本記事は、YouTube動画『NTT174.4円、目標株価194円なのに市場平均176円、190円台へ行く3条件』の内容を基に構成しています。
NTT株をめぐって、現在興味深い状況が生まれています。
一部の証券会社はNTTの目標株価を190円、191円、194円と相次いで引き上げています。その一方で、市場全体のアナリスト予想を集計したIFISの目標株価コンセンサスは176円です。
動画内では、9月3日にNTT株が一時176円まで上昇し、その後174.4円で推移している状況が紹介されています。
194円という強気の目標株価だけを見れば、174.4円からまだ約11%の上昇余地があるように見えます。しかし、市場全体の平均評価である176円にはすでに1度到達しています。
つまり、ここから190円台へ進むには、単に「194円という目標株価が存在している」というだけでは不十分です。
動画では、NTT株が190円台へ向かうためには、「利益予想」「平均目標株価」「信用需給」という3つの要素が、さらにもう1段改善する必要があると指摘しています。
NTT株で194円よりも176円が重要な理由
まず理解しておきたいのが、「目標株価194円」の意味です。
194円は市場参加者全体が合意しているNTTの適正価格ではありません。一部の強気な証券会社が提示している目標です。
動画では、8月20日に国内大手証券が目標株価を186円から194円へ、8月28日には米系大手証券が179円から191円へ、さらに別の証券会社も180円から190円へ引き上げたことが紹介されています。
強気の証券会社だけを見ると、190円台という評価が並んでいます。
しかし、市場全体を見ると状況は異なります。
IFISの目標株価コンセンサスは、8月19日時点の172円から、8月27日には175円、そして現在は176円へ上昇しています。
つまり、194円は市場全体の評価ではなく、あくまで強気派が提示している価格です。
ここで重要なのは、「目標株価に到達したから、それ以上株価が上がらない」という意味ではないことです。
株価が先に上昇し、その後に業績予想や目標株価が引き上げられることは珍しくありません。
問題は、現在のNTT株がすでに平均的なアナリストが想定していた割安余地をかなり使っている点です。
8月7日時点では、株価158.5円に対して平均目標株価は171円で、約8%の差がありました。
一方、現在は株価174円台に対して平均目標株価176円です。差はほとんどなくなっています。
平均目標株価そのものは171円から176円へ上昇
ただし、これだけを見て「NTT株の上昇余地はほとんどない」と判断するのも早計です。
注目すべきなのは、株価が目標株価へ近づいただけではなく、目標株価そのものも171円から176円へ上昇していることです。
つまり、株価が上昇する一方で、市場の評価も少しずつ上方修正されています。
190円台へ向かうための最初の重要な条件は、この平均目標株価の上昇が180円台まで続くことです。
動画では、強気の証券会社がさらに200円近い目標株価を出すことよりも、これまで170円前後や中立評価だった証券会社が180円台へ目標株価を引き上げることの方が重要だと指摘しています。
市場平均を大きく動かすには、強気派の上限が上がるだけではなく、中間層の評価そのものが底上げされる必要があるからです。
第1四半期決算がNTT再評価のきっかけに
NTTの平均目標株価が171円から176円へ上昇した大きなきっかけとなったのが、8月6日に発表された第1四半期決算です。
動画によると、第1四半期は営業収益が約11%増、営業利益が約5%増、税引前段階の利益も約8%増、最終利益も約6%増となり、増収増益でした。
特に市場から注目されたのが利益の上振れです。
実績は4214億円となり、直前のIFISコンセンサス約3703億円を約14%上回りました。
つまり、第1四半期の業績は市場予想よりも強い結果だったことになります。
株価も決算前の8月5日終値151円から、8月6日に154.5円、7日に158.5円、10日には159.9円まで上昇しました。
決算発表後の数営業日だけで約6%上昇しています。
会社は通期予想を据え置いたが市場予想は上昇
興味深いのは、好調な第1四半期決算が発表されたにもかかわらず、NTT自身は通期の利益予想を上方修正していないことです。
動画では、会社側の通期経常利益予想は1兆5000億円のまま据え置かれていると説明されています。
しかし、市場側の予想は変化しています。
8月5日時点で約1兆5298億円だった通期経常利益コンセンサスは、その後約1兆5603億円まで上昇しました。
約305億円の上方修正です。
さらに、会社予想1兆5000億円と市場予想との差は約603億円まで広がっています。
これは市場が「会社予想よりも実際の利益は上振れるのではないか」と考え始めていることを意味します。
現在のNTT株上昇は、単純に証券会社が目標株価を引き上げたからではありません。
第1四半期決算を受けて利益予想が上昇し、それに合わせて目標株価も上昇したことが、株価上昇を支えているという構図です。
176円到達で好材料の多くはすでに織り込まれた
一方、NTT株が一時176円まで上昇したことで、第1四半期決算後の好材料はかなり株価に反映されたと考える必要があります。
8月7日の158.5円から176円まで上昇したとすると、株価は約11%上昇しています。
この間に、190円台の強気な目標株価が複数提示され、平均目標株価も171円から176円へ上昇しました。
つまり176円付近の株価には、「第1四半期は予想以上に強かった」「通期利益が会社予想を上回る可能性がある」「一部の証券会社は190円台まで評価している」という期待が、すでにかなり織り込まれています。
もちろん、好材料そのものが消えたわけではありません。
ただし、同じ材料だけを使って株価を176円から190円まで上昇させるのは難しくなります。
ここから必要になるのは、新しい上方修正材料です。
平均目標株価が176円から180円台へ上昇する、経常利益コンセンサスが1兆5600億円台からさらに上昇する、あるいは次の決算で会社予想を見直すほど強い進捗が確認される、といった変化です。
株価の上昇スピードが利益予想を上回っている
現在のNTT株を見るうえで、株価と業績予想の上昇スピードの違いも重要です。
動画では、8月5日の151円から176円までの株価上昇に対して、IFISの平均目標株価は171円から176円へ約3%の上昇、経常利益コンセンサスも約1兆5298億円から約1兆5603億円へ約2%の上昇にとどまっていると説明されています。
株価の方が、利益予想や平均目標株価よりも速く上昇しているわけです。
株価が将来を先回りして動くこと自体は珍しくありません。
しかし、190円台へ向かうためには、今度は株価を追いかける形で利益予想と平均目標株価が上昇する必要があります。
151円から176円までの相場は、「割安だったNTTが市場平均の評価へ戻る相場」と考えることができます。
一方、176円から190円台へ向かう相場では、「市場平均そのものが上方修正される相場」へ変化する必要があります。
ここは大きな違いです。
信用倍率は44.60倍から2.83倍まで劇的に改善
NTT株の上昇を考えるうえで、もう1つ重要なのが信用需給です。
7月10日時点でNTTの信用倍率は44.60倍でした。
信用買い残は約1億8665万株あり、信用売り残約418万株に対して買いが圧倒的に多い状態でした。
信用買い残が多すぎると、株価が上昇した際に「やれやれ売り」が出やすくなり、上値を抑える要因になります。
しかし、その後NTTでは大規模な信用整理が進みました。
8月21日時点では信用買い残が約6820万株まで減少し、信用売り残は約2606万株へ増加。信用倍率は2.62倍まで低下しました。
44.60倍から2.62倍への低下です。
これは単なる改善というより、信用需給の構造そのものが変化したと考えられるほど大きな動きです。
さらに重要なのは、信用買い残が大幅に減少しているにもかかわらず、株価が下落していない点です。
信用買いの投げ売りによって株価が崩れたのではなく、信用の重しを減らしながら株価が上昇しました。
NTT株にとっては非常に強い動きだったと考えられます。
最新データでは信用買い残が再び増加
ただし、最新データでは少し変化が見え始めています。
8月28日時点では信用買い残が約7417万株となり、前週から約598万株増加しました。
信用売り残は約2624万株で大きく変化しておらず、信用倍率は2.62倍から2.83倍へ上昇しています。
2.83倍という数字だけを見れば、44.60倍だった7月と比較して需給は依然として大幅に改善しています。
したがって、「2.83倍になったから需給が悪化した」と単純に判断するのは適切ではありません。
重要なのは、高値圏で信用買い残が再び増加し始めたという方向の変化です。
今後も信用買い残が数百万株単位で増え続け、信用倍率が3倍、4倍、5倍と上昇するのであれば、180円を目指す途中で新しい戻り売り圧力を自ら作ることになります。
一方で、信用倍率が3倍前後以下にとどまり、買い残の増加が止まれば、7月のような大きな信用需給リスクはまだ戻っていないと判断できます。
190円台へ進むための3つ目の条件は、単純に「信用倍率が低いこと」ではなく、株価上昇の過程で信用買い残が再び膨張しないことです。
2000億円規模の自社株買いも株価を支える材料
NTTには信用需給とは別に、自社株買いという大きな買い需要もあります。
動画では、NTTが2026年5月に2000億円を上限とする自社株買いを決議しており、取得期間は2027年3月末までと説明されています。
8月だけでも約251億円を取得しており、動画内の計算では残りの取得余力は金額ベースで約1389億円とされています。
174円台と同程度の株価で残りの金額をすべて使うと仮定すれば、単純計算では約8億株に相当します。
もちろん、2000億円はあくまで上限であり、必ず全額を使うわけではありません。また、毎月同じペースで自社株を取得する保証もありません。
それでも、株価が下落した際に会社自身が買い手になり得ることは、需給面では一定の支えになります。
ただし、自社株買いだけで190円台へ上昇できると考えるのは適切ではありません。
自社株買いは株価の下値を支える材料にはなりやすいものの、企業そのものに対する市場評価を大きく引き上げる力は、業績改善ほど直接的ではないからです。
190円には利益成長だけでなくPERの上昇も必要
190円という株価を考える場合、利益だけでなくバリュエーションも重要になります。
動画では会社予想EPSを前提として、174.4円ではPER約14.5倍、180円では約15.0倍、190円では約15.8倍、194円では約16.1倍になると説明されています。
つまり、利益予想が変わらないまま190円へ上昇するのであれば、投資家が現在よりも高いPERをNTTに与える必要があります。
一方、今後の利益予想が上方修正されれば、同じ190円でもPER上昇の必要性は小さくなります。
そのため、190円への道は大きく分けると「利益が増える」「評価倍率が上がる」という2つがあります。
現実的には、その両方が少しずつ進むことが自然でしょう。
強気の証券会社が示している190円、191円、194円という目標株価は、現在のNTTをそのまま延長した価格というよりも、第1四半期の上振れが通期業績へ波及し、市場の利益予想が上昇し、さらにNTTに対する評価倍率も上昇することをある程度前提とした価格と考える必要があります。
NTT株が190円台へ進む3つの条件
ここまでの内容を整理すると、NTT株が176円から180円、そして190円台へ進むために重要な条件は3つあります。
第1は、IFISの平均目標株価コンセンサスが現在の176円から180円台へ上昇することです。
第2は、経常利益コンセンサスが現在の約1兆5603億円を維持するだけではなく、さらに上方修正されることです。
第3は、株価が180円を超える過程でも信用買い残が急増せず、信用倍率がおおむね低い水準を維持することです。
この3つが同時に進めば、190円、191円、194円という価格は、一部の強気な証券会社だけが示す数字ではなく、市場全体が現実的に意識する価格帯へ変化していく可能性があります。
強気・中立・弱気の3シナリオ
今後のNTT株について、動画では複数のシナリオを想定しています。
強気シナリオ
強い展開では、まず176円を終値ベースで明確に突破し、その後180円を超えていく必要があります。
同時に、平均目標株価が180円台へ上昇し、経常利益コンセンサスも1兆5603億円からさらに上昇します。
さらに、信用倍率がおおむね3倍前後以下にとどまり、高値圏で信用買い残が急増しない状態が続けば、190円台への現実味が高まります。
中立シナリオ
平均目標株価176円と利益コンセンサスが現在の水準から上昇しない場合、株価は172円から176円前後でもみ合う可能性があります。
一部の証券会社は190円台の目標株価を維持していても、市場全体としては現在の176円付近を妥当な評価と考えている状態です。
この場合、190円台は今後さらに業績が上振れした場合のシナリオとして残ることになります。
弱気シナリオ
弱い展開では170円を明確に割り込み、信用買い残が再び増加し、信用倍率が5倍方向へ上昇します。
さらに、経常利益コンセンサスが会社予想の1兆5000億円方向へ低下し、平均目標株価も176円から上昇しない場合、190円台は一部の強気な証券会社だけが想定していた価格だった可能性が高まります。
今後チェックすべきデータは何か
NTT株を今後追いかける場合、株価そのものだけを見るのでは不十分です。
まず確認したいのが信用残です。
高値圏でも信用買い残の増加が止まるのか、それとも個人投資家の信用買いが再び積み上がっていくのかが、需給面の重要な分岐になります。
次に重要なのが、新しいアナリストのレーティングとIFISの目標株価コンセンサスです。
一部の証券会社が200円近い目標株価を提示すること以上に、市場平均が176円から177円、178円、180円台へと徐々に切り上がっていくかが重要です。
さらに経常利益コンセンサスも確認する必要があります。
現在の約1兆5603億円は会社予想1兆5000億円を約603億円上回っています。この差がさらに広がれば、市場がより大きな業績上振れを織り込んでいることになります。
反対に、市場予想が1兆5500億円台や1兆5400億円台へ低下していけば、株価が業績に先行しすぎている可能性が高まります。
自社株買いについても、毎月の取得額を確認することが重要です。
そして最大のイベントとなるのが、11月の第2四半期決算です。
ここで第1四半期の好調が一時的なものだったのか、それとも通期業績の上振れにつながるのかが、より明確になります。
会社側が通期予想を上方修正しなくても、進捗率や各事業の利益が強ければ、市場の利益コンセンサスがさらに上昇する可能性があります。
まとめ
NTT株を見るうえで重要なのは、「目標株価194円が正しいのか」を今すぐ決めることではありません。
本当に注目すべきなのは、現在176円となっている市場全体の平均評価が、今後180円台へ引き上げられるだけの材料がそろうかどうかです。
現時点では、以前より190円台へ向かうための環境は整ってきています。
第1四半期決算は市場予想を上回り、通期経常利益コンセンサスは会社予想を約603億円上回っています。平均目標株価も8月上旬の171円から176円まで上昇しました。
信用倍率も一時の44.60倍から2倍台まで大幅に改善し、自社株買いも今後の需給を支える材料として残っています。
しかし、株価はすでに1度176円へ到達しています。
ここまでの好材料は株価にかなり織り込まれており、190円台へ進むためには新しい材料が必要です。
その判断材料となるのが、「平均目標株価が176円から180円台へ上昇すること」「経常利益コンセンサスが約1兆5600億円台からさらに切り上がること」「信用買い残の再膨張を抑えながら180円を突破すること」の3つです。
株価が180円を突破したという事実だけで強気になるのではなく、その後ろから平均目標株価、利益予想、信用需給がついてきているかを確認することが重要です。
NTTが本当に次の評価ステージへ移行するのであれば、株価だけではなく、これら3つの数字も同時に変化していくことになるでしょう。
なお、本記事は動画内容を整理したものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は企業の最新情報や市場環境を確認したうえで、ご自身の判断で行うことが重要です。


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