株式市場はなぜ「暴落できない」のか?米国の市場防衛と破滅しないポートフォリオ戦略を解説

本記事は、YouTube動画『株式市場が暴落しないのではなく「暴落できない」本当の理由と、破滅しない資産配分』の内容を基に構成しています。

近年の株式市場では、かつてでは考えられなかったほど大きな値動きが頻繁に発生しています。

日経平均株価では、2024年8月の急落時に1日で4451円安となり、その翌日には3217円高となりました。以前であれば1000円動くだけでも大きなニュースになっていましたが、現在では2000円、3000円規模の変動も珍しくなくなっています。

しかし、興味深いのは値動きの激しさだけではありません。

近年は大きな暴落が発生しても、その後の回復までの期間が急速に短くなっています。

動画では、この背景には単純な市場の強さだけではなく、政府や中央銀行が「市場を簡単には崩壊させられない構造」が存在するのではないかという仮説が示されています。

そして重要なのは、だからといって「株だけ持っていれば安全」という話ではありません。

むしろ投資家に求められているのは、暴落を予測して逃げることではなく、インフレ、デフレ、金融危機など、どの未来が訪れても市場から退場しないポートフォリオを作ることだと説明されています。

目次

株式市場の暴落からの回復期間は短くなっている

まず動画で注目されているのが、株式市場が暴落から回復するまでに必要な時間です。

2008年のリーマンショックでは、S&P500が暴落前の高値を取り戻すまで約5年半かかりました。

ところが2020年のコロナショックでは、わずか半年程度で高値を回復しました。

さらに動画では、2025年のトランプ関税を巡る市場の混乱でも、底をつけてから約2カ月半で最高値を更新したと説明されています。

つまり、

「暴落する → 政策対応が行われる → 市場が急速に回復する」

というサイクルが以前より短くなっているということです。

ここで動画が提示する重要な考え方が、「株式市場が強いから暴落しないのではなく、暴落したまま放置できない事情があるのではないか」というものです。

米国10年債利回り4.683%で起きた変化

動画では、その具体例として2026年8月の米国債市場が取り上げられています。

2026年8月12日、米国の10年国債入札で落札利回りが4.683%となりました。

動画では、これは2007年以来、約19年ぶりの高水準だったと説明されています。

長期金利が上昇すると、単純に国債だけの問題では済みません。

米国政府が支払う国債の利払い負担が増えるほか、住宅ローン金利、企業の借入金利などにも影響が広がります。

金利が高すぎる状態が続けば、企業活動や住宅市場を圧迫し、最終的には株式市場にも悪影響を与える可能性があります。

ところが、その約1週間後の8月19日、米財務省は長期国債の買い戻し規模を、1回あたり約3200億円から6400億円以上へ倍増させる計画を発表したと動画では説明されています。

その後、長期金利は低下しました。

さらに同じタイミングで上昇した資産として、金とビットコインが紹介されています。

米国は長期金利の急上昇を放置できないのか

動画では、似た動きが2023年にもあったと指摘しています。

2023年10月には米国10年債利回りが5%近くまで上昇しました。

その直後、米財務省が長期国債の発行ペースを抑える計画を示し、長期金利はその後4%を下回る水準まで低下しました。

このような動きから、動画では、

「長期金利が危険な水準に近づくと、米国当局が何らかの対応を行って金利を抑えようとしているのではないか」

という見方が紹介されています。

もちろん、財務省側から見れば国債買い戻しなどは市場の流動性を改善するための技術的な政策です。

そのため、これをそのまま量的緩和と考えることはできません。

ただし動画では、2019年にFRBが短期国債の購入を始めた際にも、当時のパウエルFRB議長が量的緩和ではないと説明していた事例を取り上げています。

市場参加者は政府や中央銀行の説明だけではなく、その政策によって市場にどの程度の資金が供給されるのかを見ているというわけです。

なぜ政府は株式市場を簡単に見捨てられないのか

では、なぜ政府や中央銀行は金融市場を守ろうとするのでしょうか。

動画が提示している仮説は非常にシンプルです。

それは、

「国民の老後資金そのものが金融市場に組み込まれているから」

というものです。

かつて株式投資は、一部の富裕層や投資家が行うものというイメージがありました。

しかし現在の米国では、年金口座や投資口座を通じて、一般家庭の老後資金も株式市場と強く結びついています。

株式市場が長期間崩壊したままになれば、影響を受けるのはウォール街の金融機関だけではありません。

一般家庭の老後資金や資産形成まで大きく毀損します。

そのため、市場救済が必要になった場合、それは単なる「金融機関の救済」ではなく、「国民の資産を守る政策」という政治的な意味を持つようになります。

米国で進む「全員を株主にする」流れ

動画では、米国では国民をさらに金融市場へ参加させようとする動きが進んでいると説明されています。

その象徴の1つとして紹介されるのが、世界最大級の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOです。

フィンク氏は近年、一般の米国人がより簡単に市場へアクセスできる環境や、資産のオーナーシップを広げることの重要性を訴えているといいます。

つまり、一部の富裕層だけではなく、一般家庭も金融資産を保有する社会を作ろうという方向です。

生まれた時点から投資家になる「トランプ口座」

さらに動画では「トランプ口座」が紹介されています。

2025年から2028年までに米国で生まれた子どもを対象に、政府が1人あたり1000ドルを拠出する仕組みで、動画では2026年7月4日から始まったと説明されています。

投資先にはS&P500などに連動する低コストのインデックス商品が想定され、追加拠出も可能とされています。

この仕組みを象徴的に捉えれば、

「生まれた瞬間から資産市場に参加する社会」

に近づいていることになります。

国民の多くが株式市場の成長によって恩恵を受けるようになれば、政府にとって株式市場の長期的な崩壊を放置する政治的コストも高くなります。

世界中から米国株へ資金が流れ込む仕組み

もう1つ、動画で注目されているのが金融市場のトークン化です。

米ネット証券ロビンフッドが米国外でブロックチェーンを活用したサービスを展開し、米国株へのアクセスを大幅に広げようとしている動きが紹介されています。

動画では、米国株約190銘柄をトークン化し、120カ国以上からスマートフォンを使ってアクセスできる仕組みとして説明されています。

こうしたトークン化が広がれば、従来の証券市場の枠組みを越えて世界中の投資家が米国企業への投資に参加できる可能性があります。

つまり米国内では国民の資産形成を株式市場に結び付け、米国外からも資金が米国市場へ流れ込むルートを作ろうとしているというのが動画の見方です。

日本人もすでに米国市場と無関係ではない

この流れは米国だけの問題ではありません。

日本でも「貯蓄から投資へ」という政策のもと、新NISAなどを通じた資産形成が急速に広がっています。

そして人気商品となっているのがS&P500や全世界株式、いわゆるオルカンです。

S&P500を購入すれば、当然ながら資金は米国企業へ向かいます。

オルカンも米国株の比率が大きいため、日本人の老後資金や長期資産形成の一部が、結果として米国株式市場へ流れ込んでいます。

つまり、日本の個人投資家もすでにこの巨大な金融システムの参加者になっているということです。

大規模な金融緩和には政治的な問題がある

ただし、政府や中央銀行がお金を大量に供給すれば何も問題がないわけではありません。

最大の問題はインフレです。

市場に大量のお金が供給されれば、通貨の価値が低下し、商品やサービスの価格が上昇しやすくなります。

資産を持っている人の場合、株式や不動産価格の上昇によってある程度インフレを吸収できます。

一方、現金や預金しか持っていない人にとっては、生活費だけが上昇する可能性があります。

たとえば資産価格が50%上昇したとしても、食料品やエネルギー価格まで大きく上昇していれば、生活そのものが豊かになったとは限りません。

ここで重要になるのが「名目」と「実質」の違いです。

資産が増えても本当に豊かになったとは限らない

動画では、資産形成を考えるうえで「名目資産額」だけを見ることへの注意が示されています。

仮に資産が1000万円から1500万円へ1.5倍になったとしても、同じ期間に物価も1.5倍になれば、実際に購入できるモノやサービスの量は変わりません。

数字の上では500万円増えていますが、実質的な購買力はほぼ同じです。

動画では、2022年初めから2026年までのS&P500について、ドル建てでは大きく上昇した一方、金を基準にして見ると違った結果になるという例が示されています。

ここから見えてくるのは、

「株がものすごく強くなったのか、それとも株価を測っているドルの価値が下がったのか」

という問題です。

通常、私たちは円やドルを物差しとして資産価格を見ています。

しかし、その物差し自体の価値が変化していることを忘れてはいけません。

S&P500やオルカンは「購買力を守る装置」

動画では、S&P500やオルカンへの長期積立について、単純な「大儲けをする装置」というより、「長期的な購買力を守る装置」と考える視点が紹介されています。

インフレが進めば企業は商品価格を引き上げます。

売上や利益が名目上増えれば、長期的には株価にも反映されていきます。

そのため現金だけを保有するより、企業の株式を保有していた方がインフレに対応しやすいという考え方です。

ただし、インデックス投資を続ければ短期間で誰でも大金持ちになれるわけではありません。

むしろ長期間かけて世界経済の成長やインフレについていきながら、購買力を維持することが基本的な役割だと捉える方が現実的です。

「全部売って暴落を待つ」が危険な理由

株式市場が最高値圏にあると、

「いったん全部売って、暴落したところで買い直した方がいいのではないか」

と考えたくなります。

理屈だけを見れば非常に合理的に思えます。

しかし問題は、暴落する時期だけでなく、底値まで正確に当てなければならないことです。

さらに現在の市場では、急落後に政府や中央銀行の政策対応が行われ、市場が短期間で反発するケースがあります。

下落を予想して売ることに成功したとしても、その後の反発時に買い戻せなければ利益を逃してしまいます。

動画では、この「全部売って暴落を待つ」という一見賢そうな戦略こそ、結果的に最も高くつく可能性があると指摘しています。

良いポートフォリオとは「一番増える配分」ではない

ここから動画の中心テーマは、具体的な資産配分へと移ります。

動画で語られる重要な考え方は、

「良いポートフォリオとは、最大リターンを狙うものではなく、どんな未来が来ても市場から退場させられないもの」

というものです。

多くの個人投資家は、「どの銘柄を買えば一番儲かるか」「どの資産がこれから上昇するか」を考えます。

一方、機関投資家や富裕層の資産管理では、最初に考えるのは「どう増やすか」ではなく、「どうすれば致命傷を負わないか」だと動画では説明されています。

つまり、

「増やす前に、生き残る」

という考え方です。

投資家を破滅させる2つの極端なシナリオ

動画では、長期投資家にとって最も警戒すべき両極端な未来として、「デフレ恐慌」と「悪性インフレ」を挙げています。

デフレ恐慌では現金が強くなる

信用収縮が起こると、企業や個人がお金を借りにくくなります。

消費や投資が減少し、企業業績が悪化し、資産価格も下落します。

このような状況では現金の価値が相対的に高まります。

株式や不動産は大きなダメージを受ける可能性があります。

つまり、株などのリスク資産だけに集中している投資家にとって非常に厳しい環境です。

悪性インフレでは現金の価値が下がる

反対側にあるのが、通貨そのものへの信用が低下するほどのインフレです。

この場合、現金を持っているだけでは購買力が急速に失われます。

企業は値上げできるため、株式は一定程度インフレについていける可能性があります。

さらに金などの実物資産が強くなります。

問題は、デフレ恐慌と悪性インフレのどちらが来るかを正確に予測することは極めて難しいことです。

だからこそ、片方にすべてを賭けるのではなく、両方の世界を生き残れるように資産を分散する必要があります。

500年前の大富豪も実践していた資産分散

動画では、この考え方が最近生まれたものではないことを示す例として、ヤコプ・フッガーが紹介されています。

16世紀に活躍したドイツの大富豪で、当時の経済規模に対する資産額という観点では、歴史上でも屈指の富豪だったとされる人物です。

動画で紹介されたフッガー家に伝わる資産防衛の考え方では、

  • 金25%
  • 現金25%
  • 不動産25%
  • 優良株25%

というように、異なる性質の資産へ分散します。

興味深いのは、約500年後にレイ・ダリオが提唱した「オールウェザー・ポートフォリオ」にも似た考え方が見られることです。

未来を正確に予測するのではなく、どの経済環境でも致命傷を負いにくい状態を作るという思想です。

現代版「5つの20%」ポートフォリオ

動画では、この考え方を2026年の環境へ当てはめた例として、資産を5つに分けるポートフォリオが紹介されています。

それが、

  • 株式20%
  • ビットコイン20%
  • 現金20%
  • 住宅20%
  • 実物コレクション20%

という構成です。

ただし動画でも、この比率をそのまま真似する必要はないと明確に説明されています。

重要なのは「20%」という数字ではありません。

それぞれの資産が、どのような危機から自分を守る役割を持っているのかを理解することです。

株式20%は通貨価値の低下への備え

まず株式です。

政府や中央銀行が金融システムを支えるために通貨供給を増やし、実質金利が低い状態が続いた場合、株式などの資産価格は名目上上昇しやすくなります。

その意味で株式は、通貨価値の低下に対応する役割を持っています。

ただし動画では、AI関連株だけに集中することには注意を促しています。

AI企業だけでなく「AIに必要なもの」を持つ

動画では1990年代後半から2000年代初頭の通信バブルが例として紹介されています。

当時、大量の資金を投入して全米に通信インフラが整備されました。

そのインフラ自体は現在のインターネット社会にとって極めて重要な資産となりました。

ところが、設備投資を行った企業の中には経営破綻した会社も少なくありませんでした。

つまり、

「技術そのものは正しかったが、その技術へ投資した企業の株主が必ず儲かったわけではない」

ということです。

AIでも同じことが起きる可能性があります。

そこで動画では、AI企業そのものだけでなく、データセンター、半導体、メモリー、光通信、電力、エネルギー、素材、重電、産業機械などを組み合わせる考え方が紹介されています。

米国AIが勝っても、中国AIが勝っても、AIを動かすには大量の電力やインフラが必要です。

個別企業の勝者を当てるのではなく、

「誰が勝っても必要になるもの」

へ投資するという発想です。

ビットコイン20%は「通貨供給量」への賭け

次がビットコインです。

動画ではビットコインを、単純に「株とは違う資産」と考えるのではなく、通貨がどれだけ供給されるかを見る資産として捉えています。

金融システムを支えるための資金供給が比較的小規模なら、株式でもインフレについていける可能性があります。

しかし、極端な規模で通貨供給が行われれば、供給量に上限のあるビットコインが大きく上昇する可能性があるという考え方です。

ただし、ここには非常に重要な注意点があります。

ビットコインはまだ金の完全な代替ではない

動画では、ビットコインに対してかなり慎重な見方も示されています。

2020年3月のコロナショックでは、ビットコインは短期間で約50%下落しました。

2022年の金融引き締め局面でも、株式とともに大きく下落しています。

つまり市場が混乱した瞬間には、安全資産ではなく「レバレッジのかかったハイテク株」のような動きをするケースがあります。

さらにビットコインは誕生からの歴史がまだ短く、本格的なデフレ恐慌を経験していません。

これに対し、金には非常に長い歴史があります。

したがって、

「株20%+ビットコイン20%」

と分けているつもりでも、金融危機の瞬間には両方が同時に下落し、実質的に40%のリスク資産になってしまう可能性があります。

ここが動画で指摘される重要な弱点です。

金は時間分散して少しずつ買う

動画では金について、上昇を見て慌てて一括購入することを避けるべきだと説明しています。

価格が下がったら買おうと思って待っていたにもかかわらず、その水準まで下がらず反発すると、

「乗り遅れたから今すぐ買わなければ」

という心理が働きます。

しかし、これは投資判断というよりFOMO、つまり乗り遅れることへの恐怖に近い感情です。

動画では金のような資産については、ドルコスト平均法などを利用して時間を分散し、少しずつ積み上げていく方法が紹介されています。

日本では純金積立や金ETFなどを利用すれば、少額から保有できます。

銀についても同様に、一括で大きく買うのではなく徐々に保有するという考え方が示されています。

現金20%は暴落時の「選択肢」になる

現金の役割はデフレや金融危機への備えです。

株式市場が急落している時に現金を持っていれば、生活費のために株を安値で売る必要がありません。

さらに暴落した資産を安く購入することもできます。

その意味で現金は単なる「何も生まない資産」ではありません。

暴落時に行動できる「選択肢」を保有していると考えることができます。

一方、現金の弱点はインフレです。

物価が毎年上昇していけば、現金の実質的な購買力は少しずつ減少していきます。

日本人は「現金=円」だけでよいのか

日本の投資家の場合、さらに考えなければならない問題があります。

それが通貨分散です。

現金20%を持つとしても、そのすべてを日本円で保有すれば、「現金」という資産クラスの中で円だけに集中していることになります。

動画では、生活防衛資金については円で確保しながら、待機資金の一部を外貨建て資産などに分ける考え方も紹介されています。

資産クラスを分散するだけではなく、

「その資産をどの通貨で持っているか」

まで見る必要があるということです。

住宅20%の役割は投資リターンだけではない

住宅についても興味深い考え方が紹介されています。

住宅はインフレ時に価格や家賃が上昇しやすい一方、デフレや人口減少には弱い資産です。

そのため「今すぐ住宅を買えばよい」という単純な話ではありません。

特に日本では金利上昇、住宅価格の高止まり、人口減少などを考える必要があります。

動画では住宅の重要な価値として、

「大家から家賃を上げられない権利」

という視点が紹介されています。

持ち家には投資収益だけでなく、将来の住居費をある程度固定し、生活を安定させる役割があるということです。

住宅ローンの繰り上げ返済にも絶対的な正解はない

住宅ローンについても、動画では興味深い整理がされています。

無借金になることは、ある意味ではデフレに強い状態です。

一方、固定金利で長期間借金を持つことは、インフレが進んだ場合に有利になる可能性があります。

将来インフレによって給与や物価が上昇しても、固定金利の返済額は変わらないため、借金の実質的な負担が小さくなっていくからです。

したがって住宅ローンを繰り上げ返済するべきかどうかも、

「どちらが必ず儲かるか」

だけで判断する問題ではありません。

家族構成、収入、手元資金、心理的な安心感などを含め、自分がどの状態なら安心して生活できるかを考える必要があります。

実物コレクションは「お楽しみ枠」と考える

5つ目が実物コレクションです。

動画ではトレーディングカード、時計、クラシックカーなどが例として挙げられています。

通貨価値が下落するインフレ局面では、希少性のある実物資産が大きく値上がりすることがあります。

日本でもポケモンカードなどの価格高騰が話題になりました。

ただし、この資産にも大きな弱点があります。

金融危機やデフレが起こり、人々が生活資金を必要とすれば、趣味性の高いコレクションは売却されやすくなります。

そのため動画でも、一般家庭が資産の20%をコレクションへ投入するのは多すぎるとしています。

あくまでも趣味と資産形成を兼ねた、小さな「お楽しみ枠」と考える方が現実的でしょう。

「5つの20%」にも弱点がある

ここまで見ると、5つへ20%ずつ分散すれば非常に強いポートフォリオに思えます。

しかし動画では、この設計にも弱点があると指摘しています。

株式20%、ビットコイン20%、実物コレクション20%は、インフレ局面では強い一方、深刻なデフレや信用収縮が起これば3つとも同時に下落する可能性があります。

つまり60%が似た方向へ動く可能性があるということです。

それでは本当の意味で分散できているとは限りません。

そこで動画では、金や銀を全体の10~15%程度組み入れる考え方も紹介されています。

重要なのは「資産の名前が違えば分散になる」と考えないことです。

危機が起きた時に、

「それぞれの資産が本当に違う動きをするのか」

を見る必要があります。

株と暗号資産で90%なら分散できているとは限らない

これは現在の個人投資家にとって特に重要なポイントです。

たとえば、

株式60%、ビットコイン30%、現金10%

というポートフォリオを組んでいたとします。

表面上は株式と暗号資産という2つの資産へ分散しています。

しかし金融危機が発生し、株式とビットコインが同時に下落すれば、実質的には資産の90%が同じ方向へ動いてしまいます。

動画では、こうした状態を本当の意味での分散とは考えていません。

分散とは「銘柄数を増やすこと」ではなく、

「異なる経済環境で異なる役割を果たす資産を持つこと」

だということです。

大規模な金融緩和の前に暴落が来る可能性もある

ここまで読むと、

「どうせ政府が市場を助けるなら株を買い続ければよい」

と考える人もいるでしょう。

しかし動画では、ここにも警告を加えています。

政府や中央銀行が大規模な政策対応を行う前には、大きな調整が発生する可能性があります。

その調整局面で特に危険なのが、過度なレバレッジをかけている人と、恐怖に耐えられず底値付近ですべて売ってしまう人です。

暴落を予想していた投資家が下落局面で「やはり自分の予想は正しかった」と売却し、その直後に政策対応によって相場が急反発すれば、その後の上昇局面に参加できません。

つまり、

「暴落を当てること」

「暴落によって利益を得ること」

はまったく別の問題なのです。

日本人が忘れてはいけない「30年間上がらない」シナリオ

さらに日本の投資家には、もう1つ忘れてはいけない経験があります。

日本株の長期停滞です。

日経平均株価は1989年末に最高値をつけた後、その水準を本格的に更新するまで30年以上を要しました。

これは、暴落した後すぐに金融緩和で最高値へ戻るという現在の米国株とはまったく異なる世界です。

もし今後、米国株でも長期間株価が上昇しない状況になれば、値上がり益だけに依存する投資は苦しくなります。

そのような時に役割を果たす可能性があるのが、安定的に配当を出す優良株や金などのコモディティです。

これも「未来を1つに決めつけない」という資産配分の考え方につながります。

弱気論は賢く聞こえるが、長期では市場に残ることも重要

相場では暴落予測が注目を集めやすい傾向があります。

「株価は割高だ」

「歴史的暴落が来る」

「金融システムが崩壊する」

といった話には具体的な数字やデータが並ぶため、非常に説得力があるように見えます。

しかし動画では、相場に関する古い表現として、

「ベアは賢く聞こえ、ブルは儲かる」

という考え方を紹介しています。

もちろん、株価が永遠に上昇するという意味ではありません。

大切なのは暴落を恐れて市場から完全に退出するのではなく、暴落しても生き残れる資産配分を作りながら市場に居続けることです。

まとめ

今回の動画で最も重要なテーマは、「これから株価が上がるのか、下がるのか」を予想することではありません。

現在の金融市場では、一般家庭の老後資金や資産形成が株式市場と深く結びついています。

そのため動画では、政府や中央銀行にとって市場を長期間崩壊したまま放置することが政治的に難しくなっており、金融システムには「暴落しても政策によって支えられやすい構造」が生まれているのではないかという見方が示されています。

しかし、それは暴落がなくなるという意味ではありません。

むしろ大規模な金融緩和や救済策が行われる前に、大きな調整が起こる可能性もあります。

そこで重要になるのが、「未来を当てる投資」から「未来を当てなくても生き残れる投資」への発想転換です。

株式、現金、金などの貴金属、住宅、ビットコイン、実物資産などには、それぞれ得意な経済環境と苦手な経済環境があります。

資産の種類を増やすだけではなく、「インフレになったらどうなるか」「デフレ恐慌になったらどうなるか」「株価が30年間伸びなかったらどうなるか」という視点で自分のポートフォリオを見ることが重要です。

動画で最後に示されている考え方も非常にシンプルです。

自分の証券口座や資産状況を確認し、

「デフレ・信用収縮と悪性インフレのどちらが来た時に、自分は致命的なダメージを受けるのか」

と考えてみることです。

どちらか一方が来ただけで資産形成を続けられなくなるのであれば、修正するべきなのはその部分です。

未来を正確に当て続ける必要はありません。

500年前の富豪の資産防衛から現代のオールウェザー戦略まで共通しているのは、最も儲かる未来に賭けるのではなく、どの未来が訪れても生き残れる状態を作るという考え方です。

長期投資で本当に重要なのは、一時的な暴落を避けることではなく、暴落やインフレ、デフレを経験しても投資を続けられる資産配分を作り、市場から退場しないことだと言えるでしょう。

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