本記事は、YouTube動画『大人気投信、過去最大の資金流出!何が起きた?』の内容を基に構成しています。
純資産総額が3兆円を超え、日本の公募投資信託の中でも有数の規模を誇る「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」から、大量の資金が流出しています。
同ファンドの資金流出額は、2026年3月に約614億円、5月に約660億円、6月には約865億円へと拡大しました。6月の流出額は設定以来最大とされ、半年間の累計流出額は3,000億円を超えています。
一方、投資信託市場全体からお金が逃げているわけではありません。6月には国内公募の追加型株式投資信託へ、ETFを除いて約2兆5,709億円もの資金が流入しました。これは歴代2位の大きさです。
つまり、投資家が投資そのものをやめたのではなく、保有する商品を選び直している可能性があります。資金の受け皿になっているのが、低コストの全世界株式型やS&P500連動型のインデックスファンドです。
なぜ、長い運用実績を持つ人気ファンドから資金が流出しているのでしょうか。分配金の減少、高い信託報酬、運用成績、相場環境の変化など、複数の要因から詳しく見ていきます。
投資信託市場に約2兆5,709億円が流入
最初に押さえておきたいのは、投資信託市場全体では資金流入が続いているという事実です。
6月の国内公募追加型株式投資信託への資金流入額は、ETFを除いて約2兆5,709億円でした。前月の約1兆7,314億円から、わずか1カ月で約8,400億円も増加しています。
4月から6月にかけて相場環境が良好だったこともあり、投資家の投資意欲は決して低下していません。むしろ、株式市場へ向かう資金は大幅に増えています。
特に資金が集まったのは、先進国株式型とグローバル株式型です。両者を合わせた流入額は約1兆9,100億円に達し、6月に流入した資金全体の約4分の3を占めました。
この数字からも、投資家が個別の国や企業を積極的に選ぶ商品より、世界や米国の株式市場全体に幅広く投資できる商品を選んでいる状況がうかがえます。
オルカンとS&P500に6,000億円以上が集中
個別ファンドの資金流入ランキングを見ると、現在の投資家の好みがより鮮明になります。
6月の資金流入額で1位になったのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンです。その流入額は約4,119億円でした。
2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で、約2,065億円が流入しています。両ファンドを合わせると、その金額は約6,184億円です。
数多くの投資信託が販売されているなかで、6月に流入した資金のおよそ4円に1円が、この2商品に向かった計算になります。
オルカンは日本を含む先進国と新興国の株式へ幅広く投資するファンドです。一方のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国を代表する約500社で構成されるS&P500指数への連動を目指します。
投資対象は異なりますが、いずれも低コストで、長期の積立投資に利用しやすいという共通点があります。
アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信で過去最大の資金流出
資金流入ランキングでオルカンとS&P500が存在感を示す一方、資金流出額で1位になったのが「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」です。
一般に「アライアンス・バーンスタイン」や「アラバン」などの略称で知られ、米国の成長企業を厳選して投資する人気のアクティブファンドです。
Dコースからの資金流出額は、2026年6月に約865億円へ達しました。3月に約614億円の流出を記録した後、5月には約660億円へ拡大し、6月には過去最大を再び更新しています。
半年間で流出した資金は3,000億円を超えました。それでも純資産総額は3兆円を上回っており、短期間で消滅するような小規模ファンドではありません。しかし、流出額が増加している事実は無視できません。
さらに注目したいのが、同じシリーズのBコースからも6月に200億円を超える資金が流出したことです。
Dコースは毎月決算型ですが、Bコースは年2回決算型です。両コースを合計すると、6月だけで1,000億円を超える資金が流出したことになります。
このため、今回の資金流出を「毎月分配型だから売られた」という理由だけで説明することはできません。同じ米国成長株戦略を採用するシリーズ全体から、資金が抜けていると考える必要があります。
アクティブファンドとインデックスファンドの違い
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信は、運用担当者が投資先を選ぶアクティブファンドです。
アクティブファンドでは、運用の専門家が企業を調査し、投資する銘柄や組み入れ比率を決定します。市場平均を上回る運用成績を目指すことが基本的な目的です。
これに対して、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のようなインデックスファンドは、特定の株価指数への連動を目指します。
S&P500連動型ファンドであれば、米国を代表する約500社へ、指数のルールに沿って投資します。運用担当者が個人的な判断で「この企業を増やしたい」「この企業は危険なので売りたい」と決めるわけではありません。
原則として、指数の構成や時価総額などに応じて、機械的に運用されます。構成銘柄の入れ替えについても、指数側のルールに沿って実施されます。
簡単に表現すれば、インデックスファンドは市場平均を低コストで獲得することを目指す商品です。一方、アクティブファンドは運用担当者の調査力や銘柄選択によって、市場平均を上回ろうとする商品です。
アクティブ運用が成功すれば、インデックスを大幅に上回る可能性があります。市場がまだ十分に評価していない成長企業を早い段階で発見できれば、大きな収益につながるからです。
しかし、運用担当者が選ばなかった銘柄が急騰することもあれば、多く保有していた企業の株価が下落することもあります。相場で評価される業種や投資テーマは変化するため、優れた企業を保有していても市場平均に負ける期間は避けられません。
長期の実績を持つ人気アクティブファンド
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信は、長い運用実績を持っています。
Bコースは2006年、Dコースは2014年に設定されました。シリーズ全体で一時約5兆円規模まで資金が集まった背景には、それまでの運用実績と投資家からの強い支持があります。
単に広告や知名度だけで人気になった商品ではありません。米国の成長企業を厳選するという分かりやすい運用方針や、過去の良好な成績が評価され、多くの資金を集めてきました。
ただし、どれほど優秀なアクティブファンドであっても、常に市場平均を上回れるわけではありません。特に低コストのインデックスファンドが好調な局面では、高いコストを支払ってアクティブファンドを保有する意味が厳しく問われます。
Dコースの分配金が大きく減少
Dコースからの資金流出を考えるうえで、分配金の変化は重要な要素です。
Dコースの年間分配金は、1万口当たり税引前で2020年に2,000円、2021年に3,300円でした。しかし、2022年には1,100円へ減少し、2023年は1,600円となっています。
2024年には3,500円へ増加しましたが、2025年は1,700円にとどまりました。2024年と比べると、約51%の減少です。
2026年は6月までの合計で600円です。1月は200円、2月は0円、3月から6月までは各月100円となっており、分配金を目的に保有している投資家にとって、厳しい状況が続いています。
毎月の生活費や年金の補助として分配金を期待していた人にとって、受取額の減少は小さな問題ではありません。期待していた現金収入が得られなくなれば、解約を検討する投資家が増えるのは自然な流れです。
ただし、分配金の減少だけで6月の約865億円という資金流出を完全に説明することは困難です。分配金は6月だけ突然100円になったわけではなく、3月から同じ水準が続いていました。
加えて、毎月分配型ではないBコースからも資金が流出しています。投資家が見直しているのは分配方法だけではなく、運用戦略、コスト、成績を含む商品全体だと考えられます。
毎月分配型で注意したい分配金の仕組み
毎月分配型の投資信託を保有するときは、分配金が預金の利息とは異なることを理解しておく必要があります。
投資信託の分配金は、ファンドの純資産から支払われます。分配金を支払えば、その分だけ基準価額を押し下げる要因になります。
分配金が支払われたからといって、保有資産全体がその金額分増えたとは限りません。自分が投資した資産の一部を取り崩して受け取っている場合もあります。
さらに、普通分配金には原則として税金がかかります。資産形成期に分配金を受け取って再投資すると、課税によって複利効果が弱くなる可能性があります。
毎月現金を受け取りたい人には一定の利便性がありますが、長期的に資産を増やすことが目的であれば、分配金を出さずファンド内で運用を続ける商品と比較する必要があります。
年率1.727%の信託報酬は重いのか
資金流出の背景として、信託報酬の差も無視できません。
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信のBコースとDコースでは、信託報酬が年率1.727%程度に設定されています。
仮に1,000万円を保有している場合、単純計算では年間約17万2,700円のコストです。運用で利益が出ているかどうかにかかわらず、信託報酬はファンドの資産から継続的に差し引かれます。
これに対して、全世界株式やS&P500に連動する低コスト商品には、信託報酬が年率0.1%を下回るものがあります。年率0.1%未満であれば、1,000万円を保有した場合の年間コストは1万円未満です。
両者の差は、年間で16万円以上になる可能性があります。保有期間が10年、20年と長くなれば、コスト差は運用結果に大きな影響を及ぼします。
もちろん、信託報酬が高いという理由だけで、アクティブファンドが悪い商品になるわけではありません。市場平均を上回る成果を継続的に生み出せるのであれば、高いコストを支払う価値があります。
問題は、高い信託報酬を支払っているにもかかわらず、低コストのインデックスファンドに負ける期間が続いた場合です。
アクティブファンドにとって本当に厳しいのは、単に運用成績がマイナスになることではありません。低コストで保有できる市場平均より成績が悪くなることです。
投資家が「同じ米国株に投資するなら、S&P500でよいのではないか」と考え始めれば、資金流出が起きやすくなります。
なお、信託報酬は口座から別途引き落とされるわけではありません。ファンドの純資産から日々差し引かれるため、投資家が実際の負担額を認識しにくい点にも注意が必要です。
NISA対象商品との差も資金移動を促す
毎月分配型の投資信託は、NISAの対象外です。そのため、Dコースの分配金を受け取る際には、課税上のデメリットも考慮しなければなりません。
一方、オルカンやS&P500に連動する代表的な低コスト投資信託は、NISAのつみたて投資枠や成長投資枠を利用して保有できます。
NISA口座では、対象商品の売却益や分配金が非課税になります。長期間保有するほど、課税口座との差が大きくなる可能性があります。
また、現在は証券会社の定期売却サービスを利用することで、インデックスファンドを毎月一定額ずつ売却し、現金を受け取る方法もあります。
毎月分配型でなければ定期的な収入を作れないわけではありません。NISA口座で低コストのインデックスファンドを保有し、必要な時期になったら定期売却するという選択肢もあります。
こうした運用環境の変化が、毎月分配型ファンドの相対的な魅力を低下させている可能性があります。
アライアンス・バーンスタインが重視するクオリティグロース株
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信の中心的な投資対象は、米国のクオリティグロース株です。
クオリティ株とは、簡単にいえば財務や収益構造の質が高い企業の株式です。単に売上高が急成長しているだけでは、質の高い企業とは限りません。
例えば、売上高が毎年50%伸びている企業があったとしても、その売上を作るために巨額の広告費を使い、赤字が続き、借金が増えているのであれば、経営基盤が強いとは言い切れません。
一般に、クオリティ株には次のような特徴が求められます。
- 利益率が高い
- 借入金への依存度が低い
- 本業から継続的に現金を生み出せる
- 競合他社が簡単にまねできない技術やブランドを持つ
- 稼いだ資金を再投資し、事業をさらに成長させられる
アライアンス・バーンスタインは、こうした企業としての質と、将来の成長力を兼ね備えた会社を探します。
利益が伸びているか、本業から十分なキャッシュフローを得ているか、借金に頼りすぎていないか、他社にはない競争力を持っているか、経営陣が利益を成長につなげられるか、株価が割高になりすぎていないかなどを調査します。
理論的には非常に筋の通った投資戦略です。それでも、クオリティグロース株が常に株式市場で最も高く評価されるとは限りません。
「良い会社」と「これから株価が上がる会社」は同じではない
投資で難しいのは、良い会社の株価が必ず上昇するわけではないことです。
収益力が高く、借金が少なく、競争力のある優良企業であっても、市場の期待がすでに株価へ織り込まれていれば、株価が下落することがあります。
反対に、現時点では十分な利益を出していなくても、AI、宇宙、量子コンピューター、ロボット、フィジカルAIといったテーマに注目が集まれば、株価が短期間で大きく上昇することがあります。
つまり、企業の質と株価の勢いは別の問題です。
クオリティグロース株を厳選する投資戦略が長期的には合理的でも、投機性の強いテーマ株や超大型テクノロジー株へ資金が集中する相場では、市場平均に負けることがあります。
運用会社から「現在の相場と戦略の相性が悪いだけ」と説明されても、投資家が納得できるとは限りません。比較対象となるS&P500が上昇している場合、年率1.727%の信託報酬を支払い続けることに疑問を持つ人が増えるからです。
利益が出ていても「負けた」と感じる相対評価の問題
投資家は、自分が利益を得られたかという絶対的な成績だけで判断するわけではありません。ほかの商品との相対的な成績も重視します。
例えば、保有するアクティブファンドが1年間で10%上昇したとします。通常であれば十分に良好な成績です。
しかし、同じ期間にS&P500が20%上昇していた場合、損失を出していなくても「10%分取り逃した」と感じる人が出てきます。
特にアクティブファンドでは、市場平均を上回ることを期待して高いコストを支払っています。そのため、インデックスファンドに負けたときの失望が大きくなりやすいのです。
短期的な不調だけでファンドの優劣を判断するべきではありませんが、市場平均を長期にわたって下回る場合は、高いコストを負担して保有を続ける理由を改めて検討する必要があります。
全世界株式とS&P500が選ばれる4つの理由
オルカンとS&P500連動型ファンドに資金が集まる理由は、これまでの値上がりだけではありません。長期投資を継続しやすい仕組みが整っていることも大きな理由です。
運用担当者の銘柄選びに依存しない
インデックスファンドは、指数のルールに沿って運用されます。
誰が運用担当者になるのか、その担当者の判断が当たるのか、後任者へ交代しても同じ成績を維持できるのかといった問題を過度に気にする必要がありません。
長期間にわたって積み立てる投資家にとって、運用方法が分かりやすく、担当者への依存度が低いことは大きな利点です。
信託報酬が低い
全世界株式型やS&P500連動型には、年率0.1%未満の低コスト商品があります。
インデックスファンドは市場平均そのものを目指すため、高いコストを補うために市場平均を大幅に上回る必要がありません。
投資成績は不確実ですが、コストは確実に発生します。そのため、長期投資では低コストであること自体が重要な優位性になります。
分配金を出さずに運用を続けやすい
代表的な低コストインデックスファンドの多くは、運用中に得られた配当などをファンド内で再投資します。
利益を再び運用へ回すことによって、利益が利益を生む複利効果を活用しやすくなります。資産形成を目的とする投資家にとって、頻繁に分配金を支払わない仕組みは合理的です。
さらに、NISAを利用すれば非課税枠を活用しながら長期運用できます。
相場が下落しても投資方針を変えにくい
インデックスファンドが下落しても、特定の運用担当者による銘柄選びの失敗とは限りません。市場全体が下落しているのであれば、積立投資では以前より安く購入できる局面とも捉えられます。
投資対象や運用ルールが明確であるため、価格変動のたびに投資方針を変更する必要が少なく、長期的に保有しやすいのです。
今回の資金流出はアクティブファンドの終わりを意味しない
今回のニュースは、すべてのアクティブファンドが不要になったことを意味するものではありません。
優れた調査力を持つ運用チームが、市場に十分評価されていない企業を発見し、長期的に市場平均を上回る可能性はあります。投資家がその運用方針に納得し、コストに見合う価値を感じるのであれば、アクティブファンドを保有する選択は成立します。
ただし、投資家の間で「市場平均を上回る可能性に賭ける商品」から、「低コストで市場全体を保有する商品」へ資金を移す流れが強まっていることは確かです。
オルカンやS&P500をすでに積み立てている人は、今回のニュースだけを理由に投資方針を変える必要はありません。
低コストで幅広く分散し、相場が上昇しても下落しても積み立てを続けるというシンプルな方法が、改めて多くの投資家に選ばれていると考えられます。
保有する投資信託を売却すべきか判断する5つのポイント
保有している投資信託の成績が悪くなると、売却すべきか迷うものです。周囲の商品が上昇しているのに、自分のファンドだけが伸びていない場合は、特に不安が大きくなります。
しかし、資金流出が増えたというニュースだけで売却を決めるのは適切ではありません。自分が保有する商品の中身と目的を確認したうえで判断する必要があります。
これはアライアンス・バーンスタインだけでなく、FANG+、半導体株ファンド、金関連ファンド、オルカン、S&P500など、あらゆる投資信託に共通します。
1.何に投資している商品か説明できるか
最初に確認したいのは、その投資信託が何へ投資している商品なのか、自分の言葉で説明できるかどうかです。
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信であれば、米国のクオリティグロース株を運用の専門家が厳選するアクティブファンドです。
オルカンは、日本を含む先進国と新興国の株式へ幅広く投資します。S&P500連動型は、米国を代表する約500社へ投資する商品です。
「人気だから」「ランキング上位だから」「毎月分配金が出るから」という理由だけで購入すると、下落したときに保有を続けることが難しくなります。何が原因で下落しているのか分からず、今後回復する可能性も判断できないからです。
まずは、自分が何を買っているのか確認することが重要です。
2.何を目指す商品なのか理解しているか
次に、その投資信託がどのような成果を目指しているのかを確認します。
アライアンス・バーンスタインは、運用担当者の銘柄選択によってS&P500などの市場平均を上回ることを目指します。そのため、S&P500との長期的な成績比較が重要です。
オルカンは、世界の株式市場全体の成長を取り込むことを目指します。S&P500連動型は、米国の主要企業による成長の恩恵を受けることが目的です。
アクティブファンドが一時的にインデックスへ負けたからといって、直ちに失敗と判断することはできません。運用戦略と相場環境の相性によって、短期的に負けることはあります。
ただし、長期間にわたって比較対象の指数を下回り続けるのであれば、高いコストを支払って保有する意味を再検討する必要があります。
3.いくらコストを支払っているか把握しているか
信託報酬を確認することも欠かせません。
アライアンス・バーンスタインのBコースとDコースでは、年率1.727%程度の信託報酬が発生します。1,000万円を保有していれば、単純計算で年間約17万円です。
一方、低コストの全世界株式型やS&P500連動型には、信託報酬が年率0.1%を下回る商品があります。1,000万円を保有した場合でも、年間コストは1万円未満に抑えられます。
高コストだから必ず悪く、低コストだから必ず良いわけではありません。アクティブファンドの運用方針に価値を感じ、コストを上回る成果を期待するのであれば、高い信託報酬を支払う選択もあります。
避けたいのは、自分がいくら支払っているのか知らないまま保有することです。
4.商品が自分の投資目的と合っているか
投資信託の良し悪しは、投資家の目的によって変わります。
これから10年、20年かけて資産を増やしたいのであれば、低コストで分配金を出さず、ファンド内で再投資を続ける商品が目的に合いやすいでしょう。
退職後の生活費や年金の補助として、定期的に現金を受け取りたい場合は、毎月分配型が選択肢になることもあります。
ただし、低コストのインデックスファンドを保有し、証券会社の定期売却サービスを利用する方法もあります。NISA口座で資産を運用しながら、必要な時期に毎月一定額を取り崩すことも可能です。
毎月現金を受け取りたいという目的だけで、高コストの毎月分配型を選ぶ必要があるのかは、慎重に比較する必要があります。
5.不調な時期にも持ち続けられるか
最後のチェックポイントは、その商品が不調なときにも保有を続けられるかどうかです。
アクティブファンドがS&P500に負けることもあれば、全世界株式が数年間ほとんど増えないこともあります。S&P500より日本株や新興国株が大きく上昇する時期もあるでしょう。
金価格が最高値から30%下落したり、半導体株が高値から半分になったりする可能性もあります。どの資産や運用戦略にも、不調な時期は必ず訪れます。
購入した理由が「最近上がっているから」だけであれば、値上がりが止まった瞬間に保有する理由がなくなります。
一方、世界の企業は長期的に成長すると考えてオルカンを保有しているなら、短期的な下落だけで投資判断を変える必要はありません。米国企業の競争力を信じてS&P500を持つ場合も同様です。
プロの銘柄選びに価値を感じてアライアンス・バーンスタインを保有する、株式と異なる値動きを期待して金を保有するなど、自分なりの理由が明確であれば、一時的な不調にも対応しやすくなります。
重要なのは、価格が上がっているかどうかではなく、購入時に期待した役割が現在も残っているかどうかです。
資金流出だけを理由に慌てて売却する必要はない
大規模な資金流出は、ファンドに対する投資家の評価が変化していることを示します。しかし、資金が流出しているという事実だけで、保有者全員が売却すべきだとはいえません。
確認すべきなのは、運用方針が変わっていないか、比較対象とする指数に対して長期的にどのような成績を残しているか、信託報酬に見合う価値があるか、自分の投資目的と合っているかという点です。
特に毎月分配型を生活費の補助として利用している人と、20年後の資産形成を目指している人では、同じファンドに対する評価が異なります。
資金流出のニュースを売買の直接的な合図にするのではなく、自分の運用方針を点検する機会として利用することが大切です。
まとめ
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコースでは、2026年6月に設定以来最大となる約865億円の資金流出が発生しました。半年間の累計流出額は3,000億円を超え、年2回決算型のBコースからも資金が流出しています。
その一方で、投資信託市場全体には約2兆5,709億円が流入しました。オルカンには約4,119億円、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)には約2,065億円が入り、低コストのインデックスファンドへ資金が集中しています。
アライアンス・バーンスタインから資金が流出している背景には、分配金の減少だけでなく、年率1.727%程度の信託報酬、クオリティグロース株と現在の相場との相性、インデックスファンドとの運用成績の比較、NISAを含む投資環境の変化などがあると考えられます。
ただし、今回の資金流出は、すべてのアクティブファンドが不要になったことを意味しません。運用方針に納得し、コストに見合う成果を期待できると判断するのであれば、アクティブファンドを保有する選択にも合理性があります。
保有する投資信託を売却すべきか迷った場合は、何に投資しているのか、何を目指す商品なのか、コストはいくらか、自分の目的と合っているか、不調な時期にも持ち続けられるかという5つのポイントを確認することが重要です。
人気ランキングや直近の値動きだけではなく、自分がその商品を保有する理由が現在も残っているかを基準に判断することが、長期投資を続けるうえで欠かせません。


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