本記事は、YouTube動画『株下落理由と注目の日本株』の内容を基に構成しています。
日本株市場で幅広い銘柄が大きく下落しています。動画で紹介された日の市場では、値下がり銘柄が3461銘柄、値上がり銘柄が587銘柄となり、実に85.5%の銘柄が下落しました。
これほど多くの株が売られた背景には、単なる個別企業の業績悪化ではなく、世界的な「金利上昇」があります。
特に、中東情勢の悪化による原油価格の上昇、インフレへの警戒、各国の財政リスクなどが重なり、世界の債券市場で国債が売られています。国債が売られると債券価格が下落し、反対に利回り、つまり金利は上昇します。
この金利上昇が株式市場にとって大きな重荷となっています。
今回は、日本株が大幅に下落した背景を整理するとともに、リクルート、フジクラ、NTT、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなど、動画で取り上げられた注目銘柄について詳しく見ていきます。
日本株が大幅下落、85.5%の銘柄が値下がり
この日の株式市場は、ほぼ全面安といえる状況となりました。
値下がり銘柄は3461銘柄、値上がり銘柄は587銘柄で、全体の85.5%が下落しています。
日経平均株価も大幅に3日続落し、終値は前日比1889円安、下落率は2.85%となりました。
売買代金ランキングを見ても、多くの主力株が下落しています。その一方で、TIER IVやTerra Droneなど、一部の銘柄には強い買いが集中しました。
ただし、こうした銘柄について動画では、必ずしも企業価値の大幅な変化を材料に買われているとは限らず、主力株から逃げた短期資金が値動きの強い銘柄へ集中している可能性が指摘されています。
つまり、市場全体が弱いときでも、すべての銘柄が同じように売られるわけではありません。
大型株などに投資しにくくなると、「今上がっている銘柄」に短期資金が集まり、その結果として一部のグロース株が急騰することがあります。
株価下落の最大の理由は世界的な金利上昇
今回の株安を理解するうえで最も重要なのが、金利上昇です。
世界的に国債を売る動きが広がっており、国債価格の下落によって長期金利が上昇しています。
その背景として、中東情勢に伴う原油価格の上昇や、各国の財政リスクへの懸念などが挙げられています。
市場の流れを単純化すると、次のようになります。
中東情勢の悪化によって原油価格が上昇し、それによってインフレ懸念が高まります。インフレが強まると、中央銀行は金融引き締めを続けなければならない可能性があります。
その結果、債券が売られて金利が上昇します。
そして金利の上昇が株式市場の下落につながっているという構図です。
なぜ金利が上がると株価は下がりやすいのか
投資初心者にとっては、「金利上昇=株安」と言われても、なぜそうなるのか分かりにくいかもしれません。
理由の1つは、企業の資金調達コストが増えることです。
企業は銀行借入や社債などを使って事業資金を調達します。市場金利が上昇すれば、企業が支払う利息も大きくなりやすくなります。
利払い負担が増えれば、その分だけ利益が圧迫される可能性があります。
もう1つ重要なのが、将来の利益の現在価値です。
株価は現在の利益だけではなく、企業が将来生み出すと期待される利益を織り込んで形成されています。金利が上昇すると、将来受け取れる利益の現在価値が低下するため、高い成長を前提として評価されている株ほど売られやすくなります。
特にグロース株は、遠い将来の利益を高く評価して株価が形成されているケースが多いため、本来は金利上昇の影響を受けやすい資産です。
国債利回り3%が株式市場に与えるインパクト
動画では、日本の10年国債利回りが大きく上昇している点にも注目しています。
金利が低かった時代には、国債を保有していても十分な利回りを得ることが難しかったため、多少リスクを取ってでも株式を買う投資家が多く存在しました。
しかし、仮に国債を保有するだけで3%程度の利回りが期待できるようになると状況は変わります。
「株価下落のリスクを負わなくても、国債で安定的に3%取れるなら、それで十分ではないか」
と考える投資家が増えるからです。
これは株式市場にとって非常に重要なポイントです。
株式には価格変動リスクがあります。企業によっては減配や業績悪化もあります。一方、国債は一般的に株式より安全性の高い資産と考えられています。
そのため、安全資産の利回りが高くなればなるほど、株式に投資するためには、それに見合った高いリターンが求められます。
高配当株も国債との比較が重要になる
金利上昇は、特に高配当株の評価にも影響します。
動画ではNTTを例に説明しています。
NTTの配当利回りが約3%で、日本の10年国債利回りも約3%という状況になった場合、投資家は「NTT株と国債のどちらを買うべきか」を考えることになります。
もちろん、NTTには株価上昇による利益を期待できる一方、株価下落のリスクもあります。
一方で国債は、満期まで保有することを前提とすれば、株式ほど大きな価格変動リスクを取らずに利回りを得ることができます。
そのため国債利回りが高くなると、配当利回り3%程度の高配当株については相対的な魅力が低下する可能性があります。
今後、高配当株を選ぶ際には単純に「配当利回りが3%あるから高い」と考えるのではなく、国債利回りとの比較も重要になってきそうです。
中東情勢と原油高も株式市場のリスクに
金利上昇の背景として、中東情勢も無視できません。
中東で緊張が高まれば、原油供給への懸念から原油価格が上昇する可能性があります。
原油はガソリンや電力だけではなく、物流、化学製品、製造業など幅広い分野に影響する重要な資源です。
原油価格が上がると企業のコストが増加し、最終的には商品の値上げにつながる場合があります。
それがインフレ圧力を強めれば、中央銀行が利下げをしにくくなったり、状況によっては金融引き締めを続けたりする可能性があります。
つまり、
原油高 → インフレ上昇 → 金融引き締め警戒 → 金利上昇 → 株安
という連鎖が起こりやすくなります。
動画でも、今後株式を買いやすい環境になるためには、中東情勢や原油価格、金利の動きが落ち着くことが重要だと指摘しています。
原油関連株ではINPEXが上昇基調
原油価格がじわじわと上昇するなか、関連銘柄にも動きが出ています。
動画ではINPEXが取り上げられています。
INPEXの株価は直近で上昇基調となっており、7月ごろを底として上向いていると解説されています。
原油価格が上昇すれば、原油や天然ガスの開発・生産を行う企業にとって追い風となる場合があります。
ただし、原油価格は地政学リスクや世界景気、OPECプラスの生産政策など多くの要因で大きく動くため、単純に「原油高だから関連株を買えばよい」というわけではありません。
ゴールドなどコモディティ関連は弱い動き
一方、原油以外のコモディティ関連では弱い動きも見られています。
ゴールドは直近で売られており、関連銘柄も大きく下落しました。
動画では、金利が上昇すると金利を生まないゴールドの相対的な魅力が低下しやすいことが説明されています。
現金や国債を保有するだけで高い金利を得られる状況になると、金利収入のないゴールドを保有する機会コストが高くなるためです。
三菱マテリアルなど金属関連銘柄についても、この日は大幅に売られる展開となりました。
まだ「売られすぎ」とはいえない理由
この日の日本株は非常に大きく下落しましたが、動画では市場全体を見れば、まだ極端な売られすぎ水準ではないと分析しています。
その判断材料の1つが騰落レシオです。
騰落レシオとは、市場全体で値上がりしている銘柄と値下がりしている銘柄の割合から、相場の過熱感を判断する指標です。
動画で紹介された時点では、6日騰落レシオは94程度でした。
一般的に相場が急落して騰落レシオが50~60程度まで低下すると、「さすがに売られすぎではないか」と考える投資家が増え、リバウンドにつながることがあります。
しかし今回は94程度であり、数字だけを見れば極端な売られすぎとはいえません。
むしろ直前まで日本株は強く、幅広い銘柄が買われていました。
そのため、この日の急落だけを見ると非常に大きく感じますが、数週間という期間で見れば、これまで上昇していた分の調整という見方もできます。
「ブラックマンデー再来」の見方には慎重さが必要
市場では1987年のブラックマンデーを連想する声も出ていると紹介されています。
ブラックマンデーとは、1987年10月19日に世界の株式市場を襲った歴史的な株価暴落です。
米国のダウ平均株価は1日で20%以上下落し、日本を含む世界各国の市場にも大きな影響を与えました。
今回も世界的な金利上昇が起きていることから、当時との類似性を警戒する見方があります。
ただし、動画ではブラックマンデーを持ち出すのは現段階ではやや大げさではないかとの見方も示しています。
大幅下落が起きたからといって、すぐに歴史的暴落につながるとは限りません。
重要なのは、恐怖感だけで判断するのではなく、金利、原油、インフレ、企業業績などの変化を確認することです。
主力株が売られる一方でグロース株に短期資金
大型株を中心に幅広い銘柄が売られる一方、一部のグロース株には強い資金流入が見られました。
動画ではTIER IVやTerra Droneなどが例として紹介されています。
こうした値動きについては、業績や企業価値だけで説明するのではなく、短期的なモメンタム投資の影響も考える必要があります。
大型株に買いづらさが出ると、短期投資家は「今上がっている銘柄」を探します。
そこで強い値動きをしているグロース株に資金が集中し、さらに株価が上がることで別の投資家も追随するという循環が生まれる場合があります。
いわゆる「上がっているから買われる」という相場です。
動画では、最近の市場ではグロース株の強さが目立っているとしています。
注目銘柄1:リクルートは決算後の上昇から調整
ここからは、動画で取り上げられた個別銘柄を見ていきます。
まずリクルートです。
リクルートは決算後に大きく買われ、一時はストップ高となるほど強い動きを見せていました。
しかし、その後は陰線が続き、この日は6%を超える下落となりました。
好決算で大きく上昇した銘柄でも、市場全体がリスクオフになれば利益確定売りが出ることがあります。
短期間に株価が大きく上昇していた銘柄ほど、市場環境が悪化したときに利益確定の対象となりやすい点には注意が必要です。
注目銘柄2:フジクラは5000円割れが焦点
フジクラも注目銘柄として取り上げられています。
8月の決算発表後、株価は5000円を突破し、6000円付近まで急上昇しました。
しかし、その後は下落し、再び5000円割れが意識される水準まで戻ってきています。
動画では、さらに4900円、4800円と下落してくる場合、決算前後の水準まで接近してくるため、バリュエーション面でも徐々に買いやすさが出る可能性があるという見方が示されています。
業績上方修正などの材料があった企業でも、金利上昇によって市場全体のPERが低下すれば、株価が調整することがあります。
注目銘柄3:信用買い残の増加には注意
決算後に大きく上昇した銘柄の中には、その後株価が下落する過程で信用買い残が増えているものもあります。
逆張り投資家が「そろそろ反発するだろう」と考えて信用買いを積み上げるためです。
しかし信用買い残が大量に積み上がると、将来的な売り圧力になる可能性があります。
株価がさらに下落すれば、信用取引をしている投資家が損切りや追証によって売却を迫られるためです。
そのため株価だけではなく、信用倍率や信用買い残など需給面を見ることも重要です。
注目銘柄4:ファーストリテイリングは節目に接近
ファーストリテイリングについても、最近は株価の弱さが目立つとされています。
過去に反発した重要な価格帯に再び近づいており、その水準で株価が下げ止まるかが注目されています。
ファーストリテイリングは日経平均株価への寄与度が非常に大きい銘柄です。
そのため同社株が大きく下落すると、日経平均そのものを押し下げる要因になります。
日本株市場全体を見る場合でも、ファーストリテイリングの動きは注目しておきたいところです。
注目銘柄5:金・資源関連株も大幅下落
資源・コモディティ関連株も大きく売られました。
動画では、金価格と関係の深い銘柄が11%を超えて下落したほか、三菱マテリアルが約9.8%下落したと紹介されています。
金利上昇局面では、先述したように金利収入を生まない金の魅力が相対的に低下しやすくなります。
金価格が下落すれば、金を保有・採掘・販売する企業や関連企業の株価にも影響する可能性があります。
注目銘柄6:百貨店株は月次売上が重荷
百貨店関連株についても弱い動きが紹介されています。
動画では、8月の月次売上高が前年同月比で約11%減少したことが株価下落の材料になった可能性があると解説しています。
百貨店株は国内消費だけではなく、訪日外国人によるインバウンド消費の影響も受けます。
そのため月次売上高や免税売上高などのデータが、市場の期待を下回ると売り材料になる場合があります。
強い銘柄ではNTTが高値を更新
全面安の中でも、NTTは強い値動きを見せています。
動画ではNTTが高値を更新し、160円台を突破して175円付近まで上昇していることが紹介されています。
数年間の高値を明確に突破しており、チャート上でも非常に強い形となっています。
背景の1つとして考えられるのが、ディフェンシブ株としての性格です。
通信サービスは景気が悪化したからといって急激に利用されなくなるものではありません。そのため通信株は景気敏感株に比べて業績が安定しやすく、相場が不安定なときに資金が向かうことがあります。
さらに配当を目的とした買いも考えられます。
ただし動画では、NTT自体の材料だけではなく、市場全体に買える銘柄が少ないため、強い銘柄に短期資金が集中している可能性も指摘しています。
NTTの配当利回りと国債利回りをどう比較するか
NTTを見るうえで興味深いのが、配当利回りと国債利回りの比較です。
仮にNTTの配当利回りが3%程度、日本の10年国債利回りも3%程度になった場合、投資家にとって株式を保有するメリットがどの程度あるのかを考える必要があります。
NTTには増配や株価上昇の可能性があります。
しかし同時に株価下落のリスクもあります。
安全性の高い国債でも3%の利回りが得られるなら、株式にはそれ以上の期待リターンが求められるようになります。
今後金利上昇が続けば、高配当株全体の評価にも影響が広がる可能性があります。
パン・パシフィックは年初来安値圏へ
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも取り上げられています。
同社はドン・キホーテなどを展開する企業です。
株価は2025年3月につけた安値を下回る水準まで下落し、年初来安値圏に入っています。
それまで長期的には上昇してきた銘柄ですが、足元では明確な調整局面となっています。
市場全体が売られているときには、こうした年初来安値を更新する銘柄が増えるかどうかも相場の強弱を判断する材料になります。
今は「金利が落ち着くまで買いづらい」相場
動画全体を通して最も重要なポイントは、金利上昇が続いている間は株式を積極的に買いにくいということです。
企業業績が悪くなくても、市場金利が上昇すれば株式のバリュエーションそのものが低下する可能性があります。
さらに中東情勢が悪化して原油価格が上がれば、インフレ懸念が強まり、金融政策にも影響します。
そのため現在の相場では、
「企業の決算が良いか悪いか」
だけではなく、
「世界の金利が今後どう動くのか」
を見ることが非常に重要になっています。
中東情勢が落ち着けば買いやすくなる可能性も
今後の株価を左右する重要な要素の1つが、中東情勢です。
中東情勢が落ち着けば原油価格上昇への警戒感が弱まり、インフレ懸念も後退する可能性があります。
そうなれば金利上昇圧力も和らぎ、株式市場にとってはプラス材料となります。
反対に紛争が長期化し、原油価格がさらに上昇する場合には、インフレと金利上昇への懸念が続くことになります。
動画では、現在は無理に買い向かうよりも、金利や中東情勢の変化を確認しながら様子を見る局面ではないかという見方が示されています。
今後は雇用統計・CPI・FOMC・日銀会合に注目
今後の市場では重要な経済イベントが控えています。
動画では、ブロードコムの決算、米国雇用統計、Appleのイベント、メジャーSQ、米国CPI、FOMC、日銀金融政策決定会合などが注目イベントとして挙げられています。
特に重要なのはFOMCです。
FOMCは米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定する会合で、政策金利の方向性が示されます。
市場が利上げや高金利の長期化を強く意識するようになれば、米国債利回りが上昇し、米国株だけではなく日本株にも売り圧力がかかる可能性があります。
反対にインフレが鈍化し、金融引き締めへの警戒が後退すれば、株式市場にとって追い風となります。
日本についても長期金利の上昇が続いているため、日銀の金融政策には引き続き注意が必要です。
まとめ
今回の日本株の大幅下落は、特定企業の業績悪化というよりも、世界的な金利上昇が大きな原因となっています。
中東情勢の悪化による原油高がインフレ懸念を高め、それによって金融引き締めへの警戒が強まり、世界的に国債が売られて金利が上昇しています。
金利が上昇すると企業の資金調達コストが増えるだけではなく、将来利益の現在価値が低下するため、株価には下落圧力がかかります。
さらに日本の10年国債利回りが3%近辺まで上昇すると、配当利回り3%程度の株式についても「リスクを取って株を買う必要があるのか」という比較が生まれてきます。
一方で、この日の大幅下落だけを見て直ちに歴史的な暴落を想定する必要はありません。騰落レシオなどを見る限り、市場全体ではまだ極端な売られすぎ水準には達していないという見方もできます。
個別株では、リクルートやフジクラなど直前まで上昇していた銘柄が調整する一方、NTTのようなディフェンシブ株や、TIER IV、Terra Droneなど一部のグロース株には資金が集中しています。
今後の日本株を見るうえでは、個別企業の決算だけではなく、中東情勢、原油価格、世界の長期金利、米国CPI、FOMC、日銀金融政策決定会合などを総合的に確認することが重要です。
特に金利上昇が続いている間は株価が不安定になりやすいため、短期的な値動きだけを見て焦って売買するのではなく、金利とインフレの方向性が変化するかを冷静に見極める局面といえそうです。


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