本記事は、YouTube動画『【5年で想像を超える】なぜ、世界中の投資家が〇〇を大量に購入しているのか…?|『「日本経済が壊れ始めている」という見方』が急速に広がっている異常事態を元ゴールドマンサックスが徹底解説』の内容を基に構成しています。
近年、長く続いてきた円安や日本の金利環境に大きな変化が起きています。
動画では、海外の投資家やメディアの間で「日本経済が壊れ始めている」という見方が広がっていることを出発点に、日本が長年維持してきた低金利政策、円キャリートレード、日本国債、そして海外に流出してきた日本資本の国内回帰について解説しています。
重要なのは、「日本経済がすでに崩壊している」と断定しているわけではないという点です。あくまで海外市場でそのような見方が強まりつつあり、その背景には円相場や日本国債市場の変化があるという内容です。
そして、この問題は日本国内だけの話ではありません。
日本の低金利を利用して世界中に投資されてきた「円」が日本へ戻り始めれば、米国株、米国債、ビットコイン、日本株、そして新NISAで保有される海外資産まで、大きな影響を受ける可能性があります。
円安と日本国債金利の上昇が同時進行している
動画では、現在の日本で注目すべき変化として、まず円と日本国債が取り上げられています。
円相場は歴史的な円安水準まで下落しました。一方、日本国債の利回りも上昇しています。
通常、国債金利が急上昇する現象は、財政への信用が低下した国などで問題になりやすいものです。
しかし、日本は長年にわたり世界有数の対外純資産国として知られ、多くの海外資産を保有してきました。
その日本で、円安と長期金利上昇が同時に進んでいることが海外投資家から注目されているというのが動画の問題提起です。
なぜ日本は巨額の政府債務を抱えても破綻しなかったのか
日本政府の債務はGDPに対して非常に大きな規模にあります。
一般的な感覚では、これだけ大きな政府債務を抱えれば金利負担が膨張し、財政運営が困難になるように思えます。
しかし、日本は長期間にわたりこの状態を維持してきました。
動画では、その理由として大きく2つの要因を挙げています。
日本の金利が長期間ほぼ0だった
1つ目は、日本の金利が非常に低かったことです。
日本では1990年代初頭にバブル経済が崩壊した後、長期間にわたるデフレに入りました。
物価も賃金もなかなか上昇しない状況が続いたため、日本銀行は金利を極めて低い水準まで引き下げました。
借金の金額が大きくても、支払う金利がほぼ0であれば、政府の利払い負担は抑えられます。
この低金利環境が、日本の巨額な政府債務を支える重要な要素になっていたという説明です。
日本国債の多くを日本国内で保有していた
もう1つの理由が、日本政府の借金を誰が保有しているかです。
外国人投資家への依存度が高い国の場合、財政への信用が低下すると外国人投資家が一斉に国債を売却し、危機が急速に深刻化する場合があります。
一方、日本国債の多くは日銀や国内金融機関によって保有されてきました。
動画では、日銀、国内の保険会社、銀行などが日本国債の大部分を保有し、外国人投資家の比率は比較的小さいと説明しています。
つまり、日本国内で政府の借金を支える構造が長期間続いてきたわけです。
世界の金融市場を支えてきた「円キャリートレード」
ここから世界の金融市場との関係が見えてきます。
日本は長期間にわたり、世界でも極めて金利の低い国でした。
そこで世界の投資家が利用してきたのが「円キャリートレード」です。
円キャリートレードとは
円キャリートレード:金利の低い円で資金を借り、その資金をより高い利回りが期待できる海外資産へ投資する取引です。
例えば、日本円をほぼ0%に近い金利で借り、その円をドルへ交換します。
そのドルで利回り5%の米国債を購入すれば、単純化すると借入金利と投資利回りの差が利益になります。
動画では、1000億円相当を低金利で借りて、利回り5%の米国債に投資すれば、金利差だけで年間約50億円の利益が生まれるという例を紹介しています。
こうした取引が世界中で積み上がったことで、円で調達された資金が米国債、米国株、テクノロジー株、ビットコインなど、さまざまな資産へ流れていったというわけです。
日本自身も海外へ巨額の資金を投資してきた
海外へ資金を出してきたのは海外のヘッジファンドだけではありません。
日本国内の年金基金、保険会社、銀行、個人投資家も、長期間にわたり海外資産への投資を増やしてきました。
その背景には、日本国内の金利が極めて低かったことがあります。
日本国債を買っても十分な利回りを得られないため、米国債や海外株式などへ資金を振り向ける合理性がありました。
動画では、日本が米国債の世界最大級の外国保有国になっていることや、GPIFも国内株式、外国株式、国内債券、外国債券へ幅広く資金を配分していることを紹介しています。
つまり、日本の年金や金融機関のお金の相当部分も海外市場へ投資されているということです。
2020年以降、日本の金融環境が大きく変わった
この仕組みが成立していた大きな前提は、「日本の金利がほぼ0であり続けること」でした。
ところが、その環境を変えたのが2020年以降の世界的なインフレです。
新型コロナウイルスのパンデミック後、世界各国では大規模な金融・財政政策が実施されました。
さらに、供給網の混乱やエネルギー価格上昇などが重なり、世界的に物価が上昇しました。
米国や欧州などはインフレを抑えるため政策金利を大幅に引き上げました。
一方、日本は急激な利上げを避けました。
その結果、米国などとの金利差が拡大しました。
金利差拡大が円安を生んだ
米ドルを保有すれば高い金利を得られる一方、円を保有してもほとんど金利が得られない。
その状況では、投資家が円を売ってドルを買う動きが強まりやすくなります。
動画では、この金利差が1ドル110円前後だった円相場を150円、160円台へと押し下げていった主要な要因の1つとして説明されています。
円安が日本国内のインフレを悪化させる
日本はエネルギーや原材料の多くを海外から輸入しています。
原油、天然ガス、食品原料などの多くはドル建てで取引されます。
円安になれば、同じ1ドルの商品を購入するために必要な円の金額が増えます。
そのため輸入コストが上昇し、企業の仕入れ価格や家計の生活費にも影響します。
そして物価が上昇すれば、働く人々は賃上げを求めるようになります。
動画では、日本でも長く停滞していた賃金が動き始めたことに注目しています。
物価上昇を受けて企業が賃上げを行い、さらに賃金上昇によって消費や物価が動けば、これまでの「物価も賃金も上がらない日本」とは違う経済環境になる可能性があります。
日本が迫られている「円か国債か」という難しい選択
動画では、日本が難しい選択を迫られているという見方を紹介しています。
金利を低いまま維持すれば、政府の巨額な債務にかかる利払い負担を抑えやすくなります。
しかし、海外との金利差が大きい状態が続けば円安圧力が強まり、輸入物価上昇を通じて国民生活を圧迫する可能性があります。
逆に金利を上げれば、円を支える効果が期待できます。
しかし、政府債務が極めて大きいため、金利上昇は将来的に政府の利払い負担を増やします。
さらに国債価格が下落すれば、大量の国債を保有している金融機関や日銀にも影響します。
そのため動画では、「通貨を守るのか、国債市場を守るのか」という難しい構図になっていると説明しています。
日本国債の金利が上昇すると何が変わるのか
ここで非常に重要になるのが、日本国債の利回り上昇です。
これまで日本国内の金利がほぼ0だったため、日本の金融機関や投資家はより高い利回りを求めて海外へ資金を送り出してきました。
しかし、日本国債から十分な利回りを得られるようになれば状況は変わります。
為替リスクを負って米国債を保有しなくても、日本円のまま日本国債を保有することで一定の利回りが得られるからです。
その結果、日本の機関投資家が海外資産を売却して国内資産へ戻す動きが出る可能性があります。
「レパトリエーション」で日本のお金が戻ってくる可能性
海外へ投資されていた資金を自国へ戻すことを「レパトリエーション」と呼びます。
レパトリエーション:海外に投資していた資金を本国へ戻す資本回帰のことです。
例えば、日本の生命保険会社が米国債を売却するとします。
米国債を売ればドルを受け取ります。
そのドルを円へ交換し、日本国債を購入します。
この取引では、
米国債を売る
↓
ドルを売る
↓
円を買う
↓
日本国債を買う
という資金の流れが発生します。
つまり、レパトリエーションが大規模になれば円高圧力になると同時に、日本国債を支える買い手も増えることになります。
動画では、日本の保険会社などが海外債券から国内債券へ資金を戻す動きに注目しています。
日本資金の国内回帰は米国市場にも影響する
この問題が日本だけで終わらない理由は、日本が米国債の巨大な保有者だからです。
日本の投資家が米国債を買い続けてくれる状態では、米国政府は比較的安定して資金を調達できます。
ところが日本の金融機関が米国債を買わなくなったり、保有している米国債を売却したりすれば、新たな買い手を集める必要があります。
買い手を増やすためには、より高い利回りが必要になる可能性があります。
その結果、米国債金利が上昇する可能性があります。
米国の長期金利は住宅ローン、企業融資、株式のバリュエーションなど、さまざまな金融商品の基準になります。
したがって、日本資金の動きが米国の金融市場全体へ波及する可能性があるというのが動画の重要なポイントです。
S&P500やオルカン投資家にも円高は関係する
円高は、新NISAなどでS&P500やオルカンを保有している人にも直接関係します。
海外株式へ投資している日本人は、株価だけではなく為替の影響も受けています。
例えば、米国株の価格が変わらなかったとしても、ドル円が110円から160円へ円安になれば、円換算した資産価値は大きく増えます。
つまり、ここ数年の海外資産の高いパフォーマンスには、株価上昇だけではなく円安による押し上げ効果も含まれているということです。
反対に円高が進めば、米国株が下落していなくても円換算した評価額が減る可能性があります。
動画では、S&P500やオルカンへ長期投資している人ほど、この為替効果を理解しておく必要があると指摘しています。
円高で日本株の主役が変わる可能性もある
円高は日本企業すべてに同じ影響を与えるわけではありません。
輸出企業にとっては一般的に円高が逆風となります。
自動車や電機など、海外でドル建ての売上を上げる企業の場合、その利益を円へ換算した際の金額が小さくなるためです。
一方、海外から原材料やエネルギーを輸入している企業にとっては円高が追い風になる可能性があります。
円高になれば輸入コストが低下するからです。
そのため今後円高トレンドへ移行した場合、これまで円安で恩恵を受けていた企業から、円高メリットを受ける企業へ相場の主役が変わる可能性があります。
最大のリスクは円キャリートレードの巻き戻し
動画が最も警戒しているのが、円キャリートレードの巻き戻しです。
円キャリートレードでは、投資家は円を借りて海外資産を買います。
この取引を終了する場合には、海外資産を売却し、円を買い戻して借金を返さなければなりません。
そのため多くの投資家が同時にポジションを解消すると、
海外資産の売却
↓
ドルなどを売却
↓
円を買い戻す
↓
急激な円高
という流れが起きます。
これが「キャリートレードの巻き戻し」です。
過去にも急激な円高と市場混乱が同時発生している
動画では、過去の急激な円高局面として1998年、2008年、2016年、2020年、2024年などを挙げています。
例えば1998年には巨大ヘッジファンドLTCMの危機が発生し、円キャリートレードの巻き戻しが進みました。
2008年の世界金融危機でも円は大きく上昇しました。
2020年のコロナショックなど、市場が強いリスク回避状態になった局面でも円が買われる動きが見られました。
2024年8月には日銀の金融政策変更をきっかけに円が急上昇し、日本株が歴史的な下落を記録したことも取り上げています。
ただし動画では、ここで重要な注意点を指摘しています。
「円高が金融危機を起こす」という単純な因果関係ではありません。
世界市場で何らかの危機が起き、投資家がリスク資産を売却して円建ての借金を返済するために円を買うことで、結果として円高が同時発生するケースも多いということです。
今回は「意図的な円高」が起きる可能性があるという見方
動画では、過去の円高局面との違いについても触れています。
これまでの急激な円高は、市場危機などによる結果として発生するケースが中心でした。
一方、今回議論されているシナリオでは、日本政府や金融機関が海外にある資金を国内へ戻すことで、結果として円高を促す可能性があります。
つまり市場の偶発的なリスク回避だけではなく、日本資金の国内回帰そのものが円高要因になる可能性があるという見方です。
ただし、動画内でも政府が大規模な資本回帰政策を正式決定したと断定しているわけではありません。
また、匿名アカウントによる情報や民法589条に関する話についても、政府や日銀による公式発表ではなく、海外投資家の間で広がっている憶測として扱っています。
この点は事実と仮説を分けて考える必要があります。
投資家が考えておきたい3つのポイント
こうした環境で、動画では特定の銘柄を売買することよりも、資産配分とリスク管理を重視しています。
まず、自分の資産がどの通貨に偏っているのかを確認することです。
S&P500やオルカンなど海外資産を多く持っている場合、資産価値は株価だけではなくドル円などの為替相場にも左右されます。
次に、1つのシナリオだけを前提に投資しないことです。
円安が永遠に続く保証もなければ、円高になると決まっているわけでもありません。
そのため円資産と外貨資産、日本株と海外株などを組み合わせることで、1つの市場環境に依存しすぎないことが重要になります。
そして最後に、短期間の急変に耐えられるポジションサイズにすることです。
キャリートレードの巻き戻しのような現象は短期間で急激に進むことがあります。
そのため、一度に資産を大きく動かすのではなく、時間を分散しながら投資する考え方が紹介されています。
円高になったから海外資産を全部売る必要はない
動画の最後では、「それなら海外資産をすべて売って日本株へ移せばいいのか」という極端な考えについても否定しています。
重要なのは、円かドルか、日本株か米国株かという2択ではありません。
複数の資産を保有しながら、価格が大きく変化したときにリバランスすることが長期投資では重要だという考えです。
例えば、海外株が大きく上昇して資産全体に占める比率が高くなれば一部を減らし、比率が低くなった資産へ振り向ける方法があります。
逆に円高によって海外資産の円換算評価額が下がった場合には、長期的な投資方針に沿って安くなった資産を買い増す選択肢もあります。
重要なのは為替の方向を完璧に予測することではなく、どちらに動いても資産運用を継続できる状態にしておくことです。
まとめ
今回の動画では、歴史的な円安と日本国債金利上昇を背景に、日本の金融環境が長年の低金利時代から転換しつつある可能性について解説されました。
日本は長期間ほぼ0金利を維持し、その安い円資金が円キャリートレードを通じて米国債、米国株、ビットコインなど世界中の資産へ流れてきました。
また、日本の年金基金、保険会社、銀行なども、国内で十分な利回りを得られなかったため巨額の資金を海外へ投資してきました。
しかし、日本国債の利回りが上昇すれば、為替リスクを取って海外へ投資する必要性は以前より低下します。
その結果、日本の資金が海外から国内へ戻る「レパトリエーション」が進めば、円高、日本国債買い、海外資産売りという流れが発生する可能性があります。
特に円キャリートレードの巻き戻しが急速に進んだ場合には、為替だけではなく世界の株式市場や債券市場にも影響が広がる可能性があります。
一方で、動画内でもこうしたシナリオを確定した未来として断定しているわけではありません。
投資家にとって重要なのは「必ず円高になる」「米国株が暴落する」と決めつけることではなく、円高・円安のどちらにも対応できる資産配分を考えることです。
S&P500やオルカンなど海外資産を保有している場合には、これまでの評価額上昇に円安の恩恵がどの程度含まれていたのかを確認しておくことも重要でしょう。
相場の大きな転換は、誰もが理解してからゆっくり起こるとは限りません。
だからこそ、特定のシナリオに資産を集中させるのではなく、時間分散、資産分散、通貨分散を意識しながら、長期的に運用を続けられるポートフォリオを作ることが重要だといえます。


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