本記事は、YouTube動画『米国株は年末高値を目指すのか?ヤルデニ氏のS&P500予想とイラン戦争リスク』の内容を基に構成しています。
導入
米国株やビットコインなどのリスク資産が大きく動く中で、投資家の関心は「この上昇は本物なのか」「今から買ってもよいのか」「次の下落はいつ来るのか」という点に集まっています。
今回の動画では、3月31日前後の米国株の底打ちを比較的正確に予見したとされるヤルデニ・リサーチ創業者のエド・ヤルデニ氏の相場観を軸に、S&P500の年末目標、イラン戦争とホルムズ海峡リスク、原油価格、インフレ、企業業績、そして今後の長期的な資産配分について解説されています。
結論から言えば、動画内では「短期的には夏場にかけて不安定な値固めが続く可能性がある一方、年末にはS&P500が7700を目指す余地がある」という見方が紹介されています。
ただし、それは中東情勢が企業業績を大きく傷つけないという前提に立ったものであり、ホルムズ海峡の混乱や原油高が長期化すれば、強気シナリオは見直す必要があるという内容です。
背景説明
米国株は急落後に急反発している
動画では、S&P500が高値から9%以上下落した後、急反発した局面が取り上げられています。
この下落の背景には、イラン戦争をめぐる不透明感がありました。戦争が長引けば原油価格が上昇し、物流コストが上がり、インフレが再燃する可能性があります。インフレが強まれば、米連邦準備制度理事会、いわゆるFRBが利下げしにくくなり、株式市場には逆風となります。
しかし、その後は停戦期待やトランプ大統領の発言を受けて、「最悪のシナリオは回避されるのではないか」という見方が広がりました。その結果、売られていたハイテク株を中心に買い戻しが入り、米国株は堅調に推移しています。
ここで重要なのは、株価が反発したからといって、問題が完全に解決したわけではないという点です。市場は「最悪ではなさそうだ」と判断して買い戻しているだけであり、イラン戦争やホルムズ海峡の問題が完全に終わったわけではありません。
ヤルデニ氏はS&P500の年末7700を予想
動画で中心的に紹介されているのが、ヤルデニ・リサーチ創業者のエド・ヤルデニ氏の見方です。
ヤルデニ氏は、3月末の急落について、投資家が恐怖に耐えきれず投げ売りした「行き過ぎた下げ」だったと見ています。そのため、そこは有力な買い場だったという判断です。
一方で、対イラン戦争を巡る不透明感はまだ残っており、相場が一直線に上がるとは考えていません。短期的には夏場にかけて不安定な値動きが続き、株価は値固めをしながら推移する可能性があるとしています。
それでもヤルデニ氏は、年末のS&P500目標を7700に据え置いています。動画内では、S&P500の終値が7137.90だったことを踏まえると、7700という水準はそこから8%弱の上昇余地があると説明されています。
動画内容の詳細解説
相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ
動画では、相場の有名な格言として「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という考え方が紹介されています。
これは、株価が底を打つタイミングは、多くの人が安心している時ではなく、むしろ悲観が強く、誰も買いたくないと感じている時になりやすいという意味です。
今回の米国株も、イラン戦争への不安が市場を包み、S&P500が高値から9%以上下落した局面で、ヤルデニ氏は「恐怖のピーク」と「空気の変化」を読み取ったとされています。
その後、株価は急反発しました。これはまさに、悲観が強かった時に買った投資家が報われた形です。
ただし、ここで注意すべきなのは、「反発したからすべて安心」と考えるのは危険だということです。相場は一時的に安心感を取り戻しても、地政学リスクやインフレリスクが再び高まれば、もう一度大きく崩れる可能性があります。
ヤルデニ氏が強気を維持する理由
ヤルデニ氏が年末S&P500の目標を7700に据え置いている理由として、動画では大きく3つのポイントが説明されています。
1つ目は、待機資金がまだ豊富にあることです。
株価が下がるたびに「押し目買い」を狙う資金が市場に残っていれば、下値は硬くなりやすくなります。つまり、少し下がると買いたい投資家が出てくるため、株価が大きく崩れにくくなるということです。
2つ目は、企業利益が思ったほど崩れていないことです。
株価は最終的には企業の利益によって支えられます。イラン戦争や原油高のリスクがあっても、アナリストの利益予想が大きく下方修正されていないのであれば、市場は「企業業績への打撃は限定的」と見ていることになります。
3つ目は、巨大テック企業の強さです。
不透明な相場では、資金は小型株や景気敏感株よりも、多少割高でも安心感のある大型株に集まりやすくなります。マグニフィセント7のような巨大テック企業に資金が流れれば、それだけでS&P500やNASDAQを押し上げる力になります。
予想を信じるのではなく、ロジックを理解することが重要
動画で特に重要なメッセージは、「相場の達人であっても予言者ではない」という点です。
ヤルデニ氏は今回の底打ちを比較的うまく予見した一方で、過去には外れた見方もあります。2022年の利上げ局面では株価急落を読みきれず、昨年の関税による急落も当初は過小評価していたと説明されています。
そのため、投資家が学ぶべきことは「ヤルデニ氏が言っているからS&P500は必ず7700になる」と信じることではありません。
大切なのは、なぜヤルデニ氏がそう考えているのか、そのロジックを理解することです。
たとえば、S&P500が7700に到達するという見方は、企業業績が大きく崩れないことを前提にしています。もし原油高によって個人消費が冷え込み、企業利益が予想以上に落ち込めば、その前提は崩れます。
それにもかかわらず、「ヤルデニ氏が7700と言っていたから上がるはずだ」と結論だけを信じてしまうと、相場環境が変わっても判断を修正できなくなります。
これはSNSの投資情報にも当てはまります。他人の意見を鵜呑みにしてはいけないというのは、単に「他人を信用するな」という意味ではありません。結論だけを拾うのではなく、根拠や前提条件を理解する必要があるという意味です。
イラン戦争で本当に重要なのは企業利益への影響
動画では、イラン戦争そのものよりも、その戦争が企業利益にどれだけ影響するかが重要だと説明されています。
現時点で市場参加者は、イラン戦争の影響は企業業績を大きく傷つけるほどではないと見ているため、株価は急反発しています。
しかし、もしホルムズ海峡の封鎖が長期化し、原油供給が滞り、インフレが再燃すれば話は変わります。ガソリン価格や物流コストが上がれば、消費者の支出余力が減り、企業の利益率も圧迫されます。
その結果、これまで強気だった企業利益予想が下方修正されれば、株価の前提も崩れます。
つまり、投資家は「戦争があるかないか」だけを見るのではなく、「戦争が企業業績にどれだけ影響するのか」を見なければなりません。
ホルムズ海峡はまだ正常化していない
動画では、ホルムズ海峡を巡る状況についても詳しく解説されています。
トランプ大統領は、イランとの停戦期限について明確な期限は設けていないとしつつ、米軍による逆封鎖によってイラン経済を締め上げる姿勢を示しています。
一方で、イラン側は米国による逆封鎖を停戦合意違反だと主張し、撤回しなければ対面交渉には応じない構えを見せています。つまり、停戦協議そのものが順調に進んでいるとは言いにくい状況です。
さらに、米国防総省がホルムズ海峡の機雷除去に最大6ヶ月かかる可能性があると分析しているとの報道も紹介されています。イランがホルムズ海峡周辺に20個以上の機雷を設置した可能性があり、完全な停戦合意がなければ除去作戦も難しいという見方です。
仮に機雷を除去できたとしても、石油タンカーが消費国に到着するまでには数週間かかります。そのため、ホルムズ海峡が安全になったとしても、原油供給がすぐに正常化するわけではありません。
世界はホルムズ海峡依存から離れる可能性がある
動画では、仮にホルムズ海峡が完全に正常化しても、世界は以前のような状態には戻らない可能性があると指摘されています。
なぜなら、各国は今後、特定の国や地域にエネルギー供給を依存するリスクを強く意識するようになるからです。
その結果、多少コストが高くても米国産原油の比率を高めるなど、供給元を分散する動きが進む可能性があります。
これは安全保障上は合理的ですが、コスト面ではインフレ要因になります。エネルギー価格が高止まりすれば、個人消費の冷え込みや企業業績の悪化につながる可能性があります。
この点からも、今の株高が続くかどうかは、中東情勢とエネルギー価格の動向を見極める必要があります。
トライオートFXと自動売買に関する考え方
自動売買はレンジ相場に強いが、一方向の下落には弱い
動画では、トライオートFXに関する質問にも答えています。
「相場が下がっている時でも利益を出せますか」という質問に対して、答えは「相場の下がり方次第」とされています。
一定の値幅の中で上下を繰り返すレンジ相場であれば、下がったところで買い、戻ったところで売ることで、小さな利益を積み重ねやすくなります。これは自動売買が得意とする相場です。
一方で、価格が一方向に下がり続ける相場では注意が必要です。買いの自動売買であれば、下がるたびに新しい買いポジションを持つことになります。しかし、価格が戻らなければ利益確定できず、含み損だけが膨らむ可能性があります。
つまり、自動売買は万能ではありません。
レンジ相場では利益を狙いやすい一方、強い下落トレンドには弱いという特徴があります。そのため、現在の相場がレンジなのか、それとも大きな下落トレンドの途中なのかを見極めることが重要です。
資源国通貨ペアに注目する理由
動画では、足元では地政学リスクの高まりを背景に、農産物やエネルギー価格が上がっているため、資源国同士の通貨ペアがよいのではないかという見方も紹介されています。
たとえば、ニュージーランドドルは乳製品や農産物価格の影響を受けやすい通貨です。一方、カナダドルは原油などのエネルギー価格の影響を受けやすい通貨です。
そのため、ニュージーランドドルとカナダドルの通貨ペアは、資源価格の影響を受けながらもレンジを形成しやすい可能性があると説明されています。
ただし、FX自動売買には為替変動リスクや含み損リスクがあります。特にレバレッジを使う場合、想定以上の値動きが起きると大きな損失につながる可能性があります。仕組みを理解したうえで、余裕資金の範囲で運用することが重要です。
5000万円の貯金があっても投資は必要なのか
現金だけを持つこともリスクになる
動画では、「すでに5000万円ほど貯金がある場合、投資をしなくてもよいのか」という質問にも答えています。
これに対して、動画内では「投資は老後の人生を守るため、自分の人生を自分でコントロールするためにもやった方がよい」という見方が示されています。
多くの人は、投資を「お金を増やすためのもの」と考えます。年利何%で増えるのか、どの銘柄が上がるのか、いつ買うべきかに注目します。
しかし、老後の資産形成で本当に大切なのは、資産額の競争で勝つことではありません。老後の生活を壊さないことです。
現金は価格が大きく変動しないため、安全に見えます。しかし、物価が上がれば現金の実質的な価値は下がります。
たとえば、インフレ率4%が10年続いた場合、今日100万円で買えたものは、10年後には約148万円必要になります。口座残高が減っていなくても、買えるものが減ってしまうのです。
この意味で、現金だけを持つこともリスクです。
投資は人生の選択肢を守るための道具
動画では、老後の資産形成を登山にたとえています。
お金を増やすことは、山頂を目指して「もっと上へ」と進む発想です。一方、生活を守ることは、遭難しないように地図や水を持ち、天候が悪くなっても下山できるように備える発想です。
老後の資産形成で重要なのは、山頂で旗を振ることではなく、家族の元へ無事に帰ることです。
つまり、投資の目的は単に資産を増やすことではありません。物価上昇や長生きリスクに備え、生活の自由度を守ることです。
旅行を諦めずに済むこと、医療費に不安を感じすぎないこと、働き方や住み方を選べること。こうした人生の選択肢を守るために、投資は必要だという考え方です。
SQ99を損切りした理由
空売りで資産形成する考えではなかった
動画では、以前「空売りはやりたい人はやればよい。自分ならしない」と話していたにもかかわらず、なぜNASDAQ総合の下落にかけるSQ99に投資したのかという質問にも答えています。
これに対して、動画内では、イラン戦争は他の戦争とは異なり、インフレを再燃させる可能性があったからだと説明されています。
ただし、大前提として、空売りで資産形成ができるとは考えていないとも述べています。そのため、SQ99への投資額はポートフォリオ全体の1%にも満たない金額だったとされています。
市場が「インフレ懸念は大きくない」と示した
SQ99に投資した理由は、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、米国でインフレが再燃し、個人消費が冷え込み、景気後退につながる可能性があると考えたためです。
しかし、その後のS&P500やNASDAQ総合のチャートを見ると、市場は「イラン戦争によるインフレ懸念は大きな問題にはならない」と示しているように見えたと説明されています。
特に、フォロースルーデーというテクニカル分析上のサインを重視し、相場が上昇転換したと判断したため、SQ99は損切りしたという流れです。
ここから学べるのは、自分の予想が外れた時に、素直に修正することの重要性です。
投資では、自分の見立てにこだわりすぎると、損失が大きくなりやすくなります。市場が自分の予想と違う方向を示している場合、早めに認めることも大切です。
今後の相場見通し
景気後退を伴う下落は秋以降という見方
動画の最後では、今後の相場観が示されています。
S&P500が市場最高値圏で推移していることを踏まえると、景気後退を伴う本格的な下落相場は秋以降になるのではないかという見方です。
3月の急落によって、いわゆるセルインメイの可能性は低くなったとされています。
ただし、労働市場と個人消費には減速の兆候が見られるため、ここから新しい強い上昇相場が始まるというよりも、最後の上昇相場になる可能性があると説明されています。
2027年10月頃の底打ちを予想
動画では、過去の歴史を振り返ると、S&P500の景気後退を伴う下落相場は、天井をつけてから平均15ヶ月後に底打ちする傾向があると説明されています。
また、3月と10月は相場の転換点になりやすいという経験則も踏まえ、2027年10月頃に底打ちする可能性があるという予想が示されています。
さらに、S&P500の最大下落率は50%、円建てでは60%を想定しているとされています。欧州株や新興国株も下落するものの、米国株よりはやや浅い下げを想定しているという見方です。
次の景気拡大局面は国際分散投資の時代へ
動画では、2025年12月末を起点として2040年までを見た場合、S&P500の年率平均リターンは1桁台前半にとどまる一方、欧州株、新興国株、コモディティ、暗号資産は2桁の比較的高いパフォーマンスになる可能性があると予想されています。
これは、これまでのように米国株だけを持っていればよい時代から、国際分散投資がより重要になる時代へ移るという見方です。
もちろん、これは動画内で示された予想であり、将来を保証するものではありません。しかし、米国株一極集中のリスクを考えるうえでは、重要な視点です。
追加解説
初心者が今回の相場で意識すべきこと
今回の動画で初心者が最も意識すべきなのは、相場予想の「結論」だけを追いかけないことです。
「S&P500は年末7700へ」
「2027年10月に底打ち」
「最大下落率は50%」
こうした数字は非常に目を引きます。しかし、本当に大切なのは、その数字の前提です。
S&P500が7700を目指すには、企業業績が大きく崩れないことが必要です。景気後退が秋以降になるという見方には、労働市場や個人消費の減速がまだ限定的であるという前提があります。2027年10月頃に底打ちするという予想にも、過去の相場サイクルを参考にした前提があります。
投資では、結論だけを覚えるのではなく、「何が起きたらそのシナリオは崩れるのか」を考えることが重要です。
地政学リスクは株価よりも企業利益への影響を見る
イラン戦争やホルムズ海峡リスクのような地政学イベントは、ニュースとしては非常に大きく見えます。
しかし、株式市場で重要なのは、そのニュースが企業利益にどれだけ影響するかです。
一時的な緊張で終わるなら、株価はすぐに回復する可能性があります。一方で、原油高が長期化し、物流コストが上がり、消費者の購買力が落ち、企業利益が下方修正されるなら、株価への影響は深刻になります。
そのため、初心者はニュースの見出しだけで売買するのではなく、原油価格、金利、企業決算、消費関連データなどを合わせて見ることが大切です。
まとめ
今回の動画では、米国株の急落後の反発、ヤルデニ氏によるS&P500年末7700予想、イラン戦争とホルムズ海峡リスク、FX自動売買、老後の資産形成、そして今後の長期的な相場見通しについて幅広く解説されていました。
重要なポイントは、米国株は短期的に反発しているものの、イラン戦争やホルムズ海峡の問題が完全に解決したわけではないということです。市場は現時点で「企業業績への影響は限定的」と見ているため株価は上昇していますが、原油高やインフレ再燃によって企業利益が傷つけば、その前提は崩れる可能性があります。
また、ヤルデニ氏のような著名投資家の見方であっても、結論だけを信じるのではなく、なぜその判断に至ったのかというロジックを理解することが大切です。
投資において必要なのは、誰かの予想をそのまま信じることではありません。相場の前提条件を確認し、状況が変わった時には自分の考えも柔軟に修正することです。
米国株が年末にかけて上昇を続ける可能性はあります。しかし同時に、中東情勢、原油価格、インフレ、企業業績、労働市場、個人消費には注意が必要です。
これからの投資では、短期的な株価の上下に振り回されるのではなく、自分の資産を守る視点、生活を守る視点、そして国際分散投資の視点を持つことがますます重要になりそうです。


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