信用残から読む日本株の今後|JX金属・任天堂・アドバンテスト・キオクシアなど注目銘柄を解説

本記事は、YouTube動画『信用残で見る個別株動向と今後2週間の見通し』の内容を基に構成しています。

株式投資では、企業業績や決算内容だけでなく、「どの価格帯で投資家が株を買っているのか」「信用取引で買いと売りのどちらにポジションが偏っているのか」といった需給面も重要です。

今回の動画では、松井証券の店内信用残データをもとに、8月6日と8月14日の信用残を比較しながら、日本株市場全体の状況と個別銘柄の今後について解説しています。

取り上げられたのは、JX金属、ソフトバンクグループ、任天堂、NEC、キオクシアホールディングス、アドバンテスト、レーザーテックなどです。

さらに後半では、日本と米国で進む長期金利上昇にも焦点を当て、銀行・保険などの金融株と不動産株への影響についても解説されています。

目次

日経平均は再び戻りを試す展開に

まず動画では、日経平均株価の動きを振り返っています。

7月末にかけては、AIやデータセンター関連銘柄を中心に売りが強まりました。特にレバレッジをかけて取引していた投資家のポジション調整が進み、関連銘柄が大きく下落する場面がありました。

しかし、その売りがある程度一巡した後は、相場が切り返す展開となっています。

足元ではAIデータセンター投資に対する強気な見方も再び増えており、日経平均も戻りを試す状況になっていると解説されています。

株式市場では、悪材料そのものよりも「悪材料を理由とした売りがどこまで残っているか」が重要になる場合があります。

すでに多くの投資家が売ってしまった後では、新たな売り手が少なくなり、ちょっとした好材料でも株価が反発しやすくなるためです。

信用買い残は減少も、需給改善はまだ道半ば

松井証券の店内信用残を見ると、信用買い残はピークから減少し、約4808億円となっています。

一方、信用売り残は約278億円まで増加しました。

以前と比べれば信用需給は改善しているものの、動画では「まだ良い状態とまでは言えない」と評価しています。

特に4月頃と比較すると、当時は信用売り残が現在よりも多く、買いと売りのバランスが現在より良好でした。

信用買い残が大量に積み上がっている相場では、株価が上昇した際に「ようやく買値まで戻ってきたので売ろう」と考える投資家が増えます。

そのため、信用買い残が多い状態は株価上昇を妨げる「上値の重さ」につながることがあります。

信用買いの評価損益率はマイナス3.1%まで改善

信用取引を分析するうえでは、信用残だけでなく「信用評価損益率」も重要です。

動画によると、信用買いの評価損益率はマイナス3.1%まで改善しています。

この水準まで戻ると、信用取引を行っている投資家の売買が活発になりやすく、いわゆる信用取引の回転が効きやすくなります。

一方、信用売りの評価損益率はマイナス21.7%となっており、空売りをしている投資家にとっては厳しい状況です。

つまり、売り方の多くが大きな含み損を抱えていることになります。

こうした状態では、株価がさらに上昇すると損失拡大を避けるために空売りを買い戻す動きが出る可能性があります。

いわゆる「踏み上げ」が発生すれば、それ自体がさらなる株価上昇要因になることもあります。

信用買い残増加1位はJX金属

信用買い残の増加額ランキングで1位となったのがJX金属です。

株価は4000円前後でのもみ合いが続いています。

JX金属は8月6日に2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

動画によると、営業利益は前年同期比2.8倍となる814億円まで拡大しました。

さらに通期業績予想も大幅に上方修正され、営業利益予想は2320億円となっています。

業績面だけを見ると非常に強い内容です。

AI関連需要や半導体関連材料に加え、銅価格の上昇なども業績を押し上げています。

好決算でも株価が上がりにくい理由

一方、業績が好調だからといって株価が一直線に上昇するとは限りません。

JX金属の場合、信用買い残が高水準まで積み上がっている点が上値を重くする要因となっています。

特に株価が5000円程度まで戻った場合、その価格帯で高値づかみした投資家からの戻り売りが出やすくなります。

例えば5000円で購入した株が4000円まで下落した場合、多くの投資家は含み損を抱えます。

その後、株価が再び5000円近くまで戻れば、「損をせずに逃げられるうちに売ろう」と考える投資家が増える可能性があります。

そのため動画では、JX金属について、業績自体は良好であるものの、信用需給を考えるとしばらく株価のもみ合いが続く可能性が高いと分析しています。

ソフトバンクグループも信用買い残が高水準

信用買い残増加額ランキング4位にはソフトバンクグループが入っています。

ソフトバンクグループの株価は一時大きく下落した後、足元では戻りを試しています。

動画では、AIモデルの価格競争激化への懸念などを背景に一時売られていたものの、その警戒感が徐々に後退していると解説されています。

さらにAI関連投資やデータセンター関連の報道などもあり、株価は反発しています。

ただし、ここでも問題になるのが信用需給です。

信用買い残はピークから減少しているものの、依然として高水準にあります。

6000円より上には戻り売りが待っている可能性

動画では、過去にどの価格帯で売買が成立したのかを示すデータにも触れています。

ソフトバンクグループの場合、6000円より上の価格帯で取引した投資家が多く存在しているとしています。

このため株価が6000円台へ戻ってくると、含み損を抱えていた投資家からの売りが出やすくなる可能性があります。

株価自体は戻りを試す余地があるものの、過去の高値圏へ再び到達するまでには時間が必要になる可能性があるという見方です。

任天堂は信用買い残減少で需給改善

信用買い残の減少額ランキングで1位となったのが任天堂です。

任天堂株は最近、反発基調を強めています。

今年の夏にかけては、メモリー価格上昇によってゲーム機の採算が悪化するのではないかとの懸念がありました。

さらに生成AIの進化によって、将来的にはユーザー自身がゲームを作れるようになり、既存のゲーム会社が必要なくなるのではないかといった極端な見方も出ていました。

しかし動画では、こうした懸念が徐々に後退しているとしています。

AIでゲームを作るにもコストがかかる

生成AIを使えばゲーム制作のハードルが下がる可能性はあります。

ただし、大規模なゲームを生成・運営するためには膨大な計算処理が必要となります。

AIでは処理量に応じてトークンコストなどが発生するため、ユーザーが高度なゲームを自由に生成し続ける場合、非常に高額になる可能性があります。

結果として、「自分でAIを使ってゲームを生成するより、完成したゲームを購入した方が安い」という考え方が改めて意識されるようになっています。

こうした見方の変化も、任天堂株の戻りにつながっていると動画では解説されています。

さらに信用買い残も減少傾向にあります。

信用需給が整理されているため、需給面から見ても今後しばらく戻りを試す展開が期待できるとしています。

NECは「SaaSの死」懸念から復活へ

信用買い残減少額ランキング5位はNECです。

NEC株は4月以降、上昇基調が続いています。

一時期、市場では「SaaSの死」という言葉が話題になりました。

生成AIが普及すれば、企業向けソフトウェアやシステムサービスの一部がAIに置き換えられ、従来型のITサービス企業が打撃を受けるのではないかという考え方です。

NECもこうした懸念から売られる場面がありました。

しかしNEC自身もAIを前提とした経営へ転換しようとしています。

動画では、人とAIが協働する自律型組織を推進する部署を設けるなど、「AIネイティブ」を意識したサービス提供へ方針を変えている点が評価されていると説明しています。

さらにAI企業Anthropicとの協業も注目材料となっています。

信用買い残についても整理が進んでおり、需給は改善傾向です。

このためNECについては、今後も上値を試す展開が期待できると分析しています。

キオクシアは信用売り残増加ランキング1位

続いて信用売り残を見ていきます。

信用売り残の増加額ランキング1位となったのがキオクシアホールディングスです。

キオクシアは足元でさまざまな材料が出ており、市場の注目を集めています。

動画では、以前期待されていた約8000億円規模の自社株買いについては、8月10日の段階で買い切ったとの報道が出ており、この材料自体はすでに通過したと説明しています。

一方、その後も新たな材料が相次いでいます。

米国でレバレッジ型ETFの動き

米国の運用会社などが、キオクシアを対象としたレバレッジ型ETFを上場させる動きがあると動画では紹介されています。

レバレッジ型ETFに資金が流入すると、その値動きを再現するために対象株式や関連する金融商品を取引する必要があります。

そのため、ETFへの資金流入が大きくなれば、キオクシア株への追加的な買い需要が発生する可能性があります。

また、TOPIXの浮動株比率見直しに伴う買い需要も注目されています。

動画によると、10月最終営業日と11月最終営業日の2段階で買い需要が発生する可能性があり、需給イベントという意味ではプラス材料が控えています。

高値で買った投資家の戻り売りには注意

ただし、信用買い残は依然として高水準です。

株価が上昇してくると、以前の高値で購入して含み損を抱えている投資家からの戻り売りが出る可能性があります。

つまりキオクシアは、今後の需給イベントという追い風を抱える一方で、過去の高値圏で買った投資家による売り圧力も残っている銘柄と考えられます。

アドバンテストは信用需給が非常に良好

信用売り残増加額ランキング2位はアドバンテストです。

アドバンテスト株は好調な推移を続けています。

背景にはAIデータセンター向け半導体需要の拡大があります。

特にHBMと呼ばれる高性能メモリーへの需要が非常に強く、それに伴って半導体テスターの需要も拡大しています。

動画では、年間1万台規模のテスター生産能力という目標を前倒しで達成するとの報道にも触れており、半導体テスター市場の強さを示す材料としています。

信用需給についても、今回紹介された銘柄の中で最も良好な状態と評価されています。

信用売り残が信用買い残より多くなっており、株価が上昇した場合には空売りの買い戻しがさらなる上昇要因になる可能性があります。

アドバンテストには日経平均の「10%ルール」という注意点

ただし、アドバンテストには今後注意すべき需給イベントがあります。

アドバンテストは株価が大きく上昇した結果、日経平均株価に占める構成比率が10%を超える水準まで高まっています。

動画では、日経平均の運用ルールにより、構成比率が一定水準を超えた銘柄についてはウェイトを引き下げる調整が行われると説明しています。

アドバンテストについては10月1日からウェイトが引き下げられる予定とされています。

これに伴い、日経平均に連動するETFやインデックスファンドなどから機械的な売りが発生する可能性があります。

実際の調整日前から投資家が先回りしてポジションを動かす可能性もあるため、動画では9月中旬以降の需給悪化には注意した方がよいとしています。

業績や現在の信用需給は良好でも、指数イベントによる売りが発生する可能性があるということです。

レーザーテックは決算後のもみ合いが続く可能性

信用売り残減少額ランキング2位にはレーザーテックが入っています。

アドバンテストとは対照的に、株価はもみ合いが続いています。

要因となっているのが決算です。

8月6日に発表された決算では、売上高が前年比25.8%増、営業利益が18.8%増となりました。

数字だけを見ると増収増益であり、決して悪い決算ではありません。

しかし株式市場では、「前年より良かったか」だけではなく「市場予想を上回ったか」が重要です。

レーザーテックの場合、市場が期待していたコンセンサスには届かなかったため、決算発表後に株価が窓を開けて下落しました。

信用需給についても良好とは言いにくく、動画では当面も株価のもみ合いが続く可能性があるとしています。

今後の日本株で最も重要なのは「金利」

動画後半では、今後2週間の市場を考えるうえで最大の注目材料として金利が取り上げられています。

特に日本ではインフレ圧力が強まっており、それに伴って日銀の追加利上げ観測も強まっています。

動画によると、7月の企業物価指数は前年同月比7.2%上昇しました。

企業が仕入れる原材料や商品価格が上昇すれば、企業がそのコストをすべて負担し続けることは難しくなります。

最終的には販売価格へ転嫁され、消費者物価にも上昇圧力がかかります。

つまり企業物価の上昇は、将来的な消費者物価上昇の先行材料として意識されやすいのです。

日銀はさらに利上げするのか

物価上昇が続けば、現在の政策金利ではインフレを十分に抑えられないとの見方が強まります。

動画では、市場の一部で9月または10月に1回利上げし、さらに早ければ年内にもう1回利上げする可能性まで意識され始めていると紹介しています。

さらに注目されているのが「ターミナルレート」です。

ターミナルレートとは、中央銀行が利上げを進めた結果、最終的にどの程度の政策金利で利上げを終了するのかという市場予想です。

以前は日本のターミナルレートについて1.5~2%程度という見方が中心でしたが、動画では最近になって3%程度まで引き上げる必要があるのではないかという意見も出始めていると説明しています。

こうした見方が広がれば、国債市場でも低い利回りでは債券を買いにくくなります。

結果として長期金利には上昇圧力がかかります。

米国では2年債と10年債の動きが分かれる

米国の金利にも特徴的な動きが出ています。

動画では、米国2年国債利回りが低下する一方、10年国債利回りが上昇している点を重要視しています。

2年国債はFRBの金融政策見通しの影響を受けやすい債券です。

米国では雇用関連指標などに弱い数字が見られ、インフレも落ち着いてきたことから、金融引き締め観測が後退しています。

このため2年債利回りには低下圧力がかかっています。

しかし10年債利回りは下がっていません。

その背景として動画が指摘しているのが、米国政府の巨額債務に対する懸念です。

米国政府債務への懸念が長期金利を押し上げる

動画では、米国政府債務が40兆ドルに迫り、日本円換算で約6400兆円規模になっていると説明しています。

さらに利払い費も年間約1.37兆ドル、日本円換算で約220兆円という非常に大きな規模になっているとしています。

政府債務が増え続ければ、「本当に長期間にわたって問題なく返済できるのか」という不安が高まります。

2年程度であれば問題なく保有できると考える投資家でも、10年間資金を貸すとなると、より高い利回りを求めるようになります。

その結果、長期国債が売られ、10年国債利回りが上昇することになります。

動画では、日本と米国の両方で長期金利の上昇ペースが速くなっている点に注意が必要だとしています。

金利上昇で強いのは銀行・保険・証券

金利が上昇する局面では、すべての株が同じように動くわけではありません。

恩恵を受けやすい代表的な業種が金融セクターです。

特に銀行は、預金金利と貸出金利の差である利ざやが拡大しやすくなります。

保険会社も、多額の資金を国債などで運用しているため、債券利回りが上昇すれば将来的な運用収益の改善につながる可能性があります。

証券会社についても、金融市場の活性化などを通じて比較的プラスの影響を受けやすいとされています。

そのため動画では、今後の金利上昇局面で銀行、保険、証券などの金融株に注目しています。

金利上昇が逆風になるのは不動産株

一方、金利上昇がマイナスになりやすい代表的な業種が不動産です。

不動産会社は大型物件の取得や開発などで多額の借入金を利用します。

金利が上昇すると、その借入コストが増加します。

さらに住宅ローン金利が上昇すれば、個人が住宅を購入する際の負担も増えるため、不動産需要が弱くなる可能性があります。

このため金利上昇局面では、銀行などの金融株と不動産株のパフォーマンスに大きな差が生まれることがあります。

動画でも4月以降、この2つのセクターの値動きに大きな差が生まれている点を指摘しています。

日本10年債3%、米国10年債5%が重要な節目に

今後特に注意したいのが、長期金利が市場参加者に心理的なインパクトを与える水準へ到達するケースです。

動画では象徴的な水準として、

  • 日本10年国債利回り:3%
  • 米国10年国債利回り:5%

を挙げています。

こうした分かりやすい節目を超えると、市場参加者の警戒感が一段と強まり、株式市場にも影響が波及する可能性があります。

特にPERが高い成長株や借入金の多い企業は、金利上昇の影響を受けやすいため注意が必要です。

信用残を見ると「株価が上がりやすい銘柄」が見えてくる

今回の動画で繰り返し登場したテーマが信用需給です。

初心者の場合、「好決算なのになぜ株価が上がらないのか」と疑問に感じることがあります。

その理由の1つが信用買い残です。

業績が良くても、過去の高値で大量の投資家が信用買いしていれば、株価が戻るたびに売りが出ます。

反対に、信用買い残が整理された状態で好材料が出れば、戻り売りが少ないため株価が上昇しやすくなります。

今回紹介された銘柄でも、この違いがはっきり表れています。

JX金属は好業績ながら信用買い残の多さが上値を抑える要因となっています。

任天堂やNECは信用買い残が減少し、需給改善が株価回復を後押ししています。

アドバンテストは信用売り残が多く、信用需給だけを見れば非常に良好です。

レーザーテックは決算が市場期待に届かなかったことに加え、信用需給も強いとは言えず、もみ合いが続く可能性があります。

このように、決算や材料だけでなく信用残を組み合わせて見ることで、株価の動きをより立体的に分析できます。

まとめ

今回の動画では、松井証券の店内信用残を使い、日本株の需給状況と主要銘柄の今後について詳しく分析しています。

市場全体では信用買い残がピークから減少し、信用需給は改善方向にあります。ただし4月頃と比較すると、まだ十分に良好な状態とは言えません。

個別銘柄では、JX金属は好決算ながら信用買い残の多さが上値を抑える可能性があります。ソフトバンクグループも株価は戻しているものの、高値圏で買った投資家の戻り売りには注意が必要です。

一方、任天堂とNECは信用買い残の整理が進み、需給面からも株価の戻りを試しやすい状態になっています。

キオクシアはETFやTOPIX関連の需給イベントが期待される一方、高値づかみした投資家からの戻り売りがリスクとなります。

アドバンテストは信用需給が非常に良好ですが、9月中旬以降は日経平均のウェイト調整に伴う売り需要に注意する必要があります。

レーザーテックについては、決算が市場期待に届かなかったことと信用需給の弱さから、当面はもみ合いが続く可能性があります。

そして今後の日本株全体を考えるうえで重要になるのが長期金利です。

日本ではインフレ圧力を背景に日銀の追加利上げ観測が強まっており、米国でも政府債務への懸念から長期金利が高止まりしています。

金利上昇が続く場合、銀行・保険・証券などの金融株には追い風となる一方、不動産や高PERの成長株には逆風となる可能性があります。

株式投資では「業績が良いから買う」「株価が下がったから買う」という判断だけではなく、信用残、過去の売買価格帯、指数イベント、そして金利環境まで確認することで、より市場の実態に近い判断ができるようになります。

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