eMAXIS「オルカン高配当」が登場へ!通常のオルカンとの違い・配当・コスト・SBIやアムンディとの比較を徹底解説

本記事は、YouTube動画『eMAXISから「オルカン高配当」が登場!通常のオルカンとの違いや競合商品を徹底解説』の内容を基に構成しています。

三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS」ブランドから、全世界の高配当株に投資する新たな投資信託が登場することが明らかになりました。

その名も「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)」です。

いわゆる「オルカン高配当」と呼べる商品で、「配当払い出し型」と「資産成長型」の2種類が用意される予定です。

通常の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、いわゆるオルカンは、長期の資産形成を目指す投資家から非常に高い人気を集めています。

そのため、「オルカンから配当がもらえる商品が登場した」と考える人もいるかもしれません。

しかし、実際には通常のオルカンから配当金を取り出す商品ではありません。連動する指数そのものが異なります。

今回の商品は、世界中の株式から高配当かつ一定の財務品質を持つ企業を絞り込んで投資する仕組みです。

さらに、すでに同じような高配当戦略を採用しているアムンディや、低コストを武器とするSBIの商品も存在します。

では、今回登場する「オルカン高配当」には、どのような特徴があるのでしょうか。

通常のオルカンとの違いから、配当利回り、値動き、コスト、競合商品との比較まで詳しく見ていきます。

目次

eMAXISから「オルカン高配当」が登場

今回発表されたのが「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)」です。

商品には大きく2種類があります。

1つが「配当払い出し型」、もう1つが「資産成長型」です。

どちらも基本的な運用方針や運用会社は共通していますが、利益を投資家へ分配するのか、それともファンド内部で運用を続けるのかという点が異なります。

配当払い出し型については、動画公開時点ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券、スマートプラスなどでの販売が示されていました。

一方、資産成長型は、基本的に分配金を外部へ払い出さず、資産形成を続けたい投資家を意識した設計と考えられます。

ここで重要なのが、商品名に「eMAXIS Slim」ではなく「eMAXIS」と付いていることです。

eMAXIS Slimシリーズは、業界最低水準の運用コストを目指し続けることを大きな特徴としています。

それに対してeMAXISブランドは、コスト競争だけではなく、投資家の目的やライフステージに応じた幅広い商品を提供するという位置付けです。

そのため、今回の商品も「とにかく最低コストを追求する商品」というより、高配当という新しい選択肢を提供する商品として登場したと考えられます。

「オルカン高配当」は普通のオルカンとは別物

今回の商品を理解するうえで最も重要なのが、「何の指数に連動するのか」という点です。

通常のオルカンは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」をベンチマークとしています。

一方、今回の高配当ファンドは、MSCIの全世界株式指数をベースにしながら、高配当株に絞り込んだ指数への連動を目指します。

つまり、

「オルカンを保有して、そこから配当金だけを取り出す」

という商品ではありません。

そもそも保有する銘柄の選び方が通常のオルカンとは異なるのです。

MSCIの全世界株から高配当企業を厳選

高配当指数では、元となるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの構成銘柄から、さらにスクリーニングを行います。

単純に配当利回りが高いだけの企業を選ぶわけではありません。

配当の持続可能性や財務面の品質、過去のパフォーマンスなどを確認し、そのうえで高い配当利回りを持つ企業を選別します。

動画では、配当利回りが親指数のおよそ1.3倍以上となる銘柄などが対象になると説明されています。

高配当株投資で注意したいのが「高配当だから優良企業とは限らない」という点です。

業績悪化によって株価が急落すると、結果的に配当利回りだけが異常に高く見えることがあります。

そのような企業を機械的に買ってしまうと、将来の減配や株価下落につながる可能性があります。

そのため、高配当指数では財務品質なども確認しながら銘柄を選別する仕組みになっています。

約713銘柄に分散投資

動画で紹介された指数データでは、構成銘柄数は約713銘柄となっています。

通常のオルカンよりは銘柄数が絞られているものの、高配当ファンドとして考えれば非常に多くの企業へ分散されています。

特定の数十銘柄だけに集中投資する高配当ETFなどと比べても、かなり幅広い分散が期待できます。

投資対象についても先進国だけではありません。

新興国を含めた世界各国の企業から高配当銘柄を選択するため、「全世界高配当株」という名前に近い投資ができます。

配当利回りは通常のオルカンのおよそ2倍

動画で紹介された指数データでは、高配当指数の配当利回りはドルベースで約3.27%です。

これに対して通常のオルカンの指数は約1.59%でした。

単純比較すると、およそ2倍の水準です。

もちろん、配当利回りは株価や企業の配当政策によって変化するため、将来も3%台の配当が保証されるわけではありません。

それでも、通常の全世界株式よりも「配当収入」を重視した設計になっていることは分かります。

資産を大きく増やすことだけではなく、保有資産から定期的なキャッシュフローを得たい投資家にとっては注目しやすい商品でしょう。

通常のオルカンよりリターンは低くなるのか

高配当株というと、「成長株が少ないためリターンが低いのではないか」と考える人もいるでしょう。

実際、近年のパフォーマンスを見ると、通常のオルカンが優位になった期間があります。

動画で紹介された2011年以降のデータでは、当初は両指数にそれほど大きな差はありませんでした。

しかし、新型コロナウイルス禍以降、米国を中心にテクノロジー株が大きく上昇しました。

通常のオルカンにはApple、Microsoft、NVIDIAをはじめとする大型テクノロジー企業が多く含まれています。

一方、高配当指数では、利益を成長投資に回すテクノロジー企業よりも、配当を多く支払う成熟企業の比率が高くなります。

その結果、テクノロジー株が大きく上昇する局面では、通常のオルカンとの差が広がりました。

高配当株は下落相場に強い可能性

一方、高配当指数には別の強みがあります。

動画では、2018年や2022年など、通常のオルカンが大きく下落した局面において、高配当指数の下落幅が比較的小さかったことが紹介されています。

これは高配当株投資全般で見られやすい特徴です。

高配当株には、エネルギー、生活必需品、ヘルスケア、金融など、すでに安定した利益を上げている成熟企業が多く含まれます。

そのため、高成長株に比べて株価の値動きが比較的穏やかになることがあります。

資産形成期では「多少値下がりしても長期的な成長を狙う」という戦略が取れます。

しかし、退職後など、資産を増やすことよりも守りながら使っていく段階では、大きな値下がりを避けたいという需要が強くなります。

そうした投資家にとって、高配当株を中心としたファンドは選択肢になり得ます。

長期では高配当指数が上回った期間も

さらに動画では、より長期となる1994年以降の指数データについても紹介されています。

その期間では、高配当指数のリターンが通常の全世界株指数を上回る結果になっていました。

つまり、

「高配当株=必ずリターンが低い」

という単純な関係ではありません。

市場環境によって、成長株が優位になる時期もあれば、割安株や高配当株が優位になる時期もあります。

特に近年は大型テクノロジー株が非常に強かったため、通常のオルカンが有利に見えやすい環境が続いていました。

しかし、より長い期間で考えると、高配当戦略にも十分な投資価値があったことが分かります。

β値0.87、値動きは比較的小さい

高配当指数のもう1つの特徴が、値動きの小ささです。

動画ではβ値が約0.87と紹介されています。

βとは、市場全体に対してどれほど大きく値動きするかを示す指標です。

市場平均を1とした場合、βが1より小さければ、市場平均よりも値動きが穏やかな傾向があることを示します。

β0.87であれば、通常の市場平均と比較して値動きが小さい傾向にあるということです。

さらに10年間の標準偏差についても、通常のオルカンより小さかったと説明されています。

そのため、資産を最大限増やすことより、

「値動きをある程度抑えながら運用したい」

という人に向いた性格を持っています。

上位銘柄は石油・ヘルスケア・生活必需品が中心

高配当指数の構成銘柄を見ると、通常のオルカンとの違いがさらに分かりやすくなります。

動画で紹介された上位銘柄には、エクソンモービル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッドヘルス、シェブロン、コカ・コーラ、P&G、ホーム・デポ、メルク、ロシュなどが含まれていました。

大型テクノロジー企業というより、

石油・エネルギー、ヘルスケア、生活必需品

といった業種が目立ちます。

いずれも比較的成熟した企業が多く、安定したキャッシュフローを生み出して株主へ配当する企業が中心です。

一方、通常のオルカンではテクノロジー株の存在感が大きくなっています。

ここが2つの商品の性格を分ける大きなポイントです。

高配当指数は「割安・高品質・低ボラティリティ」

指数の特徴を整理すると、高配当指数は通常のオルカンと比較して割安株の比率が高くなっています。

小型株はやや少なく、株価上昇の勢いを表すモメンタムは通常のオルカンより弱い傾向があります。

一方、企業の財務品質などを表すクオリティはやや高く、配当利回りも高くなっています。

さらに値動きは比較的小さく、「ローボラティリティ」の性格を持っています。

つまり、

「急成長する企業に乗って最大限の値上がりを狙う」

というより、

「比較的割安で財務品質が高く、配当を出せる企業を幅広く保有する」

という商品です。

配当払い出し型は年4回分配

配当払い出し型では、年4回の分配が予定されています。

決算日は3月、6月、9月、12月の14日です。

初回の決算日は12月14日とされています。

定期的に分配金を受け取りたい人にとっては、3カ月に1回キャッシュフローが発生する仕組みになります。

ただし、非常に重要な注意点があります。

投資信託から分配金が支払われると、その金額に相当する分だけ基準価額は下がります。

分配金は銀行預金の利息のように、どこからともなく追加でもらえるお金ではありません。

ファンドの資産の一部を投資家へ払い出しているためです。

そのため、

「分配金が多いファンドほど儲かる」

と考えるのは適切ではありません。

投資では、分配金だけではなく基準価額の値動きも含めた「トータルリターン」で考える必要があります。

配当払い出し型は「定期収入が欲しい人」向け

では、配当払い出し型はどのような人に向いているのでしょうか。

最も分かりやすいのは、定期的なキャッシュフローを求める人です。

例えば退職後、保有している投資信託を少しずつ取り崩して生活費に充てる方法があります。

最近では証券会社の「定期売却サービス」も増えているため、通常のオルカンを毎月一定額売却することも可能です。

理論的には、この方法の方が資産を効率的に管理できるケースもあります。

しかし、自分で「今月はいくら売るのか」を判断することに心理的な負担を感じる人もいます。

そうした人にとって、

「何もしなくても定期的に分配金が振り込まれる」

という仕組みそのものに価値があります。

年齢が上がるほど分配金への関心が高まる?

動画では、三菱UFJがLINEで実施したアンケートも紹介されています。

「分配金を受け取ることに魅力を感じますか」という質問に対して、70歳以上や投資経験のない層では「とても魅力を感じる」という回答が約30%に達していたとのことです。

一方、20代など若い層では、それほど分配金を重視しない傾向が見られました。

若いうちは給与収入があり、投資資産から現金を取り出す必要がありません。

そのため、利益を再投資して複利で増やすことが優先されやすくなります。

しかし、年齢が上がり給与収入が減ってくると、資産から得られる定期収入の重要性が高まります。

高配当ファンドは、こうしたライフステージの変化にも対応した商品と言えそうです。

資産成長型という選択肢もある

今回の商品で注目したいのが、「配当払い出し型」だけではなく「資産成長型」も用意されることです。

高配当株には投資したいものの、今すぐ分配金を受け取る必要はないという人もいます。

そのような人は資産成長型を選ぶことで、高配当企業への投資を続けながら資産形成を目指せます。

つまり、

「高配当株が好き=必ず分配金を受け取らなければならない」

わけではありません。

高配当企業の財務体質や株主還元姿勢を評価しながら、長期的に資産を増やしたい投資家にも対応しているのが特徴です。

信託報酬は年0.165%程度

気になるのがコストです。

今回の商品には「Slim」という名称が付いていません。

動画で紹介された信託報酬率は、年率0.165%程度です。

さらに三菱UFJアセットマネジメントでは、純資産総額が増加した場合、一定額を超える部分について信託報酬を引き下げる仕組みを採用するとされています。

つまり、0.165%は基本となる上限水準に近く、ファンドの規模が大きくなれば実質的なコストが下がる可能性があります。

ただし、純資産総額5000億円規模まで成長するかどうかは、現時点では分かりません。

通常のオルカンのような巨大ファンドになればコスト低下も期待できますが、まずは資金流入の状況を見る必要があります。

実は同じ指数に連動する商品がすでに存在する

今回の商品を見て、

「ついに全世界高配当インデックスが登場した」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、実は同じような商品はすでに存在しています。

動画で紹介されているのが「アムンディ・インデックスシリーズ オールカントリー・高配当株」です。

このファンドは2024年7月から運用されています。

そして重要なのが、今回のeMAXISオルカン高配当と基本的に同系統のMSCI高配当指数への連動を目指していることです。

つまり、「世界の高配当株へインデックス投資する」という仕組み自体は完全な新発明ではありません。

eMAXISとアムンディではベンチマーク表記に違い

ただし、2つのファンドにはベンチマークの扱いに違いがあります。

動画では、eMAXIS側は配当込みのグロスベース、アムンディ側は現地での源泉税などを控除した税引後配当込みのネットベースを採用している点が説明されています。

ここはパフォーマンスを比較するときに重要です。

配当に対する税金を控除する前の指数と、控除した後の指数では、当然ながら指数のリターンに差が出ます。

そのため、単純に

「ベンチマークから何%乖離したか」

だけを見てファンドの運用能力を比較すると、誤解が生じる可能性があります。

今後は実際の運用結果やトラッキングエラーを慎重に確認する必要があります。

アムンディの信託報酬も約0.165%

コスト面では、アムンディの商品も信託報酬は年0.165%以内とされています。

そのため表面的な信託報酬だけを見ると、今回のeMAXIS商品と非常に近い水準です。

eMAXIS側は純資産総額が増えることでコストが下がる可能性があります。

一方、アムンディはすでに運用実績があります。

どちらが有利になるかは、純資産総額、実質コスト、分配金、指数への連動精度などを確認する必要があります。

最大のライバルはSBI全世界高配当株式ファンド

そして、全世界高配当ファンドを比較するときに外せない存在が「SBI全世界高配当株式ファンド」です。

この商品には年1回決算型や年4回決算型があります。

動画で特に注目されているのが、圧倒的な低コストです。

信託報酬は約0.055%。

今回のeMAXISやアムンディの約0.165%と比較すると、およそ3分の1です。

長期投資では、わずかなコスト差でも10年、20年と積み重なることで運用結果に影響します。

そのため、コストを最優先する投資家にとって、SBIの商品は非常に強力な選択肢になります。

実質コストでもSBIが優位

投資信託では、表面的な信託報酬だけを見ればいいわけではありません。

売買コストや保管費用などを含めた実質的な費用も発生するからです。

動画で紹介された総経費率では、アムンディが約0.48%でした。

一方、SBI全世界高配当株式ファンドは約0.11%とされています。

動画では、この結果からコスト面ではSBIにかなり大きな優位性があると評価しています。

もちろん、新しいeMAXISファンドについては運用開始後の実質コストがまだ分かりません。

純資産が大きく集まれば、隠れコストが低下する可能性もあります。

そのため、設定直後の信託報酬だけで最終判断するのではなく、実際の運用報告書を確認することが重要です。

コストが安くてもリターンが高いとは限らない

ただし、投資で最も重要なのはコストだけではありません。

いくら信託報酬が安くても、投資戦略そのもののリターンが低ければ意味がありません。

動画では、アムンディ、SBI、通常のオルカンなどのリターンも比較されています。

直近6カ月や1年では、アムンディが連動する高配当指数が比較的良い成績を上げていました。

一方、より長い期間で見ると、SBI全世界高配当株式がリードしている期間もあります。

高配当ファンド同士でも運用方法は同じではありません。

そのため、

「高配当だから全部同じ」

と考えない方がよいでしょう。

eMAXIS・アムンディ・SBI・通常のオルカンはどう選ぶ?

今回の商品を含めると、全世界株式へ投資する選択肢はかなり増えてきました。

動画では、それぞれに向いている投資家を整理しています。

eMAXISオルカン高配当・資産成長型

高配当企業へ長期投資したいものの、今すぐ現金を受け取る必要がない人に向いています。

配当を外部へ払い出さず、資産形成を続けたい人や、三菱UFJアセットマネジメントの運用基盤、商品コンセプトを評価する人に適しています。

eMAXISオルカン高配当・配当払い出し型

定期的なキャッシュフローを求める人に向いています。

自分で投資信託を売却する判断をしたくない人や、年4回の分配金を生活費や趣味などに利用したい人にとって使いやすい設計です。

アムンディ・オールカントリー高配当

今回のeMAXIS商品と同系統の指数への連動を目指しており、すでに運用実績があります。

今後はeMAXISの分配実績や実質コストを確認しながら比較することになりそうです。

SBI全世界高配当株式

最大の魅力は低コストです。

信託報酬を最優先する人や、SBIの高配当株運用を評価する人にとって有力な候補です。

一方、MSCIの高配当指数へそのまま連動する商品ではないため、投資戦略はeMAXISやアムンディとは異なります。

通常のオルカン

配当収入よりも資産形成の効率を優先したい人には、通常のオルカンが依然として有力です。

大型テクノロジー企業を含む世界株式市場全体へ投資でき、自分で必要なときに売却できる人にとっては非常にシンプルな選択肢です。

「分配金あり」と「分配金なし」に絶対的な正解はない

今回の動画で重要なポイントとして挙げられているのが、

「分配金が出るファンドの方が優れているわけでも、分配金が出ないファンドの方が必ず優れているわけでもない」

という考え方です。

近年では、証券会社の定期売却サービスも充実しています。

例えば通常のオルカンを保有し、毎月1%ずつ自動的に売却することもできます。

経済合理性だけを考えるのであれば、資産成長型の商品を保有しながら必要な分だけ売却する方法が効率的になる場合があります。

一方で、人間の投資行動は必ずしも理論だけでは決まりません。

「資産を売却するのが怖い」

「毎月いくら売ればいいのか考えたくない」

「配当金が振り込まれること自体がうれしい」

という心理もあります。

投資は数十年続く可能性があります。

理論上最も効率的な方法より、自分が無理なく続けられる方法を選ぶことも重要です。

資産形成期と資産活用期では最適解が変わる

20代や30代で、これから長期間働きながら資産を積み上げていく人であれば、配当を受け取らず再投資する方が合理的なケースが多いでしょう。

一方、60代や70代になり、すでに十分な金融資産を築いている場合は状況が違います。

重要なのは、

「資産をどこまで増やせるか」

ではなく、

「築いた資産をどのように使うか」

に変わっていきます。

高配当株は値動きが比較的小さい傾向があり、さらに定期的なキャッシュフローも期待できます。

その意味では、今回のオルカン高配当は、資産形成期だけでなく「資産活用期」を意識した商品と言えるでしょう。

新商品だからすぐ飛びつく必要はない

動画では、今回の商品について一定の評価をしながらも、設定直後に急いで購入する必要はないとの考えも示されています。

特に確認したいのが、実質的なコストです。

信託報酬だけでなく、実際にどれほどの経費がかかるのかは、運用が始まってからでなければ分かりません。

また、配当払い出し型については、

「実際にどの程度の分配金を出すのか」

も重要です。

高配当指数に連動しているからといって、指数の配当利回りと同じ金額がそのまま分配されるわけではありません。

分配方針や運用状況によって、実際の分配金は変わります。

そのため、純資産総額、実質コスト、分配金の推移などを半年程度確認してから判断するという方法も考えられます。

「オルカン」というブランドで登場した意味は大きい

同系統の高配当商品はすでに存在します。

そのため、投資戦略そのものが完全に新しいわけではありません。

それでも、巨大な純資産を持つオルカンを運用してきた三菱UFJアセットマネジメントが、「オール・カントリー」の名前を冠した高配当商品を投入する意味は小さくありません。

これまで、

「全世界株に投資したいが、もう少し配当が欲しい」

「通常のオルカンより値動きを抑えたい」

「高配当株に投資したいが、個別株を選ぶのは難しい」

と考えていた投資家に、新しい選択肢が加わります。

さらに「配当払い出し型」と「資産成長型」の2種類を用意したことで、現役世代から退職後の投資家まで幅広いニーズに対応できます。

まとめ

三菱UFJアセットマネジメントから登場する「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)」は、通常のオルカンとは異なる高配当指数への連動を目指す投資信託です。

通常のオルカンから配当金だけを取り出す商品ではなく、全世界株式の中から、配当利回り、配当の持続性、財務品質などを基準に銘柄を絞り込む点が大きな特徴です。

動画で紹介された指数データでは、約713銘柄へ分散され、配当利回りは約3.27%。通常のオルカンの約1.59%と比較すると高い水準となっています。

また、β値や標準偏差も通常のオルカンより低く、値動きが比較的小さい傾向があります。

そのため、資産を最大限増やすことよりも、値動きを抑えながら配当収入を得たい投資家に適した商品と言えそうです。

一方、競合商品もすでにあります。

同系統の指数に連動するアムンディの商品に加え、信託報酬約0.055%という低コストを武器にするSBI全世界高配当株式ファンドもあります。

コストだけを見ればSBIの優位性は大きく、今回のeMAXIS商品が今後どれほど純資産を集め、実質コストを下げられるのかは重要なポイントです。

そして最も大切なのは、「分配金が出るかどうか」だけで商品を選ばないことです。

若いうちは資産成長を優先し、退職後はキャッシュフローを重視するなど、最適な投資方法はライフステージによって変わります。

通常のオルカン、オルカン高配当の資産成長型、配当払い出し型、アムンディ、SBI。

選択肢が増えたからこそ、「どの商品が最も人気なのか」ではなく、「自分は何のために投資しているのか」を基準に選ぶことが重要です。

長期投資を続けながら、将来その資産をどのように使っていくのか。

今回の「オルカン高配当」の登場は、資産を増やすだけではなく、その後どのように活用するかまで考えるきっかけになる商品と言えるでしょう。

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