本記事は、YouTube動画『長期投資で株に挑戦。伸びる株の見つけ方と必要なマインドセット』の内容を基に構成しています。
株式投資では、「これから上がる株はどれか」という株価予想に目が向きがちです。しかし長期投資という視点では、短期的な値動きを追い続けることよりも、企業そのものが将来にわたって成長できるかを考えることが重要だといいます。
動画では、長期投資とはどれくらいの期間を指すのか、成長する企業をどう見つけるのか、さらに有価証券報告書や実際の商品、従業員の口コミなどをどのように企業分析へ活用するのかについて議論されています。
これから個別株投資を始めたい人にとっても参考になる、長期投資における企業の見方を詳しく整理します。
長期投資とは何年なのか
まず議論されたのが、「長期投資とは一体どれくらいの期間なのか」という問題です。
動画では、理想を言えば投資期間は「永遠」とされています。
つまり、良い企業であり続ける限り、必ずしも売却する必要はないという考え方です。
ただし、「永遠」と言われても具体性がないため、数字に落とし込むなら「最低でも5年以上」が1つの目安になると説明されています。
その理由として挙げられているのが、短期的な株価のランダム性です。
株価は短い期間ではさまざまな材料によって上下します。企業業績だけでなく、市場全体の動き、投資家心理、ニュース、金利、景気など、多くの要因が影響するためです。
そのため短期間では、企業業績と株価が必ずしも同じように動くとは限りません。
一方で動画では、期間が長くなるにつれて企業業績と株価の関係が強くなるという考え方が紹介されています。
特に5年以上という長い時間軸になると、業績を伸ばしている企業の株価も上昇しやすくなり、企業の成長と株価の関係が見えやすくなるとしています。
株価ではなく企業の将来を見る
この考え方から導かれるのが、「株価を予想するのではなく、企業の将来を予想する」という長期投資の考え方です。
短期的に株価が上がるか下がるかを正確に予想することは簡単ではありません。
しかし、
「この企業は数年後に今より利益を増やしているだろうか」
「事業は今より大きくなっているだろうか」
「競争力を維持できているだろうか」
といった企業そのものの将来を考えることはできます。
動画では、長期投資だから長く持つというよりも、「企業そのものに投資している結果として保有期間が長くなる」という考え方が示されています。
良い企業である限り業績が伸び、それに伴って株価も伸びていくのであれば、売却せず保有し続けることが理想というわけです。
長期投資では「良い企業」を見つけることが重要
では、長期間にわたって成長できる「良い企業」とはどのような企業なのでしょうか。
動画では、その重要な条件として「長期を見据えて経営しているかどうか」が挙げられています。
企業の中には、短期間で業績を大きく伸ばす会社もあります。
急成長企業は非常に目立ちますが、短期間で急激に伸びた事業は、その後に大きく落ち込む可能性もあります。
株価も同様で、業績が急拡大して評価が高まった企業ほど、成長が鈍化した際に株価が大きく調整することがあります。
一方、長期的な成長を考えている企業では、現在の利益だけを最大化するのではなく、将来に向けて投資を行います。
将来への「種まき」が企業成長につながる
長期的な経営を行う企業では、新しい事業や商品開発、人材、設備などへの投資が行われます。
動画では、これを「種まき」と表現しています。
企業が将来に向けた投資を行えば、当然ながらその時点ではコストが発生します。
そのため短期的には利益が伸びにくくなったり、株式市場から十分に評価されなかったりすることもあります。
しかし、その投資が数年後に成果を出し始めれば状況が変わります。
企業の利益が伸び、それまで市場から低く評価されていた部分についても再評価される可能性があります。
つまり、
「業績そのものの成長」
と
「企業に対する市場評価の上昇」
が同時に起これば、株価が大きく伸びる可能性があるという考え方です。
長期投資では、今の利益だけを見るのではなく、企業が将来に向けて何をしているのかを見ることが重要になります。
有価証券報告書は企業分析の基本
企業の将来を分析する際、動画で基本として紹介されているのが有価証券報告書です。
有価証券報告書には、企業の事業内容、業績、リスク、経営方針など、投資判断に利用できる多くの情報が掲載されています。
企業自身が法令に基づいて開示している資料であるため、企業分析の基本情報として非常に重要な資料です。
動画内でも、有価証券報告書を読むことは企業研究の基本になると説明されています。
ただし、現在は以前と状況が大きく変わってきているとも指摘されています。
その理由がAIの普及です。
AI時代は有価証券報告書を読むだけでは差がつきにくい
以前であれば、数十ページ、場合によっては100ページを超える有価証券報告書を読み込むこと自体が大きな労力でした。
そのため、多くの投資家が読み飛ばしている情報を丁寧に確認することで、企業分析において差をつけることもできました。
しかし現在ではAIを利用すれば、大量の文章を短時間で要約したり、重要なポイントを整理したりできます。
有価証券報告書のような文章データは、AIが得意とする分野でもあります。
そのため動画では、有価証券報告書は依然として企業分析のベースではあるものの、それだけでは他の投資家との差をつけることが難しくなってきているとしています。
そこで重要になるのが「リアルな情報」です。
リアルな情報とは「自分の目で見た情報」
動画で特に重視されているのが、自分自身で確認した一次情報です。
インターネット上の噂や誰かの意見ではなく、実際に店舗へ行ったり、商品を使ったり、サービスを体験したりすることです。
その具体例として紹介されているのが、無印良品を展開する良品計画です。
動画出演者はもともと無印良品の商品や店舗のファンで、良品計画が苦しい時期にも企業を継続的に観察していたといいます。
その中で、実際に普段使っていた無印良品の衣料品、特に下着の商品改良を体感したことがあったと話しています。
素材などが見直された商品を実際に着用したところ、以前より着心地が良くなったと感じたそうです。
そこで、
「会社が進めている改革が実際の商品にも表れているのではないか」
と考えたといいます。
このような情報は、有価証券報告書や決算資料だけを見ていても分からない情報です。
自分の感覚だけで投資判断してはいけない
もっとも、「自分がこの商品を好きだから」という理由だけで投資するわけではありません。
動画でも、自分自身の体感だけでは意見が偏ってしまう可能性があると説明されています。
例えば、
商品が以前より良くなったと感じる。
店舗に客が増えているように感じる。
サービスが改善しているように感じる。
こうしたリアルな変化を確認したうえで、実際の企業業績も伸び始めているのかを確認します。
つまり、
「現場で感じた変化」
と
「数字として表れている業績」
の両方を見ることが重要になります。
自分自身の感覚だけでもなく、決算数字だけでもなく、両方を組み合わせるという考え方です。
BtoB企業は従業員の情報も参考になる
一般消費者向けの商品を扱う企業であれば、店舗に行ったり商品を使ったりすることで企業の変化を体感できます。
しかし、すべての企業がそうとは限りません。
例えば、企業向けビジネスを中心とするBtoB企業や、重工業などを手がける企業の場合、一般の消費者がサービスを直接利用する機会はほとんどありません。
このような企業については、専門的な書籍などで業界について調べる方法が紹介されています。
さらに動画では、意外な情報源として「転職サイトの従業員口コミ」が挙げられています。
転職サイトには、実際にその企業で働いた人や現在働いている人が、企業文化や経営、事業戦略などについて書き込んでいることがあります。
そこから、
「従業員は経営者をどう評価しているのか」
「会社の戦略を現場はどう見ているのか」
「会社の内部では何が起きているのか」
といった情報を読み取れる場合があります。
もちろん口コミは個人の意見であり、そのまま事実として受け取るべきではありません。
それでも、自分が調べた企業情報と従業員の見方を照らし合わせることで、企業についてより立体的に分析できる可能性があります。
動画では、こうしたさまざまな情報を組み合わせながら「謎解きをするように企業を分析する」と表現されています。
投資候補の企業はどうやって見つけるのか
企業分析の方法が分かっても、そもそもどの企業から調べればよいのかという問題があります。
動画では、企業を探す方法として「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」が紹介されています。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチでは、まず大きな産業や市場の流れから考えます。
動画では例としてAIや半導体が挙げられています。
まず、
今後どの産業が成長するのか。
その産業の中でどの分野が重要なのか。
その中でどの企業が有利なポジションにいるのか。
という順番で対象企業を絞り込んでいきます。
業界全体を理解することで、投資候補となる企業をある程度絞り込めるという考え方です。
ボトムアップアプローチ
一方のボトムアップアプローチでは、自分の身近な企業から調べていきます。
「この商品が好き」
「この店をよく使う」
「このサービスは便利」
といったところから企業を知る方法です。
動画では、このような「好き」から始めること自体は問題ないとされています。
ただし、好きな企業だけを見ていると投資対象が狭くなる可能性があります。
また、自分が好きな商品を提供していても、その企業が属している市場自体が成長しにくい場合もあります。
そのため、自分の興味を出発点にしながら、少しずつ対象となる業界や企業の幅を広げていくことが重要だと説明されています。
最初から最高の企業を見つける必要はない
個別株投資を始めると、
「絶対に良い企業を見つけなければならない」
と考えてしまう人も少なくありません。
しかし動画では、最初からベストな企業を見つけることは難しいと説明されています。
まずは、
「この業界ならこの会社」
「この商品ならこの企業」
という形で、いくつか候補を見つけてみます。
そして複数の企業をポートフォリオとして持ちながら、それぞれの企業を継続的に観察していきます。
企業を見続けていると、それぞれの特徴が少しずつ分かってきます。
例えば、原材料価格が上昇すると利益が下がりやすい企業もあれば、逆に特定の商品価格が上昇すると利益が伸びる企業もあります。
長期間企業を観察することで、
「この企業は何に強いのか」
「何が業績に影響するのか」
「競合企業との違いは何なのか」
といった特徴を理解できるようになります。
ポートフォリオは作って終わりではない
動画では、最初に作ったポートフォリオをそのまま持ち続けるという考え方ではありません。
企業を調べ続けているうちに、
「今持っている企業より、こちらの企業の方が良いのではないか」
という新しい発見が出てくることがあります。
そこで企業を入れ替えたり、新しい企業を調べたりします。
この作業を動画では、
「増やして、絞って、また増やして、絞る」
という形で表現しています。
最初から完成したポートフォリオを作るのではなく、実際に企業を観察しながら勉強を続け、自分なりの投資スタイルを作っていくという考え方です。
注目されていない業界にも投資機会がある
動画の最後では、これから個別株投資を始める場合、どのような業界から見るべきかという話題にも触れています。
ここで紹介されている考え方が、「現在あまり注目されていない業界を見る」というものです。
多くの投資家から注目されている業界では、すでに成長期待が株価に織り込まれている場合があります。
一方、あまり注目されていない業界では、期待が低いため株価評価も低くなっていることがあります。
そのような企業が実際に業績を改善すると、企業業績の改善だけでなく、市場からの評価そのものが変化する可能性もあります。
動画では、「無視されている業界」の方が失敗を減らしやすく、上昇した場合には値幅も大きくなりやすいという考え方が示されたところで、本編への案内となっています。
長期投資で重要なのは企業を継続的に観察すること
今回の動画で繰り返し語られているのは、株価そのものを予想するのではなく、企業を理解することの重要性です。
短期的な株価はさまざまな要因によって動きます。
しかし長い時間軸で考えれば、企業が利益を伸ばし続けられるかどうかが株価にとって重要な要素になります。
そのため長期投資では、
企業が長期を見据えて経営しているか。
将来に向けた投資を行っているか。
商品やサービスが実際に改善しているか。
業績がそれに伴って伸びているか。
といった点を継続的に確認する必要があります。
有価証券報告書や決算資料だけでなく、実際の商品、店舗、業界情報、従業員の口コミなど、さまざまな情報を組み合わせて企業を理解していくことも重要です。
まとめ
長期投資の考え方として、動画では最低でも5年以上という時間軸が示されています。
ただし、本質は「5年間持つこと」ではありません。
企業そのものに投資し、その企業が成長を続けている限り保有し続けるという考え方です。
そのためには、株価の短期的な上下だけを見るのではなく、企業が将来どのように成長しようとしているのかを確認する必要があります。
有価証券報告書などの公開情報を基本としながら、実際の商品やサービス、自分自身の体験、業界情報、従業員の声などを組み合わせることで、企業の姿をより深く理解できる可能性があります。
また、最初から完璧な銘柄を見つける必要はありません。
まず興味のある企業を調べ、いくつかの企業を継続的に観察しながら、より良い企業を探していくことも長期投資の重要なプロセスです。
長期投資とは、単に株を長く持つことではなく、「企業を長く観察し、企業の成長と付き合っていく投資」と考えることができそうです。


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