本記事は、YouTube動画『バンガードが円安170円予想、日本国債売り・米国債買いを強める理由』の内容を基に構成しています。
導入
世界最大級の運用会社であるバンガードが、日本国債に対して慎重な姿勢を強め、米国債を買い増しているという見方が注目されています。さらに、円相場については1ドル170円まで円安が進む可能性があるとの予想も示されており、日本円だけで資産を持つことへの不安を感じる人も増えています。
今回の動画では、ファイナンシャルプランナーの洋平氏が、バンガードの投資判断を出発点に、日本国債、米国債、円安、インフレ、新NISAの制度改正、そして今後の資産防衛について解説しています。
結論から言えば、動画の中心テーマは「日本円の現金だけで資産を持つことは、今後ますますリスクになり得る」という点です。もちろん将来の為替や金利を正確に当てることは誰にもできません。しかし、日本の財政、円安、物価上昇、海外投資家の資金移動を考えると、通貨分散や債券運用を含めた資産設計が重要になっているという内容です。
バンガードとはどのような運用会社なのか
まず動画では、バンガードという会社について説明されています。バンガードは世界最大級の運用会社の1つであり、個人投資家にも非常になじみのあるETFを多数運用しています。
たとえば、全世界株式に投資するVT、米国株式全体に投資するVTI、S&P500に連動するVOO、米国高配当株に投資するVYMなどは、投資をしている人なら一度は聞いたことがある商品です。
バンガードの創業者であるジョン・ボーグル氏は、個人投資家向けのインデックスファンドを広めた人物として知られています。そのため、バンガードは単なる大手金融会社というだけでなく、インデックス投資の歴史を語るうえでも非常に重要な存在です。
そのような巨大運用会社が、日本国債に弱気で、米国債に強気の姿勢を示していることは、個人投資家にとっても無視できない動きだと動画では説明されています。
バンガードはなぜ日本国債を売り、米国債を買っているのか
動画によると、バンガードは米国10年債利回りについて、3.75%から4.25%程度が適正レンジだと見ているようです。一方で、動画撮影時点では米国10年債利回りが4.5%前後まで上昇しており、バンガードの想定よりも高い水準にあります。
債券は、金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がる性質があります。つまり、米国債利回りがすでに高い水準にあると考えるなら、今後金利が低下した場合に債券価格の上昇も期待できます。そのため、バンガードは米国債を買っているというわけです。
一方、日本国債についてはアンダーウェイト、つまり保有比率を低くする姿勢を取っていると紹介されています。その理由として、財政リスクや金融政策リスクが挙げられています。
日本では長期金利が上昇しており、動画内では政策金利が0.75%、2年債利回りが1.386%、10年債利回りが約30年ぶりに2.6%を突破したと説明されています。また、30年債利回りは3.919%、40年債利回りは4.142%とされており、超長期国債にも強い売り圧力がかかっている状況です。
このように、日本国債は金利上昇によって価格が下落しやすい環境にあり、バンガードは米国債の方が投資妙味があると見ている、というのが動画の大きなポイントです。
円安170円予想が意味すること
動画では、バンガードが1ドル170円まで円安が進む可能性を見ている点にも触れられています。
通常であれば、日本国債の利回りが上昇すれば、日本円で運用する魅力が高まり、円が買われやすくなると考えられます。しかし、バンガードは日本国債の金利上昇と円安が同時に起こる可能性を見ていると説明されています。
これは一見すると矛盾しているように見えますが、動画ではその背景として、原油価格の高止まりや日本の交易条件の悪化が挙げられています。
日本はエネルギー資源を海外から多く輸入しています。そのため、原油価格が上昇すると輸入コストが増え、国内の物価上昇につながります。さらに、円安が進めば輸入品の価格はさらに上がりやすくなります。
このような状況では、景気が強くないにもかかわらず物価だけが上がる、いわゆるスタグフレーション的な環境が発生しやすくなります。動画では、強烈なスタグフレーションではなく「プチスタグフレーション」のような形になる可能性があると説明されています。
日本円の現金だけを持つリスク
動画で強調されているのは、日本円の現金だけで資産を持つことのリスクです。
たとえば、1,000万円を銀行預金として持っていた場合、額面上は1,000万円のままです。しかし、円安やインフレが進むと、その1,000万円で買えるものの量は減っていきます。つまり、見た目の金額は変わらなくても、実質的な購買力は低下します。
動画では、仮に1ドル170円まで円安が進むと、現在から約10%の円安になると説明されています。この場合、対外的に見た日本円の価値は大きく下がり、1,000万円の購買力が実質的に900万円程度になるイメージだと解説されています。
一方で、米国債など外貨建て資産を持っていれば、円安による為替差益に加えて、米国債の利回りによるインカム収入も期待できます。もちろん、逆に円高が進んだり、米金利がさらに上昇して債券価格が下がったりすれば損失が出る可能性もあります。
それでも動画では、日本円だけに資産を置いておくより、外貨建て資産を持つ方が期待値は高いのではないかという見方が示されています。
米国株は今後も強いのか
次に動画では、米国株についても解説されています。
洋平氏は、個人的には今後も米国株は強いと考えていると述べています。ただし、同時に米国株のバリュエーション、つまり割高感には注意が必要だとも指摘しています。
株式の割高・割安を見る代表的な指標にPERがあります。その逆数は株式益回りと呼ばれます。株式益回りと米国債利回りを比較すると、株式が債券に対してどれだけ高いリターンを期待されているかを見ることができます。
本来、株式は債券よりもリスクが高いため、債券よりも高いリターンが期待されるべきです。しかし、足元ではS&P500の益回りと米国長期金利がかなり接近しており、リスクプレミアムがほとんどない状態に近いと説明されています。
これは、株式を持つリスクに対して、十分な上乗せリターンが得られにくい状態とも言えます。動画では、この状況が2000年のITバブル期に近づいているとも指摘されています。
もちろん、1985年から2000年にかけてもリスクプレミアムが低い状態で株価は上昇を続けました。そのため、これだけを理由にすぐ株を売って債券に逃げるべきだとは言えません。ただし、米国株だけに集中投資することには、一定の警戒が必要だということです。
バンガードが示す株式30%、債券70%の考え方
動画では、バンガードが今後10年の期待リターンについて、米国株を年率3%から5%程度、米国債を年率4%から5%程度と見ていることも紹介されています。
もし株式と債券の期待リターンが同じ程度であれば、リスクの低い債券を持つ方が合理的だという考え方になります。株式は価格変動が大きく、暴落時には大きな含み損を抱える可能性があります。一方、債券は金利変動リスクや為替リスクはあるものの、株式よりも値動きが安定しやすい資産です。
バンガードは、今後10年というスパンで見た場合、株式30%、債券70%というかなり守りを重視したポートフォリオを示していると動画で説明されています。
具体的には、米国バリュー株、グロース株、小型株、新興国株式、米国以外の先進国株式などで株式部分を構成し、米国投資適格債、短期国債、長期国債、クレジット債、米国以外の債券などで債券部分を構成するイメージです。
従来、米国では株式60%、債券40%の「60対40ポートフォリオ」が有名でした。しかし、バンガードの見方では、今後はそれを反転させるような守り重視の配分も検討に値するという内容です。
新NISAで債券ファンドが買えるようになる意味
動画後半では、新NISAの制度改正についても触れられています。
これまで新NISAのつみたて投資枠では、株式を含まない債券100%のファンドは基本的に対象外でした。しかし、制度改正により、今後は一定の条件を満たす債券インデックスファンドもつみたて投資枠で買えるようになる予定だと説明されています。
これにより、新NISAの1,800万円の非課税枠を、株式だけでなく債券も含めて自由に配分しやすくなります。
若い人や長期でリスクを取れる人であれば、株式中心の運用でもよいかもしれません。一方で、50代、60代、あるいはすでに大きな資産を持っている人にとっては、株式だけでなく債券も組み入れることで、より安定した運用が可能になります。
動画では、NISAで債券ファンドを買う優先度は人によって異なるものの、選択肢が広がること自体は非常に良いことだと説明されています。
為替と金利をどう考えるべきか
洋平氏は、今後の為替について、基本的には円安方向で見ていると述べています。ただし、急激に円安が進むというよりも、1ドル150円台から160円前後の水準が長く続き、どこかで160円を突破し、場合によってはバンガードが言う170円に向かう可能性があるというニュアンスです。
米国金利については、10年債利回りが4%後半に入る水準では債券投資の魅力が出てくると説明されています。また、30年債利回りが5%を明確に突破し、5.1%台などに入ってくると、そこでも一定の投資妙味が出てくるという見方です。
つまり、動画全体を通じて語られているのは、為替と金利を無視して資産運用を考える時代ではなくなっているということです。
日本円の現金だけで持つのか、米国株を持つのか、米国債を持つのか、あるいは株式と債券を組み合わせるのか。これらはすべて、今後の円安、インフレ、金利動向と深く関係しています。
追加解説:円安時代の資産防衛で大切な考え方
ここで初心者向けに補足すると、円安時代の資産防衛で大切なのは「円をすべて捨てる」という極端な考え方ではありません。重要なのは、資産を1つの通貨、1つの国、1つの資産クラスに集中させすぎないことです。
日本に住んでいる以上、生活費の多くは日本円で支払います。そのため、一定の日本円現金は必要です。生活防衛資金まで外貨建て資産にしてしまうと、急な出費に対応しづらくなります。
一方で、余裕資金まで日本円の預金だけに置いておくと、円安やインフレによって実質的な価値が下がる可能性があります。そのため、米国株、全世界株、米国債、先進国債券ファンドなどを組み合わせて、資産全体のバランスを考えることが重要になります。
特に、すでに株式を多く持っている人は、今後は債券を一部組み入れることで値動きの安定を図る選択肢もあります。反対に、現金だけで資産を持っている人は、まず少額から外貨建て資産や投資信託に慣れていくことも考えられます。
大切なのは、誰かの予想をそのまま信じて一気に資産を動かすことではなく、自分の年齢、収入、資産額、リスク許容度、投資期間に合わせて、少しずつ分散を進めることです。
まとめ
今回の動画では、世界最大級の運用会社であるバンガードが、日本国債に慎重な姿勢を取り、米国債を買い増している背景について解説されました。
バンガードは、米国債利回りが魅力的な水準にある一方、日本国債には財政や金融政策のリスクがあると見ているようです。また、円相場については1ドル170円まで円安が進む可能性にも触れられており、日本円だけで資産を持つことのリスクが改めて意識されています。
動画のポイントは、米国株が今後も有望である可能性はあるものの、割高感も無視できないという点です。株式だけに集中するのではなく、米国債や債券ファンドを組み合わせることで、より安定した資産運用を目指す考え方が紹介されました。
また、新NISAの制度改正により、今後はつみたて投資枠でも債券インデックスファンドを選びやすくなる予定です。これにより、株式中心の運用だけでなく、年齢やリスク許容度に応じたバランス運用がしやすくなります。
円安、インフレ、金利上昇が同時に意識される現在、日本円の現金だけに頼る資産管理はリスクを伴います。今後は、株式、債券、外貨建て資産、日本円現金をどのように組み合わせるかが、資産防衛においてますます重要になるでしょう。


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