【衝撃】ロシア経済に大打撃!30兆円の巨大企業!世界1位の国営ガス企業が崩壊寸前!?【ガスプロム】

ロシア経済を象徴する存在であり、世界最大の天然ガス企業であるガスプロムが、今や存亡の危機に直面しています。

かつては時価総額が1兆ドルを超えると期待され、ロシア国内外で圧倒的な存在感を誇っていたこの企業は、なぜここまで追い込まれることになったのでしょうか。

著:酒井 明司
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目次

ガスプロムとは?その歴史と役割

ガスプロムは1993年2月17日に設立されたロシア政府主導の国営企業です。

同社はロシアの天然ガス埋蔵量の約70%以上を管理し、特に欧州市場への輸出で巨額の収益を上げてきました。2000年代初頭には、同社の時価総額は約30兆円に達し、アメリカのエクソンモービルやマイクロソフトなどに匹敵する規模でした。

当時のガスプロムは、モスクワ市場で時価総額1兆ドルを超える最初の企業になると期待され、ロシア経済と外交政策を支える経済武器としての役割を果たしていました。

欧州市場におけるシェアの大部分を占め、特にパイプライン網を通じた天然ガス供給はロシアの国際的な影響力を高める手段として機能していたのです。


2024年、歴史的赤字の発表

ガスプロムは2024年、1999年12月期以来24年ぶりとなる最終赤字を記録しました。

2023年12月期の決算では最終赤字額が6291億ルーブル(約1兆円)に達しました。前年の1兆2300億ルーブルの黒字からの転落は驚きをもって受け止められました。

この赤字の背景には、以下の要因が挙げられます:

  • 欧州諸国の脱ロシア政策:2022年以降、欧州諸国がロシア産天然ガスへの依存を断ち切るための方針を強化。
  • 輸出量と価格の大幅下落:2023年、ロシア産天然ガスの輸出量は約30%減少し、価格も約60%下落しました。

これにより、かつて30兆円規模の巨大企業だったガスプロムは国際市場での地位を大きく失うこととなりました。


ウクライナ経由供給の停止

ガスプロムの打撃の一つとして、ウクライナを経由した天然ガス供給停止が挙げられます。

長年、ウクライナ経由のパイプラインは欧州市場への主要な供給ルートとして機能してきました。しかし、2024年末に契約が満了するタイミングで、ウクライナは契約更新を拒否しました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアの収益源を断つ必要がある」と述べ、輸送を停止する決断を下しました。これにより、ガスプロムは年間で約7000億円もの収益を失う見込みです。

この供給停止の影響は非常に大きく、ガスプロムの財務状況をさらに悪化させました。一方で、欧州諸国もロシア依存から脱却するため、ノルウェーやアメリカのLNG(液化天然ガス)などへの輸入切り替えを加速しています。


欧州経済への影響

ロシアの天然ガス供給停止は、欧州経済にも大きな影響を及ぼしています。特にドイツやイタリアなど、ロシア産ガスに依存していた国々では、エネルギー価格の高騰が深刻化しています。

  • 価格上昇の影響:天然ガス価格の高騰は電力料金にも波及し、家庭や企業のエネルギーコストを増大させています。
  • インフレ率の上昇:エネルギー価格の上昇が欧州全体のインフレ率を押し上げ、経済成長の鈍化が懸念されています。

さらに、化学、鉄鋼、ガラス製造などのエネルギー集約型産業では高コストにより収益性が低下。一部の企業では生産縮小や一時的な停止を余儀なくされる動きも見られます。


再生可能エネルギーへの転換と課題

ロシア依存を断ち切るため、欧州各国では再生可能エネルギーの導入が進んでいます。LNGターミナルの建設やエネルギー効率化への取り組みが進展していますが、以下の課題も残されています:

  • 輸送インフラの不足:新たな供給ルートの確保に時間がかかる。
  • 価格競争力の欠如:再生可能エネルギーやLNGのコストが依然として高い。

一方で、短期的な対応として化石燃料への依存が再び増える可能性も指摘されています。例えば、石炭火力発電の復活といった動きも出ており、環境面での課題が懸念されています。


ロシア経済とアジア市場へのシフト

ロシアにとっても、この供給停止は経済に深刻な影響を及ぼします。天然ガスの輸出収益はロシアの歳入の約4割を占めており、その減少は避けられません。

しかし、ロシアは中国やインドなどアジア市場への輸出を拡大することで収益減少を補おうとしています。これにより、ロシアのエネルギー政策が大きくアジアにシフトする可能性があります。


今後の展望

ガスプロムの危機は、ロシア経済や欧州のエネルギー市場に大きな影響を与えています。一方で、再生可能エネルギーへの投資やインフラ強化が進むことで、長期的にはエネルギー安全保障の強化につながる可能性もあります。

短期的には、エネルギー価格の高騰や経済への悪影響が避けられませんが、これを契機に新たな市場の構築やエネルギー転換が進むことが期待されています。

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