本記事は、YouTube動画『【PERの真実】勝ってる投資家が「今のPER」を見ない理由|1年先のPERで勝つ銘柄選定術』の内容を基に構成しています。
株式投資を始めると、多くの人が最初に覚える指標の1つがPERです。
「PERが低ければ割安、高ければ割高」
投資の入門書では、このように説明されることが少なくありません。
しかし、実際に経験を積んだ投資家は、単純に「PERが何倍だから安い」「何倍だから高い」と判断しているわけではないようです。
動画では、投資歴約10年の専業投資家が、実際に他の投資家とどのようにPERについて話し、どのような基準でPERを利用しているのかを解説しています。
重要なのは現在のPERそのものではありません。
「将来、PERがどう変化するのか」
ここを見ることが、銘柄選定では非常に重要だと説明されています。
そもそもPERとは何か
PERとは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。
基本的な計算式は次の通りです。
PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
たとえば、株価が3,000円、EPSが100円ならPERは30倍です。
3,000円 ÷ 100円 = 30倍
一般的にはPERが低ければ株価が利益に対して割安、高ければ割高と説明されることがあります。
しかし、この考え方だけで投資判断をすると、大きな落とし穴があります。
なぜなら、PERの分母になっているEPSは毎年変化するからです。
現在の利益だけを基準にPERを見ても、将来利益が大きく増えたり減ったりすれば、PERの水準も大きく変わります。
経験豊富な投資家でもPERは見る
動画では、初心者だけではなく、経験豊富な投資家でもPERをかなり重視していると説明されています。
投資家同士の会話でも、
「その会社のPERは何倍なのか」
という話になることは多く、株式を評価する際の共通言語のような存在になっているといいます。
一方で、PBRやその他の指標については、バリュー投資なのかグロース投資なのかといった投資スタイルによって重要度が変わります。
PERについては、投資スタイルの違いはありながらも、比較的幅広い投資家が確認している指標だとされています。
ただし、大切なのはPERを見ることそのものではありません。
「何倍なのか」だけを見るのではなく、その数字の背景まで考える必要があります。
「PER30倍なら高い」という判断は危険
PERについてよくある考え方が、
「PER10倍なら安い」
「PER30倍なら高い」
といった判断です。
しかし動画では、このような絶対的な基準でPERを判断することはあまりないと説明しています。
たとえば現在のPERが30倍だったとしても、利益が急速に成長している企業であれば、必ずしも割高とは限りません。
将来EPSが大幅に増えれば、現在の株価が変わらなくてもPERは低下するためです。
逆に、現在PERが10倍や15倍と一見割安に見える企業でも、利益がピークに近づいている場合は注意が必要です。
その後利益が減少すれば、PERは一気に上昇する可能性があります。
つまり、PERを見る際には数字そのものよりも、
「なぜこのPERになっているのか」
を考える必要があります。
PERは同業他社やビジネスモデルと比較する
PERを判断する際に重要になるのが、同業他社やビジネスモデルとの比較です。
動画では、企業の成長率だけではなく、事業の安定性もPERに影響すると説明されています。
たとえば、翌期の営業利益が50%伸びると予想されている企業が2社あったとします。
1社は業績の変動が非常に大きく、利益が大きく増える年もあれば急減する年もあります。
もう1社はサブスクリプション型ビジネスなどを中心としており、継続収益の比率が高く、翌年の業績を比較的予想しやすい会社です。
成長率が同じだったとしても、後者の方が高いPERで評価されやすくなります。
なぜなら、投資家にとって将来利益の予測可能性が高いからです。
PERには単純な成長率だけではなく、利益の安定性や事業の継続性も反映されています。
成長率とPERの関係を見る
成長率もPERを考えるうえで非常に重要です。
たとえば2社の事業の安定性がほぼ同じだとします。
1社の利益成長率が20%、もう1社が40%なら、一般的には成長率40%の会社の方が高いPERで評価されやすくなります。
逆に、
「利益成長率は非常に高いのにPERが低い」
という企業があれば、
「なぜ市場は高く評価していないのだろうか」
と考えるきっかけになります。
市場が何かリスクを織り込んでいる可能性もありますし、反対に市場がまだ成長を十分に評価していない可能性もあります。
この差を調べていくことが、銘柄分析につながります。
最も重要なのは「来期PERが下がるか」
動画で特に重視されているのが、現在のPERではなく「来期PER」です。
現在PERが高かったとしても、翌年EPSが大幅に増えればPERは低下します。
たとえば、現在の株価を3,000円、現在EPSを100円とします。
現在のPERは、
3,000円 ÷ 100円 = 30倍
です。
しかし、翌年EPSが200円まで増えれば、
3,000円 ÷ 200円 = 15倍
になります。
株価がまったく変わらなくても、PERは30倍から15倍まで低下することになります。
このような企業であれば、現在PER30倍という数字だけを見て「高い」と判断すると、成長を見落としてしまいます。
動画では、このように「現在よりも来期PERが低下していく企業」を買うことが多いと説明しています。
PER15倍でも割高になることがある
反対のケースもあります。
たとえば現在PER15倍の企業があったとします。
数字だけを見ると、それほど高くないように感じるかもしれません。
しかし、その会社が景気循環の影響を強く受けるシクリカル企業で、現在の利益が景気のピーク付近にあるとします。
翌年利益が半分になれば、EPSも大きく減ります。
その場合、現在はPER15倍でも、将来PERは大幅に上昇します。
つまり、
「現在PERが低いから割安」
とは限りません。
現在の利益が一時的に非常に高くなっているだけというケースもあるからです。
1年先のPERが重要な理由
では、将来どこまでを見るべきなのでしょうか。
動画では、特に「1年先のPER」を重視すると説明しています。
2年後や3年後の業績予想では、企業を取り巻く環境が大きく変化している可能性があります。
新規事業の計画が変更されたり、市場環境が変わったりすることもあります。
そのため、
「3年後には利益が大きく増えるから今のPER80倍でも安い」
という考え方はリスクが高くなります。
一方、1年後であれば業績の方向性をある程度予測できるケースがあります。
現在受注している案件や、すでに進んでいる事業、値上げ効果などが翌期利益に反映される場合です。
そのため動画では、1年程度で利益成長が確認でき、PERが低下していく企業を好むと説明しています。
最も魅力的なのは「EPS成長+PER上昇」
動画では、投資家にとって特に魅力的なケースとして、
「EPSが増えながらPERも上昇する」
パターンを紹介しています。
株価は、おおまかに考えると次の関係で説明できます。
株価 = EPS × PER
たとえばEPSが100円でPER10倍なら、理論上の株価は1,000円です。
EPSが200円まで増えれば、PERが10倍のままでも株価は2,000円になります。
さらに市場からの評価が高まり、PERが15倍まで上昇すれば、
200円 × 15倍 = 3,000円
となります。
つまり株価は、EPSの成長とPERの上昇という2つの要因から上昇する可能性があります。
動画では、業績改善によってEPSが増え、さらに市場からの評価が変化する企業を狙う考え方が紹介されています。
市場がまだ気づいていない業績変化を探す
動画では、理想的なパターンとして次のような企業が挙げられています。
現在のPERは比較的低いものの、市場にはまだ十分に評価されていない業績改善が進んでいる会社です。
翌期以降EPSが増加すると、現在の株価水準ではPERがさらに低下します。
たとえば将来PERが5倍や6倍になるほど利益が増えることが予想できるのであれば、
「この利益水準が継続するならPER5倍は低すぎるのではないか」
という判断ができます。
その後、市場が業績改善に気づけば、PERが10倍などへ修正される可能性があります。
EPSも成長しているため、株価には大きな変化が生じることがあります。
動画ではサブコンなどを例に、このようなEPS成長とPERの切り上がりが重なったケースを説明しています。
PERが高くても必ずしも売りではない
現在PERが80倍だからといって、必ずしも割高とは限りません。
たとえば企業が新規事業へ先行投資しており、現在利益が小さくなっている場合です。
その新規事業が翌年以降大きな利益を生み始めれば、EPSは急増します。
結果として現在PER80倍だった企業が、翌期にはPER20倍程度まで低下する可能性もあります。
また、オフィス移転など一時的な費用によって利益が落ち込み、その結果PERが一時的に高く見えているだけというケースもあります。
重要なのは、
「なぜPERが高いのか」
という理由です。
業績が伸びないのにPERだけ上昇する場合は注意
一方で、動画では危険なケースについても説明しています。
それが、
「業績が伸びていないのにPERだけが上昇する」
ケースです。
企業の利益成長ではなく、テーマや材料などによって株価だけが急上昇すると、PERは大きく上昇します。
将来利益がついてこなければ、高いPERを維持する理由がなくなる可能性があります。
そのため動画では、保有している銘柄についてPERだけが急激に拡大し、将来業績が伴っていない場合は慎重に考える必要があると説明しています。
2年後、3年後の業績だけで高PER銘柄を買うリスク
将来の利益を見ることは重要ですが、将来であれば何年先でもよいわけではありません。
動画では、2年後や3年後の利益を前提に、現在高PERの企業を買うことには慎重な姿勢を示しています。
理由は、将来になればなるほど不確実性が高くなるからです。
企業が、
「3年後に新規事業で大きな利益を出します」
と説明していても、実際には計画通り進まないこともあります。
もし現在PER80倍という高い評価が、その3年後の事業成功を前提としていた場合、計画が失敗すると株価が大きく調整する可能性があります。
一方、現在PER10倍程度で、将来新規事業が成功すればさらに成長するという状況であれば、新規事業が失敗しても既存事業の利益が支えになる可能性があります。
つまり、将来期待が株価にどれだけ織り込まれているのかを確認することが重要です。
過去のPERだけで判断してはいけない
PER分析では、
「この会社は昔PER15倍だったから、現在PER25倍は高い」
といった過去比較もよく行われます。
動画では、過去PERを見ること自体は否定していません。
ただし、現在と過去では企業を取り巻く状況がまったく違う場合があります。
事業構成が変化しているかもしれません。
金利水準が違う場合もあります。
市場全体のバリュエーションが異なることもあります。
新たな需要が生まれている可能性もあります。
そのため、
「昔PER10倍だったから今も10倍が適正」
とは限りません。
成長率が変われば適正PERも変わる
企業の成長率そのものが変化すれば、市場から与えられるPERも変わる可能性があります。
これまで成長率が低かった会社が、新しい需要によって高成長企業へ変化すれば、過去よりも高いPERで評価されても不自然ではありません。
動画ではAI関連需要などを例に、以前には存在しなかった需要が企業業績を押し上げるケースについて説明しています。
こうした変化が起きている企業では、過去平均PERだけを基準に「高すぎる」と判断すると、その企業の構造変化を見落としてしまう可能性があります。
投資スタイルによってPERの使い方は変わる
もちろん、PERの使い方は投資スタイルによって異なります。
たとえば、企業のファンダメンタルズが大きく変化していない状況で株価だけが急落した場合、
「過去のPER水準と比べて安い」
と判断して買う投資家もいます。
このような手法では過去PERが重要になります。
一方、動画で紹介されている投資スタイルでは「変化」を重視しています。
現在と将来で、
売上高がどう変わるのか。
利益がどう変わるのか。
EPSがどう変わるのか。
そしてPERがどう変わるのか。
こうした変化を予測することが投資判断の中心になります。
「未来のPER」を見るとは将来業績を考えること
結局のところ、未来のPERを見るということは、単純に数字を計算するだけではありません。
まず企業の将来業績を予想する必要があります。
売上高がどの程度伸びるのか。
利益率が改善するのか。
値上げが利益にどれだけ影響するのか。
新規事業は利益に貢献するのか。
需要は継続するのか。
こうした要素から将来EPSを考えます。
そのうえで、
「現在の株価なら、1年後のPERは何倍になるのか」
を計算します。
動画では、このプロセスこそがPERを見るうえで重要だと説明しています。
初心者ほどPERの数字だけを見ないことが重要
PERは非常に基本的な投資指標です。
しかし、基本的な指標だからこそ、理解の深さによって投資判断に大きな差が生まれます。
初心者は、
「PER10倍=安い」
「PER30倍=高い」
と判断しがちです。
しかし実際には、そのPERが将来どう変化するのかを考える必要があります。
現在PER30倍でも、翌期利益が2倍になればPER15倍です。
現在PER15倍でも、翌期利益が半分になればPER30倍になります。
同じ「PER」という数字でも、企業の成長局面によって意味はまったく異なります。
まとめ
PERは、株式投資において非常に基本的でありながら、奥の深い指標です。
動画で強調されているのは、現在のPERだけで「高い」「安い」と判断しないことです。
重要なのは、企業の将来業績を考え、EPSがどのように変化するのかを見ることです。
特に1年程度先の業績を予測し、
「現在の株価で考えたとき、来期PERはいくらになるのか」
を見ることが重要だと説明されています。
さらに理想的なのは、EPSが増加するだけではなく、市場からの評価も高まり、PERそのものも上昇する企業です。
株価を「EPS × PER」という視点で考えると、なぜ企業の成長だけではなく市場の評価変化も重要なのかが分かりやすくなります。
PERは単なる「割安・割高判定ツール」ではありません。
将来利益と市場評価の変化を考えるための指標として利用することで、企業を見る視点は大きく変わります。
現在のPERを見るだけではなく、「1年後、この会社のPERは何倍になっているのか」という視点を持つことが、より実践的な企業分析につながるというのが、今回の動画の中心的なテーマです。


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