念が強まります。
インフレが強まれば米国金利が上昇します。
ゴールド自体には利息が付かないため、米国債などの利回りが上昇すると、相対的にゴールドを保有する魅力が低下します。
その結果、
地政学リスク上昇
↓
原油高
↓
インフレ懸念
↓
米国金利上昇
↓
ゴールド下落
という、従来の「有事の金」とは異なる値動きが起きる場合があります。
銅価格はAI・データセンター・電力需要が追い風
コモディティの中で注目されているのが銅です。
動画では銅価格が過去最高値を更新していると紹介されています。
背景にあるのは、AIデータセンター、電力インフラ、EV、再生可能エネルギー、送電設備などによる需要増加です。
特にAIデータセンターでは大量の電力が必要になります。
そのためデータセンター投資が増えれば、発電設備だけでなく送電網などのインフラ投資も必要になります。
そこで大量に使用される銅への需要が強まりやすくなります。
さらに供給側にも問題があります。
鉱山の品位低下、生産コスト上昇、新規鉱山開発の不足などが重なることで、供給を簡単に増やせない状況になっています。
需要が増える一方で供給を増やしにくいため、銅価格には上昇圧力がかかりやすくなっています。
原油・ゴールド・銅は同じコモディティでも動く理由が違う
原油、ゴールド、銅はいずれもコモディティですが、価格を動かす要因は同じではありません。
原油は地政学リスクや供給問題の影響を強く受けます。
ゴールドは金利や金融政策、地政学リスクとの関係が重要です。
一方、銅は景気、AI投資、電力インフラなどの実需と密接に関係しています。
そのため「コモディティが上がっているから全部同じ理由」と考えるのではなく、それぞれの価格がなぜ動いているのかを理解することが重要になります。
2026年は「マクロで見る」と理解しやすい市場
2026年の相場を振り返ると、個別テーマ以上にマクロ経済のつながりが重要になっています。
AIや半導体といった個別テーマももちろん重要ですが、特に年後半は、
原油価格が上昇する
↓
インフレが強まる
↓
FRBの金融政策が変わる
↓
米国金利が上昇する
↓
ドルが買われる
↓
株式市場にも影響する
という形で、さまざまな市場がつながっています。
株式だけを見るのではなく、金利、為替、原油、ゴールドなどを一緒に見ることで、相場全体の構造を理解しやすくなります。
10月〜12月で最も重要なのは「金利上昇のスピード」
では、2026年10月〜12月の投資戦略を考えるうえで、何を重視すればよいのでしょうか。
動画で特に重要とされているのが、金利上昇の「水準」ではなく「スピード」です。
金利が高いからといって、それだけで株式投資を避ける必要はないという考え方です。
実際、2026年は長期金利が大きく上昇する中でも株価は上昇してきました。
金利が緩やかに上昇する程度であれば、企業利益の成長によって株式市場が吸収できる可能性があります。
反対に、金利が短期間で急上昇すると、株式市場への影響は大きくなります。
そのため、今後は金利が「どこまで上がるか」だけではなく、「どの程度の速度で上がるのか」を確認することが重要になります。
株価が下落した局面をどう考えるか
動画では、金利が高いという理由だけで株式投資を避けてしまうと、上昇相場の機会を逃す可能性があると指摘されています。
何らかの材料によって株価が一時的に下落した場合でも、企業利益や相場全体の上昇トレンドが崩れていないのであれば、投資機会として考えるという考え方です。
同様に、金利上昇によって価格が下がりやすい資産についても、安くなった局面を利用する考え方が紹介されています。
ただし、単純に価格が下がったから買うのではなく、それぞれの資産価格が下落している理由を確認する必要があります。
新興国やコモディティもポートフォリオ候補に
米国株や日本株だけではなく、原油、銅、新興国株などもポートフォリオの候補として挙げられています。
現在のようにインフレやコモディティ価格が市場全体に大きな影響を与える環境では、株式と債券だけに資産を集中させるのではなく、異なる値動きをする資産を組み合わせるという考え方です。
特に2026年は、従来型の株式60%・債券40%だけでは対応しにくい相場となっているため、資産配分そのものを考え直す必要性が高まっています。
年末までに確認したい5つの重要シグナル
動画では、2026年10月〜12月に確認したいポイントとして、大きく5つのシグナルが挙げられています。
米国10年国債利回りが5%超で定着するか
まず重要なのが米国10年国債利回りです。
5%を超えた状態が一時的なものなのか、それとも新しい金利水準として定着するのかによって、株式や債券の評価も変わってきます。
原油価格100ドル超が定着するか
原油価格が100ドルを超えた状態が続けば、インフレ圧力も継続する可能性があります。
その結果、FRBの金融政策や長期金利にも影響が及びます。
FRBによる追加利上げが必要になるか
原油高やインフレが続けば、追加利上げが必要になる可能性もあります。
金融市場にとっては、利上げそのものだけでなく、市場がどの程度追加利上げを織り込み始めるのかも重要になります。
ドル円がどう動くか
日本の投資家にとって、ドル円は運用成績を大きく左右します。
例えば米国株がドルベースで10%上昇したとしても、大幅な円高が進めば円換算した利益は小さくなります。
海外資産へ投資する場合は、株価だけでなく為替の動向も確認する必要があります。
AI投資が本当に利益につながっているか
最後がAI関連企業の利益です。
現在はAI投資による収益拡大への期待が株価を支えています。
しかし、大規模な設備投資や借り入れに対して、実際に十分な利益を生み出せるのかは今後も確認する必要があります。
金利が高い環境では資金調達コストも上昇します。
AI関連企業に付いている高い評価、いわゆる「AIプレミアム」が維持されるのか、それとも縮小していくのかが重要なポイントになります。
10月〜12月は「株高か暴落か」の2択で考えない
2026年第4四半期を考えるうえで重要なのは、「株高が続くのか、それとも暴落するのか」という2択で考えないことです。
見るべきなのは、原油価格がどの程度のペースで上昇するのか、それによって長期金利がどの程度上昇するのか、そしてAI関連企業の利益成長が金利上昇を上回れるのかという点です。
現時点では、S&P500、NASDAQ、日経平均など主要株価指数は上昇トレンドを維持していると動画では評価されています。
そのため、基本的には現在の上昇相場に参加しながら、金利上昇や原油高に市場がどこまで耐えられるのかを確認していく考え方になります。
米国株・日本株をコアにしながら資産を分散する
動画では、ポートフォリオの中心として米国株と日本株を置く考え方が示されています。
そのうえで債券へ投資する場合は、金利上昇の影響を受けやすい長期債より短期債を検討し、現金も一定程度保有します。
さらにゴールドやコモディティを組み合わせることで、株高、金利上昇、原油高が同時に起きる現在の市場環境への対応を考えるというものです。
ただし、これは動画内で紹介されている投資戦略であり、すべての投資家に適した資産配分という意味ではありません。
投資期間、リスク許容度、保有資産などによって適切なポートフォリオは異なります。
重要な節目に差しかかる金融市場
現在のマーケットでは、米国10年国債利回り、原油、ゴールドなど複数の市場が重要な節目に差しかかっています。
こうした節目を大きく突破した場合、それまで成立していた相場の構造が変化する可能性があります。
だからこそ、株価だけを見るのではなく、金利、原油、為替、ゴールドといった市場を同時に確認する必要があります。
1つの市場で起きた変化が、別の市場へどのように波及するのかを見ることが重要です。
まとめ
2026年1月〜9月の金融市場は、「株高」と「金利上昇」が同時に進むという特徴的な相場になりました。
AI関連企業の利益成長や設備投資が米国株を支え、日本株も円安、半導体、企業利益、株主還元などを背景に上昇しました。
一方で、原油高によるインフレ懸念、米国長期金利の5%超え、FRBの金融政策変化など、株式市場にとって無視できないリスクも増えています。
債券市場は金利上昇によって厳しい状況が続き、ゴールドも単純な「有事の安全資産」としてではなく、米国金利との関係を考える必要が出てきました。
さらに銅などのコモディティでは、AIデータセンターや電力インフラ投資による需要増加が新たなテーマとなっています。
10月〜12月に重要なのは、単純に「株価が上がるか下がるか」を予想することではありません。
米国10年国債利回りが5%超で定着するのか、原油価格100ドル超が続くのか、FRBが追加利上げへ向かうのか、ドル円がどう動くのか、そしてAI投資が実際の利益につながるのか。
こうした複数のシグナルを同時に確認することが重要になります。
2026年は、株式、金利、為替、原油、ゴールド、コモディティがこれまで以上に密接につながっている相場です。
1つの市場だけを見るのではなく、「原油が上がったらインフレはどうなるのか」「インフレが上がったら金利はどうなるのか」「金利が上がったら株式やゴールドはどう反応するのか」と、点と点を線で結ぶようにマーケットを見ることが、今後の相場を理解するうえで重要になりそうです。


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