今回の動画では、日経平均株価の急落を受け、テクニカル分析や企業業績、海外投資家の売買動向などから、今後の日本株相場について詳しく解説しています。
本日の日経平均は1759円安となり、売買代金は約10兆円でした。先週から見ても、売買代金はおおむね10兆円前後で推移している状況です。
もっとも、夏休みシーズンということもあり、市場参加者が少なくなりやすい時期です。そのため、反発局面としては売買代金がやや小さい印象はあるものの、季節要因も考慮する必要があります。
重要なのは、今回の下落だけを見て「本格的な下落相場に入った」と判断するのではなく、現在の株価が大きなトレンドの中でどの位置にいるのかを確認することです。
日経平均はフィボナッチ61.8%を超えるまで戻していた
直近の日経平均を見ると、大きく下落した後にかなり強い反発が起きています。
フィボナッチ・リトレースメントで確認すると、下落幅に対して61.8%を超える水準まで戻しており、78.6%には届いていないものの、半値戻しを大きく超える強い反発となりました。
フィボナッチ・リトレースメントとは、相場の下落や上昇に対して、どの程度まで価格が戻る可能性があるのかを見るために利用されるテクニカル指標です。
代表的な水準として38.2%、50%、61.8%、78.6%などがあります。
今回の日経平均は61.8%を超えるところまで回復していたため、短期間としてはかなり強い戻りだったと考えられます。
そのため、ここまで一気に上昇してきたことを考えれば、今回のような調整が入ること自体は不自然ではありません。
6万7000円付近が重要なサポートになる可能性
チャート上で特に注目されているのが、日経平均の6万7000円付近です。
もともと6万7000円付近はサポートラインとして機能していました。
しかし、その水準を一度下抜けたことで、その後はレジスタンスラインに変化しました。
その後、日経平均は再び6万7000円を上抜け、現在はその水準まで戻ってきています。
つまり今後は、
「6万7000円付近が再びサポートとして機能するのか」
という点が重要になります。
過去にレジスタンスだった価格帯を上抜けた後、その水準まで下落した際に今度はサポートとして機能する現象は、テクニカル分析ではよく見られます。
6万7000円付近で下げ止まり、再び反発するようであれば、上昇トレンド継続の可能性が高まります。
移動平均線も重要なポイント
移動平均線を見ると、中期移動平均線は一度下向きになった後、再び上向きへ転換しようとしている状況です。
そのため、株価がここから下落した場合でも、中期移動平均線付近で支えられて反発する可能性があります。
さらに長期移動平均線については、依然として上向きです。
つまり、
「6万7000円付近」
「中期移動平均線」
「長期移動平均線」
といった複数のサポート候補が存在しています。
特に長期移動平均線と6万7000円付近が重なるような場面では、強いサポートとして意識される可能性があります。
今後の日経平均には3つのシナリオが考えられる
今後の相場については、大きく分けて3つのシナリオが考えられます。
シナリオ1:大きな上昇トレンドが継続する
現在の相場を大きな上昇トレンドの途中と考える場合、今回の上昇は次の上昇波の始まりである可能性があります。
相場では、上昇と調整を繰り返しながらトレンドが形成されます。
大きな上昇の中で、
上昇 → 調整 → 再上昇
という流れが繰り返されるのであれば、今回の下落は新たな上昇に向けた調整局面にすぎない可能性があります。
この場合、サポート付近で下げ止まった後、再び高値を目指す展開が考えられます。
シナリオ2:戻り高値をつけて下落トレンドへ転換する
一方、現在の上昇が単なる「戻り」だった可能性もあります。
大きく下落した後に株価が反発し、そこで上昇が止まると「戻り高値」が形成されます。
そこから再び下落し、前回安値を割るような動きになれば、
高値切り下げ・安値更新
という典型的な下降トレンドの形になります。
特に重要なのは、直近安値を更新するかどうかです。
安値を明確に割り込めば、中期的な下落トレンド入りを警戒する必要があります。
シナリオ3:しばらくレンジ相場になる
もう1つ考えられるのが、一定の価格帯で横ばいになる展開です。
株価が一定期間レンジを形成し、その後エネルギーを蓄えて上昇する可能性もあります。
もちろん、レンジを下抜ければ下落相場へ移行する可能性もあります。
つまり現時点では、
「上昇」
「下落」
「横ばい」
という3つのシナリオをあらかじめ想定しておくことが重要になります。
2015年チャイナショックでは78.6%戻してから再下落
動画では、2015年の相場も参考例として紹介されています。
2015年にはチャイナショックによって株式市場が大きく下落しました。
その後、日経平均はかなり強く反発し、フィボナッチで見ると約78.6%まで戻しました。
ところが、その後再び下落し、安値を更新しています。
つまり、
「ここまで戻ったのだから、もう安値更新はないだろう」
と考えるのは危険です。
強く反発した後でも、再び大きく下落するケースは過去に存在します。
動画内でも、当時は上昇を予想して買いで入ったものの、その後逆方向へ動き、ポジションを抱えることになった経験が紹介されています。
このような過去の経験からも、単純に戻り幅だけで相場の方向を決めつけるべきではないとしています。
現在はファンダメンタルズ面で大きく売る材料が少ない
もっとも、現在と2015年では企業業績などのファンダメンタルズが異なります。
現在の日経平均については、企業業績を見る限り、強く売られる材料はそれほど多くないと分析されています。
その代表的な指標が日経平均EPSです。
EPSとは「1株当たり利益」を意味します。
企業が稼ぐ利益が増えればEPSも上昇するため、株価の基礎的な価値を判断する重要な指標の1つです。
直近の決算発表を受けて、日経平均EPSは大きく上昇しています。
第1四半期決算では上方修正企業が大幅増加
動画では、約3160社の第1四半期決算について、決算内容に含まれるキーワードを分析しています。
その結果、「上方修正」となった企業の割合は約14%でした。
前年の第1四半期決算では約8.6%だったため、前年と比較すると大幅に増えています。
一方、下方修正は約2.6%と少ない状況です。
さらに増益企業についても、
前年:約36%
今年:約45%
と増加しています。
減益企業は減少しており、最高益を更新する企業もやや増えているとしています。
全体として見ると、第1四半期決算はかなり好調だったと評価できます。
上期上方修正でも通期据え置きの企業が多い理由
ただし、注意点もあります。
第1四半期や上期の業績予想を上方修正しているにもかかわらず、通期予想については据え置いている企業も少なくありません。
これは企業が下期について慎重な見方をしている可能性を示しています。
例えば、関税などを意識した駆け込み需要によって、第1四半期に発注が前倒しされた可能性があります。
その場合、第1四半期だけを見ると業績は非常に良く見えますが、通期で見れば大きな変化がない可能性があります。
そのため、第1四半期決算が好調だからといって全面的に楽観することはできません。
ただし、少なくとも現状の決算内容だけを見る限り、日本株全体が本格的な下落トレンドへ移行する強い材料にはなりにくいと分析されています。
日経平均EPS上昇でPERには割安感も
EPSの上昇によって、日経平均のPERにも変化が出ています。
PERとは「株価収益率」のことで、株価が企業利益に対して割高なのか割安なのかを見る代表的な指標です。
動画では、日経平均のPERについて、おおむね23倍から26倍程度のレンジが意識されているとしています。
現在はEPSが上昇したことで、PERが一時的に大きく低下しました。
その後株価が戻ってきたものの、まだ約23倍付近であり、過去のレンジで見れば下限付近です。
その意味では、バリュエーション面で極端に割高とは言いにくい状況です。
EPS上昇分はすでに株価に織り込まれた可能性も
一方で、年初から見るとEPSは約30%上昇しています。
そして4月以降の日経平均株価も約33%上昇しています。
つまり、
「企業利益が30%増えた分だけ株価も約30%上昇した」
とも見ることができます。
この考え方に立てば、現在の株価水準ですでに業績改善をかなり織り込んでいる可能性があります。
したがって、ここからさらに大きく上昇するためには、EPSのさらなる上昇や投資家の評価倍率であるPERの上昇が必要になります。
PER26倍なら日経平均7万8000円も理論上は可能
動画では、現在のEPSを前提にPERが過去の高値圏である26倍程度まで上昇した場合、日経平均は7万8000円程度まで上昇しても不自然ではないとしています。
もちろん、これは「必ず7万8000円になる」という意味ではありません。
あくまで現在の企業利益を基準として、過去と同程度のPERが付いた場合の理論的な株価水準です。
短期的な過熱や市場心理によってPERが上昇すれば、瞬間的にその程度の株価まで上昇する余地はあるという見方です。
TOPIXは最高値更新後の押し目が重要
日経平均だけでなく、TOPIXの動きも重要です。
TOPIXは直近で過去最高値を更新しました。
現在はそこからやや押し戻されていますが、以前の高値付近を維持できるかどうかがポイントになります。
過去最高値を突破した後、その高値付近がサポートとして機能するのであれば、非常に強い上昇トレンドと見ることができます。
反対に、最高値を突破したにもかかわらず、すぐに以前のレンジ内まで戻ってしまう場合は、上抜けが失敗した可能性も出てきます。
米国株は高値圏で横ばい
海外市場を見ると、米国株も高値圏で推移しています。
ダウ平均は高値更新後、やや軟調な動きです。
S&P500も直近では高値圏で横ばいとなっており、NASDAQについてはレンジ上限をやや上抜けてきたような動きが見られます。
ここから米国株が再び新たな上昇フェーズへ入るのであれば、日本株もその流れに引っ張られて上昇する可能性があります。
逆に、米国株がここで天井を付けて下落する場合、日本株にも売り圧力がかかる可能性があります。
特にS&P500については、中期移動平均線が株価に近づいてきているため、その付近で反発できるかどうかが重要なポイントになります。
海外投資家は8月第1週に売り越し
投資主体別売買動向を見ると、海外投資家は8月第1週に日本株を売り越していました。
累積の売買動向を見ても、最近は海外投資家による積極的な買い越しが続いているわけではありません。
ただし、海外投資家には季節性があります。
一般的に8月や9月は売り越しになりやすく、春や秋には買いが入りやすい傾向があります。
そのため、8月に海外勢の買いが弱いこと自体は、それほど異常な動きではありません。
事業法人は約1兆円規模の買い越し
8月第1週を見ると、海外投資家だけでなく個人投資家や信託銀行も売り越していました。
一方で、大きく買い越していたのが事業法人です。
事業法人は約1兆円規模の買い越しとなっています。
事業法人による株式購入の多くは自社株買いです。
特定の大型企業による巨額の自社株買いが含まれている可能性も指摘されています。
企業自身による自社株買いが、日本株の下支え要因になっている可能性があります。
現物より先物主導の上昇には注意
もう1つ重要なのが海外投資家による先物取引です。
海外勢は8月7日までの約2週間で、先物を約1兆円買い越していました。
そのため、直近の日経平均上昇について、
「海外投資家による現物株の長期的な買いではなく、先物主導の短期的な上昇だった可能性」
も考えられます。
先物による上昇の場合、ポジションの巻き戻しが起きると短期間で大きく下落するケースがあります。
そのため、現物市場に海外投資家の買いが本格的に戻ってくるかどうかは重要なポイントです。
9月のメジャーSQに向けた値動きにも警戒
仮に今回の上昇が先物主導の短期的な動きだった場合、次の大きなイベントとして9月のメジャーSQが意識される可能性があります。
SQとは「特別清算指数」のことで、株価指数先物やオプション取引の決済価格を決める重要な日です。
特に3月、6月、9月、12月は先物とオプションが同時に決済される「メジャーSQ」と呼ばれます。
メジャーSQに向けて機関投資家のポジション調整が活発になることがあり、相場が大きく動くこともあります。
そのため、9月前半にかけて短期的な調整が起きる可能性もシナリオの1つとして考えておく必要があります。
信用買い残とプットコールレシオは落ち着いてきた
需給面については、以前よりも過熱感がやや薄れてきています。
信用買い残を見ると、高値圏からある程度調整しており、以前ほど買いポジションが積み上がっている状況ではありません。
また、プットコールレシオについても、一時的に大きく上昇した後は低下しており、現在は比較的落ち着いた状態です。
プットコールレシオとは、オプション市場におけるプットとコールの取引状況から、投資家心理を見る指標です。
一般的に極端な数値になると、市場心理が一方向へ偏っている可能性があります。
現在はその極端な状態からやや正常化していると見られます。
つまり、以前の高値局面と比較すると、需給面では「売りの燃料」が少なくなっている可能性があります。
買い方が一斉に売りへ回るリスクには注意
ただし、信用買い残が減ったからといって下落リスクがなくなったわけではありません。
現在買っている投資家が、
「これ以上は上がらない」
「相場環境が悪化した」
と判断して一斉に売りへ回れば、大きな下落につながる可能性があります。
重要なのは、現在の好調な企業決算を見た投資家が、本当にそこまで弱気になる材料があるのかという点です。
現状では企業業績が比較的強いため、すぐに全面的な売り相場へ移行する可能性は限定的ではないかという見方が示されています。
相場予想よりも「複数のシナリオ」を用意することが重要
動画の中で特に強調されているのが、相場の方向を1つに決めつけないことです。
今後の日経平均については、
- 上昇トレンドが再開する
- 戻り高値を形成して下落する
- 一定期間横ばいになる
という3つのシナリオがあります。
当然ながら、相場は最終的にはこのいずれかの動きになります。
重要なのは「どれが当たるかを完璧に予想すること」ではありません。
あらかじめ複数の可能性を考えておけば、実際に相場が動いたとき、
「こちらのシナリオに入った」
と判断しやすくなります。
逆に「絶対に上がる」「絶対に下がる」と決めつけてしまうと、想定と反対方向へ動いた際に判断が遅れやすくなります。
相場では予測以上に、変化へ対応できる準備が重要だということです。
今後はジャクソンホールなど海外イベントにも注目
今後の経済イベントとしては、ジャクソンホール会議も注目されます。
ジャクソンホール会議は、米国の金融政策関係者や中央銀行関係者などが集まる重要な経済シンポジウムです。
FRB議長などの発言によって米国の金融政策見通しが変化すると、米国株や米国債、為替市場を通じて日本株にも影響が及ぶ可能性があります。
ただし、必ずしも毎回大きな政策変更が示されるわけではありません。
発言内容と市場の反応を確認しながら判断する必要があります。
まとめ
今回の日経平均は1759円安と大幅に下落しましたが、この1日の値動きだけをもって本格的な下落トレンド入りと判断するのは早いと考えられます。
直近の日経平均は、下落後にフィボナッチ61.8%を超えるほど強く戻しており、その反動として調整が入ること自体は不自然ではありません。
今後は特に6万7000円付近がサポートとして機能するか、中期・長期移動平均線で反発できるかが重要です。
また、TOPIXが過去最高値付近を維持できるかどうかも、日本株全体の強さを確認する材料になります。
ファンダメンタルズを見ると、第1四半期決算では上方修正や増益企業が増えており、日経平均EPSも大きく改善しています。
そのため、現時点では企業業績そのものが日本株を大きく売る材料になっているとは考えにくい状況です。
一方で、EPS上昇分はすでに株価にある程度織り込まれている可能性があります。
さらに、直近の上昇が海外投資家の現物買いではなく先物主導だった可能性や、9月のメジャーSQに向けた短期的な調整には注意が必要です。
今後の相場については、「上昇継続」「下落転換」「レンジ」という複数のシナリオを想定し、実際の値動きを見ながら柔軟に対応していくことが重要になりそうです。


コメント