本記事は、YouTube動画『【7月28日ゆるっと相場解説】下抜けした日経平均株価はどこまで下がるのか?ズボラ株投資』の内容を基に構成しています。
7月28日の東京株式市場では、日経平均株価が2,566円安となり、大幅に下落しました。指数だけを見ると市場全体が崩れているようにも感じられますが、実際には一部の値がさ半導体株やAI関連株が日経平均を大きく押し下げた側面があります。
一方、東証株価指数のTOPIXは日経平均ほど大きく下落しておらず、相場全体が全面安になったわけではありません。今回の動画では、日経平均とTOPIXの違い、半導体株からバリュー株への資金移動、日経平均の下値の目安、海外投資家の動向などをもとに、今後の相場を読み解いています。
日経平均は2,566円安でも市場全体が崩れたわけではない
7月28日の日経平均株価は2,566円安となりました。売買代金は約9.1兆円で、最近の下落局面では10兆円を下回る日が多くなっています。
日経平均だけを見れば非常に大きな下落ですが、TOPIXの値動きは比較的落ち着いており、長期移動平均線付近に到達した程度です。
この違いから、今回の下落は日本株全体の崩壊というより、先行して上昇していた日経平均がTOPIXの水準へ戻ってきた動きとも考えられます。
日経平均は、半導体株や値がさ株の影響を受けやすい指数です。これまでAI、半導体、メモリー関連銘柄が大きく上昇し、日経平均を押し上げてきました。
今回の下落は、その行き過ぎた上昇が修正されている局面と見ることもできます。高値から見れば大幅な下落ですが、TOPIXの動きと比較すれば、日経平均が本来の水準へ戻ってきたともいえるでしょう。
NT倍率の低下は日経平均の過熱修正を示している
日経平均とTOPIXの相対的な強さを見る指標として、NT倍率があります。NT倍率は、日経平均株価をTOPIXで割って求める指標です。
NT倍率が上昇しているときは、日経平均に大きな影響を与える値がさ株がTOPIX全体よりも強いことを示します。反対にNT倍率が低下しているときは、日経平均優位の相場が修正されている可能性があります。
これまでの相場では、AIや半導体関連の値がさ株が急上昇し、NT倍率も大きく上昇していました。しかし、直近では半導体株が売られ、NT倍率も低下しています。
異常ともいえるほど高くなっていたNT倍率が、通常の水準へ近づいている途中と考えることができます。調整がある程度進んだという見方もできますが、すぐに反発へ転じるかどうかは慎重に見極める必要があります。
日経平均を押し下げたのは一部の半導体・値がさ株
7月28日の相場では、日経平均採用銘柄のうち値上がりした銘柄が84、値下がりした銘柄が141となりました。値下がり銘柄の方が多かったものの、すべての銘柄が下落する全面安ではありませんでした。
業種別指数を見ても、上昇した業種が複数あります。つまり、日経平均の下落幅ほど市場全体の状況が悪かったわけではないということです。
日経平均を大きく押し下げたのは、アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシア、ソフトバンクグループ、イビデンなどの半導体・AI関連銘柄でした。
これらの銘柄だけで、日経平均を約2,000円押し下げたと動画では説明されています。日経平均の下落幅の大部分が、限られた銘柄によって生じたことになります。
一方、SHIFTやニトリホールディングスなど、大きく上昇した銘柄もありました。ファーストリテイリングも上昇しており、相場の中には買われている銘柄も存在します。
ただし、日経平均は株価の高い銘柄ほど影響力が大きくなる「株価平均型」の指数です。そのため、指数への影響が小さい銘柄が大幅に上昇しても、半導体などの値がさ株の下落を埋めることは難しくなります。
日経平均とTOPIXでは計算方法が異なる
日経平均とTOPIXの動きが大きく異なる理由は、それぞれの指数の計算方法にあります。
日経平均は、採用されている225銘柄の株価をもとに計算されます。そのため、株価の高い銘柄の値動きが指数全体へ大きく影響します。
これに対してTOPIXは、時価総額を基準とした指数です。企業の市場価値が大きいほど、指数への影響も大きくなります。
例えば、日経平均への構成比が低い銘柄が7%上昇しても、日経平均を押し上げる効果は限定的です。しかし、その企業の時価総額が大きければ、TOPIXには一定の影響を与えます。
この違いを理解しておかなければ、日経平均が大幅安になったというニュースだけを見て、日本株全体が崩壊していると誤解してしまう可能性があります。
半導体株からバリュー株へ資金が移動している
現在の市場では、グロース株からバリュー株への資金移動が起きていると考えられます。
グロース株とは、将来的な高い成長が期待されている銘柄です。AIや半導体関連株の多くが、グロース株として扱われます。
一方のバリュー株は、企業の利益や資産などと比較して、株価が割安と判断される銘柄です。銀行、商社、保険、資源、建設などの業種には、バリュー株に分類される銘柄が多くあります。
グロース株指数をバリュー株指数で割った指標を見ると、直近では低下傾向が続いています。これは、グロース株よりもバリュー株の方が相対的に強い状態を示します。
AI・半導体株が売られる一方で、その資金の一部がバリュー株へ移動している可能性があります。そのため、日経平均が大幅に下落する日でも、半導体株をあまり保有していない投資家の資産は増えることがあります。
指数の下落と、自分の保有資産の動きが一致するとは限りません。現在の相場を判断する際は、日経平均だけでなく、TOPIXや業種別指数、グロース株とバリュー株の相対的な動きも確認することが重要です。
日経平均は重要な下値支持線を割り込んだ
テクニカル分析の観点では、日経平均は意識されていた重要な下値支持線を割り込みました。
これまで日経平均は、約6万4,000円付近で何度か下げ止まっていました。しかし、7月28日の下落でこの水準を明確に割り込んだため、チャート上では下落トレンドが続いていると判断できます。
相場が底を打つ過程では、最初の急落後にいったん反発し、その後に再び安値を試す「2番底」が形成されることがあります。
このとき重要なのは、最初の下落後にどこまで戻せるか、そして2回目の下落がどの深さで止まるかです。
2番底が最初の安値よりも浅い位置で止まれば、売り圧力が弱まっている可能性があります。最初の安値付近で反発した場合も、底値形成への期待が高まります。
しかし、今回の日経平均は前回の安値を割り込みました。さらに、最初の下落後の戻りも弱く、十分な反発を見せないまま再び下落しています。
そのため、現時点では底打ちを確認できず、下落トレンドが継続していると考える方が自然です。
1回の下落波動で約8%下がっている
直近の日経平均の値動きを波動ごとに見ると、1回の下落で約8%下がる動きが繰り返されています。
最初の高値から安値までの下落率が約8%で、その後の戻り高値から7月28日の安値までの下落率も約8%となりました。
下落前の戻りが十分に高ければ、8%下落しても前回安値を割らずに済む可能性があります。しかし、今回は戻りが弱かったため、同じ程度下落すると前回の安値を下回ってしまいます。
下落率だけを見るのではなく、反発局面でどこまで戻せたかも重要です。反発力が弱い状態では、次の下落によって安値を更新しやすくなります。
現在は上昇幅の半値押し付近
日経平均は、直前の上昇幅に対して半値押し付近まで下落しています。
半値押しとは、上昇した値幅の約50%を下落によって戻すことです。株式市場では、上昇幅の半分程度が調整の目安として意識されることがあります。
現在の水準には100日移動平均線も近づいています。そのため、半値押しと100日移動平均線が重なる付近は、短期的な下げ止まり候補になります。
この水準で売りが一服し、いったん反発する可能性はあります。しかし、半値押しまで下落したこと自体が、上昇相場の勢いが弱まっている証拠でもあります。
強い上昇トレンドでは、下落しても上昇幅の38.2%程度の浅い押しで反発するケースが多く見られます。半値まで戻された場合、元の上昇トレンドへ復帰するためには、より強い買い需要が必要です。
さらに半値押しの水準や100日移動平均線を明確に割り込むようであれば、相場環境は一段と厳しくなる可能性があります。
日経平均の今後の下値を考えるポイント
日経平均がどこまで下がるかを正確に予測することはできません。ただし、今後の下値を考えるうえでは、複数のポイントを確認できます。
最初の注目点は、現在の日経平均が半値押しと100日移動平均線付近で下げ止まれるかどうかです。ここで反発し、前回の戻り高値を上回ることができれば、下落トレンド終了への期待が高まります。
反対に、この水準を明確に割り込み、反発しても戻りが弱い状態が続けば、さらに下値を探る展開が想定されます。
重要なのは、一時的に反発したかどうかだけではありません。反発後に安値を切り上げられるか、戻り高値を更新できるかを確認する必要があります。
現在は、底値を決めつけて買うよりも、下落の勢いが弱まり、チャート上で反転の形が現れるかを慎重に確認したい局面です。
米国でもNASDAQを中心に調整が進んでいる
日本の半導体株が下落している背景には、米国市場の調整もあります。
米国市場では、ダウ平均が比較的底堅く推移している一方、S&P500やNASDAQは弱い動きとなっています。特にNASDAQは、重要な下値支持線やネックラインを割り込み、中期的な下落トレンドへ入った可能性が指摘されています。
移動平均線でも、中期線と長期線がデッドクロスする形となっており、テクニカル面では慎重な見方が必要です。
ただし、米国市場も全面安ではありません。NASDAQに多く含まれるハイテク株やAI・半導体株が売られる一方、ダウ平均に多いバリュー株は相対的に底堅く推移しています。
日本市場と同じように、米国でもグロース株からバリュー株への資金移動が起きていると考えられます。
ND倍率でもNASDAQの過熱修正が確認できる
米国市場では、NASDAQをダウ平均で割った「ND倍率」を確認することで、ハイテク株とバリュー株の相対的な強さを把握できます。
ND倍率が上昇しているときはNASDAQ優位、低下しているときはダウ平均優位の相場です。
これまでNASDAQが大きく上昇したことで、ND倍率も高い水準まで上がっていました。しかし、直近ではNASDAQの下落により、ND倍率が以前の水準まで戻っています。
このことから、ハイテク株の過熱修正はある程度進んだと考えることもできます。ただし、倍率が元の水準へ戻ったことだけで、NASDAQや半導体株がすぐに上昇へ転じるとは限りません。
価格の下げ止まりや業績見通し、資金流入の回復を確認する必要があります。
中国勢の台頭は米国AI株の脅威になるのか
米国のAI関連株が下落している理由の1つとして、中国企業の技術力向上への警戒があります。
過去には、中国企業が高性能な生成AIを発表したことで、米国のAI関連株が急落する場面がありました。市場では、米国企業の優位性が失われるのではないかという不安が広がりました。
しかし、その後もAIに対する需要や設備投資は拡大し、半導体関連企業の業績は成長を続けました。競争相手が登場したからといって、AI市場全体の成長が直ちに終わるとは限りません。
中国企業が新しい半導体やメモリー技術を投入した場合、米国企業にとって競争圧力になります。一方で、市場全体の供給力が高まり、AI産業の拡大を後押しする可能性もあります。
そのため、今回の下落だけでAI・半導体相場の終了を判断するのは早いと考えられます。業績や需要が維持されるのであれば、下落局面が押し目買いの機会になる可能性もあります。
ただし、メモリー市場については注意が必要です。メモリー価格は大きく上昇してきたため、供給増加によって価格が落ち着く可能性があります。
AI半導体とメモリーをひとまとめにせず、それぞれの需給や価格動向を確認する必要があります。
海外投資家の買いに勢いがなくなっている
海外投資家の売買動向を見ると、直近では売り越しとなっています。
7月全体では若干の買い越しを維持しているものの、以前ほど強い買いの勢いは見られません。海外投資家の累積売買動向も横ばいとなっており、資金流入が一服している様子が確認できます。
もっとも、夏場は市場参加者が減少し、売買が低調になりやすい「夏枯れ相場」の時期です。前年も7月から9月にかけて海外投資家の売買が横ばいになった時期がありました。
したがって、海外投資家の買いが止まったことだけで、日本株への評価が完全に変化したとは判断できません。
今後は、海外投資家が再び買い越しへ転じるか、それとも売り越しが続くかが重要なポイントになります。
日経平均のEPSは伸びている
株価が下落する一方で、日経平均のEPSは少しずつ伸びています。
EPSとは1株当たり利益のことで、企業がどれだけ利益を上げているかを示す指標です。EPSが増えている状態で株価が下落すれば、株価収益率であるPERは低下します。
日経平均のPERは、これまで推移していたレンジの下限とみられる23倍前後を下回りました。この点だけを見れば、日経平均は以前より割安になってきたと考えられます。
ただし、PERが下がったからといって、必ず株価が反発するわけではありません。これまでのPERレンジが今後も維持されることが前提になります。
高いPERがAI・半導体への期待によって支えられていた場合、その期待が低下すれば、適正とされるPERの水準自体が切り下がる可能性があります。
高いPERはAI期待だけで形成されたわけではない
現在の日経平均のPERレンジは、2025年10月ごろから形成されてきたと動画では説明されています。当時の日経平均は約5万円であり、直近のAI・半導体フィーバーが始まる前から、比較的高いPER水準で取引されていました。
そのため、現在のPERレンジがAI・半導体への期待だけによって形成されたとは限りません。
日本企業の利益成長、株主還元の強化、資本効率改善への期待など、複数の要因が日経平均の評価を押し上げている可能性があります。
直近のAI関連株の下落だけで、日経平均全体のPERレンジが大きく切り下がるとは限らないでしょう。
自社株買いが日本株の下支えになっている
日本株を支える重要な要因として、企業による自社株買いがあります。
海外投資家の買いが弱まっている一方で、事業法人による株式購入は積み上がっています。事業法人の買いの多くは、企業が自社の株式を市場から買い戻す自社株買いです。
自社株買いには、市場に出回る株式数を減らし、1株当たり利益を押し上げる効果があります。また、企業自身が株価を割安と判断して買い手になるため、株価の下支え要因にもなります。
日本企業が株主還元や資本効率の改善を重視する流れは、短期的なAIブームとは別の構造的な変化です。
そのため、AI・半導体株への期待が弱まったとしても、自社株買いによって日本株全体の評価水準がある程度維持される可能性があります。
今後は、企業による自社株買いが継続するかどうかも、日経平均の下値を考えるうえで重要になります。
FOMCと日銀会合が相場の変動要因に
今週は、米連邦公開市場委員会のFOMCと日銀の金融政策決定会合が予定されており、市場参加者の警戒感が高まっています。
中央銀行の金融政策は、株価、為替、金利に大きな影響を与えます。政策金利そのものが変更されなくても、声明文や記者会見の内容によって相場が大きく変動することがあります。
特に、今後の金融政策の方向性を示す発言には注意が必要です。
また、夏場は売買参加者が少なくなるため、通常よりも値動きが大きくなりやすい傾向があります。重要イベントの前後では、短期的な乱高下に巻き込まれないよう、ポジション管理を徹底する必要があります。
まとめ
7月28日の日経平均は2,566円安となり、重要な下値支持線を割り込みました。テクニカル面では下落トレンドが続いており、現時点で底打ちを確認できる状態ではありません。
ただし、今回の下落は日本株全体の全面安ではなく、アドバンテストや東京エレクトロンなど、一部の半導体・AI関連株が日経平均を大きく押し下げた側面があります。
TOPIXは日経平均ほど大きく下落しておらず、バリュー株や内需株の中には上昇している銘柄もあります。現在起きているのは、日本株全体から資金が逃げているというより、グロース株からバリュー株へ資金が移動する相場と考えられます。
日経平均は、上昇幅の半値押しと100日移動平均線付近に到達しています。この水準は短期的な下げ止まり候補ですが、明確に割り込めば、相場はさらに厳しくなる可能性があります。
今後は、一時的な反発の有無だけでなく、安値を切り上げられるか、前回の戻り高値を上回れるかを確認することが重要です。
企業業績を示すEPSは伸びており、自社株買いも日本株の下支えになっています。そのため、AI・半導体株の調整だけで日本株全体の上昇構造が崩れたと判断するのは早いでしょう。
日経平均だけを見て相場全体を判断せず、TOPIX、業種別指数、海外投資家の売買動向、企業業績、自社株買いなどを総合的に確認する必要があります。


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