本記事は、YouTube動画『資産5000万円以上の人が取るべき資産防衛術と資産が枯れる危険な金融商品』の内容を基に構成しています。
株価の上昇や円安によって資産を大きく増やした人がいる一方、「これからも同じように運用して大丈夫なのか」と不安を感じる人も少なくありません。
特に金融資産が5000万円を超えてくると、単純に「もっと増やす」という発想だけではなく、これまで築いた資産をいかに減らさず、インフレや相場下落から守っていくかが重要になります。
動画では、金融資産が多い人が抱えやすい悩みを整理したうえで、米国債の安全性、世界の年金基金のポートフォリオ、避けるべき金融商品、そして5000万円規模の資産を持つ人が考えるべき資産運用について解説しています。
資産5000万円を超えると「増やす」より「守る」が重要になる
資産形成の初期段階では、多少のリスクを取って資産を増やすことが重要になる場合があります。
しかし、金融資産が5000万円規模まで増えてくると状況は変わります。
例えば資産200万円の人が投資で100万円を失った場合、働いて再び100万円を貯めることで損失を取り戻せる可能性があります。
一方、5000万円の資産が暴落によって2500万円まで減少した場合、失った2500万円を給与所得だけで取り戻すことは簡単ではありません。
つまり、資産額が大きくなるほど「大きな損失を避ける」という考え方が重要になります。
そのため、準富裕層と呼ばれるような資産層では、リターンを最大化することだけではなく、資産全体の値動きを抑えながら長期的に運用するという視点が必要になります。
金融資産が多い人が抱えやすい4つの悩み
動画では、資産を持つ人を「現金とリスク資産」「日本円と外貨」という2つの軸で整理しています。
大きく分けると、次の4つのタイプがあります。
- 日本円の現金比率が高い人
- 株式などリスク資産の比率が高い人
- 米ドルなど外貨比率が高い人
- 日本株や日本の不動産など円建てリスク資産の比率が高い人
それぞれ抱えるリスクが異なります。
日本円の現金が多い人はインフレと円安に弱い
預金を中心に資産を持っている場合、株価暴落によって資産が急減する可能性は小さくなります。
しかし、問題になるのがインフレです。
物価が上昇すると、お金そのものの額は変わらなくても、そのお金で購入できる商品やサービスの量は減っていきます。
動画では、1000万円を現金で保有し、物価上昇率が年2.5%で続いた場合の実質価値について紹介しています。
1000万円の実質価値は、
- 10年後:約781万円
- 20年後:約610万円
- 30年後:約476万円
まで低下する計算です。
30年間では購買力が半分以下になります。
「現金なら減らない」と考えがちですが、インフレを考慮すると、長期間現金だけを持つことにもリスクがあります。
株式比率が高い人は暴落リスクを抱える
一方、株式を多く保有している人は、インフレへの耐性を期待できますが、株式市場の暴落によって大きな損失を受ける可能性があります。
特に長期間の株高によって資産が増えた人の場合、気づかないうちにポートフォリオの株式比率が上昇しているケースがあります。
資産を増やす局面では株式比率が高いことが有利に働く場合がありますが、資産を守る段階では債券や現金などを組み合わせることも重要になります。
外貨比率が高い人は円高がリスクになる
米ドルなど外貨資産を多く保有している人は、円安局面では資産価値が増加します。
しかし、逆に円高になれば円換算した資産額が減少します。
例えばS&P500や全世界株式など海外株式ファンドを大量に保有している場合、海外株式そのものの下落に加えて円高が進むと、「株安+円高」のダブルパンチを受ける可能性があります。
円建てのリスク資産だけを持つ場合にも偏りがある
日本株や日本の不動産など、円建てのリスク資産を多く持つ人も注意が必要です。
日本株の中には円安によって業績が改善する輸出企業もありますが、資産全体が日本に集中していることには変わりありません。
そのため、資産の一部を海外資産に振り分けることで、国や通貨のリスクを分散するという考え方があります。
日本円の現金だけを持つことにもリスクがある
動画では、4つのタイプの中でも特に注意すべきなのが「日本円の現金だけを大量に保有しているケース」だとしています。
現金には価格変動がほとんどないという大きなメリットがあります。
しかし、長期的にはインフレによる購買力低下から逃れることができません。
さらに動画では、世界経済がグローバル化から分断へ向かうことで、インフレ圧力が高まりやすい可能性についても触れています。
かつては世界各国が最も効率よく生産できる地域から商品を調達することで、生産コストを下げることができました。
しかし、米中対立などを背景にサプライチェーンが分断されれば、多少コストが高くても自国や友好国で生産する必要が出てきます。
こうした動きは構造的な物価上昇要因になる可能性があります。
動画では、2020年1月に1ドル109円前後だったドル円が、2026年7月には163円をつけたことにも触れ、円安による日本円の購買力低下を指摘しています。
外貨資産の代表として注目される米国債
円安やインフレへの対策として考えられる方法の1つが、外貨建て資産を保有することです。
その代表的な通貨が米ドルであり、米ドル建て資産の中でも安全性が高いと考えられてきたのが米国債です。
米国債は世界最大級の債券市場を形成しており、一般的には安全資産の代表格とされています。
しかし近年、「本当に米国債は安全なのか」という議論も増えています。
米国債は安全でも価格が下落することがある
ここで注意したいのが、「米国政府が債務不履行になるリスク」と「米国債の価格が下落するリスク」は別だという点です。
動画では、米国の20年超の長期国債に投資するETFが、過去数年間で大きく下落した事例を紹介しています。
その理由は金利上昇です。
債券価格と金利には、基本的に逆方向に動く関係があります。
金利が下がると既存の債券価格は上昇しやすくなります。
反対に金利が上がると既存の債券価格は下落しやすくなります。
特に影響が大きくなるのが、満期までの期間が長い債券です。
デュレーションが長い債券ほど金利変動に弱い
債券投資で重要な概念の1つが「デュレーション」です。
簡単にいえば、金利変動に対して債券価格がどの程度動きやすいかを示す指標です。
一般的に、満期までの期間が長い債券ほど金利変動の影響を強く受けます。
例えば残存期間1年の米国債と30年の米国債を比較すると、同じ1%の金利変動でも30年債のほうが価格が大きく変動します。
つまり「米国債だから安全」と考えるだけでは不十分で、どの年限の米国債を保有するのかも重要になります。
米国財政の悪化も無視できない
もう1つの問題が、米国政府の財政です。
動画では、米国の財政赤字が今後さらに拡大すると予測されていることや、金利上昇によって政府の利払い負担が増えている点を紹介しています。
借金が増えると利払いが増えます。
利払いが増えると、それを賄うためにさらに国債を発行する必要があります。
すると国債の供給量が増え、投資家がより高い利回りを求めることで金利が上昇する可能性があります。
金利が上昇すれば既存の長期債価格は下落します。
こうした悪循環が続く可能性を懸念する見方もあります。
動画では、それでも米国債が世界でも極めて安全性の高い資産であるという基本的な評価は変わらないとしながらも、「絶対安全だから何も考えずに持てばいい」という考え方には注意が必要だとしています。
世界の年金基金はどのように資産を分散しているのか
個人投資家が資産配分を考えるうえで参考になるのが、世界の年金基金です。
年金基金は長期間にわたって巨額の資金を運用する必要があるため、短期的な利益だけではなく、安定性を重視した分散投資を行っています。
GPIFは4資産を25%ずつ保有
日本の公的年金を運用するGPIFは、代表的な分散型ポートフォリオを採用しています。
基本的な資産構成は、
- 国内債券:25%
- 外国債券:25%
- 国内株式:25%
- 外国株式:25%
です。
つまり、株式と債券が50%ずつ、国内資産と海外資産も50%ずつという非常に分かりやすい構成になっています。
個人投資家がGPIFと全く同じ運用をする必要はありませんが、「株式だけ」「日本だけ」「米国だけ」といった集中投資を避ける考え方は参考になります。
海外年金基金はオルタナティブ資産も活用
海外の年金基金を見ると、日本のGPIFよりもプライベート資産や実物資産を多く組み入れているケースがあります。
動画では、米カリフォルニア州職員退職年金基金のCalPERSをはじめ、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの年金基金を紹介しています。
例えばCalPERSでは、グローバル株式だけでなく、債券、プライベートエクイティ、実物資産などにも分散しています。
ノルウェーの政府系基金では株式比率が約70%と比較的高い一方、債券や実物資産も組み合わせています。
共通しているのは、1種類の金融商品だけに集中していないことです。
株式、債券、不動産、プライベートエクイティなど、値動きの異なる資産を組み合わせることで長期的な安定性を高めています。
株式・債券・オルタナティブを組み合わせる考え方
動画の出演者自身は、基本的な考え方として、
「株式60%・債券20%・オルタナティブ20%」
という資産配分をベースにしていると説明しています。
撮影時点では資産価格の上昇を背景に株式比率が68%、債券13%、オルタナティブ19%となっていました。
ただし、株式市場が上昇したことで、今後は株式を減らして債券を増やす可能性もあるとしています。
重要なのは、最初に決めた資産配分を永遠に維持することではありません。
資産価格の上昇や自分自身の年齢、収入、リスク許容度に応じて定期的に資産配分を見直す必要があります。
資産を枯らす可能性がある3つの金融商品
動画では、資産を安定的に運用したい人が特に注意すべき金融商品として、3つを挙げています。
仕組債
1つ目が仕組債です。
仕組債は通常の債券にデリバティブなどを組み合わせた複雑な商品で、高い利回りが提示されることがあります。
しかし、その高い利回りには理由があります。
動画では、仕組債の構造について「上昇による利益は限定される一方、下落した場合の損失を大きく負担する可能性がある」と説明しています。
つまり、利益には上限がある一方で、相場が大きく下落すると損失が急拡大する場合があります。
商品構造を十分理解できないまま「高利回りだから」という理由だけで購入することは避けるべきでしょう。
新興国通貨建て債券
2つ目が新興国通貨建て債券です。
南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ、ブラジルレアルなどで発行される債券には、非常に高い利回りが設定されているものがあります。
特にトルコリラ建て債券では、30%を超えるような利回りが提示されるケースもあります。
一見すると非常に魅力的ですが、重要なのは債券の利回りだけではありません。
新興国通貨そのものが下落すれば、為替差損によって利息収入を上回る損失が発生する可能性があります。
動画では、トルコリラ円が2007年には1リラ100円前後だった一方、その後大幅に下落した事例を紹介しています。
仮に毎年高い利息を受け取っていても、通貨価値が大きく下落すれば、円換算したトータルリターンでは損失になる可能性があります。
「利回りが高い=儲かる商品」とは限らないという典型例です。
テーマ型投資信託
3つ目がテーマ型投資信託です。
テーマ型投信とは、AI、ロボット、宇宙、バイオ、再生可能エネルギーなど、特定の成長テーマに関連する企業へ集中投資する商品です。
テーマそのものに将来性があったとしても、投資商品として成功するとは限りません。
大きな問題となるのが、商品が設定されるタイミングです。
あるテーマが世間で話題になり、関連株が大きく上昇してから投資信託が作られるケースがあります。
その場合、投資家が購入する頃には関連銘柄の株価がすでに高値になっている可能性があります。
その後ブームが終われば、資金が流出し、大幅な下落に巻き込まれることがあります。
動画では、過去に流行したシェールガス関連ファンドなどを例に挙げ、流行しているテーマだけを理由に商品を購入する危険性を指摘しています。
どうしても買いたい商品は資産のごく一部に抑える
仕組債、新興国通貨建て債券、テーマ型投信などを必ずしもすべての投資家が避けなければならないわけではありません。
しかし、安定的な資産管理を目的にするのであれば、ポートフォリオの中心に据える商品ではないというのが動画の考え方です。
どうしても興味がある場合でも、「全資産の1%程度」のように、仮に大きな損失が発生しても生活や資産全体に影響しない範囲に抑えることが重要だとしています。
資産5000万円の人が考えたい4つの資産防衛策
では、実際に5000万円規模の金融資産を持つ人はどのような対策を考えればよいのでしょうか。
動画では、先ほどの4つのタイプごとに対策を整理しています。
現金が多いなら外貨やリスク資産へ一部を分散する
日本円の預金に大きく偏っている場合、一部を海外資産などに振り分けることで円安やインフレへの耐性を高めることができます。
すべての現金を投資に回す必要はありません。
生活資金や近い将来使う予定の資金は現金で確保し、それ以外の長期資金について分散投資を検討するという考え方です。
株式が多すぎるなら安全資産を増やす
株高によって株式比率が大きく上昇している場合には、一部を売却し、債券や現金に移す方法があります。
一度に売却することに抵抗がある場合、例えば毎月50万円ずつ売却するといった方法も考えられます。
買付時のドルコスト平均法とは逆に、時間を分散しながら少しずつ売却する考え方です。
外貨が多すぎるなら円資産も持つ
米ドルなどの比率が極端に高い場合は、円高が大きなリスクになります。
そのため、一部を円に戻したり、為替ヘッジ付きの商品を利用したりすることで、為替変動の影響を抑える方法があります。
日本資産に集中しているなら海外資産も組み入れる
日本株や日本の不動産だけを保有している場合も、資産の一部を海外に振り分けることで地域分散ができます。
将来、円安と日本資産の低迷が同時に起こる可能性も考えれば、日本だけに資産を集中させないことがリスク管理につながります。
「最大ドローダウン」を意識して資産配分を考える
資産防衛を考えるうえで重要な指標が「最大ドローダウン」です。
最大ドローダウンとは、資産価格がピークから最も大きく下落した割合を指します。
例えばリーマンショックでは、主要株式市場がピークからおおむね50%前後下落しました。
5000万円をすべて株式に投資していた場合、同規模の暴落が起きれば、一時的に2500万円程度まで減少する可能性があるということです。
重要なのは、「平均的に何%増えるか」だけを考えないことです。
「最悪の場合、どの程度減る可能性があるのか」を先に考え、その下落に自分が耐えられるかを確認してから資産配分を決める必要があります。
株式50%・債券30%・オルタナティブ20%という考え方
動画では、ブラックロックのラリー・フィンク氏が示した考え方として、
「株式50%・債券30%・オルタナティブ20%」
というポートフォリオにも触れています。
オルタナティブ資産には、金、不動産、REIT、暗号資産など、伝統的な株式・債券以外の資産が含まれます。
もちろん、この割合をすべての人がそのまま採用すべきというわけではありません。
重要なのは、株式だけでなく債券や異なる値動きをする資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えるという考え方です。
インカムゲインを重視するという選択肢
資産額が大きくなると、「値上がり益を狙う」だけではなく、配当金や利息などのインカムゲインを重視する運用も選択肢になります。
債券の利息、高配当株の配当、REITの分配金などから継続的なキャッシュフローを得られれば、資産を売却せずに生活費などを補える可能性があります。
動画では、日本の銀行株についても、金利上昇の恩恵を受けやすいセクターとして注目しているとしています。
ただし、配当金や分配金には税金がかかるため、税効率だけを考えれば、分配せずファンド内部で再投資するインデックスファンドのほうが有利になる場合があります。
一方で、定期的に現金収入が入ることで心理的な安心感を得られるというメリットもあります。
投資では理論上の効率だけではなく、自分が長く運用を続けられる仕組みを作ることも重要です。
定期的なリバランスが資産防衛につながる
分散投資をしていても、そのまま放置していると資産配分は変化していきます。
例えば株式50%、債券50%からスタートしても、株式だけが大きく上昇すれば株式比率が60%、70%と高まる可能性があります。
その状態では当初より大きなリスクを取っていることになります。
そこで必要になるのがリバランスです。
値上がりした資産を一部売り、比率が下がった資産を購入することで、当初設定した資産配分へ戻します。
資産が大きくなるほど、こうした定期的な管理が重要になります。
年齢や収入によって最適な運用方法は異なる
もちろん、金融資産5000万円を持っているからといって、全員が同じポートフォリオにする必要はありません。
例えば60歳で退職が近い人と、35歳で高い収入があり、今後も大きな労働収入が期待できる人では、取れるリスクが大きく違います。
若く収入が高い人であれば、一時的な株価下落が起きても、その後の給与収入を使って追加投資することができます。
一方、退職後に資産を取り崩して生活する人の場合、大きな暴落は生活設計そのものに影響します。
そのため、「資産5000万円ならこの投資方法」と一律に決めるのではなく、年齢、収入、支出、家族構成、退職時期などを考慮して資産配分を決める必要があります。
まとめ|資産5000万円からは「大きく増やす」より「大きく減らさない」
金融資産が5000万円規模になると、資産運用の目的は少しずつ変わってきます。
資産形成初期ではリターンを求めることも重要ですが、資産が大きくなれば、暴落による損失を労働収入だけで取り戻すことが難しくなります。
そのため重要になるのが、株式、債券、現金、外貨、オルタナティブ資産などを組み合わせた分散です。
日本円の現金だけで保有していればインフレや円安の影響を受けます。一方、株式だけなら暴落リスクがあり、外貨だけなら円高リスクがあります。
どの資産にも弱点があるからこそ、複数の資産を組み合わせることに意味があります。
また、高い利回りをうたう仕組債や新興国通貨建て債券、流行を追うテーマ型投資信託などについては、「なぜこれほど高いリターンが提示されているのか」を理解することが重要です。
高いリターンの裏側には、多くの場合、それに見合うリスクがあります。
資産運用では、何を買うかだけではなく「最悪の場合どの程度まで資産が減る可能性があるのか」を考え、最大ドローダウンを自分が許容できる範囲に抑えることが重要です。
5000万円という大きな資産を築いた後は、一発でさらに増やすことを狙うのではなく、適切に分散し、定期的にリバランスしながら、長期間にわたって資産を維持していくという考え方が重要になるでしょう。
動画の最後では「知識は力である」というメッセージも語られています。資産管理では、金融商品の仕組みやリスクを知っているかどうかによって、長期的には数百万円、数千万円単位の差につながる可能性があります。
大切な資産を守るためにも、短期的な値動きだけに振り回されるのではなく、金融知識を積み重ねながら、自分に合った資産配分を考え続けることが重要です。


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